時は1910年代
世間は煌びやかであるが、闇夜に蠢く集団がいた
ー黒装束に身を纏い、日本刀を携えている謎の集団ー
帝国陸軍は彼らを利用出来ないかを判断するため1人の武官を潜入させるのであった

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リハビリがてらに書いています
需要があれば続けるかも・・・(誰得?)


三宅坂 陸軍省省庁一室にて

1912年9月

大帝が崩御してから約1ヶ月程経ち、各庁舎も普段通りの落ち着きを取り戻し始めた頃合い、私は自身が所属している組織の上司に呼び出される形で赴任していた海外からはるばる帝都へと赴いた。

 

横浜港に着くと、そこからは汽車に乗り、帝都玄関口の新橋駅を降りると、そこからは馬車の旅である。

私を乗せた馬車は大手町、霞ヶ関を通り過ぎると、この旅の目的地である三宅坂へと辿り着いた。

 

三宅坂ー陸軍省、参謀本部といった陸軍中枢が拠点を構えている一帯であり、私の所属先(ホーム)である。

門の前に着くと、旅気分が一変、戦時中とも劣らない緊張感が私の体を包み込む。

なぜわざわざ海外から私を呼んだのだろう。

命令とはいえもう少し(シャバ)の空気を堪能したかったが、それは顔に出さない。

衛兵に敬礼し、三宅坂の門をくぐると、呼び出した張本人の部屋に案内されるのであった。

 

 

 

 

 

「正体不明、存在しているかどうか怪しい組織の内定調査ですか?」

書類に目を通して直立不動の私の目の前には、この部屋の住人である陸軍少将がどっしりと座っていた。

ちなみに私が尊敬する上司の上司である。

まあ私は今まで一度も顔を合わせたことがないが、いわゆる雲の上の人という奴だろう。

一将官が尉官である私と対面で話をするなどただ事ではないと思い、話を聞いていた。

 

「そうだ、近頃帝都で不審な殺人事件が立て続きに起きていてな。その事件は組織立って実行されているのではないかとの話だ。先帝がお隠れになられた時期と相まってか、不安を掻き立てないよう内務省は口外令を出していた。だが、事件は止らん。今生帝が即位してからわずか1ヶ月で10件以上も連続で事件が起きている。しかもその遺体は何かに喰われたような跡があるなど異常だ。そしてそのような遺体の側には黒装束を着、日本刀を携えた者がいると話が挙がっている。やはり人の口は完全に閉じることはできんようで、噂話として今や帝都中に広まっているというわけだ。内務省も事態を重く見て総員を上げてこの連続殺人を解決しようとしている。」

「その連続殺人事件と件の組織の潜入に私とどういう関係が?お話を聞くに我らの管轄ではないようですが?」

私は意見を具申すると大佐は煙草をゆっくりと吸い込み、話を続けた。

 

「ああ、なんでもその連続殺人者は不可思議な能力を持っているという。常人ではあり得ないような身体能力に人を斬りつけると其奴は跡形もなく消えてなくなる・・・とな。ここまで話せばわかるだろう。参謀本部の連中は奴らを運用したいと考えているそうだ。人為らざる力を兵器として使えないか・・・全く連中の考えていることなど理解したくもないがね」

 

私は何やら雲行きが怪しくなりそうなのを感じとり、上手く話を軌道修正出来ないかと試みた。

「ですがこの件はやはり内務省の仕事ではないでしょうか。彼らの仕事は帝国内部の安寧を図ること。いくら我々がある程度国内に融通が効くとはいえ、あまり他の管轄に土足で踏み込むのはいかがなものかと」

「だからこその君なのだ!」

 

どうやら軌道修正は失敗みたいである。

大佐は口に咥えていた煙草を私に突き刺し話を続けた。

「先の露西亜との戦争で君は明石大佐の右腕として敵地に潜入し、戦争の勝利に貢献した。今現在大佐が朝鮮で赴任している中、彼を除いて君より優れた諜報員は存在しないのだ。参謀本部の連中はもちろん陸軍中枢も君のことを買っている。君が動かせるからこの件が始めることが出来たのだ」

 

嫌な流れだ。

頼むから最悪の事態だけは轢かないでくれとと心に願うが・・・

「君に与えられた任務は2つ。一つ、正体不明の組織に潜入し、情報を探ること。二つ、自身が陸軍に所属していることを相手組織、内務省に憚れないこと。以上だ。ああ、それともう一つ伝えるのを忘れていた。これ以降、君は陸軍の所属ではなくなる。そのため我々と君はこれ以降接触することはないと考えたまえ。次に会うときは任務に成功した時か、君の死面を私が見るかのどちらかだ。以上だ、退出したまえ」

 

ゲームセット

最悪の籤を引いたようだ。

有無を言わさない少将の雰囲気を察知し、これ以上の悪足掻きは無駄だと判断した私は部屋を退出した。

 

 

「ああそうだ、君の偽名だが・・・そうだな、結城と名乗りたまえ」

 

部屋の中から任務で使用する私の偽名が与えられる。

私こと結城は終わりが見えない任務に向かって走り出したのであった。

 

 


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