黙れば美人、喋ると変人、戦う姿は不沈艦!   作:とんこつラーメン

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こ…これが伝説の…!?

 途中で色んな事(主に他クラスの女子の進路妨害)がありはしたが、なんとか俺とシャルルの二人はギリギリ遅刻せずに授業に間に合う事が出来た。

 グラウンドに来た時、何やら鈴から変な視線を送られたけど…あれは何だったんだ?

 

 なんてことを考えつつ列に並ぶと、そのタイミングで千冬姉がやってきた。

 山田先生が一緒じゃないけど…どこに行ったんだ?

 

「ちゃんと全員揃っているな」

 

 一組と二組の列を見渡してから満足そうに頷く千冬姉。

 それはいいんだけど…俺の事だけ特に注視してなかったか?

 俺ってそんなに問題児か?

 

「では、本日より本格的にISを使った実習を行っていく」

「「「「「はい!」」」」」

 

 ISを使った実習か…。

 俺達からしたら今更なんだけど、他の皆はそうじゃないんだよな…。

 ISの触れる機会なんてマジで限られてるだろうし。

 

「まず最初に、実習に入る前に専用気持ちによる軽い模擬戦を実演して貰おう。丁度、一組と二組には専用気持ちがいる事だしな」

 

 言われてみれば確かに。

 この場合、該当するのは俺と船子、セシリアに鈴の四人か。

 いや…シャルルや、あのボーデヴィッヒって奴も持ってるかもしれないのか。

 だとしたら、この場にいる専用気持ちって合計で6人って事になるな。

 

「そうだな…凰! それからオルコット! 前に出ろ!」

「「はい」」

 

 今回の御指名は鈴とセシリアの二人か。

 二人には悪いが、俺じゃ無くて助かった…。

 

「専用気持ちだからってのは別にいいけど、なんか見世物みたいでイマイチやる気が湧かないわね…」

「祖国で似たような事は何度かありましたけど、モチベーションは上がりにくいですわね…」

 

 ふーん…そう言うもんなのか。

 でもまぁ、公式の試合の時とかならいざ知らず、こんな風に授業でって形はそうなのかもな。

 ISに限らず、運動部の奴が体育の授業の時にお手本役にされた時も、結構ダルそうにやってたしな。

 

「そうか…やる気が出ないか…」

 

 あ…このパターンは…出席簿か?

 伝家の宝刀『出席簿アタック』が炸裂か?

 

「仕方あるまい…船子。少しこっちに来てくれ」

「ん~? おう」

 

 え? 船子?

 二人にやる気を出させる為に、船子に何かをさせる気なのか?

 

「ごにょごにょごにょ…出来るか?」

「なーんだ。そんな事かよ! んなもんラクショーだぜ!」

「すまんな…頼んだ」

 

 船子の耳元で何かを囁いた千冬姉。

 一体何を頼んだんだろうか。

 それはそれとして、船子に顔を近づけてた千冬姉の顔が満面の笑みな事に付いては何かツッコむべきなんだろうか。

 

「鈴。セシリア」

「「船子(さん)?」」

「もし頑張ってくれたらー…アタシが『チュー♡』してやるぞ♡」

 

 …………ハイ?

 今…なんつった? チュー?

 

「「…………」」

 

 なんか急に鈴たちの顔が無表情になったんだけど…。

 

「船子の…」

「チュー…」

 

 あ…急に顔を伏せた。

 そして、すぐに顔を上げたが…あ…あれはっ!? まさかっ!?

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁ…!」」

 

 やる気が一瞬でカンスト通り越して天元突破した結果、二人揃って全身から黄金のオーラを出して髪を金色の染めて逆立たせてるし――――!!

 お前らはいつから伝説の超サイヤ人になったんだっ!?

