お待たせしました………
持ち場から離れたオレたちがまず向かったのは友希那のクラスが経営している店へと向かう。
出してるものは確か、チョコバナナやリンゴ飴といった手軽に食べられる物だったはずだ。
ウチとは差別化出来ているし、売り上げに貢献しても何ら支障はないだろう。
「友希那〜!来たよ〜!」
教室に入るや否やリサが声をかけるも、義妹の姿はどこにもない。
「あれれ、おっかしいなぁ……」
「オレたちと同じで休憩にでも行ってるんだろ」
「そっかあ、残念」
友希那が店員として働く姿を見れなかったことに落胆するリサ。
確かに、側から見れば面白そうではあるが危なっかしくもある。
家事もまともに出来ない上に音楽以外はポンコツときた。無口で大人しいというイメージと見た目に騙されて給仕を担当したところで、商品を落としたり間違った注文を取ることが容易に想像できる。
それを本人が理解しているか定かではないが友希那はバイトを一切していない。全ては義両親から渡される小遣いでやりくりしているのだ。
「まあそのうち出会えるだろ。それに携帯があるんだ。会いたかったらメッセージでも送って合流すればいい」
「じゃあ、それまでは二人きりだねー♪」
リサはそう言い晴れやかな笑顔を見せ、オレの腕をギュッと自身の身体に抱き寄せる。
全く、友希那に会いたかったんじゃないのか?なんだその嬉しそうな表情は。つくづく他人の心情はよく分からん。
「このまま帰るのも何だし、リンゴ飴でも買ってくか」
「うんっ!」
そのまま店頭へと進みリンゴ飴を二つ買い、それを齧りながら再び校内を回る。
祭りの屋台でしかお目にかかることのないこのフルーツ菓子。イチゴやぶどう、ミカンでも同様のものが作られるというがオレはやはりこのリンゴが好きだ。
テレビ番組の芸能人みたく饒舌にその理由は語れないが、甘さに全振りしたこの味がいい。
「美味しいね♪」
「ああ」
自然と笑みが溢れる。
「友希那も雄樹夜も昔から甘いもの好きだよねー」
「甘党だからな。お互い」
「コーヒーはミルクと砂糖を入れないと飲めないし、苦いものは苦手だし、猫舌だし」
「最後のは関係ないだろ」
「あははっ。確かに」
やはりリサはオレたちキョウダイのことをよく理解している。関係ないとは言ったが猫舌なのは事実である。
「これでも苦手なものは大分克服したんだぞ」
「え?雄樹夜ってそんな好き嫌いが多い方だったっけ?」
「言わなかっただけだ」
「まあ雄樹夜は表情筋硬いからねェ」
「その点、リサはこれといって苦手なものはないだろ。強いて言うならグリーンスムージーか」
「昔、健康のためーとかいってお父さんのを少し飲んだことがあるんだけど、それがトラウマでさー……」
そもそもグリーンスムージーが苦手なんて、苦手なものがあってないようなもんだ。
何せ、自ら飲もうとしない限り目にする事もないだろうからな。
「ああ、怪談話とか幽霊が苦手だったな。そういえば」
「それ関係ないじゃん!!もう………バカっ!」
普段の言動とか格好は大人っぽいというのに、怒る時だけやけに子供っぽくなるのは何故だろうか。
こうなったら大抵は「バカ」としか言えないぐらい語彙力が低下する。
「すまんすまん。からかいすぎた」
「知らないっ!」
頬を膨らませ、むっすーとした顔をするリサ。
「────なーんて、嘘うそッ☆」
「………ん?」
「全然怒ってないから安心して。雄樹夜にからかわれるのって珍しいからついはしゃいじゃった♪」
ペロッと舌を出したその顔は全く悪びれている感じがしない。
この相手が友希那であればイラッとするだろうし、あこであれば徹底的なドラム練を科すだろう。
だがリサに対しては怒りといった感情は湧いてこない。不思議な気持ちだ。
「口の周り、りんご飴でベタベタだぞ」
「えっ、マジ!?」
「嘘だ」
「えへへ。またからかわれた〜♪」
嬉しそうにフニャッと笑うリサ。
「嬉しいのか?」
「うん!」
「変な奴」
リサが嬉しいならそれでいいか。
そう考えていた時だった。
「あ」
「…………えっ?」
「…………っ!?」
探していた友希那。そしてその隣には紗夜がいたのだ。
「紗夜!来てくれたんだ!」
「…………ッ」
「紗夜?」
どうやら紗夜の様子がおかしい。
オレたちとすれ違うまでは至って普通だったのだが。
「………日菜にも、誘われて………いましたし………」
