黙れば美人、喋ると変人、戦う姿は不沈艦!   作:とんこつラーメン

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飯テロ注意。







へい! らっ! しゃい!

「それでは、午前の実習はここまでとする。午後からは今回使った訓練機の整備実習を行うので、時間になったら格納庫似て各班ごとに集合するように。猶、専用機持ちは自分の機体と訓練機の両方の整備をして貰う。では、解散!」

 

 やっと午前の実習が終わった…。

 普段の授業とは違って、休み時間を挟みつつの四時間ぶっ続けでやるから疲労感が半端じゃないんだよな…。

 でも、何事も無く終わって良かったとは思う。

 あのラウラとかって奴を船子が論破したことが大きかったな。

 今回の実習の唯一無二の心配要素だったし。

 一組のクラス代表は伊達じゃないな。

 その船子も実習中は真面目にやってたしな。

 流石の船子も、危険が伴うであろうISを使った実習じゃふざけたりはしないか。

 

 最後にISを格納庫に直すが苦労したけど、皆が手伝ってくれたからなんとかなった。

 仮面ライダーに限らず、助け合いって大事だよな。うん。

 

「…………」

 

 ん?

 さっきから船子が徐に空をジッと見上げている…?

 急にどうしたんだ…?

 

「いひ♡ いいこと思い付いたかも♡」

 

 船子が笑うセールスマンみたいな怪しい笑みを浮かべた…!

 あいつが『あの顔』をした時は、大抵が碌な事を考えてない顔だ!

 

「おっし! お前ら~! 今日はめっちゃ天気が良いし、偶には屋上で飯でも食おーぜー!」

 

 なん…だと…!?

 あの船子が…物凄く真面な提案をした…だと…!?

 

「屋上で食事か…いいな。外で食べる食事はいつも以上に美味だと言うしな」

「私も賛成ですわ。こんな良い陽気の日は滅多にありませんし」

「アタシもいいわよ。ピクニック気分で良いんじゃない?」

「お外でごはん♡ お外でごはん♡」

 

 皆は諸手で大賛成。

 しれっと布仏さんも混ざってるけど、まぁ気にしない。

 

「俺も賛成だ。偶にはいいこと言うじゃんか」

「へへ…だろ?」

 

 船子…そこでのウィンクはちょっと反則だ…。

 普通に胸がドキッってなったぞ…。

 それにほら…。

 

「船子のウィンク…」

「しゅてきしゅぎましゅわ…♡」

「相変わらず、物凄い破壊力ね…」

「はわわわ~…なんかドキドキしたね~…」

 

 ほらな。

 ついでに布仏さんもノックアウトしてるし。

 

「ついでだし、お前も来いよ! ブリタニア皇帝陛下!」

「まだ言ってるのッ!? って…いいの?」

「当然だろーガーリックバターだ! もうオメーはクラスの仲間で船子ちゃんのダチ公なんだぞ!?」

 

 おぉ…いつ見ても恐ろしいレベルのコミュ力お化け…。

 なんせこいつ、普通ならまず絶対にしない『友達百人出来るかな』をマジでやりやがったからな。

 そりゃ、フランスから来た転入生ぐらい簡単に友達認定しちまうか。

 

「そ…それじゃあ…お邪魔しよう…かな…? ちょっと遅れるかもだけど…」

「気にすんな! 気にすんな!」

 

 遅れる? 転入早々なにかする事でもあるのか?

 いや…深く気にしたらダメだな。

 誰にだって、人には言えない事情や秘密の一つや二つあるもんだ。

 少なくとも、船子なら絶対に深くは追究したりはしない。

 船子がしない事は俺も絶対にしない。

 これは、俺が船子に一目惚れをした時に自分の中で決めた事だ。

 

「とっとと着替えて『準備』をしねーとな…。今から楽しみだぜ…」

 

 割とマジで何を企んでるんだ…?

 本当に気になってきたな…。

 俺も早く着替えてから屋上に急ぐか。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 IS学園の屋上は、他の高校とかとは違って普通に出入りが許可されている。

 綺麗に並べられている花壇には季節ごとに様々な花々が咲き誇っていて、欧州を彷彿とさせる石畳が良い雰囲気を醸し出している。

 しかも、ちゃんとここで食事などが出来るように丸テーブルやいすが設置されていて、今日みたいにいい天気の日には多くの生徒達で賑わうこともある…んだそうだ。

 参照したのはIS学園専用ホームページに記載されていた『民名書房刊 IS学園の風景』という電子本の一文から。

 マジで民名書房刊ってなんなんだよ…。

 

 …で、着替え終わった俺は少し遅れてきたシャルルと合流をしてから屋上へとお向かったんだが…。

 

「「…………」」

 

 屋上への扉を開いた瞬間に言葉を失った。

 

「へいらっしゃい! なんにしやしょ!?」

「ずずー…」

「もぐもぐもぐ…」

「ふー…ふー…ずず…」

 

 なんか屋上にラーメンの屋台が出来てて、船子がラーメン作ってるぅぅぅっ!?