 

「セシリア…分かってるわね…」

「えぇ…当然ですわ。戦闘民族サイヤ人の名に賭けて」

「「この模擬戦に必ずや勝利し、船子(さん)と熱いキスをしてみせる!!」」

 

 ここまで戦闘以外の欲望丸出しな超サイヤ人も珍しいなっ!?

 もう完全に目的が変わってるんだけどッ!?

 

「それで…? あたし達の相手は誰なのかしら…?」

「今ならば、どんな相手にだって勝てる自信がありますわ…!」

 

 すげー自信。

 伝説の超サイヤ人は伊達じゃないな。

 

 それと同じぐらい驚いてるのは、クラスの皆がこの展開に慣れてツッコミを止めてしまっている事だな。

 あぁ…遂に一組全体が船子色に染まってしまった…。

 最後の希望は、今日やってきた二人だけだ…。

 

 因みに、シャルルは意味不明な展開の数々にどうしたらいいのか分からずに困惑していて、ボーデヴィッヒに至っては何故か目をキラキラさせていた。解せぬ。

 

「ほぅ…言うじゃあないか。ならば、是非ともやって貰おうではないか。お前達の対戦相手は……」

 

 対戦相手は?

 

「たった今、到着した」

 

 どこに?

 なんて考えてたら、急に上空から空気を裂くような音が聞こえてきた。

 このキィィィィィンって音は…気のせいじゃないですな。

 

「ど…どいてくださ――――――い!!」

 

 そして聞こえてくる知ってる声。

 皆揃って上を向くと、そこにいたのは…。

 

「「「「「山田先生っ!?」」」」」

 

 ラファール・リヴァイヴを纏ったままコッチに落下して来ている山田先生だった!

 いやなんで落ちて来てるんですかねっ!?

 しかも一直線に!

 このまま俺にぶつかる…!?

 白式を展開して衝撃に備えないと!

 

「オラァッ!!」

「「「「「船子(さん)」」」」」

 

 その時、俺の真横を凄い速度で通り過ぎていく紅い影が。

 船子が文字通り一瞬で専用機であるドミネーターを展開して山田先生の方へと飛んでいく!

 しかも、ちゃんと移動中に変身までするおまけ付きで!

 今回は一体どんな姿になるんだ…?

 

「お…落ちる―――――――……あれ?」

「大丈夫かよ…山田センセ」

「この声…金野…さん…?」

 

 超良い声で山田先生をお姫様抱っこしているその姿は…まさしく…!

 

「シャア専用ザクⅡかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 思わずデカい声でツッコんじまったけど、なんか妙に絵になってるから普通に凄い!

 チクショウ! やっぱシャアザクはめっちゃカッコいいなオイ!!

 何処かでオリジン版のシャアザクの再販とかしてねーかなー…。

 

「今から授業だろ? しっかりしようぜ?」

「は…はい…本当にすみません…」

 

 抱きかかえられてる山田先生の顔が真っ赤になって、完全に恋する乙女の顔になってますがな。

 船子の奴…遂には縁も所縁も無い副担任すらも手中に収めようとしてるのか。

 

「な…何…今のIS…!? 姿形が変化した…!? しかも、あの展開速度は…!」

 

 おぉ…シャルルが凄く普通の反応をしてくれてる…!

 この感じ…懐かしいなぁ…。

 

「あ…有り得ん…! あの奇妙奇天烈なISもだが…あの女の操縦技術は…確実に候補生の領域を超えている…! いや…もしかしたら国家代表すらも凌駕している可能性も…!」

 

 ボーデヴィッヒも軍人らしい感想を言ってくれてる…!

 これだよ…こういうので良いんだよ…!

 やっぱりバター醤油ご飯こそが最強にして至高なんだよ!

 色々と模索しても、結局はそこに帰結するんだよ!

 …俺はいきなり何を言ってんだ…?

 

「ほらよ。地面に到着したぜ」

「あ…ありがとうございます…」

 

 うん。やってる事は完全にお姫様をエスコートする白馬の王子様ですね。

 実際には銀髪のお姫様だけど。

 

「ん?」

 

 そういや、さっきから妙に静かだな…って!?

