妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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おはこんばんちは、uru1629でございますm(_ _)m
ホントは次の話まで書こうと思ったんですが、文字数がもういい感じたったんで投稿しちゃいます。


時のアーク

 

封印の解放からの雄叫びは島中に響き渡っていた。

遺跡から遠く離れた村の資材置き場だろうがそれは関係ない。

テントが軋み、資材が吹き荒れる。

 

 

「な、何今の声…ていうかホントに声だった!?」

 

 

遺跡の前でのリオンの手下らを下し、遺跡の内部に既に乗り込んでいたエルザ一行。

その中でルーシィが声を上げる。

確かにキーンと妙な耳鳴りのような音の混じる咆哮など、声かどうかも疑いたくなる。

 

 

「ルーシィのお腹の音かも」

 

「ルーシィのお腹には怪物が飼われているのかしら」

 

「本気で言ってるとは思えないけどムカつく…」

 

 

そうハッピーとフリーシャが身を寄せあって小言を零すが、あえてルーシィにも聞こえるように普通の音量で言っているのが悪意に満ちている。

ルーシィもジト目で二匹の猫を睨みつけた。

一方エルザは冷や汗を一つタラりと垂らしている。

 

 

「例のデリオラとかいう魔物か?」

 

「そんな…まさか、復活しちゃった訳!?」

 

 

その言葉を聞いて、ルーシィは目が点になり、頬を両手で覆う。

そんな中、猫二匹が何かを発見して視線をそちらに向けた。

 

 

「待って! あの光見覚えあるよ!!」

 

月の雫(ムーンドリップ)かしら! 建物は傾いてるけど、儀式はまだ続いてるのよ」

 

 

視線の先には何時ぞやに見た紫の光の道が真っ直ぐ降りていた。

数日前と比べ光は薄いうえに筋も細い。

 

 

オオオオオオオオオ!!!!!!

 

 

すると再びデリオラの雄叫びが木霊する。

エルザは「また…」と神妙な表情で呟きながら腕を組んだ。

 

 

「ルーシィ何か食べたら?」

 

「あんたこそネズミに食べられちゃえば」

 

「じゃあそのお腹の怪物をいつもの鍵で召喚するかしら」

 

「できるか!!」

 

 

漫才を繰り広げるルーシィと猫二匹を背景に、エルザは思考を巡らせる。

 

 

「デリオラの声はするが "月の雫(ムーンドリップ)" の儀式は続行されている。つまり、デリオラの復活はまだ完全ではないという事」

 

 

考えを口に出して整理し、エルザは上へと上がる階段へと駆け出しながらルーシィらに「来い」と呼びかけた。

しかしそれに対しルーシィはキョトンとした様子で下を指さした。

 

 

「デリオラは下だよ?」

 

「儀式を叩けば、まだ阻止できる!! 遺跡が傾いてまだ直されていないうちに止めればまだ間に合うハズだ! 急げ!!!」

 

 

それを聞いて納得した3人はエルザに続いて階段を上り始めた。

 

 

〜〜〜

 

 

「ナツぅー!!」

 

「は? レア!?」

 

 

所変わって遺跡の真下、デリオラが置かれた場所にはレアがナツの元へとすっ飛んできた。

ここにいるハズの無い相棒にナツは目を丸くさせたが、有無を言わせぬうちにレアが口を開く。

 

 

「ごめんなさいなの。もう一度遺跡を傾かせたけど、間に合わなかったの」

 

 

それを聞いたナツはハッとなってデリオラの上を見た。

確かに降り注がれていたハズの紫の光はいつの間にか見えなくなっていた。

それが分かってナツはニカッと笑った。

 

 

「いや、ナイスだレア! デリオラの完全復活まで余裕ができた!!」

 

「ほっほっ……やってくれましたね、水竜(リヴァイアサン)

 

 

しかし、状況が一変したにも関わらずザルティは余裕綽々とした態度を崩す様子は微塵もない。

フワフワとザルティの周辺を浮かぶ水晶玉みたく、掴みどころが無いその様子に、双竜はより気持ちを引き締める。

 

 

「モタモタしてらんねえ! レア、いつもみたいにやるぞ!!」

 

「ん、100万回ぶっ飛ばすの!」

 

「こちらも早々にケリをつけさせて頂きます……双竜よ…!」

 

 

