今一度アシュフォード家に栄光を!   作:マルルス

20 / 20
一年ぶりに投稿します。
とてもお待たせして申し訳ありません。

前回のあらすじ。
ゲリラの襲撃を受けたヴァルフレアだったが、間一髪難を逃れる事ができた。
しばらく仕事から離れて療養していたヴァルフレアは自身の管轄であるビラ島とは赴任して以来、現地民とろくに交流してなかったと思いこれを気に交流を深めようとする。


交流

今日、ヴァルフレアはゼネルティーモと数人の助手と共に朝早く私邸から出発した。

目的地である村を目指して車を跳ばしてかれこれ数時間が経過していた。

 

「ゼネルティーモ…まだ着かないのか?」

 

「その…あと二時間半は掛かります…。」

 

「ま…まだそんなに掛かるのか…?

もうじき昼になる時間だぞ…。」

 

若干顔色が悪くなってるヴァルフレアはゼネルティーモの言葉にげんなりした。

それもそのはずで現在、車で目的地を目指してるがこの道はアスファルトで舗装なんてされておらずデコボコした道路で車はガタガタ揺れて乗り心地は最悪の一言だった。

普段こんな悪路なんて経験しない彼にとって苦痛のそれで早く着いて欲しい思考で一杯だった。

しかしゼネルティーモによるとまだ二時間半も掛かるとの事だった。

腕時計を見ると朝早く出発したはずなのにもうじき昼になる時間だ。

 

(最悪だ…。こんな悪路をあと二時間半も走るのか…。

村の方々と相談して許可してくれるならヘリポートでも造ろう…。)

 

もしくは家の資産を使って道路をアスファルトとかで建設するか…。少なくともヴァルフレアはもうこんな悪路を何時間も走りたくないと心から誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「閣下。あれが目的地の村です」

 

ゼネルティーモが指差す方向に小さな集落があった。

 

「あれがそうか。やっと降りれるな…」

 

「お疲れさまでした…。足元にお気を付けください」

 

果てしない悪路からようやく解放された事に喜ぶヴァルフレア。

周囲を見ると村人達が珍しそうに此方を見ている。

 

「この村では我々のような外国人など誰も来ませんから皆、珍しいのですよ。

安心してください。彼らは穏やかな方々ばかりですので我々に害を成そうとする輩など存在しませんよ」

 

「そうか。それならすぐに受け入れられるかも知れないな」

 

ゼネルティーモの言葉にヴァルフレアは安堵する。

もしかしたらヘリポートを作る場所を提供してくれるかもしれない。それかアシュフォード家に利益をもたらす存在になれるかだ。

 

「ゼネルティーモ博士。遠路はるばるようこそおいでくださいました。」

 

思案してるうちに年老いた村人が一人ヴァルフレア達の前に現れた。

 

「村長お久しぶりですな。今日もお世話になります」

 

この老人はどうやらこの村の村長のようだ。

ゼネルティーモはペコリと挨拶をして言葉を交わす。

 

「村長殿。此方はヴィレーネ・アンブレラ支社の代表のヴァルフレア・アシュフォード閣下です」

 

「おぉ! よくぞこのような辺鄙な村に来てくださってありがとうございます。

私はこの村を預かるホセロと申します」

 

ヴァルフレアを見て丁寧に挨拶するホセロ。

 

「初めまして、ヴァルフレア・アシュフォードです。

此方こそいきなり押し掛けて申し訳有りません」

 

互いに挨拶と自己紹介を行って村の中に入っていく。

 

「この村では主にトカの葉を栽培して収穫し、それを加工して本島のヴィレ島に送り収入を得ています。

他にはトウモロコシと少数ですがサトウキビの栽培も行っています。

まぁ…トウモロコシはもっぱら村の食料ですが。」

 

「なるほど」

 

ホセロの案内で村を見て回るヴァルフレア。

村の畑の多くはトカの葉を栽培している。

せっかくなのでホセロに頼み込んでトカ畑の中に入る事にした。

トカ畑に香る独自の匂いが鼻に付くが悪臭という訳ではなく、なんとなくリラックスしそうな匂いだ。

 

「あれは?」

 

ふと畑に小さな影が蠢いてるのを発見する。

目を凝らして見るとそれは小さな子供だった。

麦わら帽子を被り手掴みでトカの葉に麻袋に詰め込んでいく。

麻袋が一杯になったらそれを担いで駄馬が引く荷車に乗せていく。

よく見たら畑のアチコチに子供が畑仕事を勤しんでる事に気付いた。

 

「あの子達は村の子供達で毎日、このトカ畑をあのように作業に従事しております」

 

