妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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どうもお久しぶり、uru1629です。
やー、めっっっちゃ迷走しました…(--;)
書いては消して、書いては消してを繰り返して書き上げたけど纏まった気がして無いです…(´;ω;`)
なのでこの先いつも以上に閲覧注意ですね…人によっちゃ地雷なので…


ガルナ島最終決戦

 

「カハッ…!」

 

「知ってるさ、そんなくだらん事」

 

「グレイッ!!」

 

「!? リオン!!!」

 

「あれはもはやウルでは無い。ただの氷クズだ」

 

 

腹に刺した氷の剣を引き抜きながら倒れるグレイを見るリオン。

酷く歪な笑みを浮かべながらグレイを見下した。

一方突然の事に反応が遅れてしまったレアとコユリは慌てて二人の元へと駆け寄る。

レアは崩れ落ちるグレイをすんでのところで受け止め、水を刺された部分にぶっ掛けては温度変化魔法で凍らせて応急処置を行う。

傷口に突然冷水を掛けられた故に悲鳴をあげるグレイだが、緊急事態の為レアは無視。

その傍らでコユリはリオンのコートに掴みかかっていた。

 

 

「リオン、どういう事!? あの魔法を調べてた時に教えた事よね!! 絶対氷結(アイスドシェル)は自らの身体を永久に氷へと変化させる魔法だって!あの氷はウル自身……今も氷として生きてるって、私教えたわよね!!! それをただの氷クズだなんて…!!」

 

「ガァ…ッ! …お……おまえら…知って……た…のか……」

 

「グレイ、喋るななの。レアは水を氷にするのは下手くそだから下手に動くと処置した氷が割れるの」

 

 

コートを掴んでリオンの身体を前後に揺らしながら声を荒らげるコユリ。

それを聞いたグレイの中で二つの感情が浮かび上がる。

一つは驚愕。

当然だ。

自分しか知らないと思っていたハズだった、師匠と交わした秘密が既にバレていたのだ。

驚かない訳が無かった。

そしてもう一つは、激しい怒りだった。

知ってて尚、師匠を殺すに等しい行為を平然と行おうとする元弟子二人が信じられず、グツグツと腸が煮えくり返る思いがグレイの驚愕を覆い、その心を支配する。

 

 

「何だ、本気で信じていたのか? 早く大人になれ。アレはどこまで行こうと物言わぬ氷だ」

 

「フーッ……! フーッ……! テメェら…知っててこんな事…!!」

 

 

痛みからか怒りからか、或いは両方か。

グレイは仰向けの状態でリオンとコユリを睨み上げる。

その次の瞬間の事。

 

 

ドゴッ!!!

 

「ッ!!!?」

 

 

なんとグレイがリオンを殴り飛ばしたのだ。

口から血反吐を吐きながら動く姿は見ていて痛々しい。

可能であらばすぐに止めたいという衝動が湧き上がる。

だが治療を行っていたレアには、今の彼を止める事など出来なかった。

 

 

「な…!! バカな!!その傷でなぜ動ける!?」

 

「限界だ…」

 

「あ!?」

 

 

口と鼻から血を垂らし顔を歪めるリオン。

 

 

「助けてやりたかったが、もう限界だ」

 

 

その言葉を皮切りに、グレイは氷の弓矢をその手に構えた。

それを放つと、生成された三本の矢は一斉にリオンへと飛来する。

その刹那、三本の矢は何時ぞやのコユリの炎の矢みたく空中で無数に分裂しリオンを襲った。

だが、長くは続かなかった。

リオンを襲っていた氷の矢は突如、ゴオッと燃え盛る炎の獅子が喰らい尽くしたのだ。

「何!?」と目を見開かせたグレイは、獅子の出処へと目を向けると、そこには距離を取ったコユリの姿があった。

 

 

「助けが必要なのは、果たして誰なのかしら…」

 

 

そう誰に対してでも無く呟いたコユリの瞳の中には、消えかけの蝋燭の火のようなか細くも、しかし確かに燃え続けようとする意志の炎が揺らめいていた。

 

 

〜〜〜

 

 

「……どうしようなの」

 

 

