妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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不味いです…完結するまで他の小説には手を出さないと言ったはずなのにヒロアカ小説の設定の殴り書きが形になりそうです…



デリオラ

 

「本当に月を壊さずに済む方法なんて見つかるのかよ」

 

「見つけなきゃしょーがねーだろ」

 

 

島の捜索のため村を出て数十分。

ナツがそんな愚痴を零す。

それに対しグレイはやれやれといった様子で答えた。

すると、何故かわなわな震えた様子のレアがナツとグレイの間に入った。

 

 

「ナツ、大変なの! 月を壊しちゃったら、期間限定妖精の尻尾(フェアリーテイル)特製月見バニラシェイクが無くなっちゃうの!!」

 

「そっか! 妖精の尻尾(フェアリーテイル)特製月見ステーキも無くなるって事か!!」

 

「おいら、月見塩魚無くなるの困るよ…」

 

「そ、それはリーシャも困るかしら…」

 

「ちょっとアンタたち、何がいるかわからないんだから大声出さないでくれる? ……と申しております」

 

 

どこかズレている四人の会話。

そこへホロロギウムに身をかがめて鎮座するルーシィが口を挟む。

しかし、やはり声は外には聞こえないのでホロロギウムがそれを代弁した。

ナツは呆れた様子で「自分で歩けよ」とツッコミを入れた。

 

 

「おまえ、星霊の使い方……それあってるのか?」

 

「だ…だって、相手は呪いなのよ。実体がないものって怖いじゃない!! ……と申しております」

 

 

グレイの言葉にルーシィは顔を顰めながら返答し、ホロロギウムが再びそれを代弁した。

しかしそれを聞いたナツ、レア、グレイの三人は軽快な足取りで森の中へとズンズン進んでいく。

 

 

「さすがS級クエスト!! 燃えてきたぞ!!!」

 

「何が来ても流しさってやるの!!」

 

「呪いなんか凍らせてやる。ビビる事ァねえ」

 

「…ホンット、アンタらバカね……と申しております」

 

 

 

今度はルーシィが呆れた。

何処か楽観的な考えの三人をホロロギウムの中からジト目で見つめていた時だった。

 

ズシン…! ズシン…!

 

突然森の中に、そんな重く鈍い音が響き渡った。

そしてそれに加え

ガサガサと何かが草をかき分ける音も耳に飛び込んでくる。

ナツ、レア、グレイの三人は音の聞こえる方向へと振り向いた。

 

 

「チュー」

 

「ネズミ!!?」

 

「でかーーっ!!」

 

 

現れたのはナツらの身長の3倍はあろう巨大なネズミだった。

ネイビーのキャミソールを身にまとい、頭にはホワイトブリムを付けている。

鋭い眼光はしっかりナツらを射抜いており、野太い声で鳴いた。

するとネズミはナツやレアがブレスを吐く時のように空気を吸い込んで頬を膨らませた。

 

 

「んにゃろォ!! アイスメイク "(シールド)" !!!」

 

 

グレイの氷の盾とネズミが何かを吐き出したのはほぼ同時だった。

氷の盾は完璧に一行の前方を守った。

しかし、ネズミが吐き出した何かは息だったようで、盾の横へ流れ、最終的にナツらに到達した。

瞬間…。

 

 

「んがっ!?」

「うぎゅっ!?」

「もげっ!?」

 

 

何やら外にいた三人からそんな一瞬の悲鳴が漏れた。

しかしルーシィから見ても、周囲はネズミの吐き出した息のせいで視界が曇っていて状況が掴めない。

 

 

「ちょっと、どうしたの!? …つかいつの間にアンタら入ってんのよ!! あいー! ついさっきなのよ……と申し…んがっ!?」

 

 

ホロロギウムの中からルーシィといつの間にか入っていたハッピーとフリーシャがそう言った時、ホロロギウムも突然悲鳴をあげバタンと倒れた。

そしてそのままハコベ山の時と同様ホロロギウムは姿を消し、中にいた三人は揃って外へ放り出された。

 

 

「「「くさーっ!!?」」」

 

 

ネズミの息の正体はただの口臭だった。

しかしその臭いは想像を絶するものだった。

例えるなら、その臭いはくさやと比べても勝るとも劣らないだろう。

ネズミは一行の反応を見てキャッキャッキャッとたいそう可笑しそうに笑っている。

 

 

「ナツ!レア! へばってんじゃねえ!!」

 

「二人とも鼻がいいからね」

 

 

