皆を救ったら二次災害が起きてた件について(最低速度投稿) 作:カツオ節太郎
現状をなにも知らない主人公君本当に……
「……この時期にか?」
中途半端な時に……しかも高校生。
「わたしは先生から事前に聞かされてました。……あれはどう見ても━━」
憂いを帯びた白石の瞳が彼の背中を追っていた。
……白石も彰人に負けず劣らず悠のことを。
転入生……転校生なら後に会うことになるだろう。
もし会えないならこちらから会いに行けばいい。
……そう思っていた。
ホームルームの終了。
先生が廊下から彼を呼ぶまでは。
「失礼します」
彼が入る迄は━━
教室は沈黙に包まれる。
「突然ですが転校生を紹介します」
同じ学年。
……このクラスだったのか。
驚く……ことはなかった。
彼はチョークを持ち黒板に名前を書いていく。
見覚えのない名前。
そうだ。言っていたではないか。
悠とは別人だと。
何を期待していたんだ、オレは。
「……叶音ヨウです。卒業までよろしくお願いします」
叶音ヨウ……。
「叶音さんは最近まで持病で入院していたらしいです。みんな仲良くしてあげてくださいね」
……持病で入院…?
「……はっ?」
惚けた声が聞こえる。
慌てているのか……?
……戸惑い?
聞かれて困るようなことだったのか?
「叶音さんどうしましたか?」
「……なんでもないです」
彼は顔を俯かせた。
考えても答えはでない。
……聞こう。
「席ですが……あの席を使ってください」
先生が唯一空いている席。
……悠が使っていた席を指さした。
隣の、席。
クラスの誰かが息を飲む。
「……分かりました」
先生に一礼。
淡々と席に座った。
駄目だ。
どう見ても悠にしか見えない……。
それでも、あの日には戻れない。
鹿目悠ではなく叶音ヨウなのだから。
「…………自己紹介や質問は一時間目が始まるまでにしてください。…かな……叶音さん。何かあったらみんなに、先生に相談してくださいね」
「……はい。ありがとうございます」
ニコッと先生に笑顔を贈る。
ああ……本当に残酷だ………。
先生は頷くと教室から出ていく。
ひとしずくの涙を落として。
△
▽
…………冷静になろう。
名前は大丈夫。叶音ヨウ……。
叶えるための意思表示。
神様はなんでもいいと言った。
なら自由に決めさせてもらう。
それはいいんだ。
最近まで持病で入院していた。
……思考が止まった。
持病は持っていないし入院をした覚えもない。あの時には死んでいたはずだし入院する機会はない。
ああ、神様から死因を聞いていなかったね。
心臓麻痺辺りだとは思うんだけど。
自分のことを理解してない部分が多い。
息を吐く。
窓から景色を眺める。
全く同じ、何も変わらない。
何時もの……じゃないかな。
静寂の中。
無数の視線が突き刺さる。
特に隣の席の司から……。
振り返る。
「っ……すまん」
目を逸らしぎこちない仕草。
……………………。
「大丈夫だよ。はじめまして俺は叶音ヨウ。君の名前を教えてくれないかな?」
誰かの泣き声が聞こえた。
声を押え耐える……そんな声。
「……天馬司だ」
あの長くも輝かしい自己紹介はない。
別人と錯覚させるほどに……。
賑やかだったクラスは……。
変わっていた。
「司くんだね。よろしく」
右手を差し出す。
「あ、ああ。……よろしく頼む」
はぁ…これはキツい、かな。
……退くつもりはないけど。
気を緩むと一瞬で折れてしまいそう。
俺も……みんなも……。
溢れそうになる感情。
深呼吸をしよう。落ち着かなきゃ叶えられるものも叶えら…ッ━━
△
▽
誰もが目を離せない。
窓から景色を眺める姿。
昔に戻ってきた……そんな風に。
懐かしい記憶が蘇る。
悠は良く景色を見ていた。
一度聞いたことがあった。
なんで景色ばっかり見ているんだ、と。
悠は景色の中にある変化を楽しんでいると言っていた。
大きな変化はなくともよく見れば小さな変化はたくさんある。
季節、時間、天候、空の色、グラウンドの光景、通学路を歩く人々。
一つでも違えばそれは変化なんだと。
そういって楽しそうに見ていた。
変化、か。
彼は叶音ヨウ、だ。
オレから見える景色は変わった。
悠から転校生に……変わった……?
……どんなに……どんなに! …必死に言い聞かせても……!
