ザレゴトリコイル 金色アランと戯言遣い   作:角刈りツインテール

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リコリス・リコイル、とうとう次で最終話ですね。寂しい。
2期か劇場版か、少なくともどちらかは作って欲しいところではある…まぁ、そもそもリコリコが電波塔を軸に構成されたストーリーなのでそれが解決してしまえば2期を作るのは難しいのかもしれませんが…。
つまり映画…ってコト!?
そんな感じの11話です、お願いします。


なら、皆で助ければいいじゃん!

ここはぼくの部屋。もとい倉庫。

シチュエーションを説明しておくと、我々は先程彼女の占い———予言を聞いたのち、その内容について話し合っている。主にテーマは2つ———千束さんの心臓について。そして、姫菜さん自身の死の予言について。

 

「千束。心臓が機械って一体どういうことですか」たきなさんが尋ねる。

「どういうことですか」ぼくも尋ねる。

 

ぼくはともかく、たきなさんはどんな返答が返されるのか気が気でない様子だった。その証拠に彼女はふざけ半分のぼくを睨まない。しかし対照的に千束さんはいつも通りの笑顔で、いつも通りの声色で答えた。

 

「文字通りだよ?病気で死にそうだった私をアラン機関ってとこが助けてくれてね〜。機械だから鼓動してないんだよ。どーだ、すげぇだろ」それから千束さんは、首にかけられた梟をかたどったアクセサリーを手に取り、「これもその人にもらったんだぁ。でも行方が分かんなくてずっーーと探してる。そのために本部を離れたの」

 

ぼくは———絶句した。

千束の生い立ちのほうではなく、心臓のほうだ———まぁ、生い立ちについても確かに驚いたが、それでもメインは心臓、ということである。

人工心臓。

そんな技術が既に完成していたなんて。今の技術で果たしてそんなことが本当に可能なのだろうか?耐久性は?安全性は?今は亡き園山赤音(あるいは伊吹かなみ)並びに七愚人の皆様ならばもしかしたら、と思わないこともないが、ER3システムでかつて学んでいたぼくは、少なくともそういった研究の話を耳にしていない。むしろ不可能という意見が多かった。であれば、ER3をも凌駕するらしいアラン機関とやらは、一体何者なのか。移植対象者の前から姿を消したのはどうしてなのか。疑問が、あまりにも多い。多すぎる。

なんて戯言だ。

 

「ちょいちょいちょい!!」

 

1人独白していると、千束さんが突然大声を上げた。何事かとぼくも顔を上げる。

 

「? いえ、心臓の音がないって本当かなって…」

「別に良いけど男子の前で乳を揉むなッ!」

 

そこには、そっと千束さんの胸に手を添えるたきなさんの姿があった。

嘘だろおい。

加えて、たきなさんはどうしてポカンとしているんだろう———この人、貞操観念というか人間性というか———とにかく色々なものが欠けているような気がするんだけど、リコリスにいるとこうも基本常識に欠けた子に育ってしまうのだろうか。そんな考察をしながら千束さんを見ていると、何か勘違いしたのか千束さんはニヤニヤしながら自分の身体を抱きしめた。

「おっと、君には触らせねぇぞ」

触らねぇよ。

「まーそっちはね、いいのよ。まだ時間はあるし」千束さんはうーんと悩む素振りを見せる。「問題は姫菜さんのほうだよねぇ…」

姫菜真姫が死ぬ。そう聞いた時、ぼくはあまり驚かなかった。何故なら彼女は、以前ぼくがこの島に来た際、そのことについて伝えていたからだ。

 

 

 

———内蔵ぶちまけて脳漿撒き散らして、外道な私にぴったりの死ぬ方をする。

 

 

 

一語一句同じとまではいかないけれど、確かこういう内容の予言だったはずだ。彼女曰くそれが起こるのは2年後だった気がするが———いや、3年後だったか? ともかく、ぼくの帰宅からまだ1年も経過していないはずだが、そのタイムラグは何者なのだろう。ぼくからしたら、彼女が死ぬことよりも予言が外れたことのほうに驚きを感じている。

占いは絶対ではない、というだけだろうか。何か違う気がする。

うーん、嫌な予感。

「ね、いーちゃん。その人の占いってさぁ。外れたことある?」

千束さんはぼくに尋ねた。思い出し、答える。

「ぼくが見た限りでは、外れたことはないですね…あのときも、姫菜さんはここで起きる事件を知っていました」

知っていた上で、傍観していた。

探偵役になることもできただろうに。

わざわざ犯人のアリバイ作りにまで協力して、場を混乱させた。

 

「……あの、私、その話聞いてないと思うんですが」

たきなさんがすごすごと手を挙げた。あぁ、そうだっただろうか。なら千束さんにも説明していなかったのか…それは、迂闊だ。すっかり忘れていた。猛省せねば。

「なんて戯言だけどね」

「急にどったの独り言なんて言って…」

「なんでも。では一つ、昔話をしましょうか」

ぼくは正座に座り直し、落語家のように(見たことはないけど)静かに語りを始めた。

 

「———これは、夏の暑い暑い日のこと」

 

♦︎♦︎♦︎

 

「へぇ…で、その殺害現場ってどこ?」

「ここです」

「へぇ、ここ…はぁ!?ここ!?」

語り終わった時、徐に千束さんは立ち上がった。いや、別に徐ではないか。妥当な行動と言えよう。

「まぁそれは言葉の綾というか…殺害現場というより死体が放置されていた部屋がここというだけで、実際は別の場所ですけどね」

「だとしてもだよ」

千束さんがツッコミを入れる。たきなさんでさえ、「信じられない」という顔でこちらを見てくる。

「おっと、触らせませんよ」

「◯ね」

…あれ。今、たきなさん、なんて言った?

まさか今度はぼくの死体をここに置くつもりなのか?

「何も言っていませんよ…それにしても、よく死体が置いてあった部屋に自ら泊まろうと思いますね」

「まぁあのスイートルームはぼくには広すぎるといいますか」

「気持ちは分かりますが、流石にここに移ろうとは思いません」

他にも物置くらいあるんでしょう———とたきなさん。

唖然とした。

盲点だった。

「まーまー!でさぁ、一個思いついたこと言っていい?」

「どうぞ」

千束さんの問いに、たきなさんが許可する。

 

「ありがと。『いのちだいじに』———これが私のマニフェストです」

 

……なんか始まった。

 

「しかし!今私の目の前で1人の人間が命を落とそうとしております!これは大変遺憾!いかんですぞ!」

 

唐突に言葉遊びをするな、とでも突っ込もうあと思ったが、ぼくも大概だと気がついてやめた。

 

「そういう訳で!こういうのはどうでしょう」

 

小芝居がかった演説をやめて、千束さんはなんとも楽しそうな笑顔を隠そうともせずに意見した。

 

 

 

「——— なら、皆で助ければいいじゃん!」

 

 

さて。

未来、変えちゃいますか。




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