怪獣超無法惑星   作:フルメタル・ミサイル

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 サードステージ最終章は思っていたより話数が伸びそうです。敵幹部ってホント便利やね。


皇帝の再臨 その2

「ヌゥウァァァァァァァァ!!!!」

 

 かつての戦いの果てに暴走状態となった暗黒魔兇機レゾリウム。以前から大きく変化したその姿は非常に歪(いびつ)ながら、何処かエンペラ星人を思い起こさせるものだった。そして見た目だけでなく、その戦闘能力もまた以前よりさらに跳ね上がっていた。

 レゾリウムは襲いかかるガマス達の吹き矢や撒菱爆弾、短槍の投擲を全く物ともせず弾き返す。それらに構わず咆哮し前進しながら両手からのレゾリューム光線で周囲を薙ぎ払い、超獣達を簡単に爆殺していく。

 

「ほう、強いな。だが、だからこそ皇帝の新たなる器として相応しい!」

(いくらでも増殖出来るとはいえ、それでも大事な戦力なのであっさり殺されまくるのは好ましくないんですけどね……)

 

 レゾリウムの圧倒的な強さにより、こちらの戦力をかなりの早さで大きく目減りさせられていく。ところがテンペラー星人は慌てるどころか、むしろその様を好ましく観ていたぐらいであった。その一方でファムは真逆の感想を抱いていたが。

 

「ハッ、ハハッ! 圧倒的じゃないですか! これならこの超獣の群れも突破出来る!」

 

 エンディール星人もレゾリウムの破竹の勢いに、顔を強張らせながらも笑った。暴走状態でどうなるか不安だったが、これなら例え超獣ガマスの群れだろうと突破は十分可能に見えた。一か八かの賭けに彼は勝ったのである。

 

「そう思うなら大きな勘違いだぞ」

 

 そんなエンディール星人を嘲笑うテンペラー星人。そんな彼の右の鋏にはネオバトルナイザーが握られていた。

 

『バトルナイザー、モンスロード!』

 

 頭上に掲げたネオバトルナイザーから4つの光の玉が飛び出し、それらが怪獣の姿へと変わる。

 

「アウオオオオン」

「キュオオオオオオ」

「ファロロロロロロ」

「ピョロロロロ」

 

 ルガノーガー、カミソリデマーガ、ヘルベロス、姑獲鳥(コカクチョウ)――テンペラー星人の誇る精鋭“四凶”。それら4体の凶獣がレゾリウムを取り囲んだのである。

 

「な、なぁっ!!??」

「何を驚いておるのだ馬鹿めが!! ワシとてレイオニクス。そのワシが怪獣を召喚して一体何がおかしいというのだ!

 そして、もう分かっただろう。例え超獣どもを突破出来たとしても、貴様はここで死ぬということがな!!」

 

 テンペラー星人はレゾリウムの戦闘能力に感心してはいたが、それはそれ。ガマス達を突破されるのを最後まで指を咥えて見ているはずもない。

 暗黒魔兇機は『エンペラ星人復活計画』の要。絶対に捕らえなければならないのだ。

 テンペラー星人の号令の下、今度は四凶がレゾリウムに襲いかかる。

 

「アウオオ!!」

「オオー!!」

 

 まず正面にいたルガノーガーが両手の口で両肩に噛みつく。レゾリウムも反撃し、剛腕で顔面をぶん殴られるも凶獣は意に介さない。抵抗をものともせずレゾリウムの巨体を軽々持ち上げると、そのまま地面にぶん投げて叩きつけた。

 起き上がろうとするロボットだが、そこで四凶全員で放つ強烈な電撃によって感電。元々不安定な状態でその攻撃は効果抜群だったのか。直後にレゾリウムは痙攣を起こしたかと思うと、そのまま目から光が消えて動かなくなってしまった。

 

「! へぇ、さすがですね…」

 

 ガマス達より遥かに強力な四凶の強さを見せつけられ、ファムは感心した。普段の言動・行動はともかく、テンペラー星人がレイオニクスとして実力者なのは間違いない。

 

「う、うぅ……!」

 

 万事休す、絶体絶命――エンディール星人の今の状況はまさにその言葉通りであろう。

 レゾリウムも機能停止してしまった今、彼が目の前のレイオニクス2人とガマス達に対抗出来る術はもう無いと言ってもいい。バトルナイザーにまだ戦力は残っているが、この状況を打開出来る強さではない。

 

(わ、私は死ぬのか!? こんな所で! こんな奴等に!)

