血統
父 アグネスタキオン
母父 トウカイテイオー

これは脚部不安に悩まされ、本来の歴史ならばトレセンから消えるはずだったウマ娘が何の因果か別の世界に飛ばされてしまうお話

名前の由来

ミカド=帝
ロジコス=ギリシャ語で理性的な

素敵な名前を考えてくださった名付け親のたまごさんに感謝を

アンチ・ヘイトは予備

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プロローグ

 春……トレセン学園入学の季節

 

 ここに松葉杖を付きながら入学した1人のウマ娘が居た

 

 ……ミカドロジコス

 

 後にオルフェーヴル、ジェンティルドンナ、ゴールドシップと名だたるウマ娘と伝説を生み出すウマ娘である

 

 ただこの時は入学前に骨折をしている体の管理ができていないウマ娘の1人でしかなかった……

 

 

 

 

 

 コッコッコッ

 

 東京の府中にある日本トレーニングセンター学園に1人のウマ娘が松葉杖を付きながら歩いていた

 

 新しいトレセン学園の制服に身を包み

 

 右耳に王冠と星を散りばめた耳飾りを着用し、茶髪の長い髪の毛は光沢があり、美しく靡いていた

 

 紅色の瞳には1本の白い横棒の様なマークがあり、肌は絹のように白く美しい色をしていた

 

 体は華奢、背の高さは150cmくらいの小柄であり、人押ししたら折れてしまいそうな細い体つきであった

 

 彼女は今学園の門をくぐる……

 

 

 

 

 

「注目ッ! 来たり新入生の諸君! 歓迎ッ! ようこそ、我がトレセン学園へ! 長い挨拶は不要! 諸君達は先輩方の様に魂の燃え上がる様な熱きレースを所望する!! 1つでも多くの勝利! 1人でも多いファンの獲得! 青春ッ! 学業ッ! トレーニングッ! レースッ! 諸君らの活躍を期待している!!」

 

 秋川やよい理事長が歓迎の挨拶を行いクラス発表が行われる

 

 クラスに入った私にクラスメイト達は不思議そうな顔をしていた

 

 右手に持った松葉杖と白いギプスで固められた右足に目線が行く

 

 これは入学前のテストで走った際にゴール後に芝とダートの繋ぎ目に躓いてしまったことで折れてしまったためだった

 

 テストは合格したが、2ヶ月間はこのようにギプスで固定された状態でろくにトレーニングもできない状態となってしまった

 

「ねぇあんた大丈夫? 肩かそうか?」

 

「大丈夫よ。ありがとうね……えっと」

 

「私はロゴタイプ。あんたの名前は?」

 

「ミカドロジコス……今はこんな感じだけど必ずG1を取るウマ娘よ」

 

「G1とは大きく出たね……早く足治して併走でもしましょ」

 

「ええ」

 

 これが私とロゴタイプの出会いだった

 

 クラスメイトにはロゴタイプの他にキズナ、エピファネア等がおり私の足を気遣いながらも優しくしてくれた

 

 寮は栗東寮でフジキセキさんに部屋割りを教えてもらった

 

 ……えぇ、一人部屋ですか

 

 寮の人数の都合で私は一人で二人部屋で暮らすことになり、しかも角部屋という神部屋

 

 部屋の人と仲が悪かったらどうしようと考えていた矢先になんという幸運

 

 とりあえず隣の部屋の人に挨拶をと思いノックをする

 

「すみません新入生のミカドロジコスです。隣の部屋になったので挨拶に来ました」

 

「あぁ、入ってくれたまえ」

 

 失礼しますと言って中に入ると片方の部屋は実験器具が大量に置かれ、もう片方はウマ娘グッツが大量に置かれているなんというかカオスな部屋だった

 

「あわわわわ! 新しいウマ娘ちゃん!」

 

「こらデジタル涎を拭かないか」

 

「おりょりょ……これは失敬!」

 

 目の前に居たのは高速の微粒子の渾名があるアグネスタキオンさんに戦場を選ばない勇者の渾名があるアグネスデジタルさんの2人が居た

 

 私はアグネスタキオンさんの大ファンでメイクデビュー、ホープフルステークス、弥生賞、皐月賞は伝説であり、怪我さえなければ三冠ウマ娘になれていたと言われる伝説の人で、小学生の頃はタキオンさんの走り方を真似てトレーニングしていたりもした程だ

 