時を数秒遡って、グレイがリオンを殴り飛ばしたところまで戻る。

グレイの治療を行っていたハズのレアは立ち尽くしていた。

簡潔に言いまとめよう。

彼女は出遅れたのだ。

勢いのまま飛び出したグレイを止めきれず、後から止めようとするも思っていたよりも冷静な様子のグレイにたじろぎ、さらに前に出れなくなる。

そこからあれよあれよという間に戦闘が始まる。

かと思えばそれはコユリによって一時停止させられる。

そんな調子で、レアは出るタイミングを逃してしまったのだ。

 

 

「……でも、悪魔マスクの方は心配無さそうなの」

 

 

だがレアが呟いた通り、グレイに対する心配は当初残った時程では無かった。

レアが残った思惑としては、グレイはまだ病み上がりだからと感じた。

そして、グレイはリオンとの初戦で一度敗北していることが挙げられる。

前者に関しては、奥義である絶対氷結(アイスドシェル)を放とうとするくらいには元気ではあるし、後者もグレイのリオンに対する罪の意識による無意識での力のセーブが発動しており、思い通りのパフォーマンスが出来ていなかった。

しかしその枷を打ち砕き、暴れる闘牛を解放したのは罪の意識の対象であったリオンであるが故に、もう彼の事は滅多な事がない限り止まりはしないだろう。

それに加え、現在のリオンはナツとの戦闘で消耗している。

どうやら自分の強さに胡座をかいて大して自分を磨かなかったんだなとレアはリオンに対して感じていた。

 

問題があるとすればコユリの方だった。

直接手合わせをしたからこそ分かるが、コユリの底はハッキリ言ってレアにも見えなかった。

観察眼に関しては人より自信のあるレアだが、コユリの魔法は軽く打ち合っただけでは素性が全く分からないのが本音。

しかもたった今、グレイの言葉がコユリの琴線に触れたのか、彼女も乱入しだした。

手助けしたいが、弟子同士の喧嘩に横槍を入れるほど、レアも無粋では無い。

さっき割り込んだのはあくまで無下に命を投げ捨てようとするグレイを止めるために過ぎなかった。

 

 

「……なら、レアのやれる事は…」

 

 

軽く思考を巡らせたレアは、遺跡の大穴へと身を投げ入れた。

 

 

〜〜〜

 

 

「どういう意味だ…コユリ」

 

 

グレイの表情は、ハッキリ言って優れなかった。

彼の幼少期の頃のコユリに対する感情は『変な奴』というのが正直な感想だ。

魔法は下手くその癖していっちょまえにウルについていこうとする気骨はある。

かと思えば口を開けば出てくるのはリオンの事ばかり。

当時はデリオラに対する憎悪で視界が狭くなっていてしなかったが、その頃のコユリに何でそこまでしてウルについていこうとするのかと聞けば、「アンタには関係ないでしょ」と突っぱねられるだろうことは、今のグレイからすれば容易に想像できた。

 

それが今となってはどうだ。

あの頃とは真逆の炎の魔法を、それもかなりの高レベルの魔法が自分に向かって牙を剥いている。

 

 

 

「あぁ……ごめんなさい、声に出ていたのね…」

 

 

グレイの言葉に顔を上げたコユリは、そう呟きながら氷の矢を喰らい終えた獅子を自分の手元へと戻しながらリオンの傍へと歩み寄った。

 

 

「コユリ……手出しは不要だ…! このオレが、グレイ如きに血を流し、お前に助けられるなど……あってはならんのだから!!」

 

 

しかし地面に伏せられているリオンは近くまで寄ってきたコユリを睨みあげ、あろう事か罵声を浴びせた。

だが、コユリはそんなリオンに何をするでもなく、ただただ冷たい目で見下ろした。

その次の瞬間。

 

 

ゴボッ!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

「!!?」

 

 

なんとコユリが倒れているリオンの腹に蹴りを叩き込んだのだ。

あまりにも突然の事に、リオンもグレイも今コユリが何をしたのか理解が遅れる。

 

 

「どういう意味か……だったわよね、グレイ…」

 

 

未だに理解が追いつかない状況の中、コユリは再び口を開いた。

なんでもないように話し始めるコユリに、グレイはいっそ不気味さを覚えた。

 

