俺は基本ソロの剣士なんだが、自称凄腕の盗賊とバディを組まされている。~お兄さんってぇ、陰キャのぼっちですよねぇ~   作:これ書いてるの知られたら終わるナリ

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不死系討伐7

「……急にどうした?」

 

 俺は静かに問いかける。非難する意図は無い。依頼をこなす過程での負傷は各々の責任だ。

 

「ほら、君も肩に傷があって大変でしょ? それに、聖職者のボクがついて行った方が解呪を使える人を探すとき、何かと便利だし」

 

 確かに、肩の傷には回復が効かないとはいえ、聖職者がパーティに居るのは何かと有利だ。それに解呪を使えるのは聖職者だけ、同業者なら何かとコネクションもあるだろうし、断る理由が無いだろう。

 

「それは構わないが、左肩のことで負い目を感じすぎるなよ」

 

 冒険者にとって、仕事を続けられないほどの事態になることはよくあることだ。その状況で「私を守るために貴方はこうなったので責任をとります」なんて言い出したら、負債で潰れることになる。

 

 さらに言うと、わざとらしくゆすりたかりの口実にする冒険者もいるのだ。同じパーティメンバーならまだしも、つい先日会ったばかりの相手に、そういう考えを安易に持つのは危険だった。

 

「うん……ボクも軽率だった」

 

 ティルシアはそう言うと、言葉を続ける。

 

「今までは、墓地とかで発生した小規模なアンデッドたちを相手にしてたんだ。あそこまでの規模は初めてだったけど、数が多いだけで難度は変わらないと思ってた」

 

 偶発的に生まれる不死系魔物は、大体が数匹程度で簡単に討伐される。それを基準に考えてしまうと、大規模発生をした時に失敗をする。

 

 大規模発生はそうなる理由があり、その原因も様々だ。今回のように不死操者が居る場合もあれば、単純に戦場跡で偶発的に大規模となってしまった場合もある。

 

「それに気づけて死んでないなら、それでいい」

 

 冒険者を含め、各地の集落を転々とする俺たちみたいな存在は、簡単に死ぬし簡単に食い扶持を失う。その中で死なずに教訓を得ることが出来たのなら、それで十分だろう。

 

「そっか……じゃあ、気にしないことにするね」

「ああ、そうしてくれ」

 

 そう答えると、ティルシアは俺の背後に回り、覆い被さるように抱きついてきた。思わず身じろぎするが、左肩の痛みと唐突に感じた柔らかな感触に、脱力せざるを得なかった。

 

「今度は何だ?」

「ちょっとの間だから、さ」

「……そうか」

 

 返ってきた反応が、思ったよりもしおらしくて、俺は面食らう。どうやら観念してじっとしているほか無いらしい。

 

 身体を動かしている間は特になにも感じなかったが、じっとしていると頬をなでる風には、冬の気配が混ざっていることに気づく。そして、それと同時にティルシア自身の暖かさも。

 

 目の隈と姿勢の悪さから異性として意識していなかったが、こうも密着されると、考えないようにしても身体の柔らかさを意識してしまう。

 

「うん……ありがとう」

 

 どうするべきか、困惑しているとティルシアは静かに身体を離してくれた。

 

「気は済んだか?」

「くふふ、君って意外と朴念仁だね」

 

 いたずらっぽく笑う彼女に、俺は「そうだな」とだけ応えた。

 

 

――

 

 

「さて、次の目的地はルクサスブルグでしたっけ?」

 

 翌朝、町の出口を通ったあとでヴァレリィが旅路の確認をする。

 

「ああそうだな、通商路を辿っていくから楽な旅路になるはずだ」

「たのしみ、どんなところなの? とうさま」

 

 ヴァレリィとシエルはルクサスブルグを見たことが無い。人類圏で最も栄えている街をこれから見られるということで、二人はどこかそわそわしていた。

 

「……むぅ」

「キサラ、どうした」

「べっつにぃー」

 

 一方でキサラは、むすっとした表情で俺をにらんでいた。

 

「といってもな……」

「そうそう、どうせ旅するなら楽しく行かなきゃ、くふふ」

 

 俺の左肩をかばうように寄り添って、ティルシアが続ける。

 

「誰のせいで不機嫌なんだって思ってるんですか!?」

「だれだろうねぇ、くふふふふ」

 

 ……どうやら、俺の知らないところで俺の知らない戦いがあるらしかった。

 

「キサラ」

 

 一つ溜息をついて、不機嫌そうにそっぽを向いているキサラに声をかける。

 

「なんですかぁ?」

 

 キサラはそのまま、こっちを見ようとしない。仕方なく、俺は彼女に歩み寄る。

 

「っ……だって、勝手に新しい女の子――」

 

 ビキニトップのひもを引っ張る。簡単にズレた。

 

「ぎゃああああああああああ!!!!!! 何考えてるんですか!???!!?!?!?? 今それをやる雰囲気じゃ無かったでしょ!!!!!!!!」

「いや、不機嫌そうだったから」

「どうしておっぱい開陳させたら上機嫌になると思ったんですか!!??」

 

 いや、いつも割と機嫌直さないか? とは言わないでおいた。




お読みいただきありがとうございます。ちょっと更新滞って申し訳ない。全てペルソナ5Rを買って今更ハマってしまった自分のせいです。

前回でも言いましたが決闘代行の辺りでまた挿絵を描いていただきました。欠いた人は引き続きただのムトーさんです。感想を送ってあげましょう。

次回以降、人数が増えたので日常回というか、コメディ寄りに書こうかなあって思ったり……

では、引き続き高評価・ブクマをよろしくお願いします。
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