妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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恐らく今章書くのに一番時間掛かった場所。


炎と水と風

 

「来い! 物騒な笛ごと燃やしてやる」

 

 

両手に炎を宿したナツがニヒリと笑う。

相対するは片膝をつき大鎌で体重を支えているエリゴール。

内心怒りで悪態をついていた。

 

 

「(魔風壁は……カゲヤマどもはどうしたんだ!!?あと少しでじじいどものいる場所に着くというのに……!!)」

 

 

のそっと立ち上がり、フリーな状態の左手をナツの方に向ける。

と……。

 

 

キィイイイン!!!

 

 

再び何かが空を切る音が二人の耳に入った。

まさか!と言う様子で音の方向に目を向けると…。

 

 

「んなのぉぉぉおおお!!!」

 

ドゴォン!!!

 

「グボア!!?」

 

 

ナツと同様MAXスピードで追い上げてきたフリーシャに掴まったレアが水流を纏った蹴りをエリゴールの腹目掛けて打ち込んだ。

体が大きく曲がったエリゴールはそのまま渓谷の大岩目掛けて吹き飛ばされる。

モクモクと土煙が舞う中、レアは蹴った反動からエリゴールの吹き飛んだ方向とは反対に大きく飛び、ナツの隣に着地した。

 

 

「レア!? 何でここにいんだよ!!」

 

「ん?何でって、あの団扇男倒す為なの」

 

 

あっけらかんと答えるレアに、ナツは不満そうに地団駄を鳴らす。

 

 

「俺一人で十分だっての!!」

 

「レアだって暴れ足りないの!」

 

 

敵が現在岩にめり込んでいるとは言え、無防備に口喧嘩を始めるナツとレア。

しかし、それはすぐに終わる事となる。

 

 

「それに……『二人で双竜 揃えば最強』なの」

 

「……あぁ、そうだよな! ハッピーとフリーシャの前なんだ、カッコ悪ぃトコは見せれねぇな!!」

 

「ん。ということで、フリーシャはゆっくり休んでいてなの」

 

「面目ないかしら……後は任せたのよ…」

 

 

ニカッと笑うナツを背後に、レアはゆっくり降下してきたフリーシャを腕に抱え、ハッピーの隣に寝かしつける。

そうしている間に、ようやく回復したエリゴールが戻ってくる。

 

 

「本当に邪魔な妖精(ハエ)どもだぜ……。まさか二人も取り逃がすとはな……。消えろ」

 

 

吹き飛ばされて彼らから離れたお陰か幾分冷静になったエリゴールは、静かに突風を巻き起こし、二人に仕向ける。

が、この程度でやられる『双竜』ではない。

突風によって舞った土煙が晴れる前に空へ上がる影が二つ。

 

 

「ウォォォオオオ!! レア!!!」

 

「ん! んなのおおお!!!」

 

「オラァ!!!」

 

「何!? グッ!」

 

 

影の正体はもちろんナツとレア。

レアはナツの背中に乗っており、そのナツは足から炎を吹き出し高々と跳躍している。

そしてナツが声を上げると同時にレアが飛び出す。

水流を足に纏ったレアがエリゴール向けて急速降下する。

間一髪それを避けるエリゴールだが逃がさない。

空で待機していたナツが再び足から炎を吹き出し、空へと逃れたエリゴールに向けて炎を纏った拳を振るう。

しかしこれもエリゴールにあと一歩届かず、持っていた大鎌で防がれ、さらに空中へと距離をとる。

 

 

「(炎で跳躍し炎で殴る……小娘も水を使って蹴ってくるあたり、あの小僧と同じことが出来るのか…! それに受け止めてわかった拳の重さ……とても魔導士の拳とは思えねぇ……!!)」

 

 

空中から悠々と二人を見下ろすエリゴールだが、内心は驚きで少々戸惑っていた。

一方地上の二人はフラフラ飛び回るエリゴールにだんだん怒りが増していく。

 

 

「クソっ! フラフラ飛びやがって!!」

 

「ん! ズルいのズルいの早く降りてくるのー!!」

 

 

ほとんど子供の癇癪とも取れるような挑発。

当然このような物に乗るエリゴールでも無い。

 

 

「調子に乗るなよ……妖精(ハエ)が!! 暴風波(ストームブリンガー)!!!」

 