 

絶対氷結(アイスドシェル)について調べてからずぅーっと考えてたの。本当に助けが必要なのは、今もデリオラを捕らえていると同時に囚われてるウルなんじゃないかって」

 

 

その言葉を聞いて、グレイは少しハッとなった。

コユリの言わんとしていることが、なんとなくではあるものの理解出来たのだろう。

だがコユリはそれに気づいているのか否か、あるいはどっちでもいいのか、そのまま言葉を紡ぎ続けていく。

 

 

「あの日、ウルが氷となってデリオラを封じ込めて、10年の月日が経った。10年だよ? 子供だった私たちが、こんなに大きくなるまで時間が経った。だっていうのにウルは、物も言えず、移動も出来ず、ただただデリオラと運命を共にするしか無い。ねえ、どんな生き地獄なんだろうね…」

 

「それ…は……」

 

 

グレイは、コユリの言葉に反論出来なかった。

言い淀んでしまった。

考えたこともなかった。

今も生きている師匠を殺してしまうのはいけないことだ。

それは何も間違っていないだろう。

だがそれは同時に、ウルを永遠にあの憎き悪魔と運命を共にするということを意味する事となんら変わりなかった。

それに気づいた故に、グレイは言い淀んでしまった。

反論出来ず、心のどこかで「その通りだ」と微かにでも思ってしまった。

 

 

「その様子じゃ、貴方も理解したわね。じゃあ、邪魔はしないで貰えるかしら? 私の目的は、デリオラからのウルの解放。あの人は、こんなところで縛られていい存在じゃないの。あの人をあの悪魔から解き放たれるなら、私自身どうなろうと構わない」

 

 

踵を返し、伸びてしまったリオンの元へ向かおうとするコユリ。

しかし、彼女の最後の言葉がグレイを立ち上がらせた。

 

 

「待ちな、コユリ」

 

「……何? ウルを解放したら、必然的にあの悪魔も動き出す。リオンにある程度削ってもらって、私が焼却しようとしたんだけど、肝心の彼は自分の力に溺れてダメそうだから、私がアイツを始末しなくちゃ。ここであまり力を使いたくないのだけど」

 

 

ため息を吐きながらコユリは再びグレイに面を向ける。

対してグレイは、やはりコユリの言葉の節々に思うところはあったのだろう。

俯いたまましばらく固まっていたが、もう一度コユリをしっかりと見据えた。

 

 

「…確かに、お前の言うことは間違ってねえかもしれねえ。ウルは10年も、デリオラを封じて、その間何も出来ずただ氷として生きている。確かにとんだ生き地獄だよな…。けど、ウルとの約束を思い出しちまったんだ」

 

 

そう言って、グレイが思い返すのは氷になって行くウルの、弟子たちへ向けた最期の願いだ。

 

 

『二人にはもっと世界を見てもらいたい』

 

 

二人だけじゃない。

自分に対しても送られた師匠の願いを叶えてあげることこそが、弟子が師匠に対して行える最大の恩返しだ。

 

 

「オレはウルの言葉を信じ、西へ向かった。そこで、妖精の尻尾(フェアリーテイル)にたどり着いたんだ。そこには、ウルにも匹敵するようなすげえ魔導士が山ほどいた。ホント信じられなかった」

 

 

たどり着いた先で、グレイは当時のマスターマカロフに、どうにかして氷となったウルを溶かせないか聞いたものだ。

言葉は濁されたが、その時マカロフは確かに月の雫(ムーンドリップ)の事を思い浮かべていた。

最終的に、その氷を溶かすことはウルを殺すに等しいと言われ、言葉を呑んだが。

 

 

「調べたことだけじゃ分からねえのが世界だ。お前がやろうとしている事は、ウルを殺すっていう事に他ならねえんだ」

 

「じゃあ何? グレイはこのままウルに生き地獄を見せ続けろって言いたい訳?」

 

「そうじゃねえ…! 他にもウルを救う方法は何かあるハズだろ!」

 

「何かって何さ!! そんな曖昧な状態でよくそんな事が言えるわね!! デリオラからウルを助け出す方法なんて、もうこれしか…!」

 

