Roselia 〜屹立の青薔薇〜   作:山本イツキ

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今回は少し番外編を。

次出すとしたらAfterglowかな?








間話

 オレがバイトとして働く『CiRCLE』はライブを開催できるのは勿論、スタジオの一室を借りて演奏の練習も可能でありバンドマンたちがこぞって通うライブハウスだ。

 更にはカフェテラスも隣接されており、それを目当てに来る客もいるほど人気が高い。

 やってくる客も個性豊かで接客していて面白いと思う。

 

 働いていて感じた点としては、スタッフのみんなは優しいし、仕事もできる。

 ライブの盛況具合によっては給料も弾んでくれるから、正直バイトする場所としては我ながら最適な職場を選んだと自負している。

 

 

 これはバイト中に起きた話────。

 

 

 

 大ガールズバンド時代。

 それは、あるニュース番組で大々的に報じられた今最も熱いトレンドだ。

 街中ではギターやベースを背負った学生が多く見られ、学校や年齢関係なく幾多のバンドが組まれている。

 

 

 「雄樹夜くーん!受付の対応おねがーい!」

 

 「わかりました」

 

 

 清掃作業をしているオレに、まりなさんがそう声をかけ受付へと向かう。

 

 

 「本日はご来店ありがとうございました」

 

 「雄樹夜さん!お疲れ様です!」

 

 

 本人曰く星の髪型をした少女、戸山香澄が元気にそう挨拶する。

 

 

 「ああ、お疲れ。今日も相変わらずだな」

 

 「えっへへー♪そうですかあ?」

 

 「香澄ー。多分誉められてないぞ〜」

 

 

 オレの真意を察する市ヶ谷有咲は、やれやれといった様子でツッコミを入れた。

 確かに褒めてはいないが、貶しているつもりもない。

 元気なのは良い事だな。

 

 

 「来週ライブだろ?楽しみにしてるぞ」

 

 「はい!!」

 

 

 彼女らが所属する "Poppin’Party" は紗夜や燐子が通う花咲川の1年生5人で結成されたガールズバンド。

 メンバー間の仲は非常に良く、演奏にもそれが現れている。

 まだまだ未熟で経験不足な面は否めないが、これからの成長に期待の持てるグループだ。

 

 

 「来週は学年末考査があることも忘れるなよー。もし成績悪かったら進級できないからなあ〜」

 

 「いやああああ!!」

 

 「あーあー、何も聞こえなーい」

 

 

 有咲の囁きに香澄は恐怖し、もう1人のギター担当の花園たえは耳を塞いだ。

 羽丘も同じタイミングで試験があるからあながち他人事とは思えない会話である。

 

 

 「まさかとは思うけど赤点なんて取るなよ?」

 

 「そんなこと言われても無理だよー!」

 

 「勉強キラーイ。ギターだけ弾いていたーい」

 

 「お前ら………」

 

 

 有咲は怒りで体を震わせ拳を握る。

 彼女の第一印象はお淑やかなお嬢様かと思ったが実際はそれと相対する性格の持ち主。

 男勝りで毒舌、おまけに人見知りときた。

 Roseliaには居ないタイプの人間だ。

 

 

 「私は数学が不安かも……」

 

 「帰ってみんなで勉強しよっ!今からならまだ間に合うよ!」

 

 

 不安がるベースの牛込りみをドラムの山吹沙綾がそっと肩に手を置きそう提案した。

 Poppin’Partyがうまくまとまっているのはこの山吹沙綾の働きが大きい。

 面倒見が良く、気配りも上手いから暴走しがちな香澄やたえ、性格に難ありな有咲や心配性のりみとも良好な関係を築けている。

 Roseliaで言うと、リサに近いポジションか?

 こういう人間がいるバンドは良い音を奏でることが多い。彼女らもそれに当てはまる。

 

 

 「雄樹夜さーん!助けてくださーーい!!」

 

 「すまんな。まだこれから仕事がある」

 

 

 時計の方へ目をやると時刻は18時。

 まだあと2時間は働かなければならない。

 

 

 「私がバイト変わるので代わりに私の勉強してください」

 

 「いや、何の意味があるんだよ」

 

 「雄樹夜さんなら私の代わりを十二分にしてくれると思う」

 

 「ダメだよ。おたえちゃん」

 

 「おたえー、現実逃避しちゃダメだよ〜」

 

 

 変わってやりたいのは山々だが、オレ自身人に誇れるほどの成績は残せていない。

 まあ少なくとも赤点は取らんが。

 

 

 「雄樹夜さんって、試験前はどれぐらい勉強してるんですか?」

 

 

 香澄が、参考にしたいと言わんばかりに前のめりになり問う。

 

 

 「勉強はしない」

 

 「しないんですか!?」

 

 「ああ。授業を真(・)面(・)目(・)に(・)、ち(・)ゃ(・)ん(・)と(・)聞(・)い(・)て(・)い(・)れ(・)ば(・)平均点くらいは簡単に取れる」

 

 「うぅっ……」

 

 「すごい……」

 

 

 ごく当たり前のことを話したつもりだったが勉強が苦手な2人からしたら、どうやらこれはすごいことらしい。

 まあ人それぞれ長所と短所があるからな。

 

 香澄には明るい性格やどんな人とも仲良くなれるコミュニケーション能力があるし、たえには大人顔向けのギターテクニックがある。

 

 それらは勉強において活用し難いものではあるが、めげずに立ち向かって欲しいと思う。

 

