黙れば美人、喋ると変人、戦う姿は不沈艦!   作:とんこつラーメン

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今回は例のクラス代表就任パーティーの話。

ま、普通になる訳はありませんが。







インタビューはジャーマネを通してくれませんか?

「というわけで、金野さんクラス代表就任おめでとー!」

「「「「「おめでとー!!」」」」」

 

 仄かな火薬の匂いと一緒に皆の持つクラッカーが次々と鳴り響く。

 時間帯は夕食後の自由時間で、今いる場所は学生寮の食堂。

 そこを貸し切る形で、なんでか船子の『クラス代表就任パーティー』が開催される事になった。

 因みに、主催者は船子自身。

 自分で自分を祝うって…色んな意味でスゲーわ。

 俺には絶対に出来ねーよ。

 

「いやー! まさか、金野さんがあれ程の実力者だったとは夢にも思わなかったね!」

「全くだね! でも、これで今度のクラス対抗戦も盛り上がるんじゃない?」

「正確には、金野さん一人で盛り上げる可能性が高いけど」

 

 それには俺も激しく同意。

 大勢が集まる系のイベントにおける船子のテンションの上がり幅は本当に計り知れない。

 下手すると、学校の屋上を占拠して、たった一人で勝手に『未成年の主張』をやりかねない。

 因みに、中学の時の文化祭では普通にやってた。

 

「っていうか、その金野さんは?」

「さっきからいないね…何処に行ったんだろ?」

 

 それは俺も気になってた。

 船子の奴…一体どこに行っちまったんだ?

 

「箒。船子が何処に行ったか知らないか?」

「船子ならば、さっき厨房の方に歩いて行くのを見たが…」

「あー…そういうことか。成る程な」

 

 そういやそうだったな。

 船子はそう言う奴だった。

 

「織斑君は何か知ってる…いや、分かってる感じ?」

「まぁな。危ないことはしてないのは確実だよ。多分、もうそろそろ姿を現すんじゃないか?」

 

 そうして話していると、噂をすれば何とやら。

 今回の主役がニコニコ笑顔を見せながらやって来た…ピンクのフリフリエプロンを身に付けて。

 

「おらよ!! 追加の『船子ちゃん風お好み焼き』持ってきたぜ!!」

「なんか大きいお好み焼きが来たんですけどッ!?」

「ソースのいい匂いがするぅ~…」

「ヤバ…見ているだけで涎が…」

 

 相変わらず良い腕してやがる…!

 見ただけで分かる、見事な焼き加減だ。

 これは間違いなく絶品だな。

 

「あ…あの…船子さん?」

「ん? どうしたセシリア」

「最初からテーブルの上に数多くの料理が並んでいましたけど、これらはもしや船子さんの手作り…?」

「あったりまえじゃねぇか! ここにある料理は何もかも全てが船子ちゃんの作った料理だぜ!!」

「「「「「マジでぇっ!?」」」」」

 

 だよなぁ…うんうん。そのリアクションをする気持ち…分かるよ。

 けど、本当なんだよなぁ…。

 前に教室で言ってた事は嘘偽りじゃなく、本当に船子は料理が上手だ。

 どうしてそんなに上手なのか試しに聞いたことがあるんだけど、その時はこう答えていた。

 

『なんか知んないんだけどよ~。母ちゃんから『花嫁修業は早い内からやっておいた方が良い』って言われちまってよ。ガキの頃から家で家事全般の練習をさせられ捲ったんだよ。ま、超絶楽勝だったけどな!!』

 

 …とのことらしい。

 つまり、船子は母親から女子力を極限まで鍛えられていると言うことだ。

 …もしも船子と結婚できたら、毎日が楽しいんだろうなぁ…。

 

「じゃ…じゃあ…ここにある餃子も…?」

「皮から手作りだぜ!!」

「このキノコたっぷりの炊き込みご飯も…?」

「山から取って来るの苦労したぜ~!」

「脂が乗ってて、皮がパリパリで、中身がフワフワで超絶美味しい焼き魚も…?」

「今朝釣って来た新鮮な一匹です」

「チーズがとろとろでほっぺた落ちそうなピザも…?」

「この船子ちゃんに掛かれば、ピザ生地回すのなんて朝飯前だからな!」

「恐ろしくでっかいバケツプリンも?」

「でっかいプリンは乙女の夢だよな!」

「本当に全部…手作り…?」

 

