黙れば美人、喋ると変人、戦う姿は不沈艦!   作:とんこつラーメン

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更新が随分と遅れてしまって申し訳ないクマー。

今度からは気を付けるクマー。







楽しみてぇ奴だけ掛かって来い!!

 私は今、船子ちゃんとセシリアちゃんが試合をする事になっている第三アリーナへと足を運んでいた。

 入学早々に専用気持ちの試合が見れると言うこともあって、観客席は興味津々な生徒達で賑わっている。

 

「あれが…船子ちゃんの専用機なのね…」

 

 事前の情報から、彼女が専用機を所持している事は知っていたけど、その入手経路に関しては全くの謎。

 それどころか、彼女の詳しいプロフィールすらも不明なのだから凄い。

 

「まるで粘土のように姿を変え、別のISを模した姿になる事まで可能だなんて…」

 

 使い方次第では、間違いなく最強のISと成り得る。

 現行のISの常識を真っ向から完全否定している機体とも言えるだろう。

 そもそも、あんなISが存在しているなんて事が誰も想像もつかないと思う。

 

「あれ…もしかして生徒会長じゃない?」

「ホントだ…流石はロシア代表…見に来てるんだ…」

 

 あら。私の事が早くもバレちゃったみたいね。

 別に隠すつもりなんて無かったから良いけど。

 

(しっかし…本当に船子ちゃんってスタイル良すぎよね…)

 

 ああしてISスーツを着ている姿を見て、改めて金野船子と言う少女が規格外であることを実感する。

 IS学園は容姿端麗な少女達が何故か集うことでも有名だが、船子ちゃんの場合はそんな中でも確実に頭一つ以上に飛び抜けている。

 『絶世の美女』と言う言葉は、彼女の為にあるのかもしれないと錯覚しそうになるほどに。

 

「それはそれとして…どうしてネギと大根?」

 

 なんか『魔剣』とか『聖剣』とか言ってたけど…まさか本気でその野菜で戦うつもり?

 幾らなんでも冗談…よね? そうよね?

 そんな私の心配をよそに、遂に本格的に試合が始まろうとする。

 

『さぁ…思い切り楽しもうじゃねぇか!! セシリアよぉっ!!』

『えぇっ! アナタの修行の成果とやら…存分に見させてもらいますわ!!』

 

 二人はいきなりブーストを掛けて接近し、両者の顔が目の前にまで迫る!

 けど、二人はずっと不敵な笑みを浮かべたまま互いの事を睨みつづけていた。

 

 

 

 

              イギリス代表候補生

             セシリア・オルコット

 

 

 

 

 

 

 き…気のせいかしら…?

 今『バーン!』って感じでセシリアちゃんの名前と肩書が何もない空間に書いてあったような気が……。

 

『まずはそこ…いただきますわ!!』

 

 すれ違いざまに一瞬で距離を離し、そのレーザーライフルでセシリアちゃんが狙撃を仕掛ける。

 けど、船子ちゃんは体を器用に捻ってそれを見事に回避してみせた。

 

『へっ! 甘ぇっ!! そんなんじゃ当たってはやれねぇなッ!!』

 

 あの『ドミネーター』とかいうISもそうだけど、変幻自在なのは船子ちゃんも同じね。

 あの子の動きには『特定の型』というものが全く存在していない。

 型が無いと言うことはパターンが読めないという事。

 世に言う『世界的強者』と呼ばれている選手たちは、そのいずれもが今の船子ちゃんのような戦法を取ってくる。

 相手の動きに釣られる事無く、常に自分のペースを維持する。

 あの破天荒な言動に惑わされがちだけど…間違いないわ。

 

 金野船子…あの子は強い。

 少なくとも、そこらの候補生程度ならば歯牙に掛けない程に。

 

 この試合…思っている以上に面白いことになりそうね。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 

 私の一撃を易々と躱した金野さん。

 矢張り、この程度では簡単に被弾はしてくれないか…!

 

「正確な狙いだけどよ…それだけじゃこの船子ちゃんには当てられないぜ!!」

「でしょうね! ならば!!」

 

 出し惜しみをしていてはこちらの方がやられる!

 こっちも最初から全開で行かなくては!

 

「これならばどうかしらッ!? 行きなさい『ブルーティアーズ』!!」

「おぉっ!?」

 

 ティアーズの背部にあった四基のビットが私の脳波に従って飛翔し、レーザーを放ちながら金野さんを三次元の動きで狙っていく!

