妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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その列車は竜を乗せて行く

 

フィオーレ王国の中でも最大級の大きさを誇る駅、マグノリア駅。

ここで二人の男が互いを睨み合っていた。

 

 

「何でエルザみてーなバケモンがオレたちの力借りてえんだよ」

 

「知らねえよ。つーか"助け"ならオレ一人で十分なんだよ」

 

 

みんなご存知、ナツとグレイである。

 

 

「じゃあオマエ一人で行けよっ!! オレは行きたくねえ!!!」

 

「じゃあ来んなよ!! 後でエルザに殺されちまえ!!!」

 

「迷惑だからやめなさいっ!!!」

 

 

犬猿の仲である二人。

人が多く行き交う駅内であろうとお構い無しにケンカを始め、近くの店の商品をそこら中にぶちまけ、看板を破壊する。

見かねたルーシィも声を荒らげた。

 

 

「もおっ!! アンタたち何でそんなに仲悪いのよぉ」

 

 

ルーシィが声をあげた事でとりあえず二人のケンカはなりを潜めた。

 

 

「何しに来たんだよ」

 

「頼まれたのよっ!! ミラさんに!!!」

 

 

ナツにそう問われ、ルーシィはかなり不機嫌な様子でムキになりながら答えた。

昨日、ナツやグレイも帰った後のこと。

ルーシィはしばらくギルド内に残っていた。

その時もミラと話していた訳だが、ミラ曰く……。

 

 

「確かにあの四人が組めば素敵だけど、仲がギクシャクしてるトコが不安なのよねぇ〜〜」

 

 

という風に心配していた。

ミラはそう思ってルーシィに仲をとりもつよう頼んでおいたのだ。

 

 

「ミラさんの頼みだから仕方なくついてってあげるのよ」

 

「本当は一緒に行きたいんでしょ」

 

「まさか!」

 

「素直になればいいかしら」

 

「本当はヤダって言ってるでしょ!?」

 

 

仁王立ちしながら答えるルーシィ。

猫二匹がそんなルーシィを揶揄い、いつもと変わらないツッコミを返した。

しかしルーシィは猫二匹に哀れみの目を向けた。

 

 

「てか四人の仲とりもつならアンタたちがいたじゃない!! うわーかわいそっ! ミラさんに存在忘れられてるしー」

 

「あい」

 

「ま、リーシャたちにはあの二人を諌めるなんて不可能かしら。現にホラ……」

 

 

ルーシィにそんな事を言われたハッピーとフリーシャだが、特に気にすることも無く答える。

フリーシャが指を指した方向にルーシィが視線を向けると……。

 

 

「てめェ、何でいつも布団なんか持ち歩いてんだよ」

 

「寝る為に決まってんだろ。アホかおまえ」

 

「あ〜〜あ……めんどくさいなぁ……」

 

 

殴り合いにはなって無いものの、睨み合って今にもぶつかりそうな雰囲気を醸し出していた。

ルーシィも良く悪くも変わらない二人にゲンナリする。

と、彼女の中で一つ提案を思いつく。

彼女は嬉々とした様子でその名前を大声で呼んだ。

 

 

「あ! エルザさん!!」

 

 

瞬間、二人の心臓が跳ねた。

そこからは早かった。

 

 

「今日も仲良くいってみよー」

 

「あいさー」

 

「あはははっ! これ面白いかも」

 

 

ナツとグレイは肩を組んで汗をかきながらもニコニコしながらピョンピョン跳ねている。

あまりの変わりように、ルーシィも我慢できず大声で笑う。

騙されたと気づいた二人は仲良くルーシィに詰め寄った。

 

 

「「騙したなテメェ!!!」」

 

「あんたら、本当は仲良いんじゃないの?」

 

 

思いっきり声をあげた二人だが、ルーシィはクスッと笑ってそんな二人を揶揄う。

完全に毒気の抜けたグレイはズゥーンと暗くなる。

 

 

「冗談じゃねえ! 何でこんな面子で出かけなきゃならねえ!! 胃が痛くなってきた……」

 

「魚食べる?」

 

「いるかっ!!」

 

 

相変わらずマイペースなハッピーにグレイはさらに胃を痛める。

 

 

「ルーシィ、何でおまえがいるんだ?」

 

「何も聞いてなかったんですかっ!!!」

 

「直ぐにグレイとケンカしてからリーシャたちは完全に蚊帳の外だったかしら」

 

 

