妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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今回からガルナ編

そんでもってちょっとばかし方針変更を。
今までの投稿の仕方を見ればわかるかと思いかもしれませんが、一章分のストックを書いてから投稿というスタンスをとっていましたが、執筆に集中できる環境に置かれていないという状況もあり、これからは書けたら即投稿という流れに変更します。ストック溜まるの待ってたら今度こそえらい期間空きそうなので(´・ω・`)

それともう一つ、ストーリー進行の関係上必要だと思い、オリキャラ多数のタグ追加します。


悪魔の島編
ナツ vs. エルザ


 

「ふぅ……」

 

 

ここはマグノリアのとあるアパート。

ルーシィの家である。

 

あの後、マグノリアまでの道で迷うというアクシデントはあったものの無事帰ってきたのだ。

クローバーにいたカゲヤマや、オシバナ駅で伸びていた鉄の森(アイゼンヴァルト)の面々は逮捕された。

しかし、ナツとレアが谷の底へ落としてしまったエリゴールだけは行方不明であり、逮捕には至っていないのだとか。

 

ルーシィはそのような旨を手紙に書き留め、封に入れてスタンプを押した。

一息ついたルーシィは大きく伸びをする。

 

 

「今日は買い物しよーっと。ハラハラドキドキの大冒険もいいけど、やっぱり自分の家は落ち着くなァ」

 

「これで家賃7万Jは確かに安いなぁ」

 

 

ふとそんな声がルーシィの耳に入る。

不思議に思って声の聞こえた方向へ視線を向けると…。

 

 

「いいトコ見つかったな、ルーシィ」

 

「やっぱりココ過ごしやすいの」

 

「不法侵入ーーーっ!!! しかも人ん家で服脱ぐなー!!!」

 

「ぐほぉ!?」

 

 

いつかの時のナツと同様、我が物顔でソファにどっかり座るグレイ、そのソファの横の地べたに座ってジュースを飲んでいるレアが視界に映った。

ルーシィは見事な曲線を描きながら足を振り上げてグレイの顎にクリーンヒットさせる。

その際に前回同様一緒にレアを狙ったものの、やはり首をクイッと動かして避け、グレイだけに命中する形となった。

 

 

「ちょっと待てェ誤解だ!! ……脱いでから来たんだが」

 

「帰れ!!!」

 

 

一体何が誤解なのか理解不能である。

どっちみちアウトだ。

ルーシィはビシッと扉を指さして二人に帰るよう促すが、座っていたレアが立ち上がる。

 

 

「例のアレ(・・)今日なの。ルーシィいつまで経っても来ないからレアたちが呼びに来たの」

 

「アレ?」

 

「やっぱ忘れてたか」

 

 

そう言うレアだが心当たりの無いルーシィは頭の上に疑問符を浮かべる。

その様子にグレイはヤレヤレと言った様子で口を開いた。

 

 

「出発前にナツが言ってただろ? ナツとエルザが戦うんだ!」

 

 

〜〜〜

 

 

場所は変わって妖精の尻尾ギルド前。

そこではとある二人の人物を囲むように人が群がっていた。

その人物こそ、グレイが言っていた本日の主役、決闘をするナツとエルザである。

 

 

「ちょ…ちょっと本気なの!?二人とも!!」

 

「あらルーシィ」

 

 

ここで、遅れてやって来たルーシィが人混みを無理やりかき分けてナツとエルザが見える位置まで出てきた。

その表情は焦りで満たされている。

 

 

「本気も本気。本気でやらねば漢では無い!!」

 

「エルザは女の子よ?」

 

「怪物のメスさ」

 

 

だがルーシィとは対照的に、他のメンバーたちは止める気は全く無いらしく、決闘が始まるのを今か今かと待ちわびていた。

そんな様子を見て、ルーシィはさらに不安が募る。

 

 

「だって……最強チームの二人が激突したら…」

 

「最強チーム? 何だそりゃ」

 

「あんたとナツとレアとエルザじゃないっ!!