 

 さすがの大悪党も、この時ばかりは絶望で立ちすくんで震えた。ついに、今まで重ねてきた悪行の報いを受ける時が来たのか。

 

「助けてあげましょうか~?」

「「「!?」」」

 

 しかし、ここで突如虚空から間延びした声が響き、驚く三者。

 

「この声は……」

 

 この天の声にファムは聞き覚えがあった。彼(・)女(・)には前に1度あのフローレス星人の姫一行を狙撃する際、邪魔をされている。

 

「テンペラー様!」

 

 3人が驚いた隙を突いて放たれた、テンペラー星人達を狙った超遠距離からの光線での狙撃。

 それに気づいた姑獲鳥はテンペラー星人達の前に咄嗟に立ちはだかり、その特殊な体で光線を吸収して攻撃から庇う。

 

「あらぁ、防がれちゃった? そのクソ鳥はホント厄介だわねぇ~~」

「ザディーメ…」

 

 それから3人の前の空間が激しく明滅したかと思うと、ハニカム構造のゲートが現れる。そこから悠々と歩いて現れたのはレイブラッド三幹部が1人、魔女ロックフォーヌ。そして、その使役怪獣である宇宙獣ザディーメであった。

 

「なるほど。そう都合良くはいきませんか」

「そゆこと」

 

 試験官の1人であるロックフォーヌの登場にファムも思わず笑みが消え、顔をひくつかせてそう吐き捨てた。

 ガマスの能力行使は、レイオニクスバトルにおいて重大なルール違反に当たる。よって運営側からの粛清対象となり三幹部が派遣されるわけだが、ファムが思っていたより来るのが早かった。

 

「助太刀感謝いたします! さぁ戻りなさい、お前達!」

 

 絶体絶命の窮地だったが、敵のルール違反にペナルティーを与えるため試験官が現れたのはまさに僥倖。これ幸いとエンディール星人はこの死地から逃げるべく、また再生を開始していたインペライザーと機能停止しているレゾリウムをさっさとバトルナイザーに回収しようとする。

 

「ストップ」

「あっ!?」

 

 しかし、宇宙魔女賊はテンペラー星人達を粛清しに来たのは確かだが、エンディール星人に情けをかけに来たわけでもなかった。

 彼女は魔術を発動させると、3人のバトルナイザーは一斉に一時機能停止する。元々全戦力を既に召喚しているテンペラー星人にとっては大した影響はなかったものの、ファムとエンディール星人はこれ以後の怪獣の召喚と回収を封じられてしまった。もっとも、ファムも既に多数のガマスを率いている以上、彼女にとっても実質そこまで問題はない。

 

「ちょっ、ちょっと!! そもそも私は関係ないでしょう!?」

「うっさいわねぇ。まとめてかけちゃった方が楽なのよぉ」

 

 ところが、よりによって粛清とは関係ないエンディール星人がロックフォーヌの魔術の被害を1番受けることになってしまっていたのである。怪獣達を回収出来なくなるというとんだ巻き添えをくらったことにエンディール星人は怒り心頭だったが、彼の抗議を魔女は鬱陶しそうに一切無視した。

 

「ここまで勝ち抜いてきたからには分かってるとは思うけどぉ~~。レイオニクスバトルでどう戦おうが、どういう目的を持っていようが、レイブラッド星人(御主人サマ)は大抵のことはお目溢ししてくださるわ。

 でもねぇ、アンタ達が今回やっちゃったのはそんな自由なレイオニクスバトルでも数少ない重大なルール違反、やっちゃいけない行為なのよ。だから私がわざわざ手を煩わさなきゃいけないの。おわかり?」

 

 そう説明し、魔女は気怠げに煙管を吸い、煙を吐く。レイブラッド三幹部の中ではあまり職務に忠実でないように見えるロックフォーヌであるが、さすがにこれだけは見過ごせないということを感じさせる毅然とした口調であった。

 

「それにしてもまぁ、こんなにたくさんガマスをバラ撒いちゃってねぇ~。私達もズイブンナメられたものだわぁ~~」

 

 とはいえ、内心ではこの粛清を自分がやらなければならないことを魔女は非常に面倒臭く思っているらしく、その語気と厚化粧のしかめっ面からは少なくない怒りが滲み出ている。

 

「失せるがいい。こちらは今い(・)い(・)と(・)こ(・)ろ(・)なのだ。

 それでも邪魔をするというのなら貴様から消すぞ小(・)娘(・)」

 

 だが、テンペラー星人は全く動じていないどころか、むしろ魔女へ挑発的な警告をする。さすがに長年エンペラ軍残党を率いてきた剛の者だけあり、肝が据わっていた。

 

「あらぁ? 悪びれていない。これは反抗の意思ありってことよねぇ?

