自我を持ったロボットは、人か否か。
それは、昔から数多くの作品のテーマにされてきた。
無機物と0と1の集合体であるロボットなど人ではないのか。
心を通わせたロボットは、単なる無機物と0と1の集合体ではないのか。
肌の色ですら長年争ってきた人間は、自我を持つロボットという存在を認められないのか。
あらゆる困難を乗り越えてきた人間は、ロボットだろうと手と手を取り合えるのか。
時は2XXX年。
極東の小さな島国に、その答えはあった。
曰く—————
「「「「「なんだか知らんがかわいいからヨシ!!!!!」」」」」
某国、とある研究室。
男達が何やら集まって話をしていた。
彼らはこの国が誇る天才達。そして行っているのは国家の一大プロジェクト。
よってその会話におふざけなど入る余地はなく、皆真剣な顔をしている。
「古い映画とかアニメ観てて思ったんだけどさ、皆ロボットを人に似せる癖に人じゃない扱いするから反逆なんて起こされるんだよ。どっちかに振り切っちゃえばよかったのに」
「一理あるな」
…真剣な顔はしている。
「じゃあどうする?あらかじめ桜は人と同じだって大々的にアピールするか?」
「いや、それよりも遥かに効果がある方法がある」
「本当か!?」
「ああ、その方法は……」
「……アイドルだ!」
『あ、あの、本当に大丈夫なのでしょうか…?』
「大丈夫だって!ほら、皆が待ってるよ!」
「データ通りにやればいいから!俺たちがついてるから大丈夫!」
『はっはい!』
《お待たせしました!本日の主役!日ノ本桜ちゃんです!!》
『ひ、日ノ本桜です!これから皆さんの事を精一杯サポートするので!よろしくお願いしましゅ!!』
…
……
…………
『……?』
「「「「「「「ワァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」」」」」」」
・どうしよう、思ったより1億倍可愛い
・やば…どんなプログラムしてんだ…かわいい…
・えっ……かわ……尊……
・ああ…いい…スゴくいい…
・桜ちゃんの噛みはいずれガンに効く
・おお……もう……
「桜ちゃんの様子はどうだ?」
「テンパってエラー吐きまくってます。一旦下げさせますか?」
「いや、かわいいからいい」
「了解です」
『え、あ、うぇ、あの、助け』
「桜ちゃんからhelpサインが来てます」
「かわいいからこのままで」
「了解です」
『え!?…そ、それでは聞いて下さい!【サクラ】』
・おめめぐるぐるしててかわいいね♡
・まって普通にいい曲じゃん、かわいい
・こいつら語彙力低下しててワロタwかわいい
・これもう世界のアイドルだろ、かわいい
結果、この突発的なライブは伝説になり、日ノ本桜の名前は日本中に知れ渡る事になった。
そう、日本人のDNAには「可愛い子ががんばってたらとりあえず応援する」という反応が染み付いているのである!
『だからって本番数分前にいきなり言うのはどうかと思います!』
「ハハハ、ごめんごめん。でも事前に伝えてたら本番でも慌てずにこなしてたでしょ?AIである筈の君が慌ててたから皆共感してくれたんだ」
『………凄く納得いかないんですけど』
「sakura?ああ桜ちゃんね、当然知ってるよ。…え?……人じゃないのは当たり前だろう?AIなんだから。……気にしないのか?しないよ、だってかわいいじゃん。かわいいは正義だよ」
〜とある海外雑誌のインタビューより抜粋〜
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