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のトップ4でしょ!」

 

「はぁ?」

 

 

グレイはルーシィの発した『最強チーム』に疑問を浮かべ聞き返す。

それに対しルーシィはなぜ理解できないんだと言わんばかりに語気を強くして返す。

 

 

 

「くだんねェ! 誰がそんな事言ったんだよ」

 

 

しかしグレイにとってそれは不満だったようで、鼻で笑いながらそう言った。

しかし、そのトゲのある言葉はしっかりと言った張本人であるミラの耳にも届いていた。

笑顔を浮かべていたミラだったが、その顔はすぐに曇り、両手で覆ってしくしく泣き出した。

それを見たグレイも分からないほど鈍い訳でもなく、このタイミングで泣き出すミラにグレイは気まずそうな表情を浮かべる。

 

 

「あ……ミラちゃんだったんだ………」

 

「グレイがミラ泣かせたの」

 

「確かにナツやグレイの漢気は認めるが…" 最強 "と言われると黙っておけねえな。妖精の尻尾(フェアリーテイル)にはまだまだ強者が大勢いるんだ。オレとか!」

 

「最強の女はエルザで間違いないと思うけどね」

 

「最強の()となると、ミストガンやラクサスもいるし」

 

「それに『グラン』に、あのオヤジ(・・・・・)も外す訳にはいかねえな」

 

 

話はいつの間にか妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強魔導士談義になっていった。

エルフマンを筆頭に、チームシャドウギアのレビィ、ジェット、ドロイの三人も口を開く。

最強女魔導士はエルザで間違いないようだが、男となると次々と名前があがる。

そんな中、未だに涙を流しているミラが言う。

 

 

「私はただ、ナツとレアとグレイとエルザが一番相性がいいと思ったのよ」

 

「あれ…? ナツとグレイはエルザがいないところで喧嘩するからって心配してませんでした…?」

 

 

しかし、ミラの言う理由と自分が最強チームに付き合うことになってしまった理由との矛盾にルーシィは疑問符を浮かべる。

 

 

「なんにせよ、面白ェ戦いになりそうだな」

 

「そうか? オレの予想じゃエルザの圧勝だが」

 

「圧勝は無いの……。対面からなら、接戦した上でナツが負けるに一票なの」

 

「結局エルザの勝ちは確定!?」

 

 

対照的な予想をするエルフマンとグレイにレアが口を挟む。

長い間コンビを組んでいたが故に、レアはナツの実力を一番よくわかっている。

だがそこから分析した結果はあまりに無慈悲すぎるが故にルーシィにツッコまれる。

一方対面しているナツとエルザはお互いに声を掛け合っている。

 

 

「こうしてお前と魔法をぶつけ合うのは何年ぶりかな」

 

「あの時はガキだった。今は違うぞ……今日こそお前に勝つ!!」

 

「私も本気でいかせてもらうぞ。久しぶりに自分の力を試したい……」

 

 

そう言うと、光がエルザの全身を包む。

お馴染みの換装である。

光が消え、赤と橙が目立つ鎧を纏ったエルザが相見える。

髪はロングストレートからツインテールに纏めてあり、片手には魔法剣。

鎧は肩から二の腕、太もも以外に炎を模した鎧を纏っている。

 

鎧の名は『炎帝の鎧』

火に対しての耐性が高く、火の魔導士として高いレベルを行くナツの炎も、この鎧を前には半減されてしまう。

そのエルザのあまりの本気具合にやり過ぎだという野次が飛んでくる。

そしてその現状を見たナツの相棒であるハッピーはというと。

 

 

「やっぱりエルザにかけていい?」

 

「何て愛のないネコなの!!?」

 

 

非公式に賭けを行っているカナに、ハッピーが今から賭けの対象を変更できるか聞いていた。

友情より現実を見るネコの行動にルーシィもすかさずツッコミを入れた。

 

 

「あたしこーゆーのダメ! どっちも負けてほしくないもん!!」

 

「意外と純情なのな」

 

 

ルーシィはそう言うが、その発言とは反対に場のボルテージはどんどん高ぶる。

ナツはエルザの炎帝の鎧を見て臨むところだと言わんばかりにニッと口角を上げた。

 

 

「炎帝の鎧かぁ……そうこなくちゃ。これで心置き無く全力が出せるぞ!!」

 

 

そう言って炎を手に纏わせるナツは姿勢を低くさせて、真っ直ぐエルザを見据える。

数秒の沈黙が場を支配する。

が、ついに戦いの火蓋は切って落とされる。

 

 

「始めいっ!!」

 