 だったら、殺っちゃうしかないわよねぇ!?」

「ザディーメ……」

 

 目を見開いた恐ろしい表情に変わったロックフォーヌ。彼女の殺意に反応し、ザディーメが手からの光線を発射する。しかし、また姑獲鳥が立ち塞がり、主人達への攻撃を遮断した。

 

「ホホホホ、また会いましたねブサイク怪獣。

 テンペラー様! この者の始末は私めにお任せを!」

「よかろう、貴様にこの醜い出来損ないの始末は任せる!

 そして、不届きにもこちらを狙って撃ってきたもう1体の賊がおる! 誰(たれ)ぞあの向こうの不届き者の始末を行いたい者はおるか!?」

「キュオオオオオオ!!」

 

 以前戦った時に仕留めきれなかった雪辱を果たすべく、ザディーメの始末に姑獲鳥が名乗り出る。そして、先ほどの光線での狙撃からして、こちらから確認出来ない遠方にもう1体魔女の手の者と思しき怪獣がいるはず。其奴を抹殺すべく、残り3体の凶獣から募ったところ、カミソリデマーガが真っ先に咆哮して名乗りを上げた。

 

「よろしい! カミソリデマーガ! さっさと仕留めて参れ!!」

「キュオオ!」

 

 主人にペコリと頭を下げると、カミソリデマーガは腕の刃で次元の壁を切り裂き、そのまま異次元に姿を消した。

 

「1匹逃げたか。まぁいいわ。ア(・)イ(・)ツ(・)なら負けないでしょ」

 

 もう1体の戦力の方にカミソリデマーガが向かっていったが、魔女は特に気にしなかった。

 

「じゃあ、ゴミの処分を始めるとしますか。やりなさいザディーメ!」

「ザディーメ!」

 

 主人の抹殺指令を受けたザディーメが両手を叩くと、彼の胴体ほどの大きさをした眩い金色の四次元超立方体(テセラクトーン)が胸の発光体から出現する。

 この正八胞体は自由自在に飛び回り、強力な物理攻撃をこなすだけでなく、光線を含むあらゆる攻撃エネルギーを吸収してしまう。おまけに四次元的な存在のため、受け止めることも出来ず一方的に攻撃してくる反則的な代物。

 

「やはり学習能力というものがありませんね、アナタは。前回私に負けたでしょう?」

「ザディーメッ!?」

 

 もっとも、それはあくまで普通の生物に限った話。テンペラー星人の誇る“四凶”の1体にしてプラズマ生物である姑獲鳥は例外であり、この正八胞体を普通に掴んで受け止めることが出来る。

 そして前回同様この正八胞体を掴み持ったまま華麗に飛び蹴りし、顔面を蹴られた宇宙獣は倒れた。

 

「先ほど申し上げた通り、あの怪獣は私が引き受けます。テンペラー様はその間に目的をお果たしください!」

 

 気障りな振る舞いが目立った姑獲鳥だったが、今回は健気にもザディーメの足止めを引き受けた。

 

「フン! 私の戦力はこれだけじゃないのよ!」

『バトルナイザー、モンスロード!』

 

 この中で唯一封印を免れた魔女のネオバトルナイザーから新たな怪獣が2体召喚される。

 

「キュ~~」

 

 宇宙大怪獣 ベムスター

 

 牡牛座かに星雲の爆発により誕生したという宇宙怪獣。各種ガスや光線エネルギーを餌としており、さらには宇宙ステーションまで丸ごと呑み込み喰らったことで知られる、悪食にして大食漢の怪獣である。

 灰緑色の体色、頭頂部の1本角、嘴の付いた鳥によく似た頭部、小さなフック状の腕、腕から脚にかけて広がる皮膜、そして腹部にある五角形の第二の口【吸引アトラクタースパウト】が特徴。

 第二の口は重力場を偏向させることで凄まじい吸引力を持ち、ウルトラマンの必殺光線すら難なく呑み込んでエネルギーに変えてしまう。そのため、光線技を主体とするウルトラマンや怪獣ではほとんど攻め手を封じられてしまうことになる。

