黙れば美人、喋ると変人、戦う姿は不沈艦! 作:とんこつラーメン
この話は原作キャラは一切登場せず、全てが現在連載中、もしくは終了した作品の主人公のみで構成されています。
それでもいいって人達だけ読んでください。
「大晦日じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!!!!!!!!」
始まって一秒で爆音を轟かせている美少女の名は『金野船子』。
この作品『黙れば美人、喋ると変人、戦う姿は浮沈艦!』の主人公である。
「いきなり五月蠅いから。大晦日ぐらい静かに出来ないの?」
「無・理♡」
「アンタって奴は…モンスニーもなんか言ってやんなさいよ」
「あはは…相変わらず船子は元気の塊だねぇ~」
「マイペースか。いや、もう諦めてるのかしら」
呆れて溜息を吐いているのは『S級ヒーロー 七曜のパチュリー』の主人公の『パチュリー』と、『ウマ娘 ~伝説の好敵手』の主人公の『メジロモンスニー』。
二人はこたつに入ってぬくぬくとしている。
「ちょっと。船子の大声、玄関まで聞こえてきてたんだけど?」
「ただいまー。帰ってきたよー」
「うぅ~…寒かったぁ~…」
ジト目をしながらリビングに入ってきたのは『面倒くさいので、取り敢えず寝る』シリーズの主人公『相良加奈』。
そして、『私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)』の主人公の『仲森佳織』と『お兄ちゃんはおしまい!inIS』の主人公である『篠ノ之真尋』の二人も一緒だった。
三人の手にはビニール袋が握られていて、どうやらどこかに買い出しに行っていた様子。
「お帰りなさい。温かいお茶でも飲んでくださいな」
「ありがと~♡ 本当に有り難いわ~…♡」
キッチンの奥から人数分のお茶を運んできたのは『今こそ燃えろ黄金の小宇宙! ですわ!』の主人公『川上姫子』。
どこかの顔がそっくりなウマ娘とは違い、彼女は非常に家庭的だった。
「あれ? なかよし部の三人は?」
「あぁ…あの子達なら…」
ガチャっと玄関が開く音が聞こえ、誰かがまた帰ってきた。
ふと振り返ると、そこには四人の少女の姿が。
「すみません。一緒に付いて来て貰って」
「別にこれぐらいは問題ねーし」
「チエル的にはー、年末限定のお菓子が目当てだったんですけど~。偶にはお手伝いするのも悪くは無いなーって思ってたりして」
「本来ならば、こたつの中にいたかったのだが、二人が行って先輩であるこのボクが何もしないのは最上級生としての沽券に関わるからな」
「いや…パイセン、マジで着いて行っただけじゃん。手には何にも荷物とか持ってないじゃん。寧ろ、美咲にお菓子とかねだってたじゃん」
『ラブリーエンジェル美咲ちゃんの幸せ大作戦! ~み~んな幸せになぁ~れ!~』の主人公でありヒロインの『佐藤美咲』と、『IS学園なかよし部 活動記録』の主人公である『真宮寺由仁』と『黒江花子』と『風間ちえる』の三人。
彼女達はスーパーに年末の買い物へと出かけていた。
「あの子達も帰ってきたみたいね」
「これで全員だっけ?」
「あの方たちがまだですわ」
「そうだった。今年最後の仕事に出かけてるんだっけ?」
「もうすぐ帰って来るとは思うけど…」
ぞろぞろと少女達がリビングに集結し、各々が好きな場所を陣取る。
加奈と佳織と真尋の三人は、ソファに座りながらスイッチの某狩りゲーで協力プレイをして、姫子と美咲は買ってきた物を冷蔵庫に仕舞い、モンスニーはユニの事を後ろから抱きしめながらこたつに入ってニコニコしていて、パチュリーは相変わらずマイペースに読書をして、チエルはそんな彼女の後ろで色んな髪型にして遊んでいて、クロエは壁に背中を預けながらスマホを弄っていた。
そして、船子は何故かノミを使って丸太を削り、謎の木像を量産していた。
「あぁー…疲れたぁ~…。ったく…何が悲しくて私達があんな事をやらないといけないのかしらね…」
「それがオレ達の仕事だから仕方がないんじゃない? 今は『この肉体』だから、お腹が空いたなー」
ダラダラとした足取りで最後に帰ってきたのは金髪&銀髪の美少女コンビ。