顔を背け小刻みに震えながらそう答える紗夜。
普段なら「そんな態度を取るのは失礼ですよ」とでも言いそうな立場なのに、明らかに様子がおかしい。
「紗夜」
「………はい」
「こっち向け」
「無理…………です…………」
原因はやはりオレのようだ。
いや、オレというよりオレの格好のせいか。
奴の双子の妹にもケラケラとバカにしてきたし、同じDNAを持つもの同士笑いのツボは同じということか。
「そんなにおかしいか?」
ジト目の義妹に答えを求める。
「ええ。変よ」
「やはりそうか」
随分バッサリと言ってくれる。
オレだって望んでこの格好をしている訳じゃないのにあんまりだ。
「えぇ〜、アタシは似合うと思うんだけどなぁ」
「おかしいじゃない。男の人がスカートを履くなんて」
「ジェンダーレスが尊重されるこの時代になんてことを言うんだ」
「じゃああなたは好んでそれを着ていると言うのかしら?」
「いや全く」
「ならいいじゃない」
反論できる余地なし。その通りである。
「…………ふぅ」
「落ち着いたか?紗夜」
「えぇ…………っ!!」
「拉致があかんな」
ようやく息が整った紗夜だがオレの姿を見るや否や再び吹き出す。
失礼を通り越して腹が立ってきた。
姉妹共々一体どうしてくれようか。とあるボーカロイド曲の歌詞にある拷問方法を思い出す。
「せっかくだし四人で回らない?」
「私は別にいいのだけれど………」
「オレも構わんぞ」
リサの提案にオレはOKを出すが二人の反応が微妙だ。
「その、お二人は恋人同士ですし、私たちはお邪魔ではないかと………」
「そんなこと気にしないでいいって♪それに、みんなで回った方が楽しいじゃん?」
「しかし………」
「二人がそう言うんだし、いいんじゃないかしら」
それでも拒もうとする紗夜に友希那が言葉を被せる。
「遠慮するな。紗夜」
「湊くんまで………」
「放課後や休日は顔を合わせることはあっても、こういう学校のイベントでは共感できないこともある。せっかくの機会だ。全員で回った方が思い出にも残るだろ」
頑固な紗夜を説得するには相応の理由がいる。リサが全員で回りたいと願うのであればオレは喜んでそれに協力する。
「そこまで言うなら………」
「決まりだな」
「よーっし!それじゃあ、あこと燐子にも声掛けてみよっか!」
メールを送った直後あこから返信が来てオレたちはすぐに合流することができ、Roselia全員で文化祭を回ることとなった。
◆◆◆
年に一度しかない学校行事。
数多ある選択肢の中で誰と一緒に周りたいか?そう問いかけられたらアタシは必ずこう言う。
「大切な人、そして大好きな人、みんなで周りたい」と。
「やっぱり高校の文化祭はいいなあ。中学とは大違い!」
無邪気な目をしたあこがそう吐露する。
「中学は出店とかできなかったからねー」
「よく覚えてないわ」
「それほどつまらん文化祭だったんだろ。オレも人のことは言えないが」
実際、中学での文化祭において特別な思い出はない。学年ごとに合唱をするだとか、部活動の発表を見るとかでアタシたちが直接何かするといったことはなかった。
「花咲川の中等部はステージ発表が主でしたね、白金さん」
「は、はい………」
やはり中学はどこも似たような感じらしい。
「あこも早く高校生になりたいな〜!」
あこはそう理想を口にする。
「高校になったら勉強がもっと大変になるぞ」
「定期テストが頻繁に行われるわね」
「部活動、バンド活動、そして勉強。それらを全て両立させなければなりません」
「バイトも始めるとなると、もう手がつけられないよねぇ」
「うわーん!みんなが怖いことしか言わなくなったよ〜!」
「が……頑張ろうね………あこちゃん………!」
決して脅すつもりはないが生半可な気持ちでいたら女子高生としてやっていけない。
これも全てあこのためーってアタシは思ってるんだけど他のみんなはどこか揶揄ってるようにも見える。
あこの反応が面白いからそう考えてもスルーするんだけど☆
「ミス・ハネオカの参加受け付けてまーす!飛び入りもOKでーす!」
拡声器を手にした生徒が道ゆく人に声をかけている。
ミス・ハネオカ。この文化祭で目玉になっているイベントの一つだ。
文字通り要はミスコンの羽丘学園バージョンで、イベントスタッフが用意した衣装の中から好きなものを選んでそれを審査するというもの。
………ん?なんでスタッフでもないのに詳しいのって?