「それを世界を見て探せって言ってんだよ!! そんな狭ェ視野で、一体何が見えるってんだ!!!」

 

 

売り言葉に買い言葉。

グレイの言葉を着火剤に、二人の言い合いは激しさを増していった。

苛烈さはさらに増していき、遂に二人は魔法を放ちながらの口論に発展していく。

しかし、言い合いを続けていくごとに、コユリが明らかに疲弊していく様子が、グレイからは見て取れた。

 

 

「わかんない…わかんないわよ…!! 私に……どうしろって言うのよ…!」

 

 

遂にコユリの手元から炎が鎮火され、ヘタりと膝を着いた。

それに合わせ、グレイも持っていた氷の剣を粉々に砕いた。

そしてそのままゆっくりとコユリに近づく。

 

 

「どうするも何も、簡単じゃねェか」

 

「……へ?」

 

 

優しく語りかけてきたグレイに、コユリは素っ頓狂な声を零した。

 

 

「お前さ、どっかのギルドに入れよ。ギルドに入って、依頼を受けて、沢山の魔法に触れて、依頼の合間にギルドであった事をウルに話してよ。そうすりゃ、ウルを助ける方法だって絶対見つかんだろ」

 

「……もし見つからなかったら…?」

 

「見つかるまで探す。まだまだ人生長ェんだ。最初からそんな気分落ちてたら、見つかるモンも見つかんねェよ」

 

 

満開の笑顔を見せながらグレイはコユリに手を伸ばす。

コユリはそれとグレイの顔を不思議そうに交互に見て、可笑しそうに顔をくしゃっとした。

 

 

「ハハッ…何その脳筋思考……。アンタ本当にグレイ? デリオラのコト以外何も見えなかった奴とは思えないわね」

 

「うっ…ウルセェ…! 今何も見えてねェお前に言われたかねェよ…!!」

 

「……けど、道は見えた…。アンタが……見つけさせてくれた……。アリガトね」

 

 

急な不意打ちに決まりの悪そう顔をしたグレイ。

しかし差し伸べられた手は変わらず、コユリは口元を綻ばせながらその手を取った。

 

 

「さて、偉そうなこと言ったからには、オレも色々と動かねェとな」

 

「それは後々にお願い。まずはザルティの月の雫(ムーンドリップ)の儀式を止めさせないと。それから、あの子たちの説得を…」

 

 

グレイに引っ張られる事で立ち上がったコユリがこれからの動きを思案しながら腕を組む。

が、その時。

 

 

「ッ!? グレイ!!」

 

 

突然コユリがグレイを押しのけた。

突然のコユリの行動に、グレイは呆けた表情を浮かべた次の瞬間。

 

 

「アイスメイク "白竜(スノードラゴン)" !!!」

 

「ガァッ!!!」

 

「ッ!? コユリッ!!!」

 

 

目の前を巨大な氷の竜が横切り、その通り道にいたコユリに喰らいついたのだ。

この場でこんな芸当が出来る者は一人しか居らず、怒りを爆発させて竜の発生元へと向いた。

 

 

「何してやがる!! リオンッ!!!」

 

「裏切り者に相当の報いを受けさせたにすぎん。全く、あまり無駄な魔力を使わせないで欲しい物だ」

 

 

そこには、口元から血を垂らしながら左手を翳したリオンが立っていた。

右手はコユリに蹴られた腹を抑えており、まだ完全に回復はしていない様だった。

翳していた左手を羽織っているコートに手を掛け外し、リオンは身軽な状態になる。

 

 

「どう足掻いたところで、デリオラは間もなく復活する。それをお前ら落ちこぼれ如きに邪魔されるなど、あってはならんのだ」

 

 

パリィンと氷の竜が砕け散り、舞い上がったコユリが地面に叩きつけられる。

グレイはその名前を呼びながら駆け寄り、寝かしつけたまま頭を抱える。

 

 

「ハハ…やっぱバカだアタシ…。盾でも何でも展開してりゃ、もっとマシに対処出来たのにね…」

 

 