ナツのデジャブ発言にルーシィはぐもおっと唸った。

と、ルーシィはようやくイツメンのうちの一人が居ないことに気づいた。

 

 

「あれ? フリーシャ。そういえばレアとエルザさんは?」

 

「レアはここに来る途中ではぐれたのよ。多分、どこかのシェイク屋でジュースでも買うのに寄り道しているんじゃないかしら? エルザは…多分荷物が多いからそれを纏めるのに少し時間が掛かってるのよ」

 

 

ルーシィの何気ない質問にフリーシャは普通に返す。

その後フリーシャがボソッと「後でどうなっても知らないかしら」と呟いたのが聞こえたが、何やらゴトゴトと木のタイヤのようなものが転がる音が耳に入る。

音の方向を首を傾けると……。

 

 

「すまない…待たせたか?」

 

「荷物多っ!!!」

 

 

思わずツッコまずにはいられなかった。

彼女の目に入ったのは巨大な荷台に大量の荷物を乗せ、それを片手で引っ張っているエルザだった。

フリーシャから荷物が多いとは聞いていたが、ここまで多いのは予想外だった。

そんなルーシィのツッコミで、エルザの目もルーシィを捉えた。

 

 

「ん? 君は昨日妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいたな……」

 

「新人のルーシィといいます。ミラさんに頼まれて同行する事になりました。よろしくお願いします」

 

 

声をかけられてルーシィは丁寧にペコリと一礼した。

その名前を聞いたエルザもニコリとなる。

 

 

「私はエルザだ。よろしくな。そうか……ギルドの連中が騒いでいた娘とは君の事か。傭兵ゴリラを倒したとかなんとか……頼もしいな」

 

「それナツとレアだし、事実と少し違ってる…」

 

 

どうやらエルザにもルーシィの噂は耳に入っていたが、どうやら少々……いや、かなりねじ曲がって彼女に届いているらしい。

間違った噂でルーシィにかなり高い評価を与えるもルーシィは否定する。

しかしそんな訂正はエルザの耳に入っておらず言葉を続ける。

 

 

「今回は少々危険な橋を渡るかもしれないが、その活躍ぶりなら平気そうだな」

 

「危険!!?」

 

 

エルザの発言にルーシィはあからさまに身を引いた。

と、フリーシャが翼を出してエルザの隣に並んだ。

 

 

「エルザ。ここに来る途中レアは見てないかしら?リーシャも途中からはぐれたのよ……」

 

 

おずおずとフリーシャが聞いてみると、エルザは自身の荷台の後ろに目を向けた。

フリーシャに限らず、他の全員もその方向を見ると……。

 

 

「……」チーン

 

「ぎゃああああ!!!」

 

 

何故か巨大な氷の立方体の側面に縛り付けられたレアがいた。

氷は杭を刺され、荷台に引っ張られる形になっている。

白目は向いているが意識はあるらしく、今なお小刻みに震えていた。

 

 

「近くのシェイク屋の行列に並んでいたんだ。時間が無いからやむ無く強引な形で連れてきた。……ふむ……この氷も後でシェイク屋に返しておかないとな…」

 

 

エルザの対応にルーシィは悲鳴をあげ、男性陣はガタガタと震えていた。

ちなみにこの巨大な氷、エルザがシェイク屋に返さなきゃと言ったように、元々シェイク屋の裏の冷凍庫にあった巨大氷を "勝手に" 拝借してきたのだ。

フリーシャは無言でレアの拘束を魔法を使って解いた。

自由になったレア。

だがその体は力なく地面に倒れそうになる。

直前でフリーシャがレアの首根っこを掴み、回収していった。

 

 

「ありがとうなの、フリーシャ」

 

「だから出発前にあれだけ言ったのよ。エルザとのパーティを組んだ以上、寄り道は避けるべきかしらって」

 

「ん……ごめんなさいなの」

 

 

フリーシャの説教にレアはシュンと小さくなった。

完全に冷めきった空気の中誰も口を開かない中、一人、エルザに詰め寄った。

 

 

「エルザ。何の用事か知らねェが今回はついてってやる。条件つきでな」

 

「条件?」

 

 

ナツだった。

ナツの言葉に、エルザは眉を潜めた。

 

 

「バ…バカ…! オ…オレはエルザの為なら無償で働くぜっ!!」

 

「下僕なの?」

 

「んなわけっ!……ねェ…だろ……」

 

「そこで自信無くすんじゃないかしら」

 

