黙れば美人、喋ると変人、戦う姿は不沈艦!   作:とんこつラーメン

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葦毛姉妹?(仮)

 いきなりアリーナに現れた、ドイツの候補生にして一組の転入生でもあるラウラ・ボーデヴィッヒ。

 初日から色々な目に遭わされて以降、意外と大人しくはしていた奴だったけど…。

 

 

「ま…まさか、何かちょっかいでもしに来たんじゃ…」

「安心しろ。別にお前達に用は無い」

 

 なんか普通に聞こえてたし。

 ドイツ人は地獄耳か?

 

「金野船子!」

「んぁ~? いきなり、どーしたよー?」

 

 船子の名を叫んだ瞬間、アイツは自分の身に黒いISを展開してから、そのままこっちに降りてきた。

 一瞬だけ、攻撃されるかもしれないと思ってマジで心臓がドキってなった。

 

「これを見ろ!」

「おぉ~?」

 

 そう言って、何処からともなく取り出したのは、なんと錆びた刀が突き刺さった状態の丸太だった。

 

「最初こそは文字通り全く歯が立たなかったが、あれから頑張って修練をした結果、刃が刺さるまでになったぞ!」

「へぇ~…意外とやるじゃねぇか! 伊達に千冬の姉御に教えを受けたってわけじゃあねぇみてぇだな!」

「ふふん! 当然だ!」

 

 お互いにISを解除して、生身の状態で楽しそうに会話をする二人。

 あいつら…いつの間に、あんなに仲良くなったんだ?

 しかも、それっと船子がラウラの頭を撫でてるし。

 ラウラの方も満更じゃなさそうな表情をしてるんだが。

 

「な…なんなの…あの組み合わせは…」

「微塵も想定していなかった伏兵が、物凄く意外な形で台頭してきましたわ…」

「いや、それもそうなんだが…」

「ん? どうしたのよ箒?」

「さっきから見てて思ったんだが…船子とラウラと言う奴…まるで姉妹のように見えないか?」

「「はっ!?」」

 

 箒の発言に、皆が改めて船子達の方を見る。

 

「言われてみれば…確かに…」

「二人とも銀髪ですし、髪型も似てますものね…」

「船子は日本人とは思えない程に肌が白くて美麗だからな…」

 

 箒たちが二人の共通点を上げていけばいくほど、二人が本当の姉妹に見えてきた。

 確かに、ラウラは同年代女子達の中でもかなり背は小さく、逆に船子の身長は170センチと明らかに飛び抜けている。

 何の前情報も無しに、この光景を目撃したら、恐らく誰もが本気で二人が姉妹か、もしくは親子のように見てしまうかもしれない。

 実際、過去の船子はその美貌とスタイルの凄さから、何度となく大学生やらOLやらに間違われたことがある。

 しかもその時、まだ船子は中学生だったんだぜ?

 普通じゃ絶対に考えられねぇよ…。

 

「ねぇ…一夏。金野さんって本当にボク達と同い年なの?」

「あ…やっぱ、シャルルもそう思う?」

「うん…。普段こそ破天荒に見える彼女だけど、ああしてると凄く大人びて見えてさ…あれで織斑先生みたいなスーツを着てれば、ボクは普通に金野さんの事を学園の先生だって間違える自信があるよ…」

「船子が千冬姉と同じスーツを着る…か…」

 

 前にも一度、中学の時の自習の際に着てたことがあったけど、あの時の破壊力も凄まじかった。

 なんせ、一気にクラスの男子と女子の両方のハートを鷲掴みしちまったからな。

 勿論、俺もその中の一人だ。

 中学生時代でそれだったんだから、あの時よりも更に成長した今の船子がスーツ姿になったりしたら…。

 

(変な意味でIS学園が崩壊するかもな…)

 

 主に千冬姉とかの暴走のせいで。

 間違いなく学園内が戦場と化すぞ…。

 

