綺麗な言峰とか呼ばれ始めた奴   作:温めない麻婆=ちゃっぱ

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第三十話 言峰は出来た麻婆をワインのようにくるりと回した

 

 

 

 ウルク中央といっても、そこに何もいないわけではない。

 どういうわけか色違いかつ増殖した牛若丸は言峰を守るかのように立ち塞がる。

 

 もうすぐティアマトが来てしまうというのに、ゆっくりしてられない藤丸達は苛立ちを隠せないでいた。

 

 

「くぅ……! どいてよ! 言峰さんに会わなきゃいけないのに!!」

 

「ならば甘味を寄越すんだな!!」

 

「先輩、準備完了しました! パンケーキ投擲します!」

 

「蜂蜜もかけるのよマシュ! 一撃で仕留めるの!!」

 

「はい先輩! カルデアの皆様に協力頂きました! 究極のチョコレートを使用し、とろーり蜂蜜にホイップクリームをのせた甘党もびっくりのパンケーキです!」

 

『……ねぇ、バレンタインの悪夢を思い出したんだけど、もしかしてそれ使ってる!?』

 

『ロマニうるさい』

 

 

 カルデアから聞こえてくる通信は無視した藤丸が、ただ前を見据える。

 協力してくれたカルデアにいたキッチン組はまるでバレンタインやハロウィンの騒動に見せたなんとも言えない顔で藤丸からの依頼を完遂。

 

 実は彼らもロマニ達と同じく藤丸達の様子を見守っているのだが、それぞれが苦笑していた。特にエミヤはそれはもう『頭痛が痛い』と許容しがたい何かを見ている様だった。

 

 そんなカルデア組を知らない藤丸はただただ一心に言峰を思う。

 このまま彼を置いていきたくない。このまま敵対で終わらせたくない。そんな甘くも苦い感情を抱えたまま。

 

 

「先輩っ……牛若丸さんの勢いが止まりません! 蜂蜜が尽きてしまいます!!」

 

「天草! パンケーキには何かける!?」

 

「ホイップクリームにベリーソース。苺ありきの十枚タワーで!!」

 

『むがっ!?』

 

 

 横一列にいた牛若丸達に怒涛のベリーホイップクリームパンケーキな十枚を投擲。それぞれがモグモグと口を動かし、幸せそうな顔で消えていく。

 

 パンケーキという戦力のおかげか、牛若丸の勢いが消えていく。ラフムも心なしか綺麗な色をしているようだ。

 

 これでようやく言峰の元へ行けると思えた時、だった。

 

 

「隙ありだニャ~! 誇り高きジャガーの戦士とて、殺れと命じられたら殺るのが掟! 覚悟しろぉ!」

 

「なっ……!」

 

「あ、天草!?」

 

 

 言峰と協力していたのか知らないが、何故かジャガーマンが天草に襲いかかり、藤丸達から遠ざかる。

 天草を追いかけようとした藤丸は、息を詰まらせた。

 

 

「先輩、時間がありません! 早く行かないと言峰さんが!!」

 

「っっ~~~!!!!!!!!」

 

 

 歯を食い縛り、天草とジャガーマンの戦いから目を逸らす。

 

 やるべきことをやらなくてはいけない。そのために、この牛若丸達から、色違いの賑やかなラフムを満足させつつ麻婆の店へ突撃しなくてはならないからだ。

 

 

「そこをどいて! 言峰さんを殺すのはティアマトでも王様でもない! ────この私がやるから!!!」

 

「先輩……」

 

 

 

 何処からか聞こえてくる歌声に、焦燥感を抱いた。

 

 

 

 

 






麻婆の暴走なく、うまくいけばあと五話で終わる……はず。たぶん、おそらく……うん……。
終わりまでは考えてるのでこれだけは完結させるために頑張りたい。時間がかかるかもだけど、ゆっくり待ってくれるとうれしいです。



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