 

突然ナツが口走った内容にグレイは冷や汗を流す。

その後の下僕発言をレアに拾われ、グレイはさらに自信を無くしていた。

 

 

「言ってみろ」

 

 

エルザが短くそう言う。

短い間を置き、ナツがその条件を口にする。

 

 

「帰ってきたら、オレと勝負しろ。あの時とは違うんだ」

 

「オ…オイ! はやまるなっ!!死にてえのか!?」

 

 

まさかの条件にエルザ以外の者は目を白黒させる。

グレイに至ってはナツの命を案ずる事態だ。

エルザはほんの少し考え……。

 

 

「確かにおまえは成長した。私はいささか自信がないが……いいだろう。受けて立つ」

 

 

承諾した。

ナツはエルザの自信がないという発言に舐められているのかと憤慨したが、エルザはナツの力を認め、そう発言したのだという。

曲がりなりにも彼の実力は認め、ナツとエルザの本気の勝負がここで結託された。

 

 

「グレイ、レア……おまえたちも勝負したいのか?私と」

 

 

そのままエルザはグレイとレアの方に首を傾ける。

しかし二人揃って首をぶるんぶるんと激しく横に振っている。

余程嫌なのだという。

そんな中、ナツは文字通り燃え上がっていた。

 

 

「おしっ!!燃えてきたァ!!! やってやろうじゃねーかっ!!!」

 

 

その勢いのまま、一同は列車に乗り込んだ。

 

 

〜〜〜

 

 

列車は煙をあげ、ガタンゴトンと特有の音を立てて走り出した。

そのとある席では……。

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

「ヒュー……ヒュー……」

 

 

二匹の竜がグロッキーになっていた。

出発して僅か数秒、完全に酔っていた。

 

 

「なっさけねえなぁ、ナツはよォ………。うっとおしいから別の席行けよ……。つーか列車乗るな!走れ!!」

 

「まいどの事だけど……つらそうね…」

 

 

そんな様子のナツを、隣に座っていたグレイは煙たがっていた。

ちなみに席は対面式の三人席を確保しており、窓側からエルザ、ルーシィ、フリーシャ、レア。もう反対はナツ、ハッピー、グレイと並んで座っている。

普通乗り物酔いをする人は窓側に座らせたほうがいいと言うが、二人の場合、それは意味を成さない為に座り順は割と適当だ。

 

 

「まったく……しょうがないな。ナツ、私の隣に来い」

 

 

エルザは乗り物に苦しむ二人を慈しむ目で見つめ、そう促す。

ナツは一言「あい」と返事して立ち上がり、ルーシィと席を入れ替える。

入れ替わって席に座るナツを、エルザはふぅとため息をついて変わらぬ視線を彼に向ける。

と……。

 

 

ボスッ!!!

 

「「「「!!!?」」」」

 

 

エルザはナツの腹に拳を叩き込んだ。

突然襲いかかってきた衝撃にナツは白目を向き、悲鳴も出せずにどさっとエルザの膝に頭を落とした。

 

 

「さて、次はレアの番だ。来い」

 

「…いや…レアは…」

 

「来い」

 

「…………なの」

 

 

エルザは次にレアに視線を合わせそう言う。

だが腹パン(さっきの)を見てレアは完全に萎縮して断る。

だがエルザの有無を言わせぬドスの効いた声にレアは反抗できずナツを退かしてエルザに隣に座った。

そして……。

 

 

ドスッ!!!

 

 

同様に拳を打ち込まれ、レアはキューンと唸ってエルザの膝に倒れた。

一連の流れを見せられた四人は、しばらくの何も言えなかったのだった。

 

 

〜〜〜

 

 

「そういや…あたし……妖精の尻尾(フェアリーテイル)でナツとレア以外の魔法見た事ないかも」

 

 

数刻の後、ようやく口を開いたのはルーシィだった。

確かに彼女は今まで行動を共にしたのは滅竜魔導士コンビの双竜だけだった為に、他の者の魔法に触れる機会がとんと無かった。

 

 

「エルザさんはどんな魔法使うんですか?」

 

「エルザでいい」

 

「エルザの魔法はキレイだよ」

 

 

ルーシィは同じ女性であるエルザに興味を持った。

エルザも堅苦しいのは無しにルーシィと接し、ハッピーが割って入った。

 

 

「血がいっぱいでるんだ。相手の」

 

「キレイなの?それ…」

 