「いずれは、お前や教官のように丸太を真っ二つにしてみせるぞ!」

「おうおう! その意気だ! そいつを極めた時…お前はまた一つ、強くなってるだろうぜ…」

「おぉ…そうなのか!?」

「あぁ。アレは今から数年前の話…アタシと千冬の姉御が一緒にギアナ高地で特訓をしている時だった…」

「なんと! お前も教官と一緒に訓練を積んでいたのか!?」

 

 はいまた出たよ。

 船子お得意の口から出任せ。

 ギアナ高地で特訓って、モロにGガンダムのネタじゃねぇか。

 一体いつ、千冬姉と一緒にギアナ高地に行ったんだッつーの。

 少なくとも、俺はそんな話なんて一度も聞いたことねぇよ。

 

「なんだか盛り上がってますわね…」

「錆びた刀で丸太を斬ろうと頑張るだけで、あそこまで船子に褒められるだなんて…」

「因みに、私はもう既に斬れるけどな」

 

 そうだった。

 箒はとっくに船子や千冬姉たちと同じ領域に立ってるんだった。

 俺はー…どうだろう…。

 やってみないと分からないけど…出来る自信はあんまし無いなぁ…。

 

「ふ…船子! アタシもそれチャンレンジするわ! いや、させて!」

「私もやぁぁぁぁぁぁってやりますわ!!」

 

 鈴は兎も角、どうしてセシリアはそこまで燃えてる?

 叫び方が思い切り『獣戦機隊』になってるぞ。

 このままじゃイーグルファイターとダンクーガのパイロットになっちゃうぞ。

 そして、最終的に『野生化』しちゃうぞ?

 

「鈴にセシリアか! 良い根性してんじゃねぇか! いいぜ…やってみな! ほらよ!」

 

 これまた、どこからか船子が錆びた刀二本と丸太二つを取り出してから鈴とセシリアに渡した。

 つーか、よくもまぁ都合よく錆びた刀ばかり用意できるよな…。

 

「よーし! それじゃあ、いくわよ! でりゃぁぁぁぁぁっ!!」

「チェスト――――――ッ!!」

 

 気合を入れて錆びた刀を丸太に向かって振り下ろすが、その刃が刺さる気配すらなく簡単に弾かれてしまう。

 

「うぐ…意外と手強いわね…!」

「刃がボロボロすぎて全く刺さりませんわ…!」

「フッ…当然だ。私だって、この刃が刺さるまで、どれだけの修練を繰り返した事か…」

 

 なんか俺の目の前で『錆びた刀で丸太を斬るブーム』が発生してるんだが。

 しかも、その発生源が船子と来たもんだ。

 なんじゃこりゃ。

 

 結局、この日は最終的にグダグダになってしまったので、なし崩し的に練習は終了した。

 鈴とセシリアは、アリーナの使用時間ギリギリまで粘って錆びた刀での丸太斬りチャレンジを行っていたが、最後まで成功することは無かった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 練習を終えた俺はピットに戻りながらシャルルに『一緒に着替えよう』と誘ったんだが『ボクはいいから、先に行って着替えてて』と言われてまた断られてしまった。

 『また』ってのは、今回が最初じゃないから。

 

 一緒に着替える事が出来たのは初日だけで、それ以降は今日のように断られてばかりだった。

 因みに、ラウラの奴は向かい側のピットに戻って行ったのでコッチにはいない。

 

「一夏さぁ…どうしてそうも、アイツと一緒に着替えるのに拘るのよ?」

「ん? いやまぁ…なんとなく?」

 

 鈴に尋ねられて考えるが、別にこれといった理由は無い。

 単純に、その方が手間が省けると思ったからに過ぎない。

 

「一応言っとくけど、男でも他人に着替えを見られるのが嫌だって思ってる人は一定数いるんだからね?」

「え? マジで?」

「マジよ」

 

 知らなかった…。

 てっきり、同性なら別に裸とか着替えとかを見られても恥ずかしくないと思ってた。

 まぁ…世の中には色んな人間がいるしな。

 そんな奴がいても全く不思議じゃないか。

 船子みたいに色々とぶっ飛んでる奴もいるんだし。

 

「えっと…ボクは少し、自分のISの調整をしてるから、一夏は先に行って着替えてていいよ」

「そっか…分かった。んじゃ、先に行ってるな」

 

 去り際に見たシャルルの顔は、なんだか暗いようにも見えたが…気のせいだよな?