それは──────
「リサ。呼ばれてるぞ」
「いやいや!アタシを呼んでるわけじゃないって!」
「去年優勝してたじゃない」
「そ、それは………そうだけど………」
そう、何を隠そうアタシは去年のミス・ハネオカ優勝者である。
出場したのはクラスメイトたちから勧められたからでアタシの意思で出たわけではなかった。おまけに上級生を差し置いて優勝しちゃったもんだから、それはもう冷や汗が止まらなかったわけで………。
現に今年もクラスメイトたちから出場するよう勧められたけど、Roseliaのみんなと文化祭を楽しむって決めてたから断っている。
「流石と言うべきね」
「すごい、です………今井さん………!」
「いやいや、本当たまたまだったんだって!参加者も少なかったし、審査員に知り合いだっていたわけだしさ!」
「それを差し引いても優勝は凄いことだろ」
「ええ。流石よ、リサ」
「あこ、去年はミス・ハネオカは見なかったから今年は生で見てみたい!」
「私も、今井さんの晴れ姿を見てみたいですね」
「は、晴れ姿って………!」
「あこも見てみたい!」
「わ、私………も!」
「私も」
いけない。このままだと参加する方に押し切られそうだ。
あの手この手で不参加を表明するけど、Roseliaの面々は更に話を加え参加するよう促してくる。
「ゆ、雄樹夜〜!」
彼氏に助けを求めように肩を抱く。
「オレも見てみたいな」
「えっ……?」
「リサがまた、優勝するとこ」
本当、雄樹夜はズルい。
そんなこと言われたら断れないじゃん。
「〜〜!!わかった!!アタシ、でる!!」
勢いそのままに受付を済ませてミス・ハネオカへの出場が確定した。
一連の流れを見ていた周囲の人たちからは拍手を送られ、恥ずかしさのあまり雄樹夜の広い背中の後ろに身を潜める。
「嫌なら無理しなくてもいいんだぞ」
「優勝するとこ、見たいんでしょ?」
「それはそうだが……」
「なら、会場の最前列で見てて!アタシ、頑張るからさ!」
雄樹夜、そしてRoseliaの為ならなんだって頑張れちゃう。ヒラヒラと手を振って別れを告げ、アタシは会場裏の控え室へと向かった。
優勝したら、クラスの出し物の豪華特典とは別に個人でその景品がもらえるというのだから当然それを狙うしかない。
去年優勝した時は確か………総額1万円ほどの大量のバスグッズだった。
お風呂は好きだからアタシとしては最高に嬉しい景品だってけど、例に漏れず今年の景品の内容はわからない。
「………あれ?リサ先輩!?」
控え室にいた5人の中で、そうアタシに話しかけてきたのは一個下の後輩でありAfterglowのベース、ひまりだった。
「ひまりも出るんだ!よかったー!知ってる人がいて安心したよ〜」
「わたしもです!」
二人して手を繋いでキャッキャワイワイと静まったこの部屋に似つかわしい雰囲気で話を進める。
「ところで、リサ先輩はなんで出ようって思ったんですか?」
「聞いてよぉ、それがさあ………」
これまでの経緯を話すとひまりはうんうんと同情するかのように頷きながら訊く。
「わたしも似たような感じですね……」
「やっぱり自分から参加する勇気は出ないよね〜」
「クラスの子とかAfterglowのみんなからの期待もすごくて………ううっ、緊張でお腹が………」
「大丈夫大丈夫☆ひまり可愛いから優勝だって夢じゃないよ!」
「リサせんぱ〜〜い!!」
泣きながら抱きつくひまりの頭を撫でているとスタッフさんが部屋に入ってきて軽い説明を受けた。