 他には頭頂部の角から光弾、第二の口からも光線を発射し、爪での引っかき攻撃も行う。宇宙怪獣だけあって飛行能力もかなり高く、より不気味な姿をした飛行形態に変化して空中・宇宙問わず高速で飛行する。

 

「キィィィィィィ!!」

 

 破滅魔人 ブリッツブロッツ

 

 かつてウルトラマンガイアと戦った怪獣の別個体。根源的破滅招来体が地球人類抹殺のために送り込んできた尖兵であり、それらの中でも戦闘力・知性共に他とは別格の怪獣。

 全身が黒と白ではっきり色分けされたモノトーンカラーとなっており、地球人やウルトラマンにも近い、明確な人型の体型をしているという点で他の怪獣とは一線を画す異質さがある。背中から生える黒い大きな翼と、嘴の生えた頭部は鳥人、あるいは烏天狗を思わせる。一見大きな赤い目があるように見えるが、これはダミー。実際の目はかなり小さく、そして嘴部分のスリット部分にある。

 赤い十字の付いた大きく膨らんだ胸部の装甲は展開可能で、その中の赤い結晶体を露出し、光線を吸収・倍化して撃ち返す脅威の能力を持つ。また手の鋭い爪は怪獣に致命傷を与えるほど強力で、格闘戦でもガイアと渡り合っている。手首に開いた砲口から光弾を発射し戦闘機を撃ち落とし、大きな翼で空を高速で飛び回るなど、数々の強力な能力を持った怪獣である。

 

「フン! どちらもなかなか強豪だな! 面白い、相手をしてやれ!」

「アウオオオオ!!」

「ファロロロロ!!」

 

 皇帝復活は最早目前。だからこそ絶対に成功させねばならない。

 どんな怪獣を敵が持ち出そうと全て叩き潰す。主人のその決意を示すかのように、ルガノーガーはブリッツブロッツと、ヘルベロスはベムスターと激突する。

 

「アウオオ!?」

 

 先手必勝とばかりにルガノーガーは口と両手より強力な光線を発射。しかし、ブリッツブロッツは胸部の甲殻を展開、中の赤い結晶体で吸収・増幅し、撃ち返されたそれが体躯前面にまともに直撃し、ルガノーガーは怯んだ。

 

「ファロロ!?」

 

 空を飛び回る飛ぶベムスターにヘルベロスは口からの火球、角からの電撃、背中からの紫色の矢のような光弾を連射。しかしベムスターはそれらの攻撃を五角形をした腹の第二の口から丸ごと吸い込んで捕食。ならばと腕の刃を振って放った光刃を、ベムスターは体をコマのように高速回転させて弾き返す。そして打ち返された光刃がそのまま自分の頭部に命中したため、ヘルベロスも思わず怯んだ。

 

「ぬっ…! さすがに一筋縄ではいかんか……」

「ハッ、当たり前でしょ! アンタ達に負けるような雑魚を私は飼っちゃいないわよ!」

 

 レイオニクスバトル・サードステージを勝ち進んだ精鋭の四凶であるも、魔女の繰り出した怪獣達には攻めあぐねていた。

 

「もうこれはレイオニクスバトルではありませんよね?」

「!」

「おやりなさい!」

 

 こんなにたくさんのガマスを従えている以上、バカ正直に1対1(タイマン)にこだわる必要はない。いくらベムスターとブリッツブロッツが強いとはいえ、この数の超獣には敵うまい。そう嘲笑うファムの号令の下、上空からガマス達が敵の怪獣達に襲いかかる。

 

「ビビ?」

「うわわッ! 今度は一体何ですか!?」

 

 大量のガマスが一気に襲いかかる――も、またも異変が起きる。

 戦力が壊滅しバトルナイザーまで使用不能になったことで、すっかり臆病者に成り下がってしまったエンディール星人。またガマス達が襲いかかってきたことに怯え、情けない悲鳴を上げて頭を両手で押さえて地に伏せていたが、ふと空を見上げる。すると上空が急に闇で覆われ、超巨大なワームホールが展開されたのが目に入った。

 他の者もエンディール星人同様、一旦戦いを中断して見上げる中、開いた異次元の穴から咆哮と共に、超巨大な化け物の首が現れた。

 

「グオオオオオオオオ」

 

 巨獣 ゾーリム

 