『Eternal Providence ~死と眠りの神々の異世界珍道中』の主人公である双子神『タナトス』と『ヒュプノス』だった。
「おかえりー&おつかれー」
「ただいまー…。はぁ…無駄に寒かったわー…」
「ヒュプノスさん。温かいココアなどはいかがですか?」
「助かるー…流石は現代の黄金聖闘士ねー…気遣いも出来るなんて…」
「タナトスさんもどうですか?」
「有り難く頂きまーす。人の優しさが身に染ますにゃ~」
姫子から淹れたてのココアを貰い、それを口に含みながらうっとりとした顔になる双子神。
嘗ては敵対していた者同士が、こうして仲良くしている姿を見たら、他の神々は卒倒してしまうかもしれない。
「おっしゃぁぁぁぁっ! アタシ特製の『除夜の鐘の極み』完成じゃーい!!」
「…なにそれ?」
「説明しよう! 除夜の鐘の極みとは、相手の身体を真横に持って、そのまま除夜の鐘を突くかの如く壁に頭から叩きつける奥義の事であーる!!」
「それもう普通に殺人技なんじゃ…」
船子がまた変な事を言い出したので何気なく聞いたら、とんでもない技だった。
この中で最も一般人に近い佳織だけが本気でドン引きしている。
「つーか、そもそもこの家って何なん? いきなりウチら全員ここに集められたわけだけどさ」
「んなの、今回の為だけに作者の都合で適当に造り出された御都合主義満載の家に決まってるじゃねーか」
「いきなりメタいことを言うなし」
船子の口から語られた衝撃(?)の真実。
別に誰も驚いてはいないが。
「因みに、造ったのはオレ達でーす」
「だと思ったわ」
双子神ならば家の一軒や二軒、一瞬で建てるぐらいワケもなかった。
これもまた今更なので誰もツッコまないが。
「つーか! 大晦日になったんなら、やることがあるだろーが!!」
「やることとは…?」
「何かありましたっけー?」
「大掃除はもう終わりましたし…」
「お正月に向けての準備も完了しておりますし…」
船子に言われても全くピンと来ない。
普通ならば、皆が言い当てるまで黙っているだろうが、船子にそんな事が出来れば誰も苦労なんてしない。
「年越し蕎麦の準備に決まってるじゃろがーい!!」
「あぁ~…年越し蕎麦ね~」
言われて初めて思い出した。
でも、だからと言って誰も慌てたりはしていない。
「よっし! やることが分かったら、早速行くぜぇぇぇっ!!」
「行くって…」
「何処に?」
「この家の裏にある畑にきまってるじゃあねーか! そこにアタシが育てたソバが沢山あるんだぜ!」
「ソバって…もしかして『タデ科ソバ属』の一年草のソバのこと? 麺類の蕎麦の原材料になってる?」
「そのとーり!! 流石はパチュリー! よく分かってんじゃねーか!」
「まさかアンタ…イチから蕎麦を作る気?」
「当たりめーだろーが!! 折角の年越し蕎麦なんだからよー! 何から何まで手作りした方が縁起が良いじゃあねーか!」
鼻息荒く説明する船子。
この少女、完全にやる気満々の臨戦態勢である。
「いや…船子さん?」
「ついさっき、ウチらで年越し蕎麦の材料とか買ってきたんだけど…」
「蕎麦麺に出汁に、上に乗せるかき揚げとかー…ぜーんぶ揃ってますよー?」
「なん…だと…!?」
美咲とクロエとチエルに指摘され、思い切りシリアスな顔になって冷や汗を掻く船子。
何処かで誰かの霊圧でも消えたのかもしれない。
「残念だったね船子くん。そんなに年越し蕎麦を作りたいのならば、姫子くんや美咲くんのことを手伝ってあげればよいではないか」
「そーゆーパイセンは何もしないんスか?」
「残念だが、ボクは常に試食担当なのだよ」
「偉そうに言ってるけど、要するに『何もしたくない』ってことでしょ?」
「その通りだ。よく分かっているじゃあないか、モンスニーくん」
ユニに言われて悔しそうにする船子。
だが、すぐに立ち直ってから不敵な笑みを浮かべる。
「いいぜぇ…そこまで言うなら、やってやろうじゃねぇか…! テメェらに船子ちゃん特製の極上の年越し蕎麦を食わせてやるぜぇぇぇぇっ!!」
「なんか急に不安になってきた。私も手伝うわ。佳織、一緒に手伝って」