 他の女子達が体をワナワナと震わせながら一つ一つ尋ねる。

 うん。この豚汁も滅茶苦茶美味いな。

 肉と野菜がたっぷり入っている中、しっかりとこんにゃくも入っているのがグッド。

 

「船子の手料理…!? では、このパラパラで香ばしい匂いを漂わせているチャーハンも…?」

「この、フワフワトロトロなオムハヤシも…?」

「アタシが作った。取り敢えず、皆が好きそうな料理を片っ端から作ったんだよ。どうだ?」

「「最高に美味しいです!! ありがとうございました!!」」

 

 おう…箒とセシリアが一瞬で陥落した…。

 文字通り、胃袋を掴みやがったな。

 

「久々に食べる船子の手料理…感無量だ…!」

「金野さん…本当に凄いですね…。この唐揚げも最高に美味しいです…♡」

 

 で、千冬姉は滝のような涙を流しながら船子の作ったふわとろ親子丼を食べていて、その隣で山田先生が衣がサクサクの絶品唐揚げを口にしていた。

 

「女子として完全に負けた…!」

「悔しい…悔しいけど…!」

「箸が止まらない! どれもこれもが美味しすぎるから!!」

「えぇい!! 金野さんに隙は無いのかッ!?」

 

 多分、無いなぁ…。

 寧ろ、隙が有ったら教えて欲しいまである。

 

「すっごい美人で…」

「スタイルも抜群で…」

「リーダーシップもあって…」

「料理も上手で…」

「おまけにISも強い…」

「「「「「言えば言うほど完璧すぎる!!!」」」」」

 

 いちいち言葉に出さなくていいから。

 却って自分達が惨めになるだけだぞ。

 

「うわー…噂には聞いてたけど、想像以上に凄い子みたいね」

「「「ん?」」」

 

 なんかいきなり見た事の無い人がやって来た。

 リボンの色から察するに二年生か?

 

「そこの銀髪の子が『金野船子』ちゃんね?」

「そういうアンタは誰だよ?」

「私は二年生で新聞部の『黛薫子』よ。因みに副部長やってまーす。はいこれ名刺ね」

「これはどうもご丁寧に。アタシが天下に轟く大将軍の金野船子ちゃんだ」

 

 いや…どうして高校生が名刺持ってるんだよ。

 つーか、しれっと船子も名刺を出してるし。

 女子高生同士の名刺交換って…かなりのレアじゃないか?

 

「ここにある料理全部、船子ちゃんが作ったの?」

「おうよ!! アンタも好きなだけ食ってもいいぜ!」

「マジ? んじゃ、このたこ焼きもーらい。あーむ」

 

 そう言って、黛先輩は出来たてほやほやのタコ焼きを口に入れた。

 すげー熱そうだけど大丈夫か?

 

「あつっ!? めっちゃあつっ!? でも、超美味しい!! 中に入ってる蛸はプリップリだし、たこ焼き自体も中がトロットしてて最高!! 早くも女子としての実力差を見せつけられた気分ね…」

 

 出逢ったばかりの先輩を料理で圧倒しやがった。

 これこそ船子クオリティ。

 

「ところで、その新聞部副部長さんがアタシに何の用だよ?」

「おっとそうだった。たこ焼きが美味しすぎて忘れるところだったわ」

 

 ハフハフしながらも、なんとかたこ焼きを飲み込んだ先輩は、改めて船子と向き合った。

 

「簡単に説明すると、織斑君に匹敵する話題の新入生である船子ちゃんに特別インタビューをしようと思って」

「話題の新入生か…悪くねェ響きだな…」

 

 まだ話題程度で済んでるのか…そっちの方が凄いな。

 昔に比べれば、まだまだやってる事は大人しい方だしな。

 

「あ、後で織斑君にも色々と聞きたい事があるから」

「俺にもかよ…」

 

 インタビューって言われても、何を話せばいいのかサッパリ分からねぇぞ…。

 

「でも、この船子ちゃんにインタビューをしたいなら、ちゃんとジャーマネを通してくれねぇと」

「え? 船子ちゃんって専属のマネージャーがいるの?」

「おう…いるぜ。なぁ、織斑マネージャー」

「そうそう、俺こそが船子のマネージャー…って、んなの初めて聞かされたわ!!」

 

 いきなり勝手に人をマネージャーに指名すんな!!