 

 「お前ら、雄樹夜先輩を敬えよお〜」

 

 『ははぁ〜……』

 

 「オレは殿様か」

 

 

 ぺこりと頭を下げる2人を見て、悪戯に笑う有咲。

 彼女もまたRoseliaにはいない性格の持ち主だ。

 初めは猫を被ってばかりいたが、今では素で接してくれるからこちらとしても話しやすい。

 

 

 「雄樹夜先輩」

 

 

 香澄とたえが離れたのを見て、沙綾がこちらに近づいた。

 

 

 「友希那先輩とは近頃どうなんですか?」

 

 

 少し心配するような面持ちで問いかける彼女には、こうしてバイトの受付をする傍ら、相談に乗ってもらったりしている。

 一つ年下だが、どことなくリサに似ているからこそ話しやすいのはあるかもな。

 

 

 「順調だ。少し前だが猫カフェにも行ったぞ」

 

 「あはは♪結構可愛らしいところに行ったんですね」

 

 「ネコ好きだからな。お互い」

 

 「いいなあ。私も純と紗南を連れて行ってみようかな」

 

 「いいんじゃないか?動物に触れていると自然と気持ちが落ち着くぞ」

 

 「うーん、まだ小学生だからそういうのは難しいかなあ」

 

 「何事も経験だ。よかったらコレ、使ってくれ」

 

 

 会計したレシートと共にオレが以前行った猫カフェの割引チケットを沙綾に渡した。

 

 

 「いいんですか!?」

 

 「ああ。オレはしばらくRoseliaの活動で行けないし、妹と弟を連れて行ってやってくれ」

 

 「ありがとうございます!!」

 

 

 いつも相談に乗ってくれているお礼、といえば少し安っぽくはあるが喜んでくれて何よりだ。

 とあるネット記事では犬派か猫派どちらかというアンケートにおいて犬派が圧倒的に多いというから、猫カフェでぜひ猫の良さを知ってもらおう。

 

 

 「みんなー、そろそろ帰るぞー」

 

 「はーい!それじゃあ雄樹夜さん、また明日!」

 

 「ああ。またのご利用お待ちしてるぞ」

 

 

 ヒラヒラと手を振って返し彼女らの背中を見送る───が。

 

 

 「……あっ、りみ!」

 

 

 一番最後尾を歩いていたPoppin’Partyのベース、牛込りみを呼び止める。

 

 

 「え……?」

 

 「忘れ物」

 

 

 受付カウンターから離れ、置き去りになっていた携帯を渡す。

 

 

 「あ、ありがとうございます!どうしてこれが私のだってわかったんですか?」

 

 「携帯の後ろにある写真だ」

 

 

 りみの携帯の裏面には、彼女の姉と撮ったプリクラの写真が挟まれている。

 その姉というのが、人気ガールズバンド "Glitter*Green" 通称グリグリのギターボーカル、西本ゆりさんだ。

 その演奏は人々を魅了し特に後輩たちからは手本とされ高い支持を得ていた。

 今は海外留学に向けバンド活動を休止中らしい。

 

 

 「まだ20歳そこらで海外留学って本当にすごいな」

 

 「はい!自慢のお姉ちゃんです!」

 

 「あの人の演奏は『SPACE』で何度も聴いた。同世代じゃトップクラスの実力者だっただけに、活動休止するのが残念でならん」

 

 「でも、音楽は続けるみたいです。またライブハウスに立てる日を楽しみにしてるって話してくれて……」

 

 

 満面の笑みを浮かべながら話すあたり、姉妹仲は良好なようだ。

 

 

 「ここだけの話、ゆりさんにRoseliaへ勧誘しようと考えたこともあってな」

 

 「そうだったんですか……!?」

 

 「演奏を聴いて、この人にはグリグリが1番合ってるんだろうなって感じて断念したんだけどな。まあ今になっては余計なことをしなくて正解だったって思うよ」

 

 「お姉ちゃんと友希那先輩のツインボーカル……わあ、想像しただけですごいです……」

 

 

 ゆりさんが加入した世界線も気になるが、今のRoseliaには紗夜がいる。

 彼女がいなければ完成しなかったであろう曲や出来事だってたくさんある。

 あの時ゆりさんを勧誘しなかったことも、紗夜が加入したことも、オレの人生における運命だったのならこれが正解なのだ。

 

 

 「りみりーん!何してるの〜?置いて行っちゃうよ〜!?」

 

 「は、はーい!それじゃあ雄樹夜先輩、ありがとうございました!」

 

 「ああ。勉強頑張ってな」

 

 

 りみは軽く頭を下げると小走りで4人の待つところへ駆け出した。

 

 ────さて、オレもバイトが終わったら友希那の勉強の進捗でも確認してやるか。

 文系は得意なようだが、理数系は壊滅的だからな。

 

 全く、世話の焼ける義妹だ。

 

 

 「ん?」

 

 

 そう考えていたら携帯に一通のメッセージが届く。

 確認すると、その義妹から『試験勉強は大丈夫かしら?赤点を取るなんて許さないわ』と脅迫まがいな言葉が綴られていた。

 

 

 「お前に言われるまでもねぇよ」

 

 

 そう独りで呟き清掃を再開した。




全員と絡ませるとなると本当に大変ですね。

よう実好きで良く読むんですけど、どのキャラにどうスポットを当てたらいいとか日々勉強してます。


でも今の推しは天使様なんだよなぁ……
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