「毎日ですか? 失礼ですが学校などは?」

 

「この村で学校に行けるのはほんの僅かで賢い子供しか行けません。お恥ずかしいことにこの村は裕福ではないので全員を学校に行かせるのは無理なのです。

大半の子共達はあのように畑仕事に従事して勉強が出来る者が家で教える程度でしか…」

 

「…」

 

ホセロの言葉にヴァルフレアは自分の言葉に配慮が無かった事を恥じる。

発展しているとはいえヴィレーネはまだ途上国の分類に入る。

本島では首都とその周辺は子供達を学校に行かせる余裕があるが地方では開発が進んでおらず大半の子供はまだ学校に行かせる余裕がなく農作業に従事しているのが現状だ。

更に地方には学校そのものが無いため行けたとしても学校まで数時間、中には半日も悪路を歩いて登校しなければならないのだ。

現在、ヴィレーネ政府は地方にも学校を設立しようと動いてるいる。

しかしここビラ島に学校が出来るのは本島の開発が終わってからだろう。

 

(このまま待っていてもビラ島の開発は進まないばかりだ…。やはりここは私が動くべきだろう)

 

「ホセロ村長、ひとつお願いがあります」

 

「何でしょうか?」

 

「このビラ島は我々アンブレラ社が租借しております

ですからこの島の開発に我々はある程度融通出来る。そこで現在、この村だけではなく他の村が抱えてる問題を私に教えて貰いたいのです」

 

「分かりました。直ぐに取りかかります

出来れば一週間ほどの時間を貰いたいのですが構わないでしょうか…?」

 

「勿論です。終わったらゼネルティーモに連絡してください。」

 

「分かりました」

 

「あと…それと今後、何度かこの村に来るつもりですが移動を快適にしたいのでヘリポートを造りたいのです。

どこか良い場所を教えてもらいたい」

 

「あぁそれならば…」

 

その後、ホセロの案内でヘリポートに適した土地に案内して貰いその土地を購入する契約を行った。

ヴァルフレア車での帰路が嫌だったので帰りはヘリを要請して迎えにこさせてそれに乗り帰路についたのだった。

 

 

 

 

それから次の日

 

ホセロはヴァルフレアの依頼をこなすためにまずは自分が治める村の問題を村人達から悩みごとや困り事を聞くために村人達を広場に集める。

しかし…

 

「村長様…そのヴァルなんちゃらは本当に信用出来るんでえか?」

 

「そだそだ。何を言おうが所詮ヨソ者じゃ。

信用できんだ」

 

最初に飛んできたのは否定と拒絶の言葉。

彼らは今までの自分達で支え合ってきたのでよそ者には懐疑的だった。

 

「何を言ってるだ!

アンブレラの人達はオイラ達に良くしてくれるじゃねえか!」

 

「前の政府の役人共と違ってワシらに敬意を持って接してくれるしな…。ワシは信用出来ると思っている」

 

一方、アンブレラ社の研究者達の交流を行っている村人達は"彼らは信用出来る"と擁護する。しかし、ゼネルティーモ達がこの村にやって来てからまだ年月が浅いのでそういった声はまだ少数だった。

この村は長年、政府からぞんざいに扱われていた所があり村人達は互いに協力しあって今日までやって来たので今更、他所の人間もとい外国の企業など信用出来るか!という感情が多数を占めていた。

 

「オラ達は今までそういった上手い話に飛び付いて必死に頑張ったけど結局、何度も"この話は無かった事に"とか役人に散々騙されてきたじぇねぇか…。オメエらはそれを忘れたんか?」

 

その言葉で周りの村人達は意気消沈してしまう。

先ほどアンブレラ社を擁護していた者達も言葉を詰まらせる。

 

「みんな…確かに我々は過去に何度も約束を反故されてきた。その時の悔しい気持ちと悲しみはワシの中にも今でも残っている」

 

村人達はホセロを見る

 

「だが、このままでは村は寂れていくばかりだ。前の政府は革命で倒れて新政府が誕生した。そして本島は大きく発展しているのは知っているだろう? 我々もこの勢いに乗って村を発展させなければ未来はない。」

 

「それにこのビラ島は世界で有名なアンブレラ社が管轄している。そして昨日、やってきたアシュフォード卿は誠実な青年に見えた。ここは騙されたと思ってもう一度信じてやってみないか?」

 

「「「「…」」」」

 

ホセロの言葉に村人達は互いに目を合わせる。ホセロの言う通り村は年々苦しくなっていくばかりなのは全員が承知していた。何とかしなければならないのは分かってはいたが良い考えが浮かばずズルズルと今日を迎えてきたのだ。