「だりゃっ!!!」

 

 

いつの間にか審判としてその場にいたマカロフが声を上げると同時にナツが炎を纏った拳をエルザに振るう。

しかしそれをエルザは苦もなく後ろに少し下がるという最小限の動きで躱し、すぐさま横薙ぎの一閃。

だがナツもこれを頭を下げることで躱し、今度は頭目掛けて炎を纏った蹴りを打ち込む。

しかしこれも間一髪のところで躱される。

エルザは再び剣を薙ぎ払うも、ナツは振り上げた足の勢いをそのまま利用してバク転でそれを避ける。

 

 

「ぐっ!」

 

 

しかしその地面についた手を隙と見たエルザは足払いをしてナツのバランスを崩させる。

だがタダでは転ばないナツ。

転倒状態のままナツは口から炎のブレスを発射しエルザを寄せ付けない。

横へ横へと逃げるように避けるエルザを、ナツは転んだ状態から四つん這いになって体制を立て直しブレスをエルザの方向へと向ける。

その途中でブレスがギャラリーの足元に着弾して火柱を上げる。

ギャラリーから悲鳴が上がるが、戦っている二人にはそんなものは耳に入らない。

 

 

「すごい!!」

 

「な?いい勝負してるだろ」

 

「どこが」

 

「ん。前と比べたら、明らかに動きの質が違うの。ワンチャン、ナツの可能性も出てきたの」

 

 

一進一退の攻防を繰り広げるナツとエルザにルーシィは感嘆の声を上げる。

エルフマンが予想通りと言わんばかりに声を上げ、それを反対するグレイ。

しかし、今の今まで瞬殺されていたナツと比べれば今回は明らかに違う。

決定的な攻撃は通っていないもののナツ自身もエルザから決定的な攻撃を受けていない。

本来なら二撃目でやられていたであろうナツが、最強の女魔導士であるエルザに食らいついている。

レアの言う通り、極わずかな可能性ではあるが、ナツの勝つ可能性も見えてきた。

エルザが剣を振り下ろし、ナツが拳を振りかぶる。

互いにぶつかり合おうとするその瞬間。

 

パァン!!!

 

突然そんな甲高い音が響き、その場にいた者たち全員の動きを止めた。

それは戦っていたナツとエルザも例外では無い。

 

 

「そこまでだ。全員その場を動くな。私は評議院の使者である」

 

 

そう言って人混みの間を抜けてきたのは、二足歩行のカエルであった。

もう一度言おう、人語を普通に喋る評議院の正装を身にまとった人と大して背丈の変わらない、いやなんなら常人より頭一つ大きい二足歩行のカエルである。

 

「評議院!!?」

「使者だって!!?」

「何でこんな所に!!?」

 

「あのビジュアルについてはスルーなのね……」

 

 

その『評議院の使者』という存在に全員が驚く。

しかしただ一人『二足歩行のカエル』という存在が気になったルーシィはそう呟いた。

二足歩行の羽の生えた喋るネコが二匹飛び交うギルド内ではビジュアルがカエルというだけでは驚かないのだろうか…。

 

 

「先日の鉄の森(アイゼンヴァルト)テロ事件において、器物損壊罪他11件の罪の容疑で……

 

エルザ・スカーレットを逮捕する」

 

「……え?」

 

「何だとおおぉっ!!!?」

 

 

淡々と告げられた宣告に、ナツだけがそう叫んだ。

 

 

〜〜〜

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルド内の酒場。

いつものバカ騒ぎが嘘かのように、今はしんと静まっていた。

数時間前までこの面でナツとエルザが決闘をしていたハズだったのに、そのエルザは突然来訪した評議院の使者によって連れていかれてしまった。

そして対戦相手が居なくなったナツはというと…。

 

 

「出せっ!!オレをここから出せぇっ!!」

 

「ナツ……うるさいわよ」

 

「出せーっ!!」

 

 

小さなトカゲに変身させられ、逆さまのコップに閉じ込められていた。

 

 

「出したら暴れるでしょ?」

 

「暴れねえよ!! つーか元に戻せよっ!!!」

 

「出したら『エルザを助けに行く!』って言うでしょ?」

 

「言わねーよ!誰がエルザなんか」

 

 