 勿論アグネスデジタルさんも芝ダート問わない走りは尊敬しているし寮長のフジキセキさんも尊敬している

 

「ふふーん、おや足を怪我しているのかい」

 

「あ、はい……トレセンの入学試験の後躓いてしまって……」

 

「なるほどね」

 

 そういうとタキオンさんは複数の薬品をフラスコに入れて調合し始めた

 

「デジタルさん、タキオンさんは何をしているのですか?」

 

「タキオンさんはウマ娘ちゃんみんなの健康やウマ娘ちゃんの肉体の研究をしていてたぶん体に良い薬を調合しているんだと思います!」

 

「そうなんですか」

 

「そうなのです! ……ところで写真を撮ってもよろしくて?」

 

「へ? 写真ですか」

 

「はい! 新しいウマ娘ちゃんとの出会いを祝して」

 

「構いませんが」

 

「じゅるりら……ではさっそく」

 

 パシャパシャと写真を撮られる私は困惑しながら居ると、今度はタキオンさんが私にフラスコを渡してきた

 

「できたぞ被験げふん! ミカドロジコス君! 足に良い薬だ! これを飲めば骨の治癒力が上がって早く治るだろう」

 

「ほ、本当ですか! 私の為にありがとうございます」

 

「なに、良いとも……その代わり体に変化が無いか、不調がないか、何かあったらすぐに教えてくれ」

 

「あ、はい!」

 

「では君が一刻も早い完治を願っているよ」

 

「また写真撮らせてね!」

 

 

 

 

 

 

 

 濃い人達だったがいい人達だったな

 

 窓から外を見ると新入生達がチーム加入の為の選抜レースをしていた

 

 私は出遅れてしまっていることを改めて痛感し、目標のG1を取るためにも早く足を治さなければならず、タキオンさんに渡された薬を一気に飲んだ

 

「はれ? なんだか良い気分……く~ん……」

 

 バタンとミカドロジコスは椅子にもたれ掛かり、そのまま眠ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は!? え? はい? ……ん?」

 

 あ、ありのまま今起こった事を話します

 

 タキオンさんの薬品を飲んだと思ったら知らない町の家の屋根の上で寝転んでいた……

 

 頭がどうにかなったのとか催眠術だとか……いや普通に考えれば夢ですね……夢ならもう一度寝れば元に戻るはず……とりあえず寝ましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お天道様」

 

 目が覚めると太陽がギラギラしている

 

 ほっぺたをつねると痛みがあり、これが夢で無いことが本当の様に感じた

 

「いや、たぶん本当なんだろうな……」

 

 とりあえず立ち上がるとふと気がつく

 

「あれ? ……歩ける」

 

 なぜかある松葉杖を使わなくても立ててなんか歩くことができた

 

 勿論ギプスが取り付けられているのだが、なんだかよくわからないが歩ける

 

 タキオンさんからいただいた薬の影響なのかもしれない

 

 とりあえず屋根から降りることにした私は屋根からベランダに、ベランダから平屋の屋根に、平屋の屋根から地面へと順々に降りていった

 

「よしっと……さて本格的にここはどこだ? 交番に行けばわかるのかな……あ、案内掲示板あるじゃないですか……どれどれ……三門市……うーん? 三門市? ……スマホスマホ……圏外? なぜ? 町中ですよ!!」

 

 無情にも圏外と表示されるスマートフォンに切れ気味のミカドロジコスは仕方なく歩いて探索することにした

 

「しかし……人の気配が全くしませんね……かれこれ15分歩いてますが何故でしょう」

 

 次第に不気味に思うようになってきた

 

 知らない町、人の気配が全く無い、そして町の中央にある青い巨大な建造物、時折見つける崩壊した家屋に弾丸や斬られた跡

 

 もしかしたら超常現象的な何かで別世界に飛ばされてしまった等と突拍子も無いことを考えていたりした

 

 更に歩くこと数十分

 

 青い巨大な建造物の前にやって来た

 

「ほぉわー……大きい……写真撮っとこ」

 

 トレセン学園の敷地面積よりは小さいが、建物だけの大きさなら圧倒的にこの建物の方が大きい

 

 パシャパシャと写真を撮りながらボーッと眺めていると人の気配がした

 

「よう、獣耳の美少女……ぼんち揚食う?」

 

「はい?」

 

「あー、なるほど……おい皆こいつ近界民じゃない……大丈夫だわ」

 