「おわあぁ!!?」

 

「お…おおぉ!!?」

 

 

荒れ狂う竜巻。

それは数える間もなく二人を飲み込んだ。

天まで高く昇る竜巻の口からやがて二人が吐き出される。

そのまま二人は吸い込まれるかのように谷底へと落ちていってしまった。

 

 

「ハハッ。これで飛び上がることも出来まい…」

 

「ナツー!!」

 

「レアー!!」

 

 

勝ちを確信するエリゴール。

だが先にも言ったように、これでやられる『双竜』ではない。

方向転換をし、今度こそクローバーへ向かおうとするが、彼が次に目にしたのは…。

 

 

ズゴオオオォォォン!!!

 

 

燃え盛る火柱がやがて手の形へ変え、線路を掴んで這い上がってくるナツと、谷底から線路の上を通り、再び谷底へと続く水流の中を、まるで水中トンネルを通るかのように駆け上がってくるレアの姿だった。

 

 

「危ねぇ危ねぇ……火の質を変えるね…」

 

「水流の応用…以外とやってみる物なの……」

 

「な、なんだ今のは…!」

 

 

エリゴールが驚くのも無理は無い。

ナツが行ったのは彼の口にした通り、火の質を変えたのだ。

 

この世界、炎というのは何も燃やすだけが全てでは無い。

先日ナツとレアがハコベ山で助けた魔導士、マカオだって火の魔導士だ。

だが彼の扱う火はナツの火とは本質が違う。

紫の炎(パープルフレア)と呼ばれるユニークな性質を持つ炎であり、物を掴んだりも出来るのだ。

その際、熱によって燃えたり、形が変形することも無く、非常に便利なものだ。

この炎の違いには先にも言ったように炎の質に関係があり、ナツは一時的に自身のなんでも燃やす炎の質を変える事で、利便性の高い炎へと変換させたのだ。

 

レアが行ったのは口にした水流とは少し違う。

サイフォンの原理と呼ばれる化学知識を用いたものだ。

まず出発点となるレアの居場所に小池程の水溜まりを作る。

そこから水の通り道を上に伸ばし、今度はその通り道の出口を先程作った水溜まりより低い位置に作る。

こうする事によって、水は一時的に高い場所に登っていくという原理が出来上がる。

レアはこれを利用し、上へと昇ってきたのだ。

本来この原理は隙間の無い管を利用した原理ではあるのだが、レアの場合、魔力の管を用いる事でこれをなし得た。

俗に言う荒業である(それはナツにも言える話ではあるが…)。

 

 

「お前、裸じゃ寒ぃだろ。温めてやろうか?」

 

「お前も似たようなモンじゃねえか!!」

 

 

ナツのちょっとしたジョークにルーシィ並のツッコミを返すエリゴール。

その直後、ナツは口をいっぱいに膨らませ…。

 

 

「火竜の咆哮!!!」

 

 

エリゴール向けて炎のブレスを発射する。

それをさらに高度を上昇して躱すが、まだ終わらない。

 

 

「熱した体を冷やすから、後は自分の風で整ってくださいなの、水竜の咆哮!!!」

 

「!? 暴風壁(ストームウォール)!!!」

 

 

突然後ろから声が聞こえたかと思えば次に目に入ったのは渦巻く水流のブレス。

エリゴールは間一髪の所で風のバリアを張ってそれを防いだ。

 

 

「(口から魔法を……やること全部デタラメじゃねえか…! それに息つかぬ連携攻撃……これが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士か…)」

 

 

そこから、エリゴールの二人を見る目が変わる。

今までは道端のアリを見るのも同然の目だったが、今では完全に獲物を狩る為本気になった狼の目をしている。

 

 

「貴様らの力…少々侮っていたようだ。ここからは本気で行こうか。……お互いにな」

 

「……燃えてきたぞ!」

 

「ん!」

 

 

そして変わったのはエリゴールだけでは無い。

ナツはより一層目を鋭くさせ、レアも気合いを入れ直す。

 

 

暴風衣(ストームメイル)!!!」

 

 

そう唱えたエリゴールは持っていた大鎌を手放し、自身の体に風を纏わせる。

その瞬間、周囲も暴風に包まれ、ナツとレアは揃って顔を覆う。

風がある程度止み、二人が目にしたのは……目を光らせた人型の風だった。

 