そう言ってそっぽを向くナツだが所詮口だけだ。

彼はこの妖精の尻尾(フェアリーテイル)の中で群を抜いて『仲間』というものに重きを置く男だ。

そんな彼に並ぶほど仲間に対して情に厚いのがレアだ。

実際問題、エルザが評議院の使者に連行されそうになった時、この二人はエルザを連れて行かせまいと派手に暴れたのだ。

ギルド総出で二人を抑えかかるも、『双竜』を抑え込める魔導士は、今このギルドにはエルザ以外に居なかった。

結果二人はエルザを追いかける。

しかしナツだけはマカオが捕まえることに成功し、今はレアを追いかけているのだとか。

 

 

「今回ばかりは相手が評議院じゃ、手の打ちようがねえ…」

 

「出せーっ! オレは一言言ってやるんだ!評議員だかなんだか知らねえが、間違ってるのはアイツらだろ!!」

 

「白いモンでも評議員が黒って言えば黒になるんだ。ウチらの言い分なんか聞くモンか」

 

 

以前にミラがルーシィへ説明した通り、評議院とは魔法界における全ての秩序を守る為に存在する。

文字通り全てであり、罪人への刑罰もここで決定される。

決定権も評議院にあり、それ以上の権力は存在しない為ここで判決が下されば覆すことは不可能だろう。

 

しかし、それだけがここにいる皆をここに縛り付けている訳では無い。

一番の原因は『何故今更なのか』だ。

これまでも数々の問題行動を取ってきた妖精の尻尾(フェアリーテイル)だが、何故今回に限って評議院が動く事になったのか。

確実に何か裏があるということも、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の何人かも理解はしていたが、その裏が何かが読める者はただ一人を除いて居なかった。

 

 

「やっぱり放っておけないっ! 証言をしに行きましょう!!!」

 

「まあ待て」

 

 

そう声を上げたのはルーシィだった。

机を叩いて立ち上がり、評議会へと向かおうとするも、それはマスターであるマカロフによって止められる。

 

 

「何言ってんの!!これは不当逮捕よ!判決が出てからじゃ間に合わない!!」

 

「今からではどれだけ急いでも間に合わん」

 

「でも…!」

 

「出せーっ!」

 

 

弁護に向かいたいルーシィとここに留まるよう促すマカロフ。

完全に平行線を行く二人の口論はナツの声によって終止符を打つ。

マカロフはナツの方を見ずに静かに口を開く。

 

 

「本当に出しても良いのか?」

 

 

するとナツはあっと声を漏らすと、急に静まり返り、目を細めて気まずそうに顎をポリポリと掻き出した。

その様子に周りの者は訝しげに見つめ、マカロフはニヤリと笑う。

 

 

「どうしたナツ? 急に元気が無くなったな」

 

 

そう言いながら笑みを浮かべるマカロフは、右手をナツを閉じ込めているコップへ向ける。

すぐさま魔力弾が発射され、閉じ込められていたナツごとコップを吹き飛ばす。

トカゲになる変身魔法(・・・・)が解除され、中から現れたのは…。

 

 

「「「マカオ!!?」」」

「「「何で!!?」」」

 

「すまねえな……ナツとレアには借りがあってよォ…」

 

 

紫の髪をオールバックにした中年男性、マカオ・コンボルトであった。

思わぬ人物の登場にギルド内が騒然とする中、マカオはバツの悪そうな笑みを浮かべる。

 

以前ハコベ山にて二人に助けられてから返そうと思っていた借りを今ここで返すことに決めたマカオはトカゲに変身してナツの振りをし、エルザを追ったレアを追いかけたという名目で自身の姿をも誤魔化すことで時間を稼いだと説明する。

その説明を受け、じゃあ本物のナツとフリーな状態のレアはと問われ、そのままエルザを追っただろうとマカオは申し訳なさそうに答える。

 

 

「シャレになんねえぞ!! アイツらなら評議員すら殴り蹴り飛ばしそうだ!!」

 

 

双竜が引き起こすであろう最悪の事態に、何人かは顔を青ざめ、すぐに止めようとその場から動き出すも、マカロフは「全員黙っておれ」と声を上げる。

 

 

「静かに結果を待てばよい…」

 

 