今年のミス・ハネオカのコンセプトは『コスプレ』だそうで、衣装もそれにちなんだものが多く取り揃えられているらしい。
審査方法はというと、まずは衣装を着て登場し自己紹介の後パフォーマンスに入るという。
これは去年と同じだ。
アタシたち出場者はさらに別の部屋へと移動し大量の衣装が飾られた場所へ着いた。
「すごーい!」
「去年よりさらにすごくなってるかも」
部屋の中にびっしりと並べられた衣装たち。
何かのアニメの衣装やら、異国の民族衣装やらその種類は数限りない。
アタシの趣味とは少し違ってるから選択が難しいなあ………。
「リサ先輩!これ見てください!」
興奮気味のひまりが見せてきたのは布地面積が明らかに少ない、危なすぎる水着。
こんなもの着て出たらどうなるか容易に想像がつく。
「うわ〜………これやばいね」
「わたしもびっくりしました。これじゃあ一生みんなにネタにされちゃう………」
「ネタどころか、デジタルタトゥーになっちゃうよ」
「黒歴史ですね………」
すぐさまその水着を元の場所に戻し衣装探しを再開する。
「………あっ、これひまりに似合いそう!」
「え?どれですか?」
アタシが手にしたそれは少年漫画に出てくる女隊士のコスプレ衣装。
その漫画は誰でも知っているほど知名度があるし、客ウケも良さそうなものだった。
何より、そのキャラとひまりの身体的特徴が一致しているのもポイントが高い。
「これ、結構セクシーですけど……大丈夫ですかね………?」
「大丈夫大丈夫☆ほらっ、彼氏にも見てほしいでしょ?」
「うぅ、それは………」
アタシと同じくひまりにも彼氏がいる。確か、蘭の双子の弟くんだったかな?
これも偶然でアタシと同じ体育祭で告白し、付き合うことになったらしい。
「わかりました!わたし、これにします!」
「そのいきそのいき♪」
「その代わり、リサ先輩の衣装はわたしが選びますね!!」
「ええっ!?わ、わかった」
これも等価交換というやつなのかな。でも、アタシだと選ぶのに手間取るからこうして見つけてくれるのはありがたい。
ひまりは意気揚々と衣装探しに奔走する。
アタシの前に衣装を当てては取り替え、また違う衣装を手に取り「これでじゃない」などとボヤきながら悩む。
「ひまりー、あと10分で開始だってさー」
「もう少し待っててくださーい!」
「はーい」
こうなった以上、自分で探すより頼れる後輩に任せた方が良い。そう決めて数分した後だった。
「リサ先輩!これ、絶対似合いますよ!!」
「こ、これって………!?」
ひまりが手にしてきた衣装に驚きを隠せずにいたがもう時間がない。
どうやら拒否する暇もなさそうだ。
そのまま着替えを済ませアタシの出番を待つ。
ちなみに、先に出番を迎えたひまりは大成功。アタシがセレクトした女隊士の衣装もバッチリ似合っていたし観客たちからの評判も上場の様子だった。
待機中ずっと座っていたパイプ椅子から立ち上がり、アタシは再度鏡越しに今の自分を確認する。
「これ、大丈夫かな………?」
そんな不安を1人吐露する。
普段のアタシなら絶対に着ないような衣装。それに加えRoseliaでは絶対採用されないものでもある。
緊張しすぎて心臓の音が周囲にも聞こえかねないほどドキドキ鳴っている。
「今井 リサさん」
「ひゃい!」
「あの、出番ですよ………?」
スタッフさんに突如呼ばれ、変な声を出してしまった。恥ずかしい………。