どうやらナツとレアへの被害は人一倍大きく、二人とも鼻を抑えて地面に倒れ伏している。

しかし、ネズミは目をギラリと光らせて歩み寄ってくる。

そうなれば、休む暇は無い。

 

 

「逃げろーーっ!!!」

 

 

六人は脇目も振らず走り出し、ネズミも四つん這いになってそれを追いかける。

逃げてる合間にも、ネズミは口臭をばら撒いたり、丸太のような腕を振り回したりと一行を一方的に攻撃する。

痺れを切らしたグレイは舌打ちを一つ打って右手に魔力を集中させた。

 

 

「アイスメイク "(フロア)" !!」

 

 

右手の平に左の拳を叩きつけ、それを地面に叩きつける。

瞬間、地面は瞬く間に凍りついていった。

瞬きの瞬間に、ネズミの目の前には氷のフィールドが完成しており、止まろうにも止まることが出来ない。

そのままネズミは氷に足を取られ、つるんと盛大に転んだ。

 

 

「最初からそれやれよ!」

 

「逃げ損なの」

 

「文句言うな!!」

 

 

ネズミが転んだことで軽口を叩き合う三人。

ふと、ルーシィは目の前に石造りの建物を見つけた。

 

 

「見て! 何か建物がある!! 今のうちにあそこに…」

 

「「「今のうちにボコるんだ(の)!!!」」」

 

 

しかし三人は転んだネズミをお返しと言わんばかりにタコ殴りにしており、ルーシィの声は耳に入っていなかった。

三人が落ち着くまでしかなりの時間を要したのだった。

 

 

〜〜〜

 

 

「うわー、広いね」

 

「ボロボロじゃねえか」

 

「これ、文字なの? 読めないの」

 

「いつの時代のモンだコリャ…」

 

 

ネズミを袋叩きにしてようやく満足した三人はルーシィが見つけた石造りの建物に入っていた。

どうやら遺跡のようらしく、各々感じた感想を述べていく。

そんな中、ナツが壁上に何やら紋章を見つけた。

 

 

「見ろよ、何か月みてえな紋章があるぞ」

 

「この島 は元々、月の島って呼ばれてたって言ってたしな」

 

「月の島に月の呪い…月の紋章。この遺跡はなんか怪しいわね…」

 

 

顎に手を当て、ルーシィはキーワードを並べながら考察する。

その横では猫二匹が何処からか拾った骨で投げあって遊んでおり、傍目でチラチラ映って集中が途切れたルーシィが「アンタらは犬か!!」とツッコミを入れた。

 

 

「にしてもボロいな…。これ床とか大丈夫なのか?」

 

「ん、なんだかいつ崩れてもおかしくなさそうなの」

 

 

そう言ってナツは遺跡の床を片足でガンガンと強く足踏みを、レアはその場でしゃがんでドアをノックするかのように床をコンコンと叩く。

その様子を見たルーシィは慌てた様子で二人を止めようとした。

が、時すでに遅し。

 

べコン!!

 

「「「!!?」」」

 

 

ナツが足踏みをした場所を中心に床へ亀裂が走り、一行のいた体重のかかっていた床全体の底が抜けたのだ。

すぐさまハッピーとフリーシャに助けを求めたルーシィだったが、それは叶わないものだとすぐ知ることとなる。

 

 

「……!」

 

「無理かしら! ハッピーが死にそうなのよ!!」

 

「どうやったらそうなるのよー!!?」

 

 

そこには先程遊んでいた骨を喉に詰まらせているハッピーと、必死に背中をぶっ叩いているフリーシャの姿があった。

キャッチボールならぬキャッチボーンをしていたのに一体どうしたらそうなるのか理解出来ないルーシィはそう叫びながら崩れる瓦礫と共に遺跡にポッカリ空いた穴へ落ちていった。

 

 

〜〜〜

 

 

「オイ……みんな大丈夫か?」

 

「大丈夫なの」

 

「なら良かった!」

 

「大丈夫じゃないわよ!! アンタたちのせいで!!!」

 

「てめーら何でいっつも後先考えねえで行動しやがる!!!」

 

 

床がすっぽ抜けて落ちてきた六人のうち、ナツがすぐさま復活して点呼をとった。

それに一番に反応したレアを見てナツはカッカッカッと笑ったが、ルーシィとグレイはこうなることになった張本人である二人を恨めしそうに見て怒鳴り散らかす。

 

 

「誰か手伝うかしら! ハッピーが別の要因で死にそうなのよ!!」

 