 あと、普通に箒とセシリアと鈴が屋台に座ってラーメン食ってるしー!?

 因みに、船子は制服の上に赤い法被を羽織って、長い銀髪をポニーテールに纏めた上で捻じり鉢巻きを頭に巻いていた。

 完全にお祭りスタイルじゃねぇか…。

 

「い…一夏…これって…」

「どう見ても屋台…だよな…」

「これが…ジャパニーズ屋台…」

 

 そっか。

 日本に来たばっかりのシャルルには珍しいのか。

 一応、セシリアも似たような立場の筈なんだけどな…ビックリするレベルで馴染んでるな。

 

「あの…篠ノ之さん達だけじゃないみたいだけど…」

「え?」

 

 シャルルに指摘されて屋台の近くを見てみると、屋台に座れない人専用のテーブル席が幾つも設置されていて、そこには布仏さんや、午前の実習で船子と同じ班だった子達が一緒に船子の作ったラーメンを食べていた。

 

「ふねふねのラーメン、ちょーちょー美味しいね~♡」

「金野さんって…マジで女子力高いわよね…」

「女として完全に負けた…」

「だが、それがいい」

「「「分かる!!!」」」

 

 分かるな。分かるな。

 あぁ…良い感じの豚骨スープの香りがここまで漂って来て…。

 

「船子ちゃーん! お姉さんに替え玉お願ーい!」

「はいよー! ちょっち待っててくれ楯無パイセーン!」

 

 あれって船子のルームメイトで二年生で生徒会長の更識先輩だよなっ!?

 普通に一年生の群れに混じってるんですけどッ!?

 あの人も船子が呼んだのかッ!?

 

「あの…あそこ…」

「いっ!?」

 

 あのテーブル席に座ってるのって…まさか千冬姉と山田先生ッ!?

 そして、その二人と一緒に座ってる羽織袴を着た巨漢は…間違いなく江田島学園長じゃあねーかッ!?

 

「船子の手料理…船子が作ってくれたラーメン…感無量だ…!」

「金野さんって器用なんですねー…。羨ましいなぁ~…」

「ふははははははは! 流石は船子よ! 武道の腕だけでなく、料理の腕まで上げておるとは! 幼き頃に男塾の厨房を独占して、塾生や教官どもにフランス料理のフルコースや満漢全席を作っておった頃を思い出すわい!」

 

 子供の頃にそんな事をしてやがったのかぁッ!?

 まだまだ、俺の知らない船子の一面ってあるんだなぁ…。

 

「おい! そこの二人! んなところで突っ立ってねぇで、とっとと空いてる席に座りやがれってんだ!」

「「は…はい!」」

 

 船子の言葉に思わず揃って敬語を使ってしまった。

 空いてる席っつってもな…あ。普通にあったや。

 

「あそこに座るか」

「そ…そうだね」

 

 席に座ると、テーブルの上に『織斑一夏様。シャルル・デュノア様 ご予約席』って紙が置いてあった。

 粋な事をしやがって…。

 

「ご注文は何にしやしょ?」

「えっと…」

 

 船子からメニュー表を渡されたので見てみると、そこには俺もよく知っているラーメン屋のメニューが書いてあった。

 ただし、これを作るのは船子なので、その時点で絶品は確定だ。

 

「あ…そういや、シャルルはラーメンって大丈夫か? 前に欧州の人って麺類を食べる時の『啜る』ってのが苦手だってテレビで見た気がするんだけど…」

「その辺は普通に大丈夫だよ。フランスにも日本から出店してきたラーメン屋さんとかあるし」

「そうなのか…。じゃあ箸は?」

「そっちはまだ練習が必要かな…。一応、日本に来るに際して自分なりに練習はしてきたんだけど…」

 

 無理も無いよなー…。

 スプーンやフォークとかと違って、箸は初見の外国人には難しすぎるだろうしな…。

 あれ? そういやセシリアは普通に箸使ってラーメン食ってなかったっけ?

 いつの間に使い方をマスターしたんだ?