 

「はぁ…ったくよぉ…」

 

 ん? 船子が溜息?

 また珍しいこともあるもんだな…。

 

「隠すなら、もっと上手く隠せっつーの…」

 

 え? 今…なんつった?

 隠す? 誰が? 何を?

 

「そんなんじゃよ…バレるのも時間の問題になっちまうッつーの…」

 

 時間の問題って何だよ…?

 船子は一体、誰の何を知ってる…いや、気が付いてるって言うんだ…?

 

 昔から、船子の勘の鋭さは千冬姉にも勝るとも劣らなかった。

 まるで本当のニュータイプ顔負けな程の勘の良さを発揮して、色んな事を解決してきた。

 それをずっと傍で見てきた俺だからこそ気になってしまう。

 船子が小声で呟いた言葉の真意を。

 俺の気のせいならそれでいい。

 でも、何かを知っているのなら…。

 

「おいこら一夏」

「なんだよ箒」

「貴様…どこに行こうとしている?」

「何処って…ちょっと船子に聞きたい事があって、それで…」

「そうかそうか。別に船子に聞きたい事があるのは良いが…」

 

 なんだよ箒の奴、妙に勿体ぶりやがって。

 一体何が言いたいんだ?

 

「そこは女子更衣室だ! このバカ者が!」

「あ…」

 

 箒に言われて、ふと視線を上に向けると、そこにがゴシック体で『女子更衣室』と書かれてあった。

 …うん。これは完全に俺が悪いな。

 

「船子に聞きたい事があるのなら、着替えた後にしろ」

「うん…そうするわ…」

 

 何をやってんだ俺は…。

 流石にこれはないわ…。

 幾ら焦っていたとしても、普通に女子更衣室に入ろうとするのは無いだろ…。

 箒が憤慨するのも納得だわ。

 今回は完全に俺が悪かった。反省。

 

「全く…船子の着替えを覗こうなどと、十年早いわ」

 

 そう言いながら箒も女子更衣室に入って行った。

 でも、今の理論なら、十年後には船子の着替えを覗いていいって事にならないか?

 いや…ならないか。

 っていうか、もしそんな事をしたら確実に江田島学園長から殺されるわ。

 その前に千冬姉に殺されるかもだけど。

 

「はぁ…俺も着替えよう」

 

 完全に空回りしてんな…俺。

 でも、船子の言葉はマジで気になるな…。

 箒に言われた通り、着替え終わてから船子に直接訪ねてみるか。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 俺が着替え終わった直後、更衣室に山田先生が入ってきた。

 用事は主に二つで、一つは俺達男子も大浴場が使えるようになった事。

 もう一つは専用機の正式な登録に関する書類を職員室で書いてほしいと言う事だった。

 

「あ…そうだ。金野さんはまだいますか?」

「船子ですか? アイツならまだ着替えてる最中だと思いますけど…」

「そうですか。良かったです。実は金野さんにも用事があって」

「アイツにも?」

 

 山田先生が船子の用事だなんて珍しいな。

 一体何の用事なんだろう?

 

「用事と言っても大したことじゃないんですけどね。実は、江田島学園長が金野さんの事をお呼びなんです。何の用事なのかは聞けなかったんですけど」

「へぇー…」

 

 船子と学園長は旧知の仲だしな。

 詳しい事を言わなくても分かるのかもな。

 

「じゃあ、ちょっと女子更衣室の方に行ってみますね。織斑君は少し待っててください」

「分かりました」

 

 女子更衣室に向かう山田先生の背中を見つつ、襟先などを整えていると、遅れてシャルルも更衣室に入ってきた。

 けど、なんだかシャルルは不機嫌そうで、座った目つきと低い声で『まだいたの?』って言われた。

 大浴場の事も知らせたが、素っ気なく『そうなんだ』の一言だけ。

 さっきから今に至るまでの短い時間の間に何があったってんだ?

 うーん…全く分からん…。

 

 

 

 

 

 

 

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