ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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スキー場にたどり着かないだと…


修学旅行② 1日目 移動中

修学旅行当日の朝、全部で4台のバスが集まり、私服姿の2年生が全員整列する。これから乗るバスは、誰がどこに座るかが決まっていない。全員が座り終え、残った席が俺の指定席になるだろう。幸い堀北クラスは39名と奇数な為、到着するまでは1人バス旅行を楽しめる事だろう。

 

「八幡、ちょっといいかな?」

 

声をかけてきたのは洋介だ。

 

「バスの席の事なんだけど、良かったら僕が空港まで隣に座ってもいいかな?」

 

「断る」

 

いかんな。条件反射で断ってしまった。それより洋介の隣の席なんて特等席だろう。現に女子生徒数名の熱視線が送られているのがわかる。

洋介は目を見て訴えかけてきていた。こいつ席の争奪戦から逃げたな。

 

「はぁ〜。その代わり無駄に話しかけんな」

 

「それは残念だけど…わかったよ。ありがとう、八幡」

 

笑顔で答える洋介。俺を光の彼方へ消し去るつもりか?

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

新千歳空港に降り立った俺達は、空港のロビーで整列を始める。ここからグループ行動の開始である。

 

「グループが全員集まったところから、席決めを行うように。それぞれに割り振られた席を話し合って決めてくれ」

 

「一緒のグループになったねっ。八幡」

 

「なんかしたのか?」

 

「ほんと偶然だよっ!奇跡だよ!今日だけは神様に感謝しないとね」

 

「堕天使なのに?」

 

「そんなぁ~天使みたいだなんて♪」

 

「言ってないし、褒めてないんだが…」

 

そんないつも通り?のやりとりを桔梗としていると

 

「桔梗ちゃ〜ん」

 

生徒達の群衆から抜け出るように、一之瀬クラスの渡辺と網倉が手を挙げた。当たり前のように桔梗は網倉とも仲がよいらしく同じグループになったことを手を取り合い喜び合う。

 

「今日から5日間よろしくな」

 

「おっ…おぅ」

 

「もぅ…。ごめんねー。渡辺君。八幡は極度の人見知りなだけだから仲良くしてあげてね。う〜ん…慣れるまでどれくらいかかるかな?」

 

「5日だな」

 

「修学旅行終わってるよね?」

 

「はははっ。桔梗ちゃんと比企谷君。仲いいんだ〜」

 

「中学からの腐れ縁だ」

 

「腐ってんのは八幡の目だけで十分だよっ」

 

次に姿を見せたのは龍園クラスの西野と少し遅れて龍園。

 

「おはよう西野さん、それから龍園くんも」

 

「……よろしく」

 

女子の西野だが、櫛田や網倉とはそれほど交流がないのか少し気まずそうだ。

 

「ククッ。まさか腐り目と同じグループとはなぁ。修学旅行の期間中、精一杯オレに仕えてくれよ」

 

「嫌だが?」

 

「おっと…手が滑ってひよりに…」

 

「承知致しました。誠心誠意お仕えすると誓います」

 

「ハハハッ。こき使ってやるから楽しみにしとけ。知的メガネ執事さん」

 

「なっ…なんでお前が…」

 

「うちのクラスでも話題になってたからなぁ。みな誰かわからなかったが、ひよりが『比企谷くんですよね?皆さんどうかされたのですか?』だとよ。愛されてるじゃねぇか」

 

「消してくれ。今すぐ全員の記憶消してくれ!」

 

「なんで、渡辺くんが声かけたらキョドってたのに、龍園くんには自然に対応できんの?」

 

「……初対面じゃないからかなぁ…あとは鬼頭くんと山村さんだね」

 

「もう来てるだろっ」

 

「えっ」

 

俺が桔梗の後方を指差すと、静かに合流していた2人が並んでいたことに気づく。鬼頭は姿をみせるなり龍園のほうを無言の圧力を混ぜつつ睨んでいた。「(龍園と)混ぜるな危険」って事か。理解した。

一方の山村は、誰を見ることなく視線を落としながら近づいてきた。かすかに俺のアホ毛が反応した気がする。

 

「全員揃ったみたいだし、早速だけど席を決めないとね」

 

「やっぱり男子は男子、女子は女子で固まるのがいいんじゃないかな?」

 

「皆はどう?異論はないかな?」

 

桔梗と網倉の会話で席決めが進んでいく。他のメンバーから特に反論はない。男子から女子の隣じゃないと嫌だ。とは言えんわな。

 

「俺は龍園の隣でなければ文句はない」

 

鬼頭は1番困るような発言をボソッと呟いて、元の位置に戻ってしまう。

 

「……どうする?比企谷」

 

「俺が龍園の隣が妥当か…。仕方ない。それで問題ないか?」

 

「あぁ。正直助かったよ。鬼頭は普段おとなしいっぽいし。こっちから敵意を向けなかったら何もしてこないと思うんだよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おいっ。腐り目。てめぇはこれからどうするつもりだ?」

 

「文化祭で力尽きた。もう何もせん。これ以上働きたくない。あとは堀北次第だ。知らんけど」

 

「それはクラスが下に落ちてもか?」

 

「前にも言ったが、Aクラスで卒業する事に興味はない。それに…」

 

「それになんだ?」

 

「俺達のクラスはまだAクラスに実力が見合っていない。いっそ一度Dまで落ちてもいいくらいだ。クラスポイント0は流石に勘弁だけどな」

 

「クククッ。なぁ、やっぱりうちに来ないか?ひよりも喜ぶぜ」

 

「不可能だ」

 

「ポイントの事言ってんのかぁ?だいぶ溜め込んでいるって聞いてるぜ。今なら不足分貸してやってもいい」

 

「4000万」

 

「あぁ!?」

 

「クラス異動するなら桔梗とセットになる。1人だけ異動したら、その後どうなるか俺には保証できん」

 

「だから、不可能か。ククッ。分かった。今の話は忘れろ」

 

龍園とそんな会話をしながらバスはスキー場へと向かっていく。よくよく考えてみるとこのグループは俺にとって最適なんじゃないだろうか。率先してグループの方向性を決めてくれる桔梗と網倉。龍園と鬼頭は混ぜなきゃ問題ないので基本放置でよい。癒し枠の渡辺にボッチの香りがする西野。

それに山村だ。俺のアンテナ(アホ毛)が反応したのであれば同種の人間のはずだ。固有スキル『ステルスヒッキー』とならぶ『ステルスミッキー』を取得しているとみた。この修学旅行。どちらが存在感をより消せる事ができるか、そんな戦いが今始まろうとしていた。

 

「あの雰囲気…。また、馬鹿な事考えてそうね。。。はぁ…」

 

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