幻の夢を追いかける花 作:或る記憶
今でも覚えている。
先生が頭を撫でてくれた事。
先生が私に沢山の知恵をくれた事。
先生が「旅をしよう」と世界を見せてくれた事。
全部、覚えている。
「先生は、旅行をしに行ったんだ。だから、少しの間会えなくなる」
お兄ちゃんは、優しい言葉と共に私の頭を撫でてくれた。
だけど、私は知っていたの。
先生がどうなったかを。私だって馬鹿じゃ無いもの。
でも、お兄ちゃんからの言葉は現実を受け入れたく無い私には嬉しくて、寄り掛かるには十分だった。
本当は恥なんて考えずに泣き叫びたかった。どうしてと先生を叩いてやりたかった。
だけど、私は先生が愛してくれたウマ娘だから、溢れた涙を雑に拭ってしゃんとしていた。全部が終わる迄、必死に押し込んだ。
全部が終わって、私はベッドの中でタオルを顔に押し付けて漸く泣けた。泣いて、泣いて、日が昇った頃に次に泣くのは自分の為にと涙を仕舞い込んだ。
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舗装はされているものの、少し年季が入り、歩き辛くなっている混凝土の道を両手に荷物を持って歩く。
学園からは少し遠くて、何度か電車を乗り継いだ場所にあるこの場所。
慣れたルートを迷わず辿って、脚を止める。
周りと比べても特別大きな大理石で作られた先生の眠る場所。
雑草や苔が生えている事は無く、花立には私が持って来た物の入る隙間が無い程に瑞々しい季節の花が美しく飾られている。
何年経っても先生を慕う人が絶えず、この場所を綺麗なまま保ってくれている。
……私もなんだか、鼻が高い。
「先生」
何本かの線香を香炉へと入れ、元々の花に邪魔にならない程度に飾る。
話し掛けても昔の様に返ってくる事の無い先生へと気にせず独り言を口にする。
「私、秋の天皇賞に勝ったんだ。あのミスターシービーさんや、タマモクロスさん、トーセンジョーダンさん、名だたるウマ娘達が名前を残している誉を、私も貰ったんだ」
「スランプ。も、したけどさ、チームの皆がトレーナーが助けてくれて、手を引いてくれて、私はもう1度走れたんだ」
「"美しいものを見なさい"、"旅をしなさい"。先生からの教え。私はまだ、守ってるんだよ」
「だからさ、先生も旅をしながら時々で良いんだ。私達の事、見ていてね」
「貴方がいたから、私は今、此処にいる。幸せに生きている。」
「これからも、旅をしよう。ね、お父さん」
200:名無しが適当語り ID:aOm8Z+/ww
アセビさん家の長女ストーリー、例のシーンで泣いたオタクおらん?
201:名無しが適当語り ID:bOQd72a8Q
>>200
初回で泣いたし、なんなら今でも見返して泣いてるぞ
202:名無しが適当語り ID:uKVXTRw/2
>>200
あんなん泣く
203:名無しが適当語り ID:tUjTBc1lL
>>200
例のシーンを見て泣いて、プロフィールが生死関係無く読める様になってるのに気付いて泣いた
204:名無しが適当語り ID:oBKc1FR2h
フェスタさんが原作改変されて夢を見せてくれたのに対し、原作通りに行くボタンさんに泣いた
205:名無しが適当語り ID:Sw+udUc6Q
>>204
フェスタも泣いたけど、ボタンも同じくらい泣いた
206:名無しが適当語り ID:uzjUH5wvE
ごめん、史実ニワカオタクなんだけど、例のシーンだけボタンちゃんがお父さんの事を「先生」って呼んでる事に何か元ネタある?
207:名無しが適当語り ID:A4BpIOfph
>>206
元ネタというか、馬主である円谷さんが小説家と実業家をしている人で、周りからも基本的に先生って呼ばれていたので、実馬の方のアセビボタンにも「円谷さんが来てくれたよ」ってよりは「先生が来てくれたよ」「円谷先生が来てくれたよ」って言った方が反応が良かったみたいな話がある。
208:名無しが適当語り ID:tToXPwE0o
>>207
また元ネタボタンさんの事を知ってしまった
209:名無しが適当語り ID:sUii4Qdiq
>>207
アセビボタンがウマ娘化してから新しいエピソードが出る様になってありがてぇ、ありがてぇ!!
210:名無しが適当語り ID:nwtZdPmVy
例のシーン、始まった瞬間に察してしまってお兄ちゃんの言葉からボロ泣きしてしまった
211:名無しが適当語り ID:0TEsA4InF
>>210
分かる
212:名無しが適当語り ID:FN8g7I6zS
>>210
お兄ちゃんの優しい声が逆に辛いのリアルで良かった
213:名無しが適当語り ID:9rZhjIbR1
先生に私達を見守っててって言うの最高にお姉ちゃん
214:名無しが適当語り ID:ybuZUHlpF
>>213
これはチームリーダーですわ
215:名無しが適当語り ID:NANj9RObz
>>213
流石アセビの祖