妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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出来ましたので投稿します。
手付かずの設定たちが私に手招きしてきますヾ(・ω・`;))ノぁゎゎ


勝手にしやがれ

 

ガルナ島で迎えた三日目の朝。

チュンチュンと小鳥の囀る声を聴きながらグレイは目を覚ました。

瞬間、バッ!と上体を起こし辺りを見渡す。

どこかのテントのようらしく、樽や物が乱雑に入った箱などが周囲に置かれている。

 

 

「どこだ、ここは?」

 

 

テントを出ると、そこもテント内のように至る所に樽や箱、積み上がった丸太などが置かれていた。

辺りを見渡すグレイだが、今自分がいる場所に心当たりが無かった。

そんな時、声がかかった。

 

 

「よかった…目が覚めましたか?」

 

 

鱗のような肌質の腕に肘から鰭が出ているところから、村民のうちの一人だろう。

微笑みながらグレイに話しかける女性はとても温和そうである。

 

 

「驚くのも無理ないですね。ここは村から少し離れた資材置き場なんです。昨夜(ゆうべ)…村が無くなっちゃったから、村の人たちはみんなここに避難してるのよ」

 

「無くなった…?」

 

 

女性から語られた事実にグレイは疑問を頭に浮かべたが、心当たりはありまくりだった。

脳裏を過ぎったのは、山の頂上でリオンが下した命令。

 

 

『村を消してこい』

 

「!!! (リオンの奴…本当にやりやがったのか……)」

 

 

そう思っていると、ズキッ!とグレイの胸が痛みを訴える。

それは単に昨夜の傷が痛むのか、それとも兄弟子の非行に胸が傷んだ故からなのか…。

 

 

「でも、ナツさんやレアさん、ルーシィさんのおかげで、ケガ人がでなかったのがせめてもの救いです」

 

「アイツらもここにいるのか?」

 

「ええ」

 

 

女性は続けてグレイが目覚めたら先にあるテントに行くようにという伝言を終えその場を後にした。

グレイも言われるがままにそのテントへ向かった。

横断幕をかき分け中に入ると、グレイは自身の目を疑った。

 

 

「エルザ!!? ルーシィ!!ハッピー!!フリーシャ!!」

 

 

目の前に足を組んでどっかりと座しているエルザと、その脇で縄で縛れしくしく泣きながら地べたに座らされているルーシィ、ハッピー、フリーシャの姿があったのだ。

 

 

「だいたいの事情はルーシィから聞いた。お前はナツたちを止める側では無かったのか? グレイ……呆れてものも言えんぞ」

 

 

エルザの言葉に、グレイは何も言えず押し黙る。

目を閉じ淡々と話すエルザに対し、グレイはキョロキョロと話題を変える為か辺りを見渡す。

 

 

「な…ナツとレアは?」

 

「それは私が聞きたい」

 

 

そこでこの場に双竜の二人がいないことに気づいたグレイがそう尋ねるもエルザにオウム返しされる。

最後に二人と接触したルーシィ、ハッピーに聞いてみるも、行方は分からない。

零帝一派の一人であるユウカは消えてしまった村のクレーター部分に倒れていたが、肝心のナツとレアはいなかったのだ。

ハッピーとフリーシャがエルザに手網を握られたまま空からの捜索も行ったが、結局見つかることは叶わなかった。

 

 

「つまりナツとレアはこの場所がわからなくてフラフラしてる訳だな」

 

 

すくっと立ち上がり、エルザはテントの出口に歩を進める。

 

 

「グレイ、ナツとレアを探しに行くぞ。見つけ次第ギルドに戻る」

 

「な…何言ってんだエルザ……事情を聞いたなら、今この島で何が起こってるか知ってんだろ」

 

 

歩を進めながらそう言うエルザ。

しかしグレイは一瞬何を言っているのか分からず、そう問うた。

だが、エルザの答えはグレイにとってはやはり理解できないものだった。

 

 

「それが何か?」

 

 

頭を殴られたかのような衝撃がグレイを襲う。

確認のためルーシィにも視線を向けた。

しかし、彼女も表情を曇らせてふるふると首を横に振るだけだった。

 

 

〜〜〜

 

 

一方、エルザらの話題の中心にいたナツとレアはというと、なんと遺跡の前まで来ていた。

 

 

「いっけね…折角いい事思いついたのに、寝過ごしちまった……」

 

 

どうやらエルザの言っていたことはハズレらしく、彼らは迷ったのではなく意図してここまで来ていたのだ。

ナツは眠そうに目を擦り、レアは小さく口を開けてふわぁと欠伸を一つ。

 

 

「むぐ…けど成功すれば、下の悪魔は復活できないの」

 

「だな!」

 

 

何やらかなりの大掛かりな作戦のようらしく、成功はデリオラの復活の阻止という敵の目的の根本を叩き潰すもので、二人は気合いを入れた。

 

 

「さァ〜て……始めるか」

 