 かつてウルトラマンガイアと戦った怪獣の別個体。根源的破滅招来体の送り込んだ怪獣の中でも根源破滅天使ゾグと共に最大の巨体を誇る超巨大怪獣。

 灰色の皮膚に瘤状の体表、黄色に光る不気味な目、そして極めて長い首に、鋭い牙の生えた口と先端が無数の触手状になった舌、発光体の付いた鼻先、真横、頭頂部両端に生えた計5本の角が特徴。その姿はワームホールから伸びた龍の頭と首そのものである。

 あまりの巨大さ故、口から吐いた火炎放射が地上への広範囲爆撃となり、XIGファイターの一斉攻撃やガイアの光線も全く効かない。

 

「アン!? ゾーリム!? てことは…」

 

 さらなる乱入者に顔をしかめながらも、意外にロックフォーヌは驚いていなかった。そして、それもそのはず。何故ならゾーリムは同(・)僚(・)の(・)使(・)役(・)怪(・)獣(・)だからである。

 

「キャハハハハ!!」

 

 ゾーリムの巨体の隣に、同じぐらい巨大な立体映像が浮かび上がる。そこにはソテイラとロックフォーヌの同僚、同じくレイブラッド三幹部のデルピューニの高笑いを上げる姿が映っていた。

 

「デルピューニ~! 出しゃばるんじゃぁないわよ~!」

「ハァ~~? つべこべ言うなし! アンタがチンタラやってるから、あーしが加勢しに来てあげたんじゃんね!」 

 

 怒った魔女の抗議もどこ吹く風、蛇女はそうおちゃらけて言い張る。

 

「ゾーリムちゃん! こいつら丸焦げにしな!」

「グオオオオオオオオ!!」

 

 主人の命令を受け、巨獣は地上への火炎放射を行う。ゾーリムのあまりのサイズにより、ただの火炎放射がそれだけで爆撃となった。

 

「アタシまで消す気かあの爬虫類がァァァァァァ!!!!」

 

 ゾーリムの火炎放射が自分達をも巻き込む威力と規模だったために絶叫するロックフォーヌ。当然ながら、デルピューニが魔女への加勢に来るはずもない。蛇女はガマス殲滅の手柄の横取り、いやそれ自体はオマケだ。主目的(メイン)は仲の悪い同僚(ロックフォーヌ)を事故を装って消すことなのだ。

 

「ビビビビビビ!!」

 

 効果は覿面。ガマス達も逃げ惑うが、ゾーリムの火炎放射に巻き込まれて次々と死んでいく。

 

「く、クソ! これではレゾリウムが!!」

「ま、マズい! これでは…!」

 

 全力でバリアを張るテンペラー星人と、同じくバリア発生装置で火炎放射に耐えるファム。致命傷こそ防いでいるものの、両者は大慌てしている。

 この際、ガマスの犠牲はどうでもいい。しかし、せっかく確保したレゾリウムまでもが完全破壊されては計画はご破算になる。そうなれば2人は皇帝復活どころか、試験官2人に嬲り殺しにされるしかない。

 

「ヒィィィィ!………………ん?」

「………………」

 

 エンディール星人は滅茶苦茶怯えながらも、それでもしっかりバリアを張って攻撃を防いでいる辺りは、さすがは元エンペラ軍の上級戦闘員といったところか。

 そうして辺りが火の海になる中、レゾリウムも火炎放射に巻き込まれる。しかしながら、レゾリウムの装甲材質はあのアーマードダークネスと同じ。これぐらいではせいぜい表面が焦げるだけである。

 ところが、これが“気付け”になったのか。暗黒魔兇機の目に再び光が灯ったのにエンディール星人は気づいたのである。

 

 

 

 

 

「キュオオオオ!!………………ッッ!」

 

 一方その頃。こちらを狙撃してきた敵を追って、カミソリデマーガは異次元から現れる。

 そして、ドンピシャ。見事に敵の姿を発見する。

 

「ウォォォォォォ………」

 

 恐ろしくも異形の怪獣であるカミソリデマーガであるが、敵の気味悪さもまた負けていない。

 そして次元凶獣の姿を認めるや否や、こちらを強力な光線で狙撃してきたが、カミソリデマーガは命中寸前に右手の刃を叩きつけて切り払った。

 

「ウォォォォ」

 

 宇宙獣 トリゲロス

 