 これこそが本体と同じ名前を持つ私の切り札『ブルーティアーズ』!!

 

「へぇ…こいつがビット兵器ってやつか! 面白れぇっ! なら、こっちもマジで行くとするか!!」

 

 不敵な笑みを崩さないまま、金野さんが両手に持っていた魔剣と聖剣を逆手に持ちながら腰を低くし始めた。

 何か…来る! とんでもない一撃が来る予感がする!

 

「篠ノ之流秘技…」

 

 は…速い!? 金野さんが凄まじい速度で真正面から突撃してくるッ!?

 その先にあるのは私が射出したビット達!

 突っ込んでくる彼女をレーザーで迎撃しようとするが、最小限の動きで全ての攻撃を躱していく!

 

「回転剣舞六連!!!」

「なっ!?」

 

 全身を大きく捻りながら、まるで舞うかのような動きでビットの間を縫うように擦り抜けた。

 見えなかった…見えなかったけど…なんとなく分かる。

 彼女は…金野さんはあの一瞬でISでも目視が不可能なほどの速度の剣撃を繰り出したのだと。

 

「へっ…」

 

 金野さんが笑うと、空中にて停止していたビットに無数の『紅い線』が入る。

 それが彼女の攻撃で出来た物だと気が付くのに時間は掛からなかった。

 

 ビットが一つ、また一つと私の目の前で爆発していく。

 あの一瞬で四つのビットを全て破壊してみせた…。

 

 私はまだ心のどこかで金野さんの事を侮っていたのかもしれない。

 いきなり野菜を手にした彼女の事を舐めていた。

 けど、その認識は今この瞬間に完全に消え去った。

 

 金野船子…この方は私よりも遥かに強い…!

 この試合は…私の方が『挑戦者』の立場だったのだ…!

 そんな簡単な事をたった今、思い知った。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「す…すげぇ…!」

 

 ピット内で船子とオルコットさんの試合を見ていた俺は、思わずその動きに夢中になっていた。

 まさか、大根とネギであんな攻撃を繰り出すなんて誰が想像するかよ…。

 

「魔剣『大根ブレード』。嘗ては伝説の魔剣士『ガリウス・シュナイダー』が所持していたとされる剣で、彼が魔界に君臨している四大魔王の一角である『炎魔神ブゴザッタ』を倒した際に入手、それから彼の愛剣として幾多の戦いを潜り抜けたとされ、戦いの果てに対となる魔剣『人参ソード』と共に魔界に封印され…」

「なんか千冬姉が変な説明を始めたッ!?」

 

 ちょ…ちょっと? 千冬姉ー? 大丈夫かー?

 つーか、なんであんな大根にそんな逸話があるんだよッ!?

 

「聖剣『ドンパッチソード』。その歴史は非常に古く、紀元前にまで遡る。その実力と高い志、気高い精神を持って騎士たちの王として君臨した伝説の戦士『マリアーヌ・トンババ』の持っていたロングソードに類する剣であり、一説によると彼が幼少期に森に迷い込んだ時に美しい湖の妖精から授かった代物とされている。一見すると単なる剣のようにも見えるが、実はドンパッチソードには恐るべき能力が秘められており…」

「今度は箒も説明を始めてるしッ!?」

 

 お前もどうして、そんなことを知ってんだよッ!?

 どこからどう見ても、そこらのスーパーとかに売ってある普通のネギだろうが!

 

「フッ…腕を上げたな姫子。魔剣と聖剣…あの二振りの剣をまるで自分の手足のように操ってみせるとは…」

「小野ミチオくんっ!?」

 

 お前さんもソッチ側だったんかいッ!?

 いや…この見た目の時点で既に向こう側なのは明白か…。

 

「な…なぁ箒。篠ノ之流って、あんな動きをする技ってあったっけ?」

「あぁ…『回転剣舞六連』の事か。あれは篠ノ之流の中でも一部の者しか会得が出来ないとされる秘技でな。まさか、船子が会得していたとは思わなかった。流石だな…惚れ直したぞ」

 

 ん? 今…惚れ直したって言ったか?

 俺の聞き間違いじゃないよな? そうだよな?

 

『さぁて…こっからさらにギアを上げていくか! おらぁっ!!』

 

 え? ステージにいる船子がいきなり大根とネギを上に放り投げた?

 しかも、そこから更に全速力で突撃していくッ!?