 

「いくぞ」

 

 

短くそう言ったエリゴールはナツとレアの丁度中間点の位置にに着地する。

これを隙と見た双竜は合図無しに同時に襲いかかる。

 

 

「火竜の鉄拳!!!」

 

「水竜の砕拳!!!」

 

 

互いの属性を拳に纏わせたパンチ。

エリゴールがその場所に降りてきてくれた事もあって完全に挟み撃ちに狙った攻撃。

どちらかを防ごうが、確実に防がれなかった拳は命中すると確信していた二人。

しかし、エリゴールの取った行動は両手のひらを二人の前に突き出し、その拳をどちらも真正面から受け止めるだった。

普通なら確実に受け止めるなど不可能。

それが普通であらば…。

 

 

バシュゥゥゥ……

 

 

二人の拳を纏っていた炎と水は、エリゴールの拳で受け止められる前に何故か打ち消され、結果として残ったのはエリゴールの手のひらに自身の拳を打ち付ける結果だけだった。

 

 

「やはり魔法を纏ってなければあの破壊力は出せんか…。まるで効かんな」

 

「どうなってんだ!? 炎が消えちまう!!」

 

「水が着く前に消えちゃうの!!」

 

 

そのカラクリはさっきの二人のメチャクチャと比べれば単純な物だ。

先程エリゴールが自身の体に纏わせた暴風衣(ストームメイル)

これは風の鎧であり、常に外に向かって風が吹いているのだ。

通常炎は向かい風には逆らえないし、水も流されるしか無い。

そこまで語り、エリゴールは高らかに宣言する。

 

 

「炎と水は、風には勝てねえんだ!」

 

 

ビュオオオ!と再び旋風が巻き起こり、双竜を遠ざける。

 

 

「すごい風なの…!」

 

「あぁ……まるで台風みてーだ…!」

 

「もはや炎も水も、オレには届かん!!」

 

 

そう言ってエリゴールは双竜目掛けて無数の風の刃を放つ。

次々と飛んでくる刃に、ナツもレアも全てギリギリの所で躱し、それぞれ炎、水をブースターにエリゴールとの接触を図る。

が、やはりそれは一歩届かず、再び二人は吹き飛ばされる。

 

 

「炎どころかオレたちが近づけねえ!!」

 

 

ナツの漏らした苦言通りであり、今エリゴールの周りにあるのは自身で纏った風の鎧以外無く、ナツとレアが近づこうにも虚しく飛ばされるだけ。

17歳の男女二人を軽々と吹き飛ばすあたり、風速は40m/秒を軽々と超えているだろう。

 

 

「どうした貴様ら…その程度か? もう少し骨のある奴らだと思ったのだが……まぁいい。これで終わらせる!全てを切り刻む風翔魔法、翠緑迅(エメラ・バラム)!!!」

 

翠緑迅(エメラ・バラム)

それを聞いてピンと来たのは魔力がある程度回復してきたハッピーとフリーシャだった。

 

 

翠緑迅(エメラ・バラム)だって!!?」

 

「そんなのくらったらバラバラになるのよ!!!」

 

 

エリゴールの操る風の魔法の中でも高い威力を持つ上級魔法。

上級魔法というだけあり、その威力は軽々とその命を刈り取る物である。

そして、それが今…

 

 

「死ね!!! クソガキ共ぉ!!!」

 

 

風によって宙を舞い、無防備になった双竜を襲う。

濃密度に重なった風が鎌鼬となり、ズギャギャギャ!!!と周辺の線路をも切り刻む。

煙が晴れ、恐るべき鎌鼬から難を逃れていたハッピーとフリーシャが目にしたのは…。

 

 

「「ナツーー!! レアーー!!」」

 

 

ボロボロになった線路と橋、そしてその線路の中央で力なく横たわっているナツとレアの姿だった。

 

 

「ほう…その肉体が残っただけでも大したモノだ。若ェ魔導士にしては、小僧も小娘も中々だったぞ。安心しろ。ジジイ共もすぐにそっちに送ってやる。呪歌(ララバイ)の音色でな」

 

 

エリゴールが魔法を放つ前にフリーシャが言っていた通り、普通この魔法をくらえば体がミンチになることまっしぐらであったハズなのだが、ナツもレアも服はボロボロ、頭から少し血を流す程度で済ませたので、思わずそう声かける。