「………よしっ!」
パンっ!と頬を叩き、気合を入れステージへと進む。
「エントリーナンバー3番!昨年優勝者、今井リサさんの登場です!」
司会の紹介と共にステージ裏から姿を現す。
ド派手なスポットライトと歓声を浴び、全ての視線と注目がアタシに集まる。
「ども〜♪よろしくお願いしま〜す!」
ひまりが選んでくれたのは、フリフリとした可愛らしい、まさにアイドルのような衣装だった。
つい最近連載が終了したあの某漫画に肖ってか、ウイッグや星柄のコンタクトレンズまで揃えた、まさに最強で究極のアイドルのコスプレである。
「堅苦しい挨拶は抜きにして────いくよ!!」
壇上でアタシが構えたと同時にスポットライトがパッと消え、とある音楽のイントロが流れ出す。
それはこの衣装のキャラが歌って踊る作中歌。SNSでも踊ってみた動画でバズったあの曲だ。
振り付けはよく覚えてないけど歌詞はわかる。観客たちの熱狂を落とさないようアタシは一生懸命盛り上げる。
「〜♪〜♪」
歌って踊る。
笑顔を振りまき、会場の熱を煽る。
やっていることはライブと同じ。
だけど今日は、今日だけは想いを届ける相手を限定する。
『会場の最前列で見てて!アタシ、頑張るからさ!』
ここへくる前、そう約束した人。その列の中央に雄樹夜がいた。
「〜♪〜♡」
彼だけに向けた
鈍感で、アタシの気持ちなんて全然理解してくれない朴念仁。だけどそんな雄樹夜が大好きだ。
彼が見てくれているというだけで疲れなんて吹っ飛んじゃう。
今日は年に一度の学校行事。
アタシなりのやり方で想いを伝えさせてもらった。
「ありがとうございました〜!!」
◆◆◆
時計の針が16時を指したところで文化祭は終わりを告げる。
結果からすれば、クラスの出し物は上級生に後一歩及ばず3位に。
ミス・ハネオカではリサが圧倒的票数で見事2年連続優勝となり幕を閉じた。
残念ではあるが結構楽しめた。
これも全て、発案から準備まで全てを担ってくれたリサのおかげだな。
「雄〜樹夜♪」
幼馴染兼オレの彼女がクラスメイトとの会話を終えやってきた。
「お疲れ。優勝おめでとう」
労いと祝いの言葉を伝える。
「楽しかった?」
「ああ」
「アタシも☆」
「来年もまた一緒にやりたいな」
「そうだね〜」
クラス替えがあるからまた同じメンバーでやれることは決してない。だが、そう思えるほど今日がとても有意義で価値のある1日だったという暗示である。
「それで、優勝の景品はどうするんだ?」
ミス・ハネオカで手にした景品。
その中身は、なんと一泊二日の温泉旅行ペアチケットなるものだったのだ。
「ん〜、行きたいのは山々だけどアタシ部活もバンドもあるからな〜………お父さんたちにでも渡そうかな?」
「優しいな」
「もっと褒めて〜♪」
「はいはい」
甘えてくる彼女の頭を撫でる。
普段は世話焼きのくせに、まったく。
「そういえばこの後打ち上げがあるっていってたな。リサは参加するのか?」
「もちろん!」
「じゃあオレも参加するかな」
「まだまだ文化祭はこれからだよ!」
「ああ。そうだな」
文化祭が終わったとしてもこのクラスが解体されることはまだしばらくない。
その日が来るまで、楽しんでやろうじゃないか。
やっぱり世の中楽しんだもん勝ちだとボクはそう思います。
正直、この世は理不尽なことばかりで退屈ではありますが、ポジティブに、今日を楽しんでいきたいと思っていただけたら幸いです。