「あが…ふが…」

 

「まだやってたの!!?」

 

 

一方フリーシャは羽を使ってゆっくり降下してきたため他の四人ほどのダメージは無く、未だにハッピーの喉に引っかかっている骨を取り除こうと必死だ。

 

 

「ねえ……ここ、ドコなの?」

 

 

ルーシィはハッピーの口に手を突っ込みながら確認のためそう尋ねる。

それに答えるためか辺りを見渡すグレイ。

どうやら洞窟のどん詰まりのようらしく、見渡しても道という道は一本しか発見出来なかった。

やがて落ちてきたであろう上の穴の部分を見ながら口を開く。

 

 

「さっきの遺跡の地下みてーだな」

 

「秘密の洞窟だーっ!!」

 

「おぉ! ワクワクもんなの!」

 

 

グレイの解答にナツとレアが面白いくらいに反応を見せる。

ナツもレアの言葉に同意らしく、表情がワクワクと語っていた。

表情筋の硬いレアも眉がアーチ状に上がっており、瞳孔が少し開いている。

 

 

「せっかくだから、ちょっと探検しよーぜ!」

 

「ん、賛成なの!」

 

「オイ!! これ以上暴れ回るんじゃねえ!!!」

 

 

ルーシィがハッピーの喉から骨を取り除く荒手術に成功した中、溢れ出るワクワクを抑えられない双竜は駆け足で唯一の道に駆けて行った。

そしてこれ以上面倒事を引き起こされたくないグレイもそれを追いかけたのだった。

 

 

〜〜〜

 

 

しばらく一本道が続く中、ナツとレアはようやく開けた場所に出てきた。

 

 

「この辺…少し冷えてるの?」

 

「言われてみりゃ確かに……お?」

 

 

開けた場所で物理的にヒヤリと感じた二人はそう反応する。

しかし、周りを見ていたレアは気づかなかった。

その謎の冷気の正体を。

そして、正面をしっかり見ていたナツはその冷気の正体が視界いっぱいに映り、戸惑いの声を漏らした。

 

 

「? …!?」

 

 

そして、レアも目に入った。

その異質さに言葉も失い、見開いた目だけがその衝撃を語っていた。

 

 

「どうした? ……な!!?」

 

「え?」

 

 

後から来たグレイ、ルーシィ、ハッピー、フリーシャもその異形に目が釘付けになった。

グレイに至っては額からダラダラと汗を垂れ流している。

 

 

「でけえ怪物が凍りついてる!!!?」

 

 

そう、ナツらの背丈の5倍……いや10倍はあろう異形の怪物が巨大な氷塊の中に閉じ込められているのだ。

その存在感、異質さ……そして恐怖の権化のような姿に口を開ける者はいなかった。

ただ一人を除いて…。

 

 

「デリオラ!!? バカな!!!デリオラが何でここに!!?」

 

「知ってんのか? コイツ」

 

「あり得ねえ!!! こんな所にある訳がねえんだ!!!」

 

 

グレイである。

しかし、その様子は普通では無い。

やたらめったらに喚くその表情は驚愕、恐怖……そして怒りと、様々な感情がごちゃごちゃになったものであった。

その整理がついてないからか、ナツの呼びかけにも反応している様子が無い。

 

 

「あれは…! あれはっ!!」

 

「ちょっと…! 落ち着いて、グレイ!!」

 

 

パニックになって錯乱状態に堕ちかけるグレイ。

ルーシィが彼の体に手を当てて声をかける事で落ち着かせた。

ようやく彼も声が届いたようで大人しくなる。

しかし体の震えは未だに止まっておらず、重苦しそうに俯いていた首を上げてデリオラと呼んだ怪物を見上げた。

 

 

「ねえ……何なのコイツは?」

 

「……デリオラ…厄災の悪魔」

 

 

改めてルーシィが氷漬けの怪物について問うとグレイは苦々しげに表情を曇らせ、ゆっくり口を開いた。

それに対してナツが「厄災の悪魔?」と復唱した。

 

 

「あの時のままだ…どうなってやがる」

 

 

再びグレイが一人苦悶した様子で言葉を紡いでいたときだった。

 

カツ カツ カツ……

 

洞窟内に何者かの足音が木霊する音が聞こえてきたのだ。

すぐさまルーシィが近くの岩場に隠れることを提案し、約二名ほど理解しない者がいたがすぐに身を隠す。

足音が聞こえて数秒…。

 

 

「人の声したの、この辺り」

 

「おお〜ん」

 