 

「船子さんにお姫様抱っこ…! なんでうらやまじい…!」

「あだじも船子にお姫様抱っこじでほじい…!」

 

 おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?

 セシリアと鈴が血涙を流しながら、悔しさの余り超サイヤ人3になってるんですけどぉぉぉぉぉぉっ!?

 眉毛が無くなって、明らかに華の女子高生がしちゃいけない顔になってるんですけどぉぉぉぉぉぉっ!?

 

「真耶め…私ですらまだ船子にお姫様抱っこなんてやって貰った事無いのに…!」

 

 ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?

 この状況を止めるべき立場である我等が担任サマも悔しさで超サイヤ人3と化してるんですがぁぁぁぁぁぁぁっ!?

 それでいいのか担任教師ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!

 

「船子…お姫様抱っこ…私も…して欲しい…!」

「箒もかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

 なんか急に怖い呟きが隣から聞こえて来たと思ったら、箒も血涙を流しながら超サイヤ人3になってたんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?

 もうこの際誰でも構わないから、このカオスな超サイヤ人のバーゲンセールを終わらせてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!

 

「さぁ…早く始めましょう…?」

「指先一つで()ってやりますわ…!」

「なんか、凰さんとオルコットさんが凄く怖いんですけどぉぉぉぉっ!?」

 

 そして今度は北斗神拳か。

 これ以上、こっちのツッコミが追いつかなるような事はしないでくれ…。

 

「山田先生…」

「織斑せんせぇ~…」

「二人との模擬戦が終わったら…今度は私とやって貰おうか…?」

「なんでそーなるんですかぁぁぁぁぁっ!?」

 

 そりゃそう言いたくもなりますわ。

 マジで魂の叫びだわな。

 

「あはははははははは! なーんなオモしれーことになってやがんなー!」

「ある意味、元凶はお前なんだけどなっ!?」

 

 ほんと…船子に微塵も悪意が無いのが冗談抜きで質が悪いんだよな…。

 これ…マジでどーすんだよ…。

 

「とにかくよぉ~…とっとと模擬戦をおっぱじめよ~ぜ~? じゃねぇと授業が先に進まねぇじゃねぇかよ~」

 

 船子が至って普通の事を言ったあぁぁぁぁぁっ!?

 こいつにこんな発言をさせるほどにカオスな空間と化してるってのかぁぁっ!?

 

「えっと…なにこれ…?」

「一組の教室から良く聞こえてくる意味不明な奇声の正体って…」

「まさか…これだったり…?」

 

 二組の子達がとうとう本気の困惑をし始めてるんですけどぉぉぉっ!?

 つーか、やっぱり隣のクラスに筒抜けだったんかーい!!

 二組の皆、本当にごめんなさーい!!

 主に俺の姉と幼馴染たちが悪いんですぅぅぅぅっ!!

 

「えっと…それじゃあ…模擬戦を始めるって事で…いいんでしょうかぁ…」

「あぁ…構わない…」

 

 さっきから周囲全員が超サイヤ人状態だから眩しんですけど。

 とっとと終わらせてくれ。割と切実に。

 

「凰…オルコット…」

「「はい…」」

「遠慮はいらん…全力で()れ」

「「了解」」

 

 それ絶対に教師が言っちゃいけない台詞だろぉぉぉぉぉっ!!

 

 因みに、試合自体は普通に山田先生が勝った。

 

「「まさかの試合内容全カットっ!?」」

 

 仕方ねぇだろ…お前らの茶番のせいでマジで時間が押してるんだから。

 

 それと、試合中に行われたシャルルのラファールに関する説明も全てカットね。

 

「僕までとばっちりを受けてるんだけどッ!? どうしてっ!?」

 

 それが一年一組…いや、船子の周囲にいる者の宿命なんだよ。

 大人しく諦めてくれ。

 

 

 

 

 

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