そうして、ようやく再びクローバーに迎えると踵を返したその時。

 

 

「何が…呪歌(ララバイ)だ!」

 

 

ナツが声を上げる。

上半身の服は先程の鎌鼬によってもうほとんど残っておらず、ビリビリとちぎって投げ捨てる。

鍛えられた肉体が顕になり、その体はもう傷だらけだった。

 

 

「じっちゃんの首がほしいなら正々堂々戦え!!」

 

「バカな! まだ生きてるのか!?」

 

「戦う勇気がねえなら手ェ出すんじゃねえ!!!」

 

 

竜の鱗のようなマフラーを風にたなびかせ、ナツは再び炎を拳に纏ってエリゴールに殴り掛かる。

だが同じ手が効くはずも無い。

 

 

「なんてしぶてえガキだ!!」

 

 

ぶあっ!と再び風がナツを吹き飛ばす。

今度はしっかり着地してダメージを抑えるナツだが、彼の中の怒りはどんどん蓄積されていき、八つ当たり気味に線路を掴んではメキメキと橋から剥がしている。

 

 

「ちくしょオォオォ!!! 何で近づけねェんだ!!!納得いかねーー!!!」

 

 

言葉を重ねる毎に熱量を上げていくナツの炎。

それは谷底から這い上がってくる時に見た炎とは格段に違う、獰猛で荒々しい炎だった。

 

 

「それにしても不気味な魔法だな。感情がそのまま炎へと具現化されてるようだ。

……感情の炎…!? た、確か古代の魔法にそんな魔法が……いや、こんな若造が古代の魔法など…」

 

 

エリゴールがそのような考察をする中、突然肌寒さを感じる。

不思議に思い、特に肌寒く感じる背後に目を向けると…。

 

 

「…おじいちゃんには……手は出させないの!!!」

 

 

ボロボロになっているレアが周囲にとてつもない冷気を纏ってコチラを睨みつけていた。

普段着ているセーラー服は既に無く、下に着ていたスポーツブラとホットパンツが顕になっている。

白い肌には傷一つ無く、その華奢な体つきからはあのパワーが生み出されているとは到底思えない。

中々表情筋を動かさないレアが眉間に皺を寄せる程睨むその表情に、エリゴールも思わず後ずさる。

と同時に、異変を感じた。

 

 

「ん? 何だ……風が小僧の方向へ…!?」

 

 

そう。

エリゴールが纏っていた風……もっと言えば、周囲の気の流れがレアからナツの方向へと流れているのだ。

 

 

 

「そうか! フリーシャ!!」

 

 

そしてそのカラクリに気づいたハッピーはフリーシャにある作戦を伝える。

 

 

「なるほど……気は進まないけど、それで勝てるならやるかしら」

 

「あい! 絶対大丈夫だよ」

 

 

フリーシャはそう言って僅かに回復した魔力を使って翼を出し、戦闘の影響が少ない橋下からレアの元へ向かう。

 

 

「……ナツー!!」

 

「あん!?」

 

 

フリーシャが飛んでしばらく経ってからハッピーが声を上げる。

そして…。

 

 

「無理、ナツとレアじゃ勝てないよ。グレイに任せよ」

 

 

・・・

 

 

「んだとコラアアアァァァアアア!!!?」

 

 

ゲッソリした様子でハッピーがナツを煽り、単純なナツも怒りを大爆発させる。

それと同時に、ナツが纏っていた炎はさらに熱く燃え上がり、熱量も増していく。

その反対側でも似たような異変が起こる。

 

 

「…アリエナイノ……!」

 

 

フリーシャに煽られたレアの目からハイライトが完全に消え、周りの空気はさらに冷え、周囲が凍っていく。

それによって、エリゴールの身にも変化が起こる。

 

 

「バ…バカな!! 暴風衣(ストームメイル)が流されていく!!?」

 

 

纏っていた風はどんどんナツの方へと流されていき、遂にその身が再び顕になった。

 

 

「(ナツの超高音で温められた周りの空気が、急激な上昇気流になって低気圧が発生したんだ!)」

 

 

