さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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満たされるまで。



注ぎ続ける

【白の一族】を愛する者たちの愛は総じて重い。

【白の一族】の方も大概だが。

それでも【白の一族】は自分の身を顧みないことが多いので結局は伴侶となった彼らの方も比例して愛が重くなっていくのだ。

 

「…そんなに気にしなくても大丈夫だっての」

 

そう面倒くさそうにボヤく愛しい人の顔には一生残る傷があって。

荒事には慣れているからと、気づけば普通なら死んでもおかしくないことに首を突っ込んで帰ってくる相手にいい加減そろそろ自分がどうしようもなく愛されていることを自覚して欲しいなと声を大にして言いたいのだが……それはなかなか叶いそうもない。

なにせこの一族の人間は自分が愛されているなんて本気で信じはせず、すぐに人を助けに行ってその果てには生きることを簡単に投げ出せてしまうだろう無鉄砲で変に優しくて言葉や態度に出さないのに愛さずにはいられない人なのだ。

そして彼らはそんな一族の人々を心から愛しているから。

だから、今日もまた彼らは…。

 

「痛い痛い痛い!こんなのツバつけときゃなお…ッギャ!舐めるな!!」

 

*

 

傷つけられるのに慣れていた。

迫害されるのだって慣れっこだし、それが自分の運命だと受け入れていた。

だから、そんな自分にも優しくしてくれる人がいるなんて知らなかったし、その優しさがとても心地いいことも知らなかったんだ。

……いや、本当はそれまでも与えられていたのかもしれない。

でも自分たちはそれを見ないふりをしていたんだ。

だってそうだろ?

そんなのは夢物語で自分たちには無縁なことで……いつかきっと裏切られると思っていたから……ずっと知らないふりをしてきたんだよ。

だけどさ……もうそれも終わりにしようと思うんだ。

もう見なかったふりはやめてちゃんとこの現実と…目の前のあなたと向き合おうって。

 

「すきだよ」

 

ぽそりとそう言葉にすれば大なり小なりが変な行動をした。

何度も相手から言われ慣れた言葉であるが、いざ自分が言葉にするとなると気恥しいものである。

やはり好きなどと言われたくなかっただろうかと少し残念な気分にはなったが、それでもはっきりと自分の意思で自分の気持ちを伝えることが出来てよかったと複雑な気持ちを抱えつつ反応を待っていた。

いつもであればこの後にすぐ絡んでくるというのに今日はそれがない。

どうしたのかとちらり周りを見渡せばそこにいたのは両手で顔を覆い天を仰いでいる相手の姿だった。

どうしたのかと問えば……おいおいそんなに意外だったのか?と思わず呆れてしまうほどの抱きつきを食らってしまったのは…また別の話。





受け入れるまでの道のりが長い〜。
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