 

現れたのは逆立った青髪に極太の眉が印象的な青年と、上半身半裸で犬っぽい顔立ちの男だ。

後者は首輪のようなチョーカーに、本物か偽物か犬耳が頭から髪をかき分けて覗いているため余計に犬っぽい。

 

 

「昼……眠い…」

 

「おおーん」

 

「トビー。オマエ月の雫(ムーンドリップ)浴びてね?耳とかあるし」

 

「浴びてねえよっ!!! 飾りだよわかれよ!!!」

 

「からかっただけだ、バカ」

 

「おおーん。ユウカのいけず」

 

 

コントのような二人のやり取りでも、ルーシィは「月の雫(ムーンドリップ)」なる聞きなれない言葉に反応した。

呪いの事だろうかと考えていた時、足音が一つ増えた。

 

 

「ユウカさん、トビーさん。悲しい事ですわ」

 

「シェリー」

 

「おおーん」

 

 

現れたのはけばけばしい化粧をしたピンク色髪の少女だった。

歳は見たところルーシィと大して変わらない。

 

 

「アンジェリカが、何者かの手によっていたぶられました……」

 

「あれネズミだろ!!!デラックスな名前つけんなっ!!!」

 

「ネズミじゃありません…。アンジェリカは、闇の中を駆ける狩人……そして、愛」

 

 

またしてもキャラの濃いメンツだ。

犬と眉毛と愛を語るケバい女。

特に最後の者に対してはルーシィもドン引きだった。

 

 

「強烈にイタイ奴が出てきたわね…」

 

「あいつら、この島のモンじゃねえ…」

 

「ん、ニオイが島の人たちと違うの」

 

 

鼻が敏感な双竜が、すぐに彼らが依頼主とは無関係の勢力である事を見抜く。

それは傍から見ても、村民に共通してあった悪魔の部位が現れていないことからもわかった。

 

 

「侵入者か…」

 

「もうすぐお月様の光が集まるというのに……何て悲しい事でしょう……。零帝様のお耳に入る前に駆逐いたしましょう」

 

 

ユウカと呼ばれた眉毛の青年の言葉に揃ってドキッとなる一行。

そしてシェリーと呼ばれた少女もそう言って、ユウカ、トビーと呼ばれた犬の男も同意の返事をした。

 

 

「デリオラを見られたからには生かして帰せません。侵入者に永遠の眠り…つまり、"愛"を」

 

「"死"だろ?」

 

 

三人はコントを終え、再び来た道を戻って行ったのだった。

 

三人がいなくなってからしばらくして、六人は岩陰から身を乗り出す。

 

 

「何だよ、とっ捕まえて色々聞き出せばよかったんだ」

 

「まだよ、もう少し様子を見ましょ」

 

 

隠密行動が苦手なナツ、レアは不満そうな様子が態度に表れるが、ルーシィがそれは待つようにと言い聞かす。

その隣で、グレイは相も変わらず難しい顔をしていた。

 

 

「くそ……アイツら、デリオラを何のためにこんな所に持って来やがった。つーかどうやってデリオラの封印場所を見つけたんだ……」

 

「封印場所…?」

 

 

またもやグレイが悶々として呟くと、今度はレアがオウム返しをする。

 

 

「こいつは、北の大陸の氷山に封印されていた。…10年前……イスバン地方を荒らしまわった不死身の悪魔。オレに魔法を教えてくれた師匠ウルが命をかけて封じた悪魔だ」

 

 

絶句。

想像をはるかに超える怪物の正体に、全員押し黙った。

そしてグレイがやけにこの怪物に対して感情を剥き出しにしているのも理解した。

 

 

「この島の呪いとどう関係しているのかわからねえが……これはこんな所にあっちゃならねえモノだ。零帝…何者だ……。ウルの名を汚す気なら、ただじゃおかねえぞ!!!」

 

 

デリオラを見上げ、拳を強く握りしめる。

その表情は怒りに満ちている。

デリオラか、或いは「零帝」と名乗っている何者かに向けたものか、または両方か。

いずれにせよその怒りは形となり、周囲の気温はさらに低くなっていった。





個人的にはナツとレアにはチェンソーマンのデンジとパワーのような関係性になってほしいなぁって思いながら進めてます。主が恋人いない歴=年齢なので恋愛描写を書けるかどうかわかんないっぴ、というのが大きいかも?

もし私名義で別の小説が出てたら「あ、書きたい欲抑えられなかったのね」と生暖かく見守ってください"(-""-)"
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