いや、復活したマンガ図書館でも読めるけどさ。
電子とはいえ、あれを読むと――――――当時の萌えの絨毯爆撃とでもいうべき美少女ヒロイン多数の楽しさを思い出せた……。
というわけで新話どうぞ
あの地獄のような九校戦を終えて、そして夏休みを経て遂に第一高校再開。
そう、再開したのだが……。
「――――」
「――――」
その主たるべき場所にてすごく不機嫌を催している存在がいたのだ。
そう、アンジェリーナ・クドウ・シールズという美少女があからさまに不機嫌を出していたのである。
これには夏休み後、恒例の「猥談」というにはお嬢ちゃんすぎることを話そうとしていた生徒会室にたむろしている生徒会役員なども黙るしかなかった。
『ちょっと、達也くん。なんでアンジェリーナさんはあんなに不機嫌なの?』
小声で耳元に囁くように聞いてくる会長に少しだけ変な気持ちになりながらも、自分が知っている限りを言うことに。
ことの起こりは九校戦後の残りの夏休みのことである。
前々から言っていたことらしいが、アンジェリーナの同居人である浦島啓太は、佐々木ゼミナールと東進HIGH-SCHOOLに夏期講習を申し込んでいたらしく、そちらに行くことは決定していた。
ところが、アンジェリーナ……リーナに対してA組の同級生であり友人でもある北山雫から「別荘付きのビーチ」への誘いが来たのであった。
「浦島君は誘わなかったの?」
「……一応は声掛けしておくのが礼儀かと思いながら連絡しようとしたのですが」
特に親しいわけでもないどころか嫌悪を示している浦島をハブにすることは……達也及び他の人間たちとしては当然であったのだが、それでも社交儀礼で誘おうとしたのだが―――。
「浦島に対する『連絡』がどうやっても不通だったんですよ」
別に意地腐れで、そんなことをしたわけではない。ただ「人づて」に教えられた浦島啓太へのアドレスがどれもこれも通じず、昔で言う『メーラーダエモン』状態になっていたのだ。
「そんなことあり得るの?」
「まぁアドレス間違いだった『可能性』はありますが……」
正直、これに関して達也は疑問を抱いている。しかし、この時点で雫の誘いが浦島になくリーナにだけあったことで。
『俺は北山さんに誘われていないよ。そんな誘われていないやつが図々しく行くわけにいかないだろ? 行ってらっしゃい』
として快く(啓太だけ)送り出したわけだが……。
『夏期講習ダケなの?』
『まぁ親戚一同の集まりに行くとかあるかも、連絡は入れておくよ』
などという後ろ髪を引かれる(リーナだけ)やり取りがあったとは『聞いている』。だが、事態は予想外のことに陥ったのだ。
「浦島はどうやらその2日後に―――「火星」に向かったそうです」
「―――――――」
思わず絶句する真由美に達也としてもなんと言えばいいのか分からない。
「まぁリーナとしては、一番親しい自分にも秘密にして何処かへと行った浦島と半ば冷戦状態のようで―――」
火星に向かったことそのものは特にリーナは気にしていない。問題は、自分に一言もなしに火星に行ったことである。
「リーナ、そんなにまでも不機嫌を表に出さなくても、第一……そんなにまでも浦島君がいいんですか?」
「アンタにとって『一番のモノ』を他のモノで我慢しておけとかいうそういう理屈に納得出来るならばネ」
深雪の説得というか、妙な言い分をあっさり斬り捨てるリーナ。一番のモノというところで達也を親指差ししてきたことで深雪は引っ込まざるを得ない。
「九校戦の時も思っていましたが、浦島君はフットワークが軽いですよね。気づけばあちこちに行っているとでも言えばいいのか……そもそも幼児の頃からUSNAに旅行に行けてるとか」
何気なく出した市原の浦島啓太に対する評だが、それはリーナの耳を引いた。
「ウラシマ家の男子というのは、ソウイウモノなんですよ。一番巷間に知られている
それを聞く限りでは、特にウラシマ家の男子の意思が介在しているようには思えないが……。
(ただ雫からのメールが届かなかったことに、何か裏を感じるな)
嘆くリーナの言葉を聞きながらも……。
「とりあえず魔法世界で何をしていたのかを聞かないか?」
という風紀委員長・渡辺摩利の当たり前の言葉を受けて尋問するように呼び出してはあれなので、どうにかなんとか普通の食事時に聞き出せないかと思うのだった―――――。
が。
それから3日間、浦島啓太を食事時に連れ出すということは出来なかった。
「達也君は同じクラスのはずでしょ!?なんでなのよ!?」
「いや、俺もなんとか接触をしようとしているんですけど……」
E組において、いまだに夏休みの熱狂冷めやらぬというか達也が九校戦の勝利の立役者であるということが、どうやらクラスメイトの耳目を惹いているのだ。
「浦島君だって活躍したはずよ!!なんで達也君ばかりにE組生徒が集まるの!?」
真由美の疑問はもっともすぎた。しかし、どうにも浦島の『成績』は過小評価されがちというか。
全く認知されていないかのように話題に上らない。それどころか中継されていた九校戦の映像から浦島啓太の様子が無くなっていたのだ。
「応援に来ていた生徒たちだって見ていたはずなのに……」
完全にキツネに抓まれた気分になりながらも、もはや呼び出して聞き出すしか無さそうだ。
上手くいくかどうかは分からないが、果たして……。
その日の昼食。生徒会室よりも広めの部活連にて九校戦でもないのに、一人の生徒から話を聞くべく、呼び出すのであった。
「単刀直入に聞くが九校戦後に「魔法世界」に行ったそうだな」
「そうですね。麻帆良の学園長サマに『行くぞ』と言われてついていかざるを得なかったので」
龍宮真名があの九校戦のラストパーティーにいたのは、そういうことだったのかと思う。
十文字は出した質問に対して多くの補足を付け足しながら思う。
「何が気に食わないんですか十文字さん及び他の人々は」
「ソーヨネー、ケータはやるべきことやっただけヨネー♪」
……3日前には、浦島に不機嫌を隠していなかったアンジェリーナが何故か浦島を擁護する側に立っていた。解せぬ。
そういう思いを深雪は出しつつ話の行く末を見守る。
「お前は魔法界側の『マギステル』と魔法師が『敵』として戦う事態を予見していたな。九島健の考えもそれだった……なのに、お前は―――」
「別に俺は魔法師の味方というわけじゃないですよ。それにあくまで『あちら側』が、自分たちの世界を存続出来るならばそうしなくてもいいだろうとしているのは間違いないですから」
「衝突を避けるネゴシエーション能力がお前にあるとはな……」
「少なくとも。俺のやっていることが魔法世界の救済の一端になることは間違いないですから」
だが、時間はそう多くないかもしれない。
内心でのみ付け加えつつ……。
「で、みなさんは何を聞きたいんですか?」
「―――、お前が夏休みにやっていたこと全てだ」
「前半は皆さんもとっくにご存知だと思いますが?」
「言い方が悪かったよ。お前が九校戦後に向かったという魔法界……ムンドゥス・マギクスで何をやってきたか、だ」
「ネギ・スプリングフィールドの曾孫―――超鈴音という少女とのHeartトキメクSummer Vacationを」
そのネイティブスピーク混じりの発言にリーナを除く全員がずっこけるのだった。