「確かにエルザの魔法で飛び散る鮮血は赤く光ってキレイかしら」

 

「ナニソレ怖い……」

 

 

ハッピーのぶっ飛んだ説明にフリーシャも同意して詳細を聞くのが怖くなってきたルーシィであった。

 

 

「たいした事はない……。私はグレイの魔法のほうが綺麗だと思うぞ」

 

「そうか?」

 

 

突然エルザはグレイに話を振った。

そんな事を言われたグレイは実際にルーシィの前で魔法を披露して見せる。

彼は「ふん!」と気合いを入れる声をあげ、右の拳を左の手のひらに叩きつけた。

するとそこに魔力が集結すると、辺りに冷気が流れる。

グレイはゆっくりと右の拳を解き中を開くと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章の形をした氷が現れた。

 

 

「わあっ!!」

 

「氷の魔法さ」

 

「氷ってアンタ似合わないわね♡」

 

「ほっとけっての」

 

 

キラキラと輝く氷の小さなオブジェにルーシィは笑顔を浮かべる。

ふと、ルーシィは思考を巡らせた。

 

 

「氷! 火! あ!!」

 

 

と、ポンポンと口に出せばピコーンとルーシィの中で点が線で結ばれる。

そのままニヤニヤしながらグレイを見た。

 

 

「だからアンタたち仲悪いのね!! 単純でかわいー」

 

「そうだったのか?」

 

 

ルーシィは確信をついたかのように笑い、エルザは不思議そうに聞いた。

当の本人であるグレイはバツが悪そうにそっぽを向いた。

 

 

「どうでもいいだろ!?そんな事ァ」

 

「けどルーシィの原理だと、火のナツと水のレアは説明つかないかしら」

 

 

と、フリーシャが割って入る。

フリーシャの言葉にルーシィは「あ……」となって頭を捻らせる。

 

 

「……滅竜魔導士同士気があったとか…?」

 

「ルーシィそれ思考放棄だよ」

 

 

悩んだ故に出した結論はそれだった。

ハッピーにそう言われるも、エルザが思い出したかのように呟いた。

 

 

「そういえば、確かに昔の……妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ったばかりの頃のナツとレアの仲はすごく悪かったな……」

 

何気なく呟いたエルザの言葉にルーシィはギョッと目を見開かせる。

今の関係を見ていると全く想像出来ない仲が悪いナツとレア。非常に気になる話題だったが、グレイがそれをバッサリと切り捨てた。

 

 

「つーかそろそろ本題に入ろうぜエルザ。一体何事なんだ。おまえほどの奴が人の力を借りたいなんてよほどだぜ」

 

「そうだな……話しておこう」

 

 

グレイを恨めしく見るルーシィ。

だがそれらを一切無視して、グレイに話を振られたエルザは膝枕をしているレアを軽く撫でて話し始めた。

 

 

〜〜〜

 

 

先の魔物の討伐の帰りの事。

エルザはオニバスにある魔導士が集まる酒場にて休憩していた時だという。

一人の男が酒はまだかと声を荒らげていた。

そちらに視線を向ければ、四人の男がテーブル席を囲んでいた。

ビアードと呼ばれたクレームをつけていた男はララバイという何かの隠し場所を見つけたが、封印があって解けずにイライラしているのだと言った。

そんな中、四人の中の一人がみんなには先に帰るように言った。

 

 

「エリゴールさんに伝えといて。必ず三日以内に、ララバイを持って帰るって」

 

 

そう言って会話は打ち切られたとのことだった。

 

 

〜〜〜

 

 

「ララバイ?」

 

「子守歌……眠りの魔法かしら」

 

 

グレイとルーシィはララバイなる謎の単語に眉を潜ませた。

しかしエルザは俯いて答える。

 

 

「わからない……。しかし封印されているという話を聞くと、かなり強力な魔法だと思われる」

 

「話が見えてこねえなァ………。得体の知れねえ魔法の封印を解こうとしてる奴等がいる……。だがそれだけだ。仕事かもしれねえし何て事ァねぇ」

 

 

しかしグレイはさらに疑問符を浮かべて説明を要求する。

それと同時に、列車は遂に目的地であるオニバス駅に到着し、プシューと気の抜ける音が駅内に響く。

 

 

「そうだ……。私も初めはそう気にはかけてなかった。()()()()()という名を思い出すまではな」

 

 

エリゴール。

聞いたことの無い名前にルーシィは首を捻った。

 

