黙れば美人、喋ると変人、戦う姿は不沈艦!   作:とんこつラーメン

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なんか、ウマ娘の四番目のシナリオである『グランドライブ』って中々にいいですね。

最初は苦戦しましたけど、コツさえ掴めば『真のグランドライブ』も普通に出来るようになりましたし。

それが出来るようになれば、自然とSランクが取れるってのが最高です。






一週間の軌跡

「なんでネギと大根が合体してんだ―――!! どうして大根が割れて、そこからでっかいサトウキビが生えてくるんだよ――――!! サトウキビにあんな攻撃力はね――――――よっ!!!」

「いきなりどうした? 急に叫びだしたりして」

 

 急に叫びもするわ!!

 なんだあの試合展開は!! ISに関しては超ど素人である俺でも明らかにおかしいって一発で理解出来るわっ!!!

 いや…あんなのISじゃなくてもおかしいだろっ!! どう考えたって!!

 

「はぁ…はぁ…はぁ…! どうして皆はノーリアクションなんだよ…」

「いや…普通に凄いとは思ったぞ? 流石は船子だな。あいつが篠ノ之流の門下生だったのは知らなかったが、まさかあれ程までの実力を隠し持っていたとは驚きだ」

「え…? 驚くのってそこなの…?」

 

 俺と皆の『驚き』の意味合いが完全に違ってる…。

 

「船子…お前がここまで強大に成長していたとは…私は猛烈に感動している…!」

「あー…」

 

 もう千冬姉に関しては何も言わねぇわ…。

 目から滝のような涙を流している時点で手遅れだって分かるし。

 

「そ…そうだ! ミチオくん! 小野ミチオくんなら俺の言いたい事が分かってくれるよなっ!? って…あれ?」

 

 い…いつの間にかいなくなっている…だと…!?

 

「あの人なら、試合が終わった直後に静かにここから出て行きましたよ?」

「マジですかッ!?」

 

 山田先生の証言でゆるキャラらしからぬ渋いことをしていた事が判明。

 やっぱ…ミチオ君は伊達じゃねぇぜ……ん?

 

「なんか壁の隙間にカードが刺さってる…? まさかこれは…キャッツカードッ!?」

 

 急いで刺さっているカードを取ってみると、そこにはこう書かれてあった。

 

 

 

 

          尾道の公認マスコットである観光大使!

                小野ミチオ

 

          皆! 是非とも尾道に遊びに来てミチー!

 

 

 

 

 

 

「これ小野ミチオくんの名刺じゃねーか!!」

 

 なんでこんなもんを残して行ってんだよミチオくんは!!

 尾道のアピールの為だってのは理解出来るけど、だったらこんな場所でしないで大衆の前でやれっつーの!!

 

「そういや、結局ミチオ君の中の人って誰だったんだろうな…」

「ミチオ君に中の人などいない!!」

「いい歳して何言ってんだっ!? この姉はッ!?」

 

 いつから千冬姉は着ぐるみ系マスコット大好き女子になったんだよッ!?

 いつもの気丈で硬派なあんたはどこに一体どこに行っちまったんだ!?

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 まさか、船子ちゃんの実力があれ程だとはね…恐れ入ったわ。

 今回の対戦相手であるセシリアちゃんも決して弱い方ではなかった。

 正確無比な射撃にはかなりの定評がある子だったから。

 けど、彼女はそれすらも全く寄せ付けずに圧倒してみせた。

 成る程…あの織斑先生が私を見張り役に付けるのも納得だわ。

 

「な…なんか凄かったね…」

「うん…驚いてる間に試合が終わっちゃった…」

 

 それには私も激しく同感。

 まるでジェットコースターのような試合だったわね。

 

『お見事ですわ…金野さん。認めますわ…あなたこそがクラス代表に相応しいお方であると…』

『くらすだいひょー? あ…あー…そういや、そんなのを決める為の試合だったっけ』

『忘れてたんですのッ!?』

 

 まさかの試合の目的を忘れるって…本当に見ていて飽きない子ね…。

 船子ちゃんは試合自体を心から楽しんでいたみたいだし、無理も無いのかもだけど。

 