 ザディーメと同じく宇宙獣に分類される怪獣で、同じくある時空の宇宙に存在する『ソニア恒星系』に生息していると思われる。

 溶岩のような赤い筋の入った灰色の体色、ゴツゴツとした体表を持ち、体型は細身で怪獣の中ではかなり人型に近い。両肩は多数のパイプ状の突起に覆われており、臀部からは短い尻尾が伸びる。

 頭部にはアリジゴクのような湾曲した双角、頭頂部からは発光体の付いた大きく特徴的な角が伸び、顔面にはT字状の発光体が付いている。尚、実は頭部の後ろ側の首の付け根付近に目は存在するが、常に閉じられたままである。手は細長く、また親指のみ存在する。

 非常に戦闘力の高い怪獣で、ウルトラマンの必殺光線も防ぐバリア、連射可能かつ超遠距離からの狙撃が可能なほどの射程を誇る黄色い破壊光線を放つ。また格闘能力もウルトラ戦士と互角に渡り合えるほど高い。

 

「キュオオオオ!?」

 

 一撃目は防いだものの、トリゲロスは破壊光線を連射。次元凶獣をその場に釘付けにする。

 そして光線連射による爆発の煙幕に乗じ、手から発生させた光剣を使って背後からカミソリデマーガに斬りつける。次元凶獣も尻尾を背後へ振り回し応戦するも、トリゲロスはしゃがんで躱し、激しい斬撃を連発、敵を防戦一方へと追い込んだのである。

 やられっぱなしで怒ったカミソリデマーガも翼からカッター光線を連射するも、なんとトリゲロスはそれを手からの光剣で難なく打ち払う。ならばと頭からの破壊光線【デマーガバリオン】を放つも、これも向こうも発光体からの破壊光線で相殺。

 そしてカミソリデマーガが驚いた隙を突き、頭部を回転する錐状のバリアで覆った状態で角をいからせ突進。次元凶獣も両手の刃を合わせて迎え撃って止める。しばらく拮抗状態となったところで、やがて両者は弾かれて後ろに大きく吹っ飛んだのだった。

 

 

 

 

 

 ……尚、完全な余談になるが、ロックフォーヌはファムの持っていた白いギガバトルナイザーにはこの時点で気づいていたが、完全無視していた。ギガバトルナイザーの持ち主のソテイラとロックフォーヌは同じ三幹部でありながら非常に仲が悪かったためである。

 だから別にソテイラのギガバトルナイザーが奪われようと魔女にとっては知ったことではなかったし、むしろ同僚の失態はこちらに都合が良いぐらいで、わざわざ尻拭いをしてやる気もなかった。

 そして魔女がここに現れたのはあくまでガマスの能力行使のためのペナルティーを与えに来たのであって、ギガバトルナイザーを奪っていた彼等の恐るべき思惑など知る由もなかったのである。