 ほら、そこで千冬姉と箒とセシリアが般若の如き形相でこっちを睨んでやがるしッ!?

 

「じゃあ…織斑君。船子ちゃんにインタビューしても良い?」

「いいんじゃないんスか?」

 

 俺の許可とか別にいらねーだろ…。

 そんな意味で船子の隣に立ちたくはねぇよ…。

 

「んじゃ船子ちゃん! 早速であれだけど、クラス代表になった感想を利かせて貰える?」

「クク…ククク…」

 

 急に笑い出した。

 こいつがこんな風に笑う時は大抵が碌な事じゃない。

 

「アタシがクラス代表になったのは、未来に向けての単なる足掛かりに過ぎねェ…」

「おぉ~…!」

「まずはクラス代表になって、そこから更にIS学園の生徒達の頂点…即ち、生徒会長を目指す!!」

「いいね! いいわねそれ!! そうこなくっちゃ!!」

「それで終わりじゃねぇ!! 生徒会長もまた、アタシにとっちゃ単なる『通り道』にしか過ぎねぇ!! IS操縦者になった以上…最終的に目指すのはたった一つしかねぇだろ…」

「それって…まさかっ!?」

「おうよ!!」

 

 ビシッ!! っと人差し指を天井に向けて突き刺し、船子は食堂全体に響き渡るような大声で堂々と宣言した!!

 

「ブリュンヒルデに…アタシはなる!!」

「キター――――――!! 最高の記事になるわー!!」

 

 ブリュンヒルデ…つまり、千冬姉と同じ場所に立つ気でいるのか…!

 普通の奴なら『無謀』とか『無茶』とか言われて終わりなんだろうけど…不思議と船子なら本気で成れそうな気がする…!

 

「よく言った船子」

「千冬の姉御…」

「並の連中ならば一笑に伏されて終わりだが、お前は違う。それを言うだけの度胸も実力も備わっている。この私が宣言してやる。お前ならば必ずや私と同じ場所に至れるだろう」

 

 まさかのご本人様からの宣言来たよ…。

 千冬姉はこれ系の話で冗談とか言わない人だから、きっとマジで言ってるんだろうな。

 口の周りに親子丼の卵が付いてなきゃ完璧だったけど。

 

「織斑先生のお墨付きって…マジで凄いじゃん!! これはとんでもない記事が書けそうだぞ~!!」

 

 先輩も何やら興奮気味。

 他の皆もそれに宛てられたのか、賑やかさが更に加速する。

 

「けど、モンドグロッソに出るにはまずは『国家代表』にならないと」

「大丈夫だって。取り敢えず自由国籍でも取って『バチカン』の国家代表とか目指してみっからよ」

「よりにもよって、あのバチカン市国ッ!? でも、あの国って国連に加入してないけど…大丈夫なのかな…?」

 

 あー…その名前、なんか聞いたことあるわ。

 確か『世界で一番小さい国』…だったっけ?

 

『バチカンとは、バチカン市国とカトリックの総本山の総称である。国家としてのバチカン市国は1929年に独立国家となったヨーロッパにある国家で、その領域はローマ市内にある。国土面積は世界最小であるとされている。そもそも、バチカンはローマ教皇によって統治されている国家であり、カトリック教会と東方典礼カトリック教会中心地。謂わば『総本山』である。国籍は聖職についている者に限り与えられる。民明書房刊『海馬瀬人のデュエリストを求めて三千里』より抜粋』

 

「「「「なんか急に校内放送から謎の説明が聞こえてきたッ!?」」」」

 

 というか、社長は一体どこで何をやってんだよッ!?

 なんで普通に本なんか出版してるんだっ!?

 

「聖職…つまりは教会勤めになるってことか。シスター服の船子ちゃんも似合うだろうな」

 

 シスターな船子か…ちょっと想像しちまった。

 そのスタイルはシスター服でも隠しきれないだろうな…。

 

「富。名声。力。嘗てこの世の全てを手に入れた初代ブリュンヒルデ『織斑千冬』。彼女が引退間際に言い残した言葉は、人々を大空へと駆り立てた」

 

 なんかまた急に始まったんだけどッ!?