 

「船子さんの手料理を食べる為ならば、幾らでも練習をして使いこなせるようになってみせますわ!」

 

 誰も聞いてないのに勝手に答えてくれた。

 そっか…練習の成果なのか。

 意外な所で意外な事を頑張ってたんだな…。

 

「フッ…心配すんな。そんな事もあろうかと…ってな。ちゃんとフォークも用意しておいたぜ。こいつを使いな」

「あ…ありがとう。金野さん」

 

 何処からかフォークを取り出してシャルルのテーブルの上に置く船子。

 屋台なんてするだけあって、客への対処はマジで完璧だ。

 実際、カップヌードルをフォークで食ったりする国もあるし、問題は無いだろう。

 

「んじゃ…ラーメンを一つ」

「ぼ…ボクも同じのを」

「麺の固さは?」

「バリカタで」

「ふ…普通…で?」

「あいよー! ラーメン二丁、バリカタと普通入りましたー!」

 

 誰に言ってんだ。誰に。

 店員は船子一人だけだろーが。

 あれ? ってことは、全部船子一人でやってるってことなのか?

 普通に凄く大変なんじゃ?

 

「おっし! ラーメン二丁ー! バリカタと普通ー!」

「おー!」

 

 って、良く見たら一人じゃないしッ!?

 この間のクラス対抗戦の時にいたゴールドシップって名乗ってた船子そっくりな女の子が二人、屋台でラーメン作ってるしッ!?

 

「ゴルシとやら…追加注文を頼みたい」

「あいよ! なんだい!?」

「ライスを一つ頼む」

「ライスいっちょー!」

 

 箒がご飯を注文した?

 何をする気なんだ?

 

「おまちど」

「ありがとう。このホカホカの白米の上に葱を乗せ、チャーシューと味玉を乗せてから…ラーメンのスープをかける…」

 

 そ…それは…まさか…禁断の…!?

 

「分かっている…分かっているんだ…! だが! この誘惑に勝てる女子がこの世にいるだろうか! 否! 絶対にいない!」

 

 即席の…チャーシュー丼…!

 あれは絶対に美味い…! ごくり…!

 

「どれだけ高カロリーであろうと…私は食べる! あむ! 美味い…♡」

 

 だろうなぁ…あれは最強だろ…。

 後で俺も絶対にライス注文しよう。

 

「あ。こっちはミニチャーハンと餃子をくれるかしら?」

「あいよー!」

 

 隣では鈴が別の追加注文してるし!?

 けど…気持ちは分かる。

 ラーメンと餃子とチャーハンのセットは無敵のパーティーだろ。

 このトリオならハーゴンだろうがシドーだろうが楽勝で倒せるに違いない。

 

「見てる限りだとカロリー高そうだけど…普通に食べてるんだね。日本の女の子って皆こんな感じなの?」

「いや…違うと思う」

 

 ここにいるメンバーを基準にして考えちゃいけない。

 これは完全に特例だ。

 あと、後でちゃんと運動をしてカロリー消費すれば大丈夫って考えてるんだと思う。

 

 周囲のラーメンの匂いに誘惑されながら待っていると、船子がやって来て俺達の目の前に美味そうなラーメンをドンと置いた。

 

「あいよ! ご注文の品、お待ちどうさま!」

「「おぉー…」」

 

 こうして近くで見ると増々美味そうだ…。

 滅茶苦茶に腹も減ってきたし…早く食べよう!

 

「いただきます!」

「い…いただき…ます?」

 

 割り箸を割ってからまずは一口。

 

「ずずず……んん!」

 

 う…う…う…美味い!!! 美味過ぎる!!!

 一体どうやって屋台を用意したんだとか、どうやって屋上まで運んできたんだとか、いつから仕込んでたんだとか、ツッコミ所は山ほどあるけど…そんなのなんて本気でどうでもよくなる程に美味い!!

 もう完全にお店の味じゃねぇか!

 

「お…美味しい…。これが日本のラーメンなんだ…」

 

 シャルルもフォークを使って器用にラーメンを食べて、その味に感動しているようだ。

 

 面の歯ごたえも最高だし…このスープもコクがあって美味い…!

 チャーシューに至っては、口に入れた瞬間に溶けそうになる程に柔らかい!

 

「どーよ一夏? 船子ちゃん特製ラーメンのお味は?」

「最高。マジで言う事無い」

「そーだろ! そーだろ!」

 

 いやマジさ…船子っていつでも嫁に行けるだろ。

 それぐらいに完璧超人なんだが?

 そんな船子の隣に堂々と立てるようになるには…まだまだ色々と頑張らないとだなぁ…。

 はぁ…道は遠いぜ…。

 

 

 

 

 

 

 




最近、行きつけのラーメン屋に行くと、もうラーメンとミニチャーハンと一口餃子のセットに加えて替え玉もしないと満足できない体になってしまいました。

機会を見つけて、また食べに行こうかなぁ…。




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