用語解説

 宇宙大怪獣 ベムスター

 牡牛座かに星雲の爆発により誕生したという宇宙怪獣。各種ガスや光線エネルギーを餌としており、さらには宇宙ステーションまで丸ごと呑み込み喰らったことで知られる、悪食にして大食漢の怪獣である。ちなみに比較的多く出現が確認されている怪獣であり、群れを作らない怪獣にしては最多クラス。
 灰緑色の体色、頭頂部の1本角、嘴の付いた鳥によく似た頭部、小さなフック状の腕、腕から脚にかけて広がる皮膜、そして腹部にある五角形の第二の口【吸引アトラクタースパウト】が特徴。ちなみに鳴き声は可愛い。
 第二の口は重力場を偏向させることで凄まじい吸引力を持ち、ウルトラマンの必殺光線すら難なく呑み込んでエネルギーに変えてしまう。また宇宙ステーションを呑み込んだように、固体であってもある程度は吸収出来、ウルトラ戦士のパンチも呑み込んで動けなくしたこともある。
 他には頭頂部の角から光弾、第二の口からも光線を発射し、爪での引っかき攻撃も行う。宇宙怪獣だけあって飛行能力もかなり高く、より不気味な姿をした飛行形態に変化して空中・宇宙問わず高速で飛行する。
 そして本来飛行怪獣ながら、地上でも格闘戦でウルトラ戦士を圧倒するほど。一方で(第二の口が強力すぎて長い間気づかれなかったが)『背中ががら空き』という致命的な弱点があり、近年ではそこを突いた対処法がウルトラ戦士の間で確立されている。
 初めて確認された個体はウルトラマンジャックの地球防衛時代。地球飛来時に進路上にあったMAT宇宙ステーションを呑み込み、中にいた基地隊員を全員殉職させた。その後地球に飛来しマットアロー2号を撃退、深夜にコンビナートのガスタンクを襲撃し、中のガスを吸収する。その後またガスタンクを襲撃したところでジャックと戦うも、地上にもかかわらず格闘戦で圧倒し、スペシウム光線も吸収してジャックを敗北に追いやる。
 ジャックもベムスターに勝てる力を求めて自殺同然に太陽に向かってしまうも、そこでウルトラセブンに救出され、ウルトラブレスレットを授けられる。そうして再戦に臨み、最後にブレスレットで首と両手を切断され死亡した。またその後ナックル星人にジャックの戦力確認のために送り込まれた個体が現れるも、こちらもブレスレットにより同様の最期を遂げた。
 その後ウルトラマンタロウの時代に改造巨大ヤプールによる改造個体が、さらにはウルトラマンメビウスの時代にもオオシマ彗星のダストテールを追って地球に飛来した個体が現れた。また、メビウスと戦った個体は2体組であり、もう片方は同時期にウルトラマンヒカリに倒されている。遥か未来では惑星ボリスの資源基地に居着いた個体も現れており、そこでレイのゴモラと戦い倒されている。またペダン星人の無人ドックを狙って現れた個体もいたが、反撃を受けて逃げ込んだ先の小惑星諸共スペースペンドラゴンのペダニウムランチャーで死亡した。
 本個体はロックフォーヌに使役されている。ベムスターは第二の口で吸収しようのない斬撃系の攻撃が弱点というのは割と知られた話ではあるが、本個体は体を回転させてその斬撃系の攻撃を跳ね返すという技を身につけており、弱点を克服している。そのため、本来戦闘力的には本来格上のはずのヘルベロスを相手に圧倒した。

 破滅魔人 ブリッツブロッツ

 かつてウルトラマンガイアと戦った怪獣の別個体。根源的破滅招来体が地球人類抹殺のために送り込んできた尖兵であり、それらの中でも戦闘力・知性共に他とは別格の怪獣。
 全身が黒と白ではっきり色分けされたモノトーンカラーとなっており、地球人やウルトラマンにも近い、明確な人型の体型をしているという点で他の怪獣とは一線を画す異質さと不気味さがある。背中から生える黒い大きな翼と、嘴の生えた頭部は鳥人、あるいは烏天狗を思わせる。一見大きな赤い目があるように見えるが、これはダミー。実際の目はかなり小さく、そして嘴部分のスリット部分にある。
 赤い十字の付いた大きく膨らんだ胸部の装甲は展開可能で、その中の赤い結晶体を露出し、光線を吸収・倍化して撃ち返す脅威の能力を持つ。また手の鋭い爪はティグリスⅡに致命傷を与えるほど強力で、格闘戦でもガイアと渡り合っている。手首に開いた砲口から光弾を発射し戦闘機を撃ち落とし、大きな翼で空を高速で飛び回り、アグルの攻撃を軽々と回避した。
 このように確かに強力な怪獣・生物兵器ではあるのだが、一方で同じ破滅魔人のゼブブ同様、防御面は能力頼りの傾向が見られる。吸収能力は確かに強力だが、ガイアが無理を承知で長時間の光線照射を行なった結果、自滅する羽目になった。
 他の怪獣同様、根源的破滅招来体にワームホールで送り込まれた。迎え撃ったアグルを初見殺しの光線吸収能力でダウンさせ、掌でエネルギーを吸い取りライフゲージを破壊する。
 その後はチームライトニングを光弾で全機撃墜し、ガイアとの戦いでも優位に立つが、ここでティグリスⅡが乱入。柊准将のバズーカによる攻撃で左目を損傷するアクシデントはあったが、ガイアを圧倒し続け、ティグリスの妨害を受けるもこれも鋭い爪で致命傷を与えて返り討ちにする。しかし素の防御力は低い方なのが災いし、GUARDのMLRSバイソンとGBTスティンガーの一斉射撃で大ダメージを受けたところで、ガイアは復活。クァンタムストリームを胸の結晶体で受けたはいいが、ガイアは長時間照射を断行。限界以上に吸収した反動でブリッツブロッツは動けなくなり、またもバイソンとスティンガーの攻撃を受けて結晶体は破損。そしてスプリームヴァージョンとなったガイアのフォトンストリームについに引導を渡されたのだった。
 本個体はロックフォーヌに使役されている。ガイアと戦った個体同様強力な戦闘力を持ち、初見殺しの光線吸収・反射能力で、迎え撃ったルガノーガーを逆に怯ませるほどの大ダメージを与えた。