叶音ヨウが鹿目悠に重なってしまう。
変わりはしない。
オレがよく知る景色そのままだ。
ははっ…彰人や白石に何も言えやしない。……同じなんだ。
幾ら時間を…幾千、幾万とかけようが……受け入れられないんだ。……現実を。
叶音ヨウは悠の代用品じゃない。
……最低だ。
……不自然な点はある。
この時期に転校。
……持病を持っていると言うことだ。
悠の死因は心不全だった。
持病と結びつけることができる。
入院をしていたことにも違和感を覚えた。もし悠が持病を持っていたとしよう。何れはバレるはずだ。
だが話題に上がったことは一度もない。悠のことだ。
耳にすれば噂になり広がる。
ということは持病はない。
だが病院にも行かず一人耐えていたのなら……話は別だ。
悠が亡くなる数日前。
……様子がおかしかった。
時折寂しそうにみんなを見ていたり積極的にみんなと関わる。
……生き急いでいるように感じた。
気にはかけていた。
……かけていただけだった。
悠だから大丈夫、だと思っていたんだ。
頼ってくれと言っておいて自分勝手でどうしようもないな。
なにより悠と瓜二つの姿。
葬式と転校の期間を考えれば━━
だからか……オレはこう考えてしまったんだ。
一度は死んでしまった。
だが奇跡的に息を吹き返したんだ。
しかしもう死亡届けや埋火葬などの手続きを終え取り消すには難しい状態になってしまった。
だから本当に殺してしまい、別人としての生を与えた。
生者を死者にする。
病院としても評判……運営にも影響してしまう。
だから悠は叶音ヨウとしてこの学校に転入した。バレてはいけないためみんなを知らないフリをしている。
……なんて夢物語。
確証はない。証拠もない。
ただ持っていた情報を無理やり縫い付けた継ぎ接ぎだらけ物語に過ぎない。
視線に気づいたのだろう。
ゆっくりと振り返った叶音ヨウはオレを見る。
その顔が、その瞳が……。
目を逸らす。
「っ……すまん」
無理だ。……悠、だ。
「大丈夫だよ。はじめまして俺は叶音ヨウ。君の名前を教えてくれないかな?」
ダメだ。…その声はやっぱり……。
涙腺が緩んでいく。
……クラスメイトの涙声。
はじめまして……そのひとことで。
心が締め付けられる。
「……天馬司だ」
あの時は━━
……やめとこう。
思い出せば思い出すほど……。
悠の死に顔が浮かんでしまう。
「司くんだね。よろしく」
儚げな笑顔。
……右手を差し出された。
「あ、ああ……よろしく頼む」
同じだ。その全てが……同じだ。
……手を握り確信する。
ああ、ああ……ああ!!
やっぱりお前は━━
悠だ。
誰が何を言おうと悠だ。
……絶対に悠だ。
……夢物語で終わらせない。
真実にする為にオレは━━
「…っ…げほっげほっ」
激しい咳。
口を押さえた指の隙間。
風が頬を撫でる。
「だ、大丈……ッ!?」
手が離れる。
口元、手のひらに見える赤い━━
……血…?
教室が静まり返る。
「しっかりしろ!!!」
肩を掴みよく見る。
やっぱり……血だ。
「っ…大丈夫だよ」
大丈夫……だと?
……ふざけるな!!
「大丈夫なわけあるか!! 血を吐いたんだぞ!?」
「……血? …ああ……」
まるで当たり前かのように手で口を拭う。……なんでそんな顔ができるんだ?
血を吐くほど苦しいんだろう?
……なんでそんな…顔が……。
「……お前は」
「ちょっとくち」
「………………」
「……司くん…?」
「……司でいい」
「あ、うん。分かっ……!?」
無理やり立たせ抱き上げた。
軽い……しっかり食べてるのか?
……食べるのも辛いのかもしれない。
……急がないとな。
勢いよく駆け出す。
廊下に出たところで一時間目の授業を担当する教師と鉢会った。
「天馬? と…か、叶音…だったか。どうした?」
「悠……ヨウが血を吐きました。今から保健室に連れていきます」
「え? あ、いや大丈夫で」
「血を…!? 救急車を呼んだ方が」
「だから」
「様子を見て救急車を呼ぼうと思います」
「……あのー」
「分かった。頼んだぞ天馬」
「はい」
……悠…今度は。
オレが救う番だ。
△
▽
……不味い。
バレている。
司はハッキリ悠と言った。
叶音ヨウを鹿目悠と信じて止まない。
流石にね。
正直……バレるのは分かってた。
司がこの様子じゃまふゆには速攻でバレると思う。……バレる。
うん、全員にバレるだろうね。
もうバレてるよねぇ。
それでも俺は偽り続けるんだろう。
……なんだけど。
なんか勘違いもされている気がする。
血を吐いたって……さ。
確かに吐いたよ。
唇の出血だけど思いの外深く切れていたみたいだからね。
いいパンチだった……。
内側だから外からじゃ見えない。
……持病の下りがあったから尚更だろう。
深呼吸をしようとして喉を詰まらせたのも不味かった。タイミングが悪過ぎる。
「……はぁ」
見覚えのある白い天井。
背中には柔らかい感触が、腹部には軽くも重みを感じる。
すぐ隣には椅子に座った司。
どうすればいいんだろうか。
この後も司が付きっきりで学校の案内をしてくれた。
……放課後まで傍にいたね。
なんなら持病について尋問レベルで聞かれ続けた。
……何も分からないんだよね。
流石に家まで送ると言われた時は申し訳なさで断った。
もう転校生と言うより悠として接されているよ。
連絡先を交換を求められたけどスマホ持ってないから暇な時に契約しないとね。
はぁ……別れ際にゴミが付いてると言われ髪の毛を5、6本抜かれた時は怒ってるんだろうなと再確認した。
司がここまで怒ってるんだ。
この先みんなに会うのが怖くて仕方ないよ。
……泣き言を言える立場じゃない。
気合いを入れないと。
△
▽
「えむか? 悪い。緊急で頼みたいことがあるんだ」
「…っあ!?お、落ち着け。紹介……って言い方は変だが会わせる。…分かった。それまでは大切に保管しておく」
「……頼んだ。類と寧々にはオレから連絡しておく。寧々にはいい加減引きこもりを止めてもらわなければならないからな」
「…分かっている。これはオレ達だけの秘密だ」
多分次回辺りからもっと加速していくんだと思います。
シリアス書いてると胃がキリキリしていくのでマイルドに書いていきたいんです……はぁ。
んー。もうユニット書いときます。
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Leo/need
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Vivid BadSquad
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ワンダーランズ×ショウタイム
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25時、ナイトコードで
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MORE MORE JUMP!