「ん…作戦開始なの」

 

 

不敵に笑うナツと山の頂上を見据えるレアはそう言って遺跡の中へと足を踏み入れた。

 

 

〜〜〜

 

 

「私はギルドの掟を破った者を連れ戻しに来た。それ以外に一切興味は無い」

 

「この島の人たちの姿を見たんじゃねーのかよ」

 

 

淡々と告げるエルザにそう言うグレイだが、エルザはやはり興味無さそうに「見たさ」とたった一言。

グレイもどんどんヒートアップしていき、声を荒らげてそれを放っておけというのかと問うた。

 

 

「依頼書は各ギルドに発行されている。正式に受理されたギルドの魔導士に任せるのが筋ではないのか」

 

 

その言葉で、グレイの中で何かが切れた。

 

 

「見損なったぞ…エルザ」

 

「何だと?」

 

 

どこまでいっても掟と口を紡ぐエルザに、ハッキリと、グレイはそう言った。

外野で「エルザ様になんて事を!」「すぐにエルザ様に詫びるかしら!」と猫が騒ぐ中、エルザは手元に魔力を集中させた。

 

 

「お前までギルドの掟を破るつもりか。ただでは済まさんぞ」

 

 

魔力剣を顕現させ、それをグレイの首元に突きつけてそう脅す。

いつものグレイであらば、すぐさまこうべを垂れて許しを乞うただろう。

だが、今回ばかりは状況が違う。

なんとグレイは、自身に突きつけられた剣を鷲掴みにしたのだ。

思いもよらなかったグレイの行動に、エルザは目を見開いた。

当然剣を掴んでは手を切ることになるも、グレイは力を込めてエルザの剣を押しのけようとしている。

だが、グレイの言葉にエルザは動揺を現すことになる。

 

 

「勝手にしやがれ!! これはオレが選んだ道だ!! やらなきゃならねえ事なんだ」

 

 

ドクドクと血が流れるも、握る手を緩めない。

やがて押しのけるようにグレイは剣を離した。

剣を離して尚、怒気を纏った様子のグレイはゆっくりとエルザの横を通り過ぎてテントの出口に歩む。

 

 

「最後までやらせてもらう。斬りたきゃ斬れよ」

 

 

その言葉を最後に、グレイはテントを出ていってしまった。

グレイがテントを出ていっても、中は重苦しい空気で包み込まれていた。

途端、エルザの魔力によるものかファっと紅い髪が風に舞い、ギロッと身動きの取れないルーシィらの方へ睨みつける。

そしてあろう事か、グレイの血で濡れた剣をルーシィらに構えた。

 

 

「おおおお落ち着いてエルザ!!!」

 

「グレイは昔の友達に負けて気が立ってるんだよォ!!!」

 

「怒ってる理由はわかるけどその八つ当たりをリーシャたちに向けるのは間違ってるかしらァ!!!」

 

 

鬼の形相で睨まれた上に剣を構えられて完全にパニックに陥る三人。

しかし、三人分の血しぶきが舞い上がるなんて展開は起きなかった。

エルザは器用に三人の縄だけを斬り、三人を自由の身にしたのだ。

突然解放されたが故に、三人は揃ってキョトンとなった。

 

 

「これでは話にならん。まずは仕事を片付けてからだ」

 

「「「エルザ!!」」」

 

 

エルザの言葉に、三人はあからさまに喜びを顕にした。

しかし、直後に再びギロッとエルザは三人を睨みつける。

 

 

「勘違いするなよ。罰は受けてもらうぞ」

 

「「「あい…」」」

 

 

再びしょんぼりする三人であった。

フリーシャにハッピーの返事が移っているくらいだから、よほどショックだったのだろう…。

 

 

〜〜〜

 

 

「情けない…残ったのはお前だけか」

 

「おおーん……」

 

 

場所は変わって遺跡内の玉座の間。

自身で爪を刺した額部分に湿布を貼ったトビーが冷や汗ダラダラに石造りの玉座に腰を下ろしたリオンの前に立っていた。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)め、中々やるな」

 

「オレの自爆(オウンゴール)は、ナイショの方向で頼みます」

 

「……」

 

 

やはりこの犬は隠し事ができないようだ。

黙っていればいいものをわざわざ言いふらし、リオンの眉間をピクピクと動かす。

 

そんな時、傍から()()の人影が現れた。

 

 

「これではデリオラの復活も危ういかもしれませんな」

 

「オマケに、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に新戦力が加わってきた」

 

「居たのか……ザルティ、()()()

 

 

一人はデリオラの前でリオンに質問をしていた仮面をつけた老人ザルティ。

もう一人は、白髪のボブカットに深い緑のカチューシャ、黒と赤のチャイナ風ワンピースを身にまとったコユリと呼ばれた少女だった。

炎よりも紅い真紅の瞳を持ち、そしてその瞳は……どこか諦めの感情が見えるほど濁っていた。

 

 

