ザレゴトリコイル 金色アランと戯言遣い   作:角刈りツインテール

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声優、監督、作画etc「9話が一番ヤベェ」の意味が気になりすぎますね。今日の深夜が楽しみすぎます。そんな感じで第六話、よろしくお願いします!


貸すほどの力が、ぼくには無い。

「個人専門の、リコリス———ですか」

場所は移って都内のよくある公園。特徴を述べるとするならば、平均と比較してやや広め。千束一行は自動販売機で各々ドリンクを購入して、椅子に座っていた。

ちなみに、購入した飲料は。

 

たきなさん……お茶。

千束さん……トマトジュース。

ぼく……水。

 

なんというか、それぞれのパーソナリティがじんわりと滲み出ているのを感じる。どうでもいい情報だけれど、それでも知っておきたいというコアなファンがいるかもしれないという考慮の上、ここに記載することにした。決して、ぼくにファンがいるかもしれないという自惚れではなく。そんなもの、いたとしても迷惑極まりない。

「そ、戦うだけじゃなくてー、人助けとか、そういうことをするんだよ」

「はぁ」

いまいちよく分からなかったが、今日の経験を照らし合わせると少しは理解できるような気がした。

 

例えば、テロ。

 

例えば、通り魔。

 

例えば、殺し屋、殺人鬼———零崎人識。

 

殺し名、呪い名。

 

そんな物騒な話を除いても、助けを求めている人間はごまんといるし、なんならそちらの人間の方が多い。そして、彼ら彼女らを助けることを目的とするのが、この部署、つまり、『喫茶店リコリコ』な訳だ。

「正直、私も最初は驚きました。こんなことをやっていて、評価されるのか———DAに戻れるのか。ですが、暫く経てばじきに慣れます」

「人の部署をキワモノみたいに言うな」

「……千束さん、どう見てもキワモノです」

「あぁん?」

「戯言なのでお気になさらず」

「あーあとぉ、敬語じゃなくていいから。あとさん付けもなくていー」

「敬語は癖みたいなものでして」

「あらそう」

「それに、今更呼び捨てというのも…まぁ、善処しますよ、千束さ……」

「私のことをさん付けで呼ぶな、さん付けで呼ぶのは敵だけだ!」

「本当に哀川さんの知り合いなんですね……だから、善処しますって」

「本当?」

「本当です本当。今世紀稀に見る事実です。見てください、この純粋無垢な瞳を。嘘はついても嘘に憑かれるような男ではありませんし、球磨川禊でもありません。どうかこの戯言遣いに、人生で初めて本当のことを言う権利をお与えください」

「ふっふーん、君やっぱり面白いねぇ……ならよしとするか」

満足したらしい(何に?)千束さんは、ズゴゴゴゴ、とこれまたやかましい音を立てて一気にジュースを飲み干し、横のゴミ箱に投げしてた。おぉ、ゴールイン。

「困っている人は、いっぱいいるんだよ。私たちの助けを求めてる。だから———だから、力を貸して、いーちゃん」

千束さ———千束は、「まさか断るまい」とでも言いたげなキラキラした眼差しで、ぼくに手を差し伸べた。

まったく…ぼくが、本当に人助けなんてすると思っているのか、この人は。キズタカにお前は要らないと言われてしまいそうな人間に対して……?

訝しみつつもぼくは、リュックサックに飲みかけのペットボトルをしまってから、なるべく顔を見ないようにしつつ、彼女の手を掴んだ。

やはりぼくは、どうも物事に流されてしまう性質らしい。

今後は宗教勧誘なんかには気をつけるとしよう。

 

後ろから、「『嘘はついても憑かれるような男じゃ』って、それならついてるじゃないですか、嘘」という声が聞こえたが、果たして千束さんには届いていたのだろうか。

実に不安だ。

なんて、そんなのはただの戯言だけどね。

 

♦︎♦︎♦︎

 

「ところでたきな」

「私はさん付けでお願いします」

「………たきなさん」

「はい、なんでしょう」

「たきなさんって、どうして左遷させられたんですか?」

「秘密で」

「貴方こそ、DAについて一体何を知りたいんですか」

「秘密で」

というか、そもそもぼくさえ知らない。

そして、どうやら次に向かった建築現場で、今日の外回りは終了だったらしく、ぼくたちは午後五時頃をもって、ようやく喫茶店へ帰ることにができたのだった。

「おぉ、お帰り、三人とも」

ミカさんが温かい笑顔で迎え入れる。

それを見て癒される訳ではないほどにはぼくの筋肉は既に悲鳴を上げていて。

どうやら一筋縄ではいかないらしいことを、乳酸菌たちが淡々と伝えていた。

やっぱり、貸すほどの筋力も体力も持久力も、ぼくには無かったらしい…今からでも撤回したほうがいいのかもしれない。けれど少なくとも今日は口論をする余裕さえない。明日は明日の風が吹く。今日のことはどこ吹く風だ。話すにしても、まずは休まねば始まらない。今日は9時には寝てしまおう。そう決意して、ぼくはひとり、喫茶店を出たのだった。




もう既に千束さん呼びに戻っているいーちゃん。そして呼び捨てを拒否されるいーちゃん。まぁ、いーちゃんならどれだけ拒絶されようと、「戯言だよなぁ」で済ませちゃうような気もしますけどね。そう考えると、他人に興味がないコイツって実は意外とメンタル強者なのかもなぁと思わなくもない気もします。しないか…。

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