『ほら…手ぇ貸してやんよ』

『…どうして私にそんな事を…一週間前、私は貴女にあんなにも酷い事を言って…』

『んなもんとっくに船子ちゃんのセーブデータからデリートしちまったよ。それに…』

『それに?』

『アタシらもう…友達だろ?』

 

 ふふ…これは完全に一本取られたわね。

 

『…参りましたわ。今回の試合…私の完全敗北ですわ。実力だけでなく、その心にも…』

 

 船子ちゃんの手を掴みながらセシリアちゃんが立ち上がる。

 試合の後に築かれる友情…まさに青春ね。

 観客の生徒達も感動して拍手しているし。

 

『それにしても、たった一週間でどうしてあれ程までの実力を身に付けられたんですの?』

『お? 聞きたいのかアタシの武勇伝!』

『ぶ…武勇伝?』

 

 もしかして…船子ちゃんが修行をすると言って学園を出てからの事が聞ける?

 それは是非ともお願いしたいところだわ。

 

『それじゃあ聞かせてやるか船子ちゃんの伝説ベスト10!』

 

 なんか途中から懐かしいネタになってない…?

 

『学園を後にしたあたしは、すぐに自分の修行に最も相応しい地へと真っ直ぐに向かった』

『そこは一体…?』

『アジア最大の歓楽街と言われている街…『神室町』だ』

 

 か…神室町ですってっ!?

 どうして、よりにもよって『あの街』なのっ!?

 危険度だけで言えばあの『ロアナプラ』とタメを張るって言われている程の超絶危険地帯なのよッ!?

 

『あそこにはよく昔からアタシも通ってたからな。自分を鍛えるのには最高に打って付けだと思ったんだ』

 

 船子ちゃん…一体どんな波乱万丈な人生を送ってるのよ…。

 あそこに通ってるって時点で普通じゃないわよ…?

 

『そこであたしは一人の男と出会った。人々を苦しめるクソ野郎どもに真っ向から立ち向かい、拳一つで薙ぎ倒していく男に』

『その方は…?』

 

 私も気になるわ。

 あの船子ちゃんがそこまで言うほどの人物…。

 

『尾道公認のゆるキャラ…小野ミチオ君だ』

 

 よりにもよってゆるキャラ―――!?

 ゆるキャラが悪漢相手に大立ち回りをしていたのっ!?

 っていうか、どうして広島尾道のゆるキャラが東京にある神室町にいるのよッ!?

 

『幾らミチオ君が強いとはいえ多勢に無勢…見捨てておけなかったアタシはミチオ君に加勢して、そいつらを一緒にぶっ飛ばしたんだ』

 

 それに介入しようと思う時点で船子ちゃんも大概よね…。

 

『その縁でアタシはミチオ君と行動を共にするようになった。下手な修行をするよりもずっと体を鍛えられたぜ』

 

 でしょうね。

 

『けど、アタシとミチオ君はある時突然、神室町は愚か日本全土を揺るがす巨大な陰謀に巻き込まれる事になっちまった』

『きょ…巨大な陰謀っ!?』

『アルツハイマーの特効薬と言われている『アドデック9』という薬を巡る陰謀だ。あたし達は同じようにアドデック9の謎を追っていた神室町で探偵をしている『八神探偵事務所』の連中や、関東一帯を支配している超巨大な極道組織である『東城会』のヤクザ達と協力して、自分の事を『正義』と称する精神の腐った連続殺人鬼と戦い、無事に勝利を収めた』

 

 なんかその事件知ってるんだけどッ!?

 かなり大勢の官僚や大臣とかの汚職が発覚したとんでもなく大きな事件よねっ!?

 船子ちゃんがあの事件に思いっ切り関与していたっていうのッ!?

 

『無実の罪で投獄されていた奴も助ける事が出来て一件落着…と思いきや、そうは問屋が卸してはくれなかった』

『今度は何があったんですの?』

『ある日突然【火星の後継者】と名乗るテロリストが宣戦布告してきやがったんだ』

 

 流石にそれは全く知らないんですけどっ!?

 か…火星の後継者ッ!?

 

『自分達を『悪』と定義している奴等を倒す為、前代未聞の軍隊と極道組織とが協力しての一大連合軍が結成され、あたし等もそれに加わった』

 

 前代未聞ってレベルじゃないんですけどッ!?