 

「そうさな…ここは騙されたと思ってやってみねえか?」

 

「うーん…オイラは反対なんだが…だけろ何にも浮かばねぇしな…。」

 

「もしもヴァルなんちゃらがワシらの願いを叶えてくれたなら願ってもねぇことだしな…。

じゃあ村長、ワシの頼みはこうでな。」

 

一人の村人はホセロに自身の願いを伝える。

それをみた他の村人も次々と頼み事を伝え始めたのだった。

 

 

 

 

一週間後

 

ゼネルティーモがホセロから届けられた村の悩みごとが書かれたリストが届いたので早速、中をを読んでみる

 

─利用している道路が荒れてしまい何とか整備してもらいたい

また新たな道路を建造してほしい

─内戦で破壊された橋を修復して欲しい

─村に医者がおらず薬もない。どうにかならないだろうか

─不作が起きた際。食料の備蓄が少なくなるのでそれを解決して欲しい

 

多くの問題がヴァルフレアの元に届いた。

 

「かなり多いが…

うん、これなら我が家の資産でも何とかなりそうだな。

すぐに取り掛かるとしよう」

 

そうしてヴァルフレアは電話を手に取り何処かへと連絡したのだった。

 

 

 

 

 




研究員の日記2
1/6
◯月◯日
先ほど正式にヴィレーネのビラ島の研究所への出向が命じられた。同期である同僚のランロンからは”本当にそれで良いのか?”と言われたが、もうココで頑張る気はなかったし戻る気もない。
ここで働くには俺はマトモ過ぎたみたいだしな。
当然というかランロン以外の奴らは俺の見送りはしなかった。まぁその方が却って未練なくオサラバ出来るかそれでいいか。

2/6
◯月×日
何回か飛行機を乗り継ぎ、ようやくヴィレーネの到着した。
このまま新しい職場に行っても良かったが、まだ二日ほど時間はあるし今日はそのまま会社が用意してくれたホテルに行って休む事にする。
長いフライトだったせいか眠たくて仕方ない

3/6
◯月□日
今日、この国の首都であるヴィレの観光に行ってきた。
資料の書かれていたがこの国は好景気で大きな経済発展してるせいか町中騒々しいが活気に満ち溢れている。おかげで此方まで元気になってきた。
立ち寄った飲食店は飯は上手いし酒も上手いから最高だったぜ。

そう言えば、アンブレラ社はこのヴィレーネにも多額の出資をしてると資料に書いてあったな。
町中、アンブレラ社の広告が目につく。
こんな小さな国にもあの会社は手を伸ばしてるんだな。

4/6
◯月△日
今日から俺はこのビラ研究所で働くわけだが、この研究所は裏の製品を開発してないから前の職場みたいに地下の奥深くに有るんじゃなくて、地上に建てられていて、周りは自然に囲まれていて太陽の光が窓から差し込んでいる。
ウィルス漏洩の危険性も無いし薄気味悪いバケモンも居ない。

同僚達が話す事も"この薬草を使えば傷口はこうなるんじゃないか?"とか"これを使えば肌がプルプルになり美しくなるじゃないか?"など、その他に育毛剤、便秘薬やら解熱剤や歯ブラシ、歯磨き粉とか人々の健康について真剣に考えて話してくれる。

何て言うか…前の職場とは大違いであまりにも真っ当すぎて逆に面を食らってしまう…。

5/6
△月◯日
この研究所に来て随分と経つ。
現在の俺はゼネルティーモ博士のチームに入ってガン治療薬の開発に勤しんでいる。他にはハーブを配合して効力が高い傷薬なども開発している。

同僚も良い奴らばかりだし、休日になれば一緒にヴィレに行って上手い飯と酒を味わってる。
毎日が遣り甲斐がある仕事ばかりで充実している。
あの時、無理せずに異動願いをだして正解だったぜ。

6/6
△月×日
前の職場の同僚であるランロンから久しぶりに電話があっで互いに近況報告しつつ世間話で盛り上がった。
ランロンによればあのイカれ野郎のビンセントは研究成果が認められて"シーナ島"という場所で司令官になったそうだ。
お陰で研究所は静かになって仕事が捗りやすくなったらしい。俺にはどうでも良いことだがな。
ランロンに"此方に戻りたいか?"と聞かれたがこのビラ島の充実した生活にはすっかり虜になっていたので、そんなの微塵もないと言ってやった。
ここは天国も同然だ。誰があんな辛気臭えクソみたいな所に戻るかよ。
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