 

『喰らいやがれ!! これこそが篠ノ之流の奥義!!』

 

 お…奥義ッ!? そんなのまで習得してやんのがよッ!?

 お前は一体どこまで……。

 

『ギャラクティカ・マグナム!!!』

「それ違――――――――――――う!!!」

 

 確かに『奥義』ではあるかもしれないけど、それは篠ノ之流とは全く関係が無いから―――!!

 伝説の黄金日本Jr.の筆頭の人の奥義だから―――!!

 

『こ…これが…金野さんの必殺の一撃…なんですのね…お見事ですわ…』

 

 オルコットさんも完全に勘違いしてるー!!

 イギリス出身の子だから無理ないかもだけど。

 

「なんという見事なギャラクティカマグナムなのだ…! 私ですら会得出来なかった奥義をあそこまで…!」

「千冬姉っ!?」

 

 まさか、あれが本当に篠ノ之流の奥義とか抜かさないよなっ!?

 剣道要素が欠片も無いんですけどっ!?

 完全にボクシングの必殺技なんですけどッ!?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 圧倒的な拳の一撃を受け、ティアーズのSEも残り僅か。

 まだライフルやミサイルビットが残されてはいるけど、今の私では金野さんに命中させられる自信が無い。

 特に、ミサイルビットなんて簡単に迎撃してしまうだろう。

 

「さて…と。んじゃ、そろそろフィニッシュと行こうじゃねぇか」

「簡単に言ってくれますわね…けど、私とてイギリスの候補生…例え負けると分っていても、易々とはやられませんわ!」

「よく言った!! それでこそ、こっちも『本気』が出せるってもんだぜ!!」

「なん…ですって…?」

 

 本気…? つまり、今までのは全て小手先の技ばかりだったと…そういうことなんですの…!?

 

「いくぜ…!」

 

 落下してきた魔剣と聖剣をキャッチした金野さんは、それらをクルクルと回転させながら、あろうことか魔剣大根ブレードに聖剣ドンパッチソードを突き刺した!

 

「篠ノ之流…極意。『二刀一刃』」

 

 二つの刃を一つにする…という意味ですの…?

 

「ビタミンよ…ミネラルよ…食物繊維よ…アミノ酸よ…今こそ我に力を与えたまえ…! うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 一つとなった剣を天高く掲げると、なんと大根ブレードの刀身…というか、大根の身の部分がパカッと割れた。

 そして、そこからなにやら一本の緑色の巨大な植物らしきものが伸びてきた。

 あれは一体何なんですの…?

 

「さ…さ…さ…」

「「「「「大きなサトウキビだ――――――――――――っ!!??」」」」」

 

 ギャラリーの方々が叫んでますけど、サトウキビ…ってなんなんですの?

 どこかの名産品?

 

「これこそが…魔剣と聖剣…本来ならば相容れぬ二つの属性を持つ剣が一つに融合した奇跡の姿…その名も!」

 

 大剣の柄となるネギを両手で握りしめ、金野さんが雄々しく叫ぶ!!

 その声に、思わず私も聞き入ってしまった。

 

「聖魔支配斬艦刀『さとうきびカリバー』だ!!!」

「さとうきび…カリバー…!」

 

 なんと巨大な剣なんですの…!

 大き過ぎて剣の先が見えないですわ…!

 

「雲耀の太刀…その身でしかと受け止めよっ!!! はぁっ!!!」

「なぁっ!?」

 

 あの巨大な剣を構えたまま、凄まじい速度でアリーナの一番上まで昇って行ったっ!?

 そのまま、大きく振りかぶって…落下してくるッ!?

 あんな一撃を喰らえばタダでは済まない!!

 何としても阻止しなくては!!

 

「お…落ちなさいっ!!」

 

 震える手を必死に抑え込み、ライフルで狙いを定めて狙撃を試みるが、まるで見えない壁に阻まれているかのように全く通用しない!

 発射するレーザー全てが弾かれてしまう!

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 止められない…全く止まらない…。

 驚きと恐怖の余り、私は咄嗟にライフルで自分の身を防御した。

 

「チェストォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 これが…金野さんの真の実力…。

 ライフルごと…文字通りの一刀両断とは…。

 

 この試合…完全に私の負け…完敗ですわ…。

 

          




斬艦刀ネタは最初からどこかで入れないと思っていたクマー。

それと、まだまだ他作品キャラは出てくる予定だクマー。

主に公式な超チートなキャラ達を。

そのフラグの一つは実はもう既に第一話から出ているクマー。
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