自嘲気味に笑うコユリ。

それに対し不安そうな顔をするグレイだが、コユリは「致命傷じゃないわよ」と安心させる為にそう言う。

 

 

「ねえグレイ。ちょっと寝るわね……。色々吐き出して疲れちゃった。終わったら起こしてくれるかしら?」

 

 

その言葉を聞いてポカンとなったグレイだったが、すぐにハッと笑みを浮かべる。

 

 

「アイツを畳んだら、叩き起してやるよ。それまで精々休んでろ」

 

「…ん、そうさせてもらうわ」

 

 

そう言ってコユリは瞼を閉じ、グレイも静かに頭を降ろしてやる。

すぅすぅと規則正しく寝息を立てるコユリを見て一安心したグレイはリオンと相対する。

 

 

「遺跡の頂上での一度目、ナツとレアの戦いに乱入しての二度目、そして今回で三度目……。いい加減決着付けようじゃねェか」

 

「一度言ったハズだ。オレはお前の兄弟子であり、お前より強かった。10年経った今でも、それは変わらん」

 

「ならオレももう一度言うぞ。あの頃と一緒にするな。オレは10年前どころか、昨日よりも強くなってるぞ!」

 

 

そう高らかに叫び、グレイは右の拳を左の手のひらに叩きつけた。

それを受けリオンは「くだらん」と発して右手を翳す。

 

 

「アイスメイク "槍騎兵(ランス)" !!!」

 

「アイスメイク "大鷲(イーグル)"」

 

 

両者が展開した魔法陣から魔法が放たれたのは同時だった。

敵を討たんと真っ直ぐ飛ぶ無数の槍と鷲は、やはり二人の中間地点にて衝突した。

ズギャギャギャギャ!!と凄まじい衝撃音が響き、白い水蒸気がモクモクと煙幕のように二人の視界を遮る。

リオンはそれを見て翳していた右手を下ろす。

しかしそれは傲慢さ故の油断でしかない。

 

瞬間、煙幕となった水蒸気の中から氷の槍が飛び出してきたのだ。

「何!?」と目を見開いて咄嗟にもう一度右手を翳した。

しかし槍は既に懐に入り込んでおり、リオンは何発か槍をモロに食らう。

直後、リオンは巨大な氷の猿を顕現させ、その手の内に自身の体を隠すことで身を守る。

 

 

「オレがグレイ如きに……押し負けた…だと!?」

 

 

氷の槍の雨が止み、猿を砕いて現れたリオンは脇腹を抑えながら苦悶の表情を浮かべる。

ギリッと歯を噛み締めると、煙幕の中からグレイがゆっくりと歩いて現れた。

 

 

「コユリの事情はある程度理解した。だがリオン。お前にはハッキリ言って情緒酌量の余地がねェよ。ウルを超える為にウルを殺すだと? 呆れて言葉も出ねぇぞオレは」

 

「…なんとでも言え。オレは今日という日の為にこの10年を生きてきた」

 

 

グレイが現れた瞬間、親の仇かのように睨みつけたリオンだったが、言葉を聞いているうちに落ち着いてきたのか淡々と語りだす。

 

 

「この10年、コユリには随分と動いてもらった。仲間と知識を集め、月の光を集めるこの島の存在を知った。そしてデリオラをブラーゴから運び出したのが3年前さ」

 

「こんなくだらねえ事を3年もやってたのか」

 

「くだらんだと? 師が死に、残された弟子が何をもって師を超えれるかよく考えろ!!! デリオラだ!! 師が唯一倒せなかったデリオラを葬る事でオレは師を超えた事が証明される!!!」

 

「その向上心は立派はものだが、お前は途中で道を間違えてる事に気がついてねえ!! 何も見えてねえ奴がウルに勝つだと!? 100年早ェよ!!出直してこい!!!」

 

 

激情したリオンが手に氷の猛獣を纏ってグレイに振るうも、グレイもそれを的確に避け、一瞬で造形した剣をリオンの胴体に振るった。

ズバッ!と斬撃は見事命中するが、グレイはあまりにも手応えが無いことにに違和感を感じる。

それもそうだ。

グレイが斬ったのはリオン本人ではなく、リオンの氷像だったからだ。

パリィンと砕け散る氷像に呆気にとられるのも束の間、グレイの背後に回ったリオンが右手に魔力を集中させる。

 