「今宵……月の魔力は全て注がれ、デリオラが復活する。しかし、月の雫(ムーンドリップ)の儀式を邪魔されてしまえば、デリオラは氷の中です」

 

 

静かにそう告げたザルティ。

しかしリオンは焦る様子も無しに「くだらん」と吐き捨てた。

 

 

「最初からオレが手を下せば良かっただけの事」

 

「おおーん、面目ない」

 

 

完全に自分以外の者は下と見下すかのような発言に、コユリが眉を(ひそ)めさせた。

 

 

「リオン。相手はあの双竜に加えて、妖精女王(ティターニア)もいるのよ。いい加減その全てを見下した言い方止めない?」

 

 

そうコユリが咎めるように言う。

だがリオンはそのコユリの言葉に対し、その吊り上がった目を一層鋭くさせた。

 

 

「お前がそれを言うか……ウルの弟子の中で一番傲慢なクセに、一番の出来損ないだったお前が…」

 

「ッ!」

 

 

コユリは目を見開いて動揺を露わにするが、すぐにそれを押し込め、身を引いた。

すると、今度はザルティが一歩前に身を乗り出した。

 

 

「それでは…(わたくし)めも久しぶりに参戦しますかな」

 

「お前も戦えたのかよっ!!?」

 

 

ザルティの参戦宣言は仲間も予想外だったようで、トビーを代表に驚愕を表す。

それに答えるように、ザルティはニッと口角を上げた。

 

 

「はい…… "失われた魔法(ロストマジック)" を少々」

 

 

失われた魔法(ロストマジック)

聞きなれない言葉を聞いた一同が首を傾げる中、コユリだけが驚いた様子で目を見開かせる。

 

 

「聞いたことあるわね…確か、強大な力を伴う代わりに術者への副作用が伴う魔法…だったかしら」

 

「流石はあのウルの一番弟子であるコユリ殿、博識なようで」

 

「……別にそんなのじゃないわよ。ただ小耳に挟んだだけ」

 

 

ザルティの言葉に再び表情を曇らせるコユリ。

それを傍目に、リオンは「フン」と鼻を鳴らした。

 

 

「不気味なやつだ」

 

 

そうリオンが零した時だった。

突然遺跡全体がズゴゴゴゴ…と音を立て始めた。

天井からパラパラの砂が垂れる。

やがて地震かと思うほどの揺れが一同を襲う。

ゴゴゴゴ!と揺れはドンドン激しくなる。

やがて天井から砂に限らず崩れた石ころも落ち始めてくる。

次の瞬間だった。

 

 

ズゴォオオォン!!!

 

「こ…これは!?」

 

 

耳を劈くその音と共に、一同の視界は斜めに傾いた。

文字通りそのままの意味である。

足場どころか部屋全体が斜めに傾いており、外から見れば山ごと遺跡が傾いたのだ。

 

 

「早速、やってくれましたな。ほれ……下にいますぞ」

 

 

比較的動揺が少なかったザルティが、部屋の真ん中の穴から下を覗いている。

そこにいたのは、桜色のツンツン頭と水色のサイドテールの見知った二人組であった。

 

 

「普段知らねえうちに壊れてる事はよくあっけど」

 

「ん、壊そうと思って壊していくと、結構大変なの」

 

 

ご存知、ナツとレアの双竜コンビであった。

ボコボコと崩れた瓦礫を背景に、ナツとレアは上にいるリオンを見上げる。

そしてそんな様子の二人を、リオンは目を鋭くさせ、睨みつけながら見下した。

 

 

「貴様ら……何のマネだ…」

 

 

ギリッと歯を噛み締めながらリオンは下二人にそう問う。

そしてナツ、レアも上を見据えながら答える。

 

 

「建物、曲がったろ? これで月の光は地下の悪魔に当たんねーぞ」

 

「直すにしてもそう簡単にはいかないの。瓦礫も粉々に壊したから、時間でも戻せない限りは元には戻らないの」

 

 

二人の言葉を耳にし、リオンはより一層自身の顔を歪に歪ませたのだった。





はい。てなわけでレア、フリーシャ以外の初のオリキャラが登場しました。
実際彼女を登場させるかは書く直前まで本当に『マ・ジ・で』悩みました૮ > ~ < ა

というのも、ここでオリキャラを登場させると、作品を通して長い付き合いとなるのに、メインでは動かせないという非常に動かしにくいキャラになるからですね((>_< ;))
ですが最終的に出す決断に至ったのは、この後の零帝VS双竜戦を考慮しての事でした。
そんな目先の事でかよ( ºДº)/オイ!って思うかもしれませんが、突然声が聞こえたんです…

『なに? 零帝VS双竜でリオンが負ける未来しか見えない? それは本来の歴史(原作)にレアというオリジナルキャラが入ったことでパワーバランスが崩れたからだよ。逆に考えるんだ…「(オリキャラを)出しちゃってもいいさ」と考えるんだ』


OK!(ズドン)
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