 すると家屋の影や何もなかった場所から人が現れた

 

「驚かせてすまないな……ちょびっとピリピリしてるんだわ、俺の名前は迅悠一……あんた名前は?」

 

「ミカドロジコスです。あの……トレセン学園に帰りたいのですがどうすれば帰れますか?」

 

「残念だけどそんな場所は知らないな。でもロジコスは必ず帰れるよ。俺が保証する」

 

 これが私の長い長い旅の始まりであり、最初の……ボーダーとの出会いだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 迅さんという男性と刀や銃を持った人に連れられて建物の中に入っていった

 

 まずこの場所について迅さんが軽く教えてくれた

 

 約3年と半年と少し前に近界民という異世界人による襲撃が三門市に起こり、多数の死傷者と行方不明者を出し、自衛隊が出動したが為す術もなく敗退し、市の壊滅は時間の問題だと思われた時に

 

「俺達ボーダーが颯爽と現れた」

 

 迅さん達ボーダーという近界民と戦ってきた組織が現れてこれを撃退、なんとか市の壊滅という最悪の事態は回避された

 

 それからボーダーは世間一般に認知され、三門市に巨大な基地を作り、日々近界民の襲撃に備えているとのこと

 

「少し触るぞ」

 

「え、あ!?」

 

 迅さんが髪を上げたり、耳を触ったりする

 

「スゲー、本物だ」

 

「ちょちょちょ! 何するんですか!」

 

「いや、獣人なんて始めてみたからさ」

 

「獣人じゃないです! 私はウマ娘という種族です」

 

「ウマ娘?」

 

 迅さんに今度はウマ娘について説明する

 

 身体はほぼ人と同じだけどウマ耳と尻尾を持ち、人よりも遥かに優れた身体能力を持つ種族で走ることに至高の喜びを感じる

 

 レースを行いレース後にウイニングライブを行いファンを獲得していく

 

「まるで競馬にアイドル要素を足したような物だな……聞いたこと無いや」

 

「こっちもボーダーというのを聞いたことありません……この場合私が異世界に来てしまったというのが正しいのでしょうか」

 

「だろうな。こっちもウマ娘というのは聞いたことが無い」

 

「……私どうなるのでしょう」

 

「なに、悪いことにならないように手は打つさ。近界民でもないからすぐに敵対とはならないだろう」

 

「後ろのお兄さんお姉さん達もそれで良いのでしょうか」

 

 何も話さずに居る年上の男女に私が話しかける

 

「まぁ良いんじゃない? 話が本当なら国籍も後ろ楯も無いただの美少女だし」

 

「太刀川さん! 不用意に話すのは不味いって言われてるんですから」

 

「こっちとしても困惑してるし、友好的にいこうぜ里見」

 

「いや、そうなんですけどね……尻尾に獣耳の美少女をどう扱えば良いかわからなくてですね」

 

 美少女と言われて悪い気はしない

 

 太刀川さんという男性が話し始めたのを皮切りに徐々に後ろにいた人達も私に質問してきた

 

「何か好きな食べ物、飲み物は?」

 

「梅干しと抹茶ラテが好きです」

 

「歳は?」

 

「12歳で今年トレセン学園の中等部に入学したその日にここに飛ばされて」

 

「松葉杖と右足ギプスしているけど普通に歩いていて大丈夫なの?」

 

「折れていたのですが、こちらに来たら痛みや違和感が無くて」

 

「競馬って知ってる?」

 

「競バ……ウマ娘が走るレースと何か違うのでしょうか」

 

「そもそも馬ってわかる?」

 

「ウマはウマ娘を示す言葉ですがこちらでは他の意味があるのでしょうか」

 

 色々な質問をしたり、されたりするうちに敵意というか殺気みたいな物がドンドン収まっていくのがわかった

 

 ただ銃や刀を持っているのは変わらずというかこの世界は高校生や中学生みたいな未成年が武器を持って異世界人による進行を防衛していると聞いてすごい世界だなぁと思う

 

 そうこうしていると長机のある会議室の様な場所に通された

 

「失礼します! S級実力派エリート迅隊員目的の人物の案内を完了しました!」

 

「ご苦労」

 

「あ、同席するからよろしくねミカドロジコスちゃん」

 

「あ、はい」

 

 大人の男性が6人と女性が1人、それに迅さんと私でこの部屋には9人が居ることになる

 

