シン・バルタン星人   作:ケツアゴ

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策略

「相談。料理名に関して少しばかり面倒な事が発生」

 

 この日の昼の賄いは広島風お好み焼き(おっこん)。最近名前を思い出したジャミラの記憶を読み取った際にレシピを得た料理なのだが、店で出す際には当然本来の料理名で出している。

 

 これに関してはウルトラセブンが職務放棄と身分証偽造によって得た暮らしの中で知ったレシピも加わり助かってはいるのだ。

 プルトン相手にゴモラを出さずに済んだ以外で役に立った珍しい例だ。

 

「料理名の由来を訊ねられるのは非常に面倒だ。食事が趣味な以上、料理への敬意とバルタン星人の誇りから勝手な料理名で己の発案の様に振る舞えない」

 

「あー、こっちにある料理は良いとして、地球の地域や文化由来の名前の場合は困るからな」

 

「カルフォルニアロールのカルフォルニアとかカッパ巻きのカッパって何だとなりますからね。それはそうとお代わりをお願いします」

 

「二杯目以降は料金が発生する。それと要求、紅生姜も食べろ」

 

 この様な相談が出来るのは債務者であり従業員であるウルトラセブンと賄いの時間に図々しく顔を出すメフィラスのみだ。

 

「ふむ……。紅生姜を分けてあげますので割り勘で良いですね? ウルトラセブン」

 

「いや、駄目だろう。普通に考えて」

 

「君の従兄に似ている光の星の住人ならば受け入れてくれそうだというのに」

 

「関係無いからな? 光の国と光の星は別物だぞ? M87とM78だからな?」

 

「了解。おっこんの半額、営業時間外の割り増し料金を乗せた金額を給金から減らしておこう」

 

「何で!?」

 

「メフィラス星人は一応バルタン星人の上位存在である。今は我以外は壊滅して殆ど意味を成さないが、お前はカラータイマーが無いから光の星の住人に近い」

 

「女性の体臭とか嗅いでそうですよね。……ああ、ダリーを発見出来るかも知れない案を思いつきました。それとお代わりは大盛りでお願いします」

 

「もはや言い掛かりの範疇ですら無い!?」

 

 ウルトラセブンの抗議の声が響くも無視してメフィラスの案に耳を傾ける。

 いい加減不安要素は排除しておきたい。この星の環境が与える影響次第では光の星が出張る可能性が有り、対応と隠蔽は急ぐべきだろう。

 

 

 して、メフィラスが思い付いた案とは一体……。

 

 

「簡単な話です。ウルトラセブンに尋常でない料理を屋台で提供してもらうだけですよ。彼の(第二の)故郷の(活動地とは別の国別の時代の)料理を」

 

 それがモロボシ・ダンの評判を幾ら下げても構わないが、我の屋台の評判を下げるのだけは勘弁して欲しい所だ。

 

「了解。この男が積極的に行動した結果売り出す事にしたと触れ回ろう」

 

「いや、ダリー対策なら仕方が無いんだけれどね? 既に君達のせいで僕の評判は凄く下がっているし」

 

 なら問題は皆無である。もう下がる所まで下がった奴の評判は知った事では無いが……屋台の店名は変えておこう。

 

 

 

 

「メラス・ゾーモス? あの強烈な血の匂いがするスープってそんな名前なのね」

 

「肯定。ダンの(第二の)故郷の料理であり、三百人で数十万の大軍に立ち向かった屈強な戦士達が食べていたらしい。奴が店で提供すべきと(メフィラスに言われて)言ったのでまかせてみた」

 

 豚の脚と血、塩、酢、豚の胆汁を混ぜて煮込んだ真っ黒なスープであり、他国の使者が食べた際には死んだ方がマシだと酷評した、食べる事自体が訓練である栄養食。

 

 その軍の名はスパルタ。地球ではスパルタ教育とは厳しい教育の事を指すらしい。

 

 実際は連合軍の一部であったらしいし誇張が含まれているとの事だが、別に語る必要は無いだろう。

 

 メフィラスの勘が当たればダリーによって吸血鬼になった者が誘い出されるだろう事。

 

 尚、誘い出されるまでの賄いには売れ残ったメラス・ゾーモスである。

 

「それよりも追加の料理が完成した。配膳をするとしよう」

 

 ラキアの進軍が始まり、オラリオ側からも何らかの接触があると踏んでいたが表立って復讐を止める気は無いらしい。

 

 無論、止まらない。ラキアが侵略しても略奪もせず誇りある戦いのみで無い事は今までの侵攻戦の対応で分かっていた筈だ。

 それを追い返すだけで今後戦争が出来ない程の痛手を負わせていなかったからこそアーシアの故郷は滅ぼされた。

 

 異端の身である我以外のバルタン星人が滅んだのは侵略行為の末の結果。

 数十億の移民の為には現地民の排除が必須な以上は敗北の結果として受け入れる他無い。

 

 だが、それはバルタン星人が全て同一個体だからこそ。己の生存が復讐の炎を消す理由にはならず、懲りずに侵略を続けるラキアには報いを受けさせるべきであり、オラリオにそれを止める権限は無い。

 

 これで神の力の一部でも使い実力行使に出る気ならばウルトラセブンと敵対してでもオラリオを黙らせる気であったが、オラリオ側の対応は搦手であった。

 

「おい! 肉の追加だ!」

 

「酒を持って来い!」

 

 それが大手ファミリアのホームで連日開かれる大規模な宴。我らが店【バルタン】を経営しつつ宴での料理提供をするのならば分身の限界が来てしまう。

 

『……お父さんの夢だったお店は大切だから』

 

 つまり仕事で拘束する気なのだ。アーシアもそれを悟りながらも仕事ならばと渋々受け入れている。

 

 ……理由が欲しいのかも知れないと推測。

 

 直接村を襲った連中は既にゴモラで始末した。アレスへの恨みもあるが、間接的とも言える相手への報復で手を汚す事に対して自分を納得させる理由が欲しいと結論付けた。

 

 代わりにゴモラを使わないのは現地民であるアーシア以外での戦闘には光の国の者が出張るリスクも存在するからだ。

 バルタン星人の力を得てもあくまで現地民の闘争ならば口出しは出来ない.……等の理由が欲しいと推察。

 

「……ふむ」

 

 ここ迄の推察の途中、自らの思考パターンや精神がここ数年で受けた影響に気が付く。

 あの光の国の住民が短期間で影響されるのだ。融合状態で数年見守っていたのだからバルタン星人も変わるだろう。

 

「職務放棄の連中と一緒なのは気に食わないが」

 

 聞けばバルタン星人の母艦を吹き飛ばした奴は追跡中の人身事故が切っ掛けと聞いている。

 つまり地球に派遣された訳でもないのだ。ウルトラセブンに匹敵する酷さである。身分偽装していないだけマシであるが。

 

 その様な理由でフレイヤ・ファミリアでの仕事中なのだが、ふと浮かんだ疑問が一つ。

 

 

 

「質問。食事中の態度が粗野過ぎる。普段からこれならば調理配膳担当への礼儀を欠く事になるが、団長としての意見が聞きたい」

 

「……俺が言っても聞かん」

 

「結論。オッタルは矢張り嫌われている」

 

 

 

 

 

 

 

 

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