 どう考えたって絶対におかしいわよソレ!!

 

『その後、あたし等は連中が占拠している火星の極冠遺跡に向かう為に、長崎県佐世保市に本社があるネルガルっていう会社が製造した『ナデシコC』に乗って決戦の地へと向かった』

 

 火星って…そんな会社も戦艦も全く知らないし、遺跡があることも知らないわよ…。

 

『軍隊は外で敵の兵器を足止めして、東城会と近江連合と一緒にアタシとミチオ君とが敵拠点へと突撃を敢行して、激しい戦いの末に敵のリーダーである『草壁春樹中将』を逮捕することに成功した』

 

 もう…どこからツッコんでいいのか分からないわ…。

 まるでゲームやらアニメやらの世界観になってるじゃないのよ…。

 それなのに真剣な表情で語ってるから嘘には聞こえないのが凄いわよね…。

 

『全ての戦いを終え、アタシは自分の修行の事を思い出し、ミチオ君と一緒に奴の生まれ故郷とも言うべき広島の尾道に行ったんだ』

 

 やっと普通の話になった…。

 私達が聞きたいのはそーゆーのなのよ。

 

『けど、あたし達二人に安息の時は訪れなかった』

『ど…どうしたんですの?』

『広島の極道組織『陽銘連合会』と『尾道の秘密』を巡る戦いに巻き込まれた。しかも、その最中に『マヨナカテレビ』とか言う奇妙な噂も流れ始めて…』

『まぁ…それ程までに濃密な一週間を過ごしていれば、否が応でも実力が鍛えられても不思議ではありませんわね…』

 

 いやいやいや。

 私も『東城会』や『近江連合』、『陽銘連合会』は知ってるけど、話自体はどう考えてもおかし過ぎるから。

 絶対に真実なんて語ってないから。

 それを普通に信じちゃうって…セシリアちゃんも割と天然…いや、悪い意味での『お嬢様気質』ってやつなのかしら…。

 

『本当に色んな事を経験したぜ…。あの時、もしも東城会6代目である『大吾』のにーちゃんから預かった魔剣『大根ブレード』や近江の若頭の『渡瀬』のおっちゃんから授かった聖剣『ドンパッチソード』がなけりゃ、今頃どうなっていた事か…』

『あの魔剣と聖剣は船子さんの命を救った物なんですのね…』

 

 え? あのネギと大根って東城会と近江連合が持ってたの? マジ?

 しかも今、何気に船子ちゃんの事を名前で呼んだ?

 試合を通じてセシリアちゃんから船子ちゃんに対する好感度が上がったのかしら?

 

『近い内、礼を言いに行かなくちゃな…』

『その時は私も御同行いたしますわ』

 

 しなくていいから! 絶対にしなくていいから!!

 相手は極道の中の極道なのよッ!? 分かってるっ!?

 堂島大吾も渡瀬勝も一人の人間としては非常に出来ている方だけど!

 ぶっちゃけ、そこらのアホな政治家連中の百倍は信用できる人達だけどっ!!

 

『たった一週間の出来事ではあったけどさ…その間に色んな人達と出会って、別れて、IS操縦者としても一人の人間としても大きく成長できたような気がするよ…』

 

 あのさ…なんかいい話風に纏めようとしてるけど、言ってる事は何から何まで完全に支離滅裂だからねっ!?

 文章として成立してるかどうかすら怪しいレベルだからねッ!?

 そこのところをちゃんと自覚してるっ!?

 虚言とか妄想とか、そんな次元を軽く超えちゃってるから!!

 寧ろ、よくもまぁペラペラとあんな事を本当っぽく話せたもんだと逆に感心しちゃうわよ!!

 

「はぁ…後で船子ちゃんに本当の事を詳しく聞かなくちゃね…」

 

 頼んだからと言って、あの子が真実を話してくれるとは限らないけど…。

 こりゃ…確かにストレスが溜まるわ…。

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 




頭の中を空っぽにすると、本当に意味不明な事が起きますね。

もう私が知ってる単語をアホみたいに並べただけになりましたし。

因みに、小野ミチオ君は今後も登場する予定です。
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