 

「アイスメイク "白虎(スノータイガー)" !!!」

 

 

突然襲ってくる白虎だったが、グレイは慌てる様子も無く冷静に拳を手のひらに置く。

 

 

「アイスメイク "牢獄(プリズン)" !!!」

 

 

バック宙しながら白虎の攻撃を避け、その頭上まで跳ぶと、襲ってきた白虎を逆に閉じ込める牢獄を作り上げる。

これで決まると思っていたのであろうリオンはまさかの反撃に目を見開く。

 

 

「これはお前の姿か、リオン。世界を知らない哀れな猛獣だ」

 

 

牢獄の上に立ち、リオンを一瞥したグレイは再び跳ぶ。

一方リオンはグレイの言葉を「くだらん」と一蹴し、閉じ込められた白虎をもう一度彼に襲わせようと牢獄の中で反転させて牢獄を壊そうとする。

 

 

「貴様の造形魔法などぶっ壊して……」

 

 

しかし、現実はそうならなかった。

リオンがいくら右手をくいっくいっと動かそうと、牢獄は白虎の突進を跳ね返し、攻撃を通さなかった。

 

 

「片手での造形はバランスが悪い。だから肝心な時に力が出せねえ」

 

 

そしてグレイが着地すると、その手には巨大な氷のバズーカ砲を構えていた。

目の前の光景に、リオンはあんぐりと口を開くことしか出来なかった。

結果……。

 

 

氷雪砲(アイスキャノン)!!!」

 

「ぐぉおあぁぁあああ!!!」

 

 

ズドォン!!!とけたたましい音を立てながら氷の砲弾が発射され、リオンに直撃した。

あまりの破壊力にリオンは耐えきれず後ろに吹き飛ばされ、ドゴォン!!と遺跡の壁に叩きつけられた。

土煙が晴れグレイの視界に入ったのは、白目を向き、もう気力だけで立っていたリオンの姿だった。

 

 

「…ウルの教えだろ」

 

「グ…グ…レ……イ……ごあっ! 」

 

 

それだけ零し、リオンは大の字で倒れたのだった。

グレイもバズーカ砲の構えを解き、一つため息を吐いた。

その瞬間の事。

 

 

「いっ!!?…ってぇ!!」

 

 

グレイの脇腹から噴水の如くどぷっと血が吹き出す。

レアの杞憂の通り、応急処置に張った氷が割れていたのだ。

その上割れた氷がグレイの傷口に刺さり、状況を余計に悪化させていたのだ。

 

 

「クソっ…! レアの奴、雑な処置施しやがって……!! てか途中からどこ行ったんだ…!?」

 

 

文句垂れながら腹の傷口を固めるグレイ。

しかし先に動くなと指摘されたのはグレイでそれを破ってのこれだから自業自得である。

なんとか止血を終え一息つくと、グレイはザワザワと妙な胸騒ぎを覚えたその時。

 

 

オオオオオオオオオ!!!!!!

 

ボゴォン!!!!

 

 

謎の雄叫びが響き、再び地面が斜めに傾き出したのだ。

 

 

「こ……この声…忘れようがねえ……」

 

 

グレイは斜めになった地面になど気にせず立ち上がり、今も尚響いている雄叫びに耳を傾ける。

自分の心臓の音がハッキリ聞こえ、体が震えるのもイヤという程自覚できた。

 

「…! この声……!!」

 

「デリオラ…」

 

 

そして雄叫びを聞き、倒れていたリオンとコユリも目を覚ました。

そのまま彼らも重い体を動かして行った。

一方グレイは震える体を拳を握りしめる事で誤魔化し、覚悟を決めようとしていた。

 

 

「(やるしかねえな……絶対氷結(アイスドシェル)!!!)」

 

 

幾らか震えの収まったグレイは地下へと向かう階段へと歩を進めた。





キャラふわふわし過ぎですね( ;´꒳`;)
オリジナル展開に行こうとして失敗したのがコチラになります…(--;)
慣れないことはする物じゃないですね…( ̄▽ ̄;)
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