 巨獣 ゾーリム

 かつてウルトラマンガイアと戦った怪獣の別個体。根源的破滅招来体の送り込んだ怪獣の中でも根源破滅天使ゾグと共に最大の巨体を誇る超巨大怪獣。その巨大さから未だに全長・体重のデータは不明となっている。
 灰色の皮膚に瘤状の体表、黄色に光る不気味な目、そして極めて長い首に、鋭い牙の生えた口と先端が無数の触手状になった舌、発光体の付いた鼻先、真横、頭頂部両端に生えた計5本の角が特徴。その姿はワームホールから伸びた龍の頭と首そのものである。
 そして頭と首が彼の全てなのか、それともワームホール内にさらに体が存在するのかは不明。それでもワームホールから出た部分だけでウルトラマンとは比べ物にならぬほど遥かに巨大である。
 あまりの巨大さ故、口から吐いた火炎放射が地上への広範囲爆撃となる有り様で、XIGファイターの一斉攻撃やガイアの光線も体格差から全く効かない。一方でワームホールそのものへの攻撃には弱いようで苦しみ、また体内からの攻撃はさすがに対応出来ないようで、最終的にガイアは撃破することが出来た。
 ウルトラマンガイアとウルトラマンアグルが激しい戦いを繰り広げる中、根源的破滅招来体が予め仕込んでいたワームホール。そこにウルトラマン同士の戦いで発生したエネルギーを回収させ、巨大化させたところで、その穴から出現した。
 あまりの巨大さから地上への火炎放射が爆撃となり、防御力もXIGファイターの攻撃はおろかガイアV2のクァンタムストリームすら通じなかったが、XIGファイターのワームホールへの攻撃で苦しみだす。最後はガイアに口の中から体内に入られたところでフォトンストリームを撃ち込まれ、大爆発して粉々になった。
 本個体はデルピューニに使役されている。彼女曰く、つい最近入手したばかりの新入りとのこと。ロックフォーヌがテンペラー星人達を粛清しに現れたところをデルピューニの指示でわざわざ襲撃し、ロックフォーヌを怪獣と敵諸共攻撃する。
 余談になるが、デルピューニはゾーリムと同レベルの立体映像を隣で投影していたが、これはデルピューニの指示を受けたギャラクトロンMk2が巨獣の顔の隣で飛行しており、彼が投影していたもの。

 宇宙獣 トリゲロス

  ザディーメと同じく宇宙獣に分類される怪獣で、同じくある時空の宇宙に存在する『ソニア恒星系』に生息していると思われる。尚、ゼロゲロス、モノゲロス、ディゲロスといった近縁種・亜種と思しき個体が多く確認されているが、実際にはこれらは角の有無や本数程度の差しかないため、全て同一種である可能性もある。
 溶岩のような赤い筋の入った灰色の体色、ゴツゴツとした体表を持ち、体型は細身で怪獣の中ではかなり人型に近い。両肩は多数のパイプ状の突起に覆われており、臀部からは短い尻尾が伸びている。
 頭部にはアリジゴクのような湾曲した双角、頭頂部からは発光体の付いた大きく特徴的な角が伸び、顔面にはT字状の発光体が付いている。尚、実は頭部の後ろ側の首の付け根付近に目は存在するが、常に閉じられたままである。手は細長く、また親指のみ存在する。
 非常に戦闘力の高い怪獣で、ウルトラマンの必殺光線も防ぐバリア、連射可能かつ超遠距離からの狙撃が可能なほどの射程を誇る黄色い破壊光線を放つ。また格闘能力もウルトラ戦士と互角に渡り合えるほど高い。手から光剣を発生させて激しい斬撃を放ったり、また頭部に回転する錐状のバリアを発生させて頭から突っ込んできたりと、強力かつトリッキーな攻撃も得意とする。
 本個体はロックフォーヌに使役されている。その長大な射程を誇る破壊光線から狙撃手として扱われており、それでテンペラー星人達の抹殺を狙ったが失敗。送り込まれてきたカミソリデマーガと対戦するも圧倒する。
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