「そうですねー…今年最後の食事は美味しく食べたいですしねー」
無駄にやる気満々な時の船子ほど、危険極まりないと知っているせいか、珍しく自分から厄介事に足を踏み入れる加奈。
身の安全と年越し蕎麦を天秤に掛けた結果、蕎麦の方に傾いたのだろう。
佳織は完全にいい巻き添えだが。
「それじゃあ、今から始めましょうか。人数分のお蕎麦を作るとなると、それなりに時間が掛かりますし」
「そうですわね。善は急げとも言いますし」
「よっしゃぁぁぁぁぁっ!! やぁぁぁぁぁってやるぜぇぇぇぇっ!」
「私達が船子のブレーキ役にならないとね…」
「ですね…」
ちゃんと最後まで出来るか不安で仕方がない佳織を余所に、年越し蕎麦作りがスタートしていったのだった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「出来た――――――――――――っ!!」
キッチンから聞こえて来た船子の叫び。
同時に漂ってくる良い匂い。
年越し蕎麦が無事(?)に完成したのだろう。
「お…思ったよりも普通に終わった…?」
「っていうか、船子さんの手際、物凄く良かったんですけど…」
あの性格で想像以上の女子力を発揮してみせた船子に戦慄する加奈と佳織。
そんな彼女達とは違い、最初から船子の事を信じていた姫子と美咲は、純粋に船子の腕前に感心していた。
「それじゃ、皆で運びましょうか。ほら、ユニちゃんも手伝って」
「うむ…仕方あるまい。後輩に料理をさせて、自分だけ何もしないと言うのは後味が悪いからな」
モンスニーに手を引かれながら立ち上がるユニ。
この二人、年齢的な意味ならば同年代なのだが、傍から見ていると完全に母娘にしか見えない。
「あの二人で街中とか歩いてたら、道行く人に親子に見られるだろうなー…」
「真尋も人の事は言えないと思うわよ?」
「反対側に立ってたら、もう一人の娘みたいに見えてただろーねー」
「え…? マジ…?」
TSしたことで幼女体型になった自覚はあった真尋だが、まさかそこまで幼く見られていたとは。
辛うじてあった男としてのプライドが双子の神によって粉々に砕かれた。
「ウチらも行きますかね…っと」
「自分の分ぐらいは運ばないとですねー。ほら、パチュリーさんも立ってくださーい」
「言われなくても分かってるわよ。一応、タナトスとヒュプノスを除いたメンバー以外で一番歳上なんだけど…」
神々に年齢の概念は無いので比較は出来ないが、それを除けば確かにパチュリーだけがこの中で唯一の成人だった。
彼女もまた、パッと見じゃ分からないが。
そうしてこたつの上(実は全員が余裕で入れるぐらいの大きさ)に人数分の年越し蕎麦が並べられていく。
食べる準備が完了して、不意に窓から外を見てみると、すっかり暗くなっていた。
「もうこんな時間なんですね。では、いただきましょうか」
美咲の合図に合わせて、全員が手を合わせる。
「「「「「「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」」」」」」
皆が食べ始めた瞬間、除夜の鐘が鳴り始める。
「はぁぁ…身体に染み渡るぅ~…」
「今年ももう終わりかぁ~…」
「過ぎてみれば、本当にあっという間だったわねぇ~…」
「けど…中々に悪くない一年だったと思う」
「私も、そう思いますわ」
「色んな事がありましたけどね~」
「それもまた、過ぎてみれば良い思い出…ってか?」
「ボク的には充実した一年だったがね」
「チエルも楽しい一年でしたよー?」
「ウチも…その…楽しかった…とは思う…」
「とても…幸せな一年でした」
「私達はとにかく大変な一年だったけどねー」
「ま、オレ達からしたら一年間なんて、文字通りあっという間なんだけど」
本来ならば邂逅しない筈の少女達が一堂に会して同じ時を過ごす。
これが『運命』の悪戯なのだとしても、彼女達は気にしない。
そんなのなんて関係ないぐらいに『今』が楽しいから。
そして…『今年』が終わり『来年』がやってくる。
次回…というか、来年一発目に同じような話を投稿します。
お楽しみに。
では、良いお年を。