 先ほど質問してきていた男女達は部屋の外で待機しているとこっそり迅さんが耳打ちしてくる

 

「とりあえず座ろうか」

 

 そう言われて私は座席に座る

 

 すると再び迅さんが耳打ちしてくる

 

「真っ正面に居る顔に傷がある人がこの基地で一番偉い城戸司令、ロジコスから見て右側の列の奥が防衛指揮官の忍田さん、手前が俺のボスの林道さん、奥でパソコンを弄っているのは沢村さん……今回は書記をしてるんだと思う。で、左側の列で奥からふくよかな男性が技術室の鬼怒田さん、ガッチリしてるのが唐沢さん、細いのが根付さん」

 

「ミカドロジコスです! よ、よろしくお願いします」

 

「そう硬くならなくていいよ。リラックスリラックス」

 

「は、はい」

 

 唐沢さんという男性から落ち着くように言われてしまった

 

「では始めよう」

 

 城戸司令の号令で話が始まる

 

 内容としては互いのすり合わせ

 

 まずどうやってこの町に来たのかの説明から入る

 

 私はトレセン学園の先輩のアグネスタキオンさんに足が良くなる薬を貰い、それを飲んだら気がついたらここに居たという説明をした

 

 続いて近界民、近界、惑星国家、乱星国家、トリオン、トリガーのどれかに聞き覚えがあるかどうかを聞かれたが、先ほど簡単に迅さんから聞いた近界民は異世界人で、近界は異世界という認知しか知らないと正直に話した

 

 そしてボーダーという組織(界境防衛機関)について説明される

 

 要約すると近界民という異世界人から三門市や日本、世界を守る組織であるということ、人の体にはトリオン器官というエネルギーを作り出す器官が存在し、そのエネルギーを使って弾丸や刀を作り出して異世界人と戦っている機関とのこと

 

 正確な数は部外者の私には言えないが職員や隊員を合わせれば1000名以上の大規模な組織とのこと

 

「ここまで聞いて何か質問はあるか」

 

「……ここまで聞かせるのは何故でしょう」

 

「我々は君が近界民ではないかと疑っている。近界民でないと証明できない以上異なる容姿の事もあり信用することができない」

 

「……それはごもっともだと思います」

 

「秘密裏に処分するのは簡単だが、我々も近界民と断定することもできない存在に最後の手段は取りたくな無い」

 

 城戸司令から処分という言葉が出て私は今自分が置かれた立場が予想以上に悪いことを理解した

 

 忍田本部長が変わって話し始める

 

「そこで我々の身体調査、適正が有れば訓練の後に防衛任務に従事することでボーダーの一員としてこちらは守ることができる。勿論ロジコス君は自分の世界に帰ることを優先してもらいたい」

 

 とりあえず私には選択肢がない

 

 警察に保護してもらうにもこの世界にはウマ娘が居ない様なので異世界人……近界民と一緒にされかねないし、下手な行動をすればこのボーダーから見捨てられる可能性もある

 

「協力しますので見捨てないで……ください」

 

 私はボーダーに保護を依頼した

 

 すり合わせは続き、ウマ娘とは何か、トレセン学園とは何かをこちらが話し、ボーダーの保護下に入ることにより近界、近界民、トリオン、トリガーについて詳しく話を聞くことができた

 

 約1時間にも及ぶすり合わせは終わり会議室から解放された私は疲れきっていた

 

 慣れない場所にいきなり殺気を当てられたりと怖いことが立て続けに起こり、そして長時間の会議

 

「疲れてるねぇ」

 

「はい……」

 

「ただこれから身体調査と色々な試験があるから頑張りなよ」

 

「はい……」

 

「なに、あと2時間半後には食事休憩が入るからさ……食事はカツ丼だからさ」

 

「カツ丼ですか……そういえばお昼から何も食べてなかった……」

 

「もう少し頑張ろうロジコス」

 

「はい!」

 

 




迅悠一・・・副作用(サイドエフェクト)という特殊能力があり、未来が見えます

ただ未来は固定されているわけではなく、コロコロと横に広がるレールを何かの衝撃があれば簡単に変わるくらい未確定な未来が広がっている



ミカドロジコス

本格化を迎えていないポキッポキッウマ娘

簡単に骨折する体質のため本気で走った事が無い

入学試験も8割の力で走っていた

真面目、努力家、運動神経は良い

トリオン体になったら尻尾と耳はどうなる

  • 消える
  • 消えない


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