幻の夢を追いかける花 作:或る記憶
初詣というのは場所によって深夜から長蛇の列が形成され、賽銭を投げる迄に何時間も寒い中待つというのは最早風物詩であり、新年初の1大イベントである。
しかし、全ての寺社仏閣がそうでは無く、所謂有名どころ以外は静かな場所が多い。
特に地元の人間しか知らない様な場所だと特に。
「明けましておめでとう御座います。今年も、チームシェアトで頑張ろうね」
トレーニング以外では基本下ろしている髪を綺麗に纏め、見慣れない着物を見に纏うウマ娘が口を開く。
そのウマ娘の周りには5人のウマ娘がおり、個性豊かに其々の格好をしている。
スカジャンにショートパンツ。学校指定のコート。普段は見る事の無い髪型。珍しい海外ブランドの洋服、逆に着物に着られていたりと様々。
「それじゃあ、初詣行こっか。終わる頃にはきっと初日の出も見られそうだね」
「オー」
「皆さんは、絵馬。書きますかー?」
「ローちゃんは書くよぉ」
「吾は絵馬と御神籤を」
「わ、わたしも書こうかなー……なんて」
「うん。それじゃあ皆で新年初の運試し、だね」
6人はワイワイと会話に花を咲かせながら長い石段を登り始める。
登り切った神社は絵馬や御神籤、お守りや破魔矢の販売などしっかりしているが何故か地元の人間+地元のウマ娘+観光でしか人がいる姿を見ない不思議な場所だ。
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静かな境内で本坪鈴をガラガラと鳴らし、思い思いの硬貨を賽銭箱に投げ入れて手を合わせる。
「……ねぇ、皆は何をお願いした?」
「……秘密」
「それは、乙女の内緒。ですねー」
「ふっふっふー」
「申し訳ありません。お願い事を言ってしまうと叶わなくなるという噂を聞きまして……」
「ぎゃ、逆に!ボタン先輩はな、何を」
「そうだなぁ……私も秘密。かな」
6人を除けばまだ数人しかいない境内でキャラキャラと笑う。
そうしていれば、頭を出し始めた太陽の光に目を奪われ耳が動いて、尻尾が揺れる。
導かれる様に敷地を囲う柵迄寄れば袴を来た男性から、お参りに来た近所の顔馴染みから気を付けてねと声を掛けられて、元気良く返事をした。
キラキラと太陽が煌めいて、世界を照らす。
見慣れない美しい風景に夢中になった。
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《ボタン達は初詣か?》
「はい。トレーナーさんもですか?後ろから声が聞こえます」
《おう、ちょっとした仲間とな……こっちは人が多過ぎて初日の出が昇るのを見逃した》
「それはそれは」
《来年、もう今年か……駆け出しトレーナーだが宜しく頼む》
「はい!私からもどうぞ宜しくお願い致します。それと……」
《それと?》
「「「「「「明けましておめでとう、トレーナー!」」」」」」
《……なんだ勢揃いしてやがったか、おめでとう