 

「魔導士ギルド。鉄の森(アイゼンヴァルト)のエース。死神エリゴール」

 

「し…死神!!?」

 

「暗殺系の依頼ばかりを遂行し続けついた(あざな)だ。本来暗殺依頼は評議会の意向で禁止されているのだが、鉄の森(アイゼンヴァルト)は金を選んだ。結果…6年前に魔導士ギルド連盟を追放……。現在は闇ギルドとちうカテゴリーに分類されている」

 

 

エルザは大量の荷物を片手に列車を降りながら鉄の森(アイゼンヴァルト)とエリゴールについて簡単な説明をする。

 

 

「闇ギルドぉ!!?」

 

「ルーシィ。汁いっぱい出てるよ!」

 

「汗よ!!」

 

 

つい先日、闇ギルドについて説明されたばかりのルーシィは冷や汗をダラダラと流す。

そこをハッピーに弄られるも平常運転でツッコミを返す。

そんな中グレイはなるほどと納得した。

 

 

「ちょっと待って!! 追放……って、処罰はされなかったの!?」

 

「されたさ。当時鉄の森(アイゼンヴァルト)総長(マスター)は逮捕され、ギルドは解散命令を出された。しかし闇ギルドと呼ばれているギルドの大半が解散命令を無視して活動し続けてるギルドの事なのさ」

 

 

一人納得出来なかったルーシィは声をあげるもエルザにそうタンタンと返され絶句して身を震わせる。

終いには帰ろっかなと呟いた。

 

 

「不覚だった…。あの時エリゴールの名に気づいていれば……」

 

 

エルザはそう区切る。

気になったルーシィはエルザの顔を覗き込めば……。

 

 

「全員血祭りにしてやったものを………」

 

「ひいいっ!!!」

 

 

とてつもない殺気を身に纏わせそう呟いた。

たまらずルーシィは悲鳴をあげる。

この人ならやりかねないと。

 

 

「だな……。その場にいた連中だけなら、エルザ一人で何とかなったかもしれねえ。だがギルド一つまるまる相手となると……」

 

 

意図を掴んだグレイはそう区切り、エルザに返事を求める。

エルザもコクッと頷いて続けた。

 

 

「奴等はララバイなる魔法を入手し、何かを企んでいる。私はこの事実を看過する事はできないと判断した。鉄の森(アイゼンヴァルト)に乗り込むぞ」

 

「面白そうだな」

 

 

エルザの言葉に、グレイはニヒリと笑った。

それについていけない者が一人。

 

 

「来るんじゃなかった」

 

「汁出すぎかしら」

 

「汁って言うな」

 

ルーシィである。

ミラに頼まれた事とはいえ、快く引き受けたことをここに来て後悔しだした。

 

 

「で……鉄の森(アイゼンヴァルト)の場所は知ってるのか?」

 

「それをこの町で調べるんだ」

 

 

そう。

ここはエルザがその鉄の森(アイゼンヴァルト)と遭遇した酒場のあるオニバス。

地道ではあるがここから鉄の森(アイゼンヴァルト)の足取りを掴むという。

しかし、一人乗り気じゃなかったルーシィはある異変に気がついた。

 

 

「やだ…嘘でしょ!!? ナツとレアがいないんだけどっ!!!」

 

 

全く気づいていなかった。

その場にいた全員が目をパチクリさせていた。

 

 

〜〜〜

 

 

一方、置いていかれたナツとレアはというと……。

 

 

「はあ…はあ…はあ…はあ…」

 

「ヒュー……ヒュー……」

 

 

気絶から復活したはいいものの、再び乗り物酔いで苦しめられていた。

ナツは腕を組んで座席に深く座り込み、レアはナツの膝を枕に横になっている。

そんな時だった。

 

 

「仲の良さそうなお二人さん、ここ空いてる?」

 

 

一人の黒髪の男が二人に寄ってきた。

彼は確認も取らないまま二人の前の席に腰を掛けた。

しかし二人とも酔いでそれどころではなく、ただただ息を切らしているだけだった。

つらそうだねと心配する男だったが、彼はナツの右肩に刻まれている紋章が目に入った。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)。正規ギルドかぁ……。うらやましいなぁ」

 

 

その男。鉄の森(アイゼンヴァルト)のカゲヤマは静かに口角を上げた。




話の途中で出てきたナツとレアの過去。
アニオリの枠とか使っていつか書きたいと思います。
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