これこそがハッピーの考えた作戦。

ハッピーの考えの通り、ナツの周囲には低気圧、反対にレアの周囲には高気圧が発生している。

風……つまり気の流れは気圧が高い所から低い所へと流れる。

しかし、これでまだ終わらない。

同勢力の高気圧、低気圧がすぐ近くで発生した事により、その中間地点……つまり、エリゴールの位置には停滞前線が発生する。

梅雨の時期に発生する前線である。

梅雨といえば、そう。

天高く上っていく気は次第に再び冷やされ、雲を形成する。

そして……。

 

 

「やった! 雨が降り始めたかしら!!」

 

 

激しい雨を降らせる事となる。

 

 

「天候を変えてしまう程の超熱、絶対零度の魔法だと!!? ……まさか!!?」

 

「オレたちが倒してやるよォオォ!!!」

 

 

目を吊り上げさせそう叫ぶナツは纏っていた炎をそのまま武器としエリゴールに突貫する。

 

 

「火竜の劍角!!!」

 

「ごはぁ!!?」

 

 

レアの初撃以上に体がくの字に曲がったエリゴールに抵抗できる力は残っておらず、そのままナツによって上空へと投げ飛ばされる。

その先でエリゴールを出迎えるのはレアだ。

なんと、現在進行形で降っている雨粒を……いや、その元となる雨雲までも、レアの手のひらへと集束されている。

 

 

「地の果てまで……流れ去るといいの! 水竜の豪海!!!」

 

 

まさしく海そのものがエリゴールを襲う。

一点に集中した水の圧力は想像を絶する物であり、叩きつけられたエリゴールはいとも容易くその意識を刈り取られる。

 

 

「(いたのか……滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が……!!?)」

 

 

一瞬脳裏に浮かんだのは、存在しないと思われていた古来の魔法……滅竜魔法の存在であったが、何を思っても今となっては後の祭り。

魔力を絞り出す力も無いエリゴールは、橋の上に呪いの笛呪歌(ララバイ)を残して谷底へと姿を消したのだった。

 

 

「どうだハッピー!」

 

「フリーシャ! ちゃんと見たの!?」

 

「あい! さすが『双竜』の二人だね」

 

「やっぱりナツとレアが負けるはず無かったかしら」

 

 

戦闘を終えたナツとレアは揃って相棒の猫の元へと一目散に向かう。

その猫二匹はというと手のひらを返したかのように二人を褒め上げる。

しかしその言葉に動じず、双竜の二人は揃ってジト目で猫たちを見つめる。

 

 

「お前さっきなんつった?」

 

「聞き捨てならないの」

 

「「猫の記憶力はしょぼいモノなので(よ)」」

 

 

中々悲しい事を自分たちで言う猫たちだが、二人は気にせず目をカッと開いて叫んだ。

 

 

「俺とレアじゃ勝てないからエルザ(・・・)がどうとかって言っただろ!?」

 

「レアじゃナツの足(・・・・)引っ張る(・・・・)からグレイに任せよって言ってたの!!」

 

「うわぁ…猫よりもしょぼい記憶力……」

 

「エルザじゃなくてグレイだし、足引っ張るとかそういう理由じゃ無かったかしら……」

 

 

だが何処か微妙にズレている二人の発言に、ハッピーとフリーシャは揃って微妙な表情をする。

だが、最後には二匹揃って笑みを浮かべた。

 

 

「でも、二人は勝ったよ」

 

「えぇ。さすが、『双竜』の二人なのよ」

 

「……まいっか」

 

「ん、終わり良ければ全て良しなの」

 

 

そう言って皆で笑い合う。

しかしそんな中、線路に取り残された三つ目のドクロの笛は怪しく目を光らせ、ケタケタと笑っている事に……誰も気づかなかった。




割とこじつけみたいなのが多いかもしれませんが「この世界ではこういうモノ」って気楽に考えて頂ければ幸いです。
あとレアの技また新しいの披露されたので補足。

水竜の豪海(ごうう)
ナツの火竜の煌炎のレアバージョン。
右手と左手を合わせて巨大な水の塊を作り出し、周囲の水…雨粒や雨雲なども吸収することでさらに肥大化させ、相手に叩き込む。
馬鹿火力を出しやすい分魔力の消費も大きく、ポンポンは使えない。

これからも、ココぞ!という時に出るかもしれません。
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