たったそれだけの言葉に、一体どれだけの意味があるのか、全て把握できる者はこの場には居なかった。

しかし、そのたった一言で評議会に向かおうとした者は一人も居なくなった。

 

 

〜〜〜

 

 

場所は変わって、評議院フィオーレ支部の裁判所。

 

 

「被告人、エルザ・スカーレットよ。先日の鉄の森(アイゼンヴァルト)によるテロ事件において……」

 

 

手錠を掛けられ、証言台に立つエルザ。

その眼前には、書記官と見られる二名。

そして、裁判官にあたる評議員十名の魔導士が見下ろす形で座っている。

 

 

「……これら破壊行為の容疑にかけられている。目撃証言によると……犯人は鎧を着た女魔導士であり…」

 

 

淡々と裁判が進む。

しかしそんな時だった。

 

 

ドゴォン!!!

 

「何事!?」

 

 

突然法廷の扉が勢いよく破壊される。

荒々しく破壊される扉に、誰もが敵襲かと身構えた。

そして大穴をくぐって現れたのは…。

 

 

「鎧の女魔導士なら、ここにいるぞっ!!……なの」

 

「そうだー!! 捕まえられるモンなら捕まえてみやがれぇぇっ!!!」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士であるナツとレアであった。

しかし、何故かレアは赤いウィッグにエルザと似たような鎧姿とエルザに変装しているようだった。

だが変装している癖に口癖は直っておらず、結局レアだとバレている。

声のトーンからして明らかに違うのだが…。

 

 

「それぁギルドマスターのいのちよりも重てぇ罪なんだろうなァ!! あ!?」

 

 

暴れるだけ暴れ回ったナツとレア。

最後にナツがそう叫んで評議員へ指差し、場は沈黙に包まれる。

数秒の間を置き……。

 

 

「……三人を牢へ」

 

「も…申し訳ありません……」

 

「エルザ!こんな奴に謝る事なんかねえ!!」

 

「ナツ、違うの……それエルザの偽物なの」

 

「あ…そうだ……エルザはコッチだーっ!!」

 

 

二人してそんな茶番を繰り広げながら、結局三人は仲良く牢へと入る事となるのだった。

 

 

〜〜〜

 

 

日はすっかり沈み、夜が更ける頃。

ナツとレアは膝を組んで座るエルザの前で正座していた。

 

 

「おまえ達には呆れて言葉もない。これはただの "儀式" だったんだ」

 

「ぎ…儀式?」

 

「な…なの?」

 

 

こめかみをピクピクとひくつかせながら睨むエルザに、ナツとレアはビクビクしながら反応する。

 

 

「形だけの逮捕だ。魔法界全体の秩序を守る為、評議会としても取り締まる姿勢を見せておかねばならないのだ」

 

「なんだよそりゃ…意味わかんねー」

 

「ん、どういう事なの……」

 

 

そうして今回の逮捕の真相について語ったエルザだったが、おつむが少々足りない双竜二人は揃って頭を傾げる。

そこまできてエルザもわかりやすく額に怒りマークを浮かべながら二人に言葉を掻い摘んで言った。

 

 

「つまり有罪にはされるが "罰" は受けない。今日中にでも帰れたんだ。おまえ達が暴れなければな!」

 

「えーーーっ!!?」

 

「な…の!?」

 

 

そこまで言われてようやく理解した二人は揃って驚愕を表情に浮かべ、すぐさまわかりやすく意気消沈した。

エルザの呆れの呟きに、それぞれ「スマネェ」「ごめんなさいなの」と零した。

だが、エルザは既に怒ってなどおらず、慈愛の眼差しで二人を見る。

 

 

「だが、嬉しかったぞ」

 

 

その一言に、ナツは気まずそうにそっぽを向き、レアはポカンとして頬をかいた。

その直後、ガシャン!と何かが鎧に打ち付ける音が響き、二人分の短い悲鳴が響いた。

それを遠くから見ていた者が一人いた。

 

 

「なるほど……妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいたのか……ナツ・ドラグニル。そしてレア・ギルティ……」

 

 

評議員のうちの一人である青髪の青年……ジークレインであった。





ちょっとキリが悪いかもしれませんが今回はこれで…。
疲れた(;´ρ`)
恐らくというか確実に2022最後の投稿。

それでは皆様、よいお年を!
僕は寝ますzzz…
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