多分レイマリ
レイマリと言い張ればきっとそうなる

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多分レイマリ


星と太陽

お父様と喧嘩をして家出をした。

切っ掛けは些細な事だったけれど、収拾が付かなくなって考え無しに外に出てしまった。

 

悪いのは頭の固いお父様だから、私は悪くない。

だから、今外を走っていることを反省することはないだろう。

 

ただ、夜の山に向かって走ってしまったのはかなり後悔をしている。

 

草葉のざわめきが、虫のさざめきが私を拒むように感じる。

頼れる明かりは月と星の輝きだけ。

暗闇と孤独は、小動物の駆ける音がそこに誰か居るんじゃないかと錯覚させた。

 

 

怖い

ただただ怖い

 

けれども、家に帰る気にはならなくて前に進み続けた。

山にある人気の無い神社なら、一夜を明かせるのではないかと思ったから。

 

 

ぱきり、と木の枝を踏んだら音が鳴った。

がさり、と何かが蠢く音がした。

 

何かと音の鳴る方を向くと赤い双眸と目が合った。

悲鳴をあげることも出来ずに尻もちを着くと、私の頭上を獣が飛び越えた。

 

夜の山には妖怪が出る。

 

里では誰もが骨に刻まれるように教えられる事だ。

それを頭に血が上りすぎて忘れていたツケを払っている。

 

 

死にたくない

死にたくない

誰か助けて

 

 

最初の一撃は間一髪で躱したものの、足腰に力が入らず動くことが出来ない。

獣は動けない私を見て楽しそうに舌を舐めずり、ゆっくりと近付いてくる。

この先の惨劇を想像できてしまって、怖くて思わず目を瞑った。

 

 

ぱきり、と獣が木の枝を踏む音がした。

ずさり、と獣から音がした。

キャン、と獣のかん高い悲鳴が聞こえた。

 

そのまま獣は走り去り戻ってくる事はなかった。

 

「あなた大丈夫?」

 

声は上から聞こえた。

 

目を開くと、満天の空に浮かぶ一人の少女がいた。

 

月と星の明かりに照らされて、太陽のような赤がそこにいた。

 

「はい、お陰様で」

 

私は上手く喋れているだろうか。

 

「なんでこんなとこに一人で、とりあえず里まで送るわ。立てる?」

 

ドキドキとうるさい程高鳴る心臓が

のぼせた様に熱くなる顔が

私から私を奪おうと邪魔をする

 

「何とか」

 

腰が抜けているのに、少しでも良いように見せたいために強がってしまった。

そんな事を知らずか彼女は手を差し伸べてくれた。

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

真っ赤な瞳を吸い込まれるように見つめていた。

瞳に写る私は涙と土で汚れていて、急いで服の袖で顔を拭った。

鼓動の音が耳に響いて考えがまとまらない。

 

 

「あの、お名前を聞いてもよろしいでしょうか」

 

この気持ちに名前を付けるとしたら

 

「霊夢、博麗霊夢よ。この先の神社の巫女」

 

それは正しく恋だろう

 

 

 

 


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