 それってあの超有名な某海賊漫画の一番最初の一文だよなっ!?

 

「私の財宝か? 欲しければくれてやる!! 探せ!! この世の全てをそこに置いてきた!!」

 

 なんか千冬姉もノリノリで参加し始めたしッ!?

 船子が関係すると急にノリが良くなるよな、この人!

 

「人々は夢を追い求めISを駆り大空へと羽ばたく! 世はまさに大IS時代!! というわけで、ここで一曲歌います。金野船子で『ウィーアー!』」

「「ちょっとスト――――――ップ!!!」」

 

 俺と黛先輩の二人で慌てて船子の暴走を止めた。

 流石にこれは許容できないから!!

 

「んだよ~。折角テンションが上がってきたってのによ~」

「それだ流石にダメだからー! 権利関係とか著作権的な意味でッ!!」

「船子ちゃん! そこから先は完全にアウトだから!!」

「ちぇー。しゃーねーなぁー」

 

 ほっ…止まってくれた…。

 ここでまた暴走でもされたら洒落にならなかったぜ…。

 

「ふ…船子ちゃんは歌も得意なのかしら?」

 

 黛先輩、ナイスフォロー!

 上手い具合に話を逸らしてくれた!

 

「そ…そうなんスよ! 昔も良く皆で一緒にカラオケとか言ってたんですけど、船子の美声には皆が驚かされてましたね! だよな船子!」

「そういや、んな事もあったなぁ~。なんだか懐かしいぜー」

 

 船子の関心を逸らせた…。

 これでなんとかなったな。

 

「因みに、船子ちゃんの今までの最高得点は?」

「100点。その時歌った曲は『およげ、たいやきくん』だった」

「まさかのチョイスッ!?」

「その次に高い得点だったのは99点の『ターンエーターン』だった」

「また、なんともリアクションし難い曲を選ぶわね…」

 

 船子って歌はマジでプロ級に上手なんだけど、なんでか選曲が俺達の予想の斜め上を行ってるんだよな。

 それでもめっちゃ上手だから、誰も何も言えないんだけど。

 

「うーん…こんだけ聞ければ十分過ぎるかな。というか、もう別の意味でお腹一杯だわ…」

 

 でしょうね。

 俺達はその気持ちをほぼ毎日に渡って経験してますよ。

 

「織斑君にも話を聞こうと思ったけど、今日はもういいわ…。また後日にでも改めて聞かせてくれる?」

「はぁ…」

 

 やったって思ったけど、そうは問屋は降ろしてくれないのね…。

 

「じゃあ、最後に皆で集合写真とか撮りましょうか。賑やかにね。という訳で、船子ちゃんを中心に並んでね~」

 

 言われるがまま、俺達は船子を真ん中にして集まった。

 って、しれっと千冬姉と山田先生も混ざってる!?

 いや…別にいいんだけどさ、千冬姉がしれっと船子との隣にいるのはこれいかに?

 反対側には箒とセシリアが場所を取り合うようにして並んでるし。

 因みに俺は、端の方に追いやられてしまった。

 

「それじゃあ撮るわよー。円周率はー?」

「「「「「えぇっ!?」」」」」

 

 ここでまさかの円周率となっ!?

 んなの言えるわけが…。

 

「3.14159265359…」

「「「「「ちゃんと言えてるーっ!?」」」」」

 

 船子だけが普通に円周率を言えてるんですけどッ!?

 こいつのスペックは本当にどうなってるんだっ!?

 

 なんて俺達が驚いている間にシャッターが切られた。

 ちゃんと正面向けなかったんだけど、いいのか…?

 

「あはははははは! 流石は船子ちゃんね! 面白い写真が撮れたわ! この写真はちゃんと後で焼き増ししてから皆に配るからね!」

 

 欲しいような、欲しくないような…。

 いや、折角だし貰っておきたいな。

 良い思い出にはなったし。

 

 しっかし…パーティーなのに無駄に疲れた気がするのは俺だけか…?

 

 この後、皆で船子の手作り料理に舌鼓を打ったのでした。

 ちゃんちゃん。

 

 

 

 

 




次回はようやく鈴が本格合流。



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