バッと構えをとる双竜と同時に、ザルティは右腕を大きく振りかぶる。

するとザルティの周辺を浮いていた水晶玉はその動きに吊られるようにギュンと急加速してザルティの後方へ飛んだ。

そしてその腕をボールを投げるように振るうと、やはり水晶玉もその動きに吊られてナツとレア目掛けて真っ直ぐ飛んだ。

それに対し、真っ直ぐ迎え撃ったのはレアだった。

 

 

「なの!!」

 

 

声を上げながら右足を振り抜く。

レアの蹴りは水晶玉に吸い込まれるかの如く綺麗に入り、バキッと叩き割った。

だが、それで終わるわけは無かった。

ザルティが再び手を翳すと、割れた水晶玉は何事も無かったかのように元の球体に直ったのだ。

呆気に取られたのもつかの間。

 

 

「うぶっ!!?」

 

 

レアは再び急加速した水晶玉が顔面にクリーンヒット。

大したダメージは無いものの、空中で体制を崩したレアはナツに横抱きにされ助けられる。

 

 

「また直った!」

 

「私は物体の "時" を操れます。すなわち水晶を壊れる前の時間に戻したのです」

 

「時!? ありえないの!!」

 

「時のアークはあなた方の滅竜魔法と同様、失われた魔法(ロストマジック)の一種ですからね」

 

 

驚愕で目を見開かせる中、ヒュンヒュンと俊敏な動きで自分の手元に水晶玉を戻したザルティが解説する。

それを聞きレアは珍しく声を荒らげた。

だがそれも致し方ないだろう。

時間の干渉など、世界の真髄にも干渉しかねないのだから。

しかし現にザルティは水晶玉の時を操り、修復不可能と思われた遺跡の傾きもほんの数分で修復を成してしまっているのだ、疑う余地は無いだろう。

 

 

「次は水晶の "時" を未来へと進めてみましょうか?」

 

 

誰に語るでもなくそう言ったザルティは再び水晶玉を双竜へと差し向ける。

瞬間。

 

 

キィィン……ギュオオォォ!!!

 

 

元から不規則な動きをしていた水晶玉が目にも留まらぬ速度を出し、二人が気づいた時には自分らの遥か後方へと水晶玉は飛んでいた。

かと思えば…。

 

 

「うがあぁ!!?」

 

「あぐうぅ!!?」

 

 

ドガガガガッ!!と身体全体を無数の衝撃が襲いかかった。

原理は単純、時を進め超加速を得た水晶玉がやたらめったらに体当たりをかましているだけだ。

だがその神速の域に達したスピードから放たれる体当たりは受け身にならなければ到底耐え切れるものでは無かった。

必死に体を丸め耐えるナツとレアは漸く目が慣れて水晶玉を捉え始め、ナツがカウンターで炎を纏った拳を叩き込む。

しかし壊すだけでは意味は無く、再び水晶玉は綺麗な球体に形を戻し、お返しと言わんばかりにゴツンとナツの頭へ体当たりをする。

 

 

「調子に乗るななの!」

 

 

若干の苛立ちが見えるレアが飛んできた水晶玉に合わせて水流を纏った蹴りを放つ。

だが再び叩き壊されるかと思われた水晶玉は、なんとレアの蹴りに当たる直前で動きを止めたのだ。

ピタッとフヨフヨすることも無く完全に停止した水晶玉の姿に、レアは目を丸くさせた。

 

 

「止まったの!」

 

「それはもう…時を止める事もできますぞ」

 

 

止まった水晶玉を不満げに覗き込むレアとナツ。

二人がかりであるにも関わらず水晶玉一つに良いようにされているのが気に食わないのだろう。

だが、二人はザルティの魔法に対してある事に気がついた。

 

 

「それ……人間には効かねーみてーだな」

 

「というより、生物に効かないっぽいの。効いてたら、デリオラの氷はとっくに溶けてるの」

 

「…! これはこれは……よい所に目をつける。水竜(リヴァイアサン)殿は満点の答えですな」

 

 

二人の解答に、今度はザルティが目を見開かせた。

本当に満点のようだった。

ナツは絶対氷結(アイスドシェル)の詳しい概要は知らないが故に疑問符を浮かべたが、レアがザルティが関心している内に軽く説明した。

 

 

「けど、お前が一番よく分からないの」

 

 

ふとレアがそんな事を声掛け、ザルティの思考は現実に戻ってくる。

しかしレアに言ったことがイマイチ理解できず疑問符を浮かべる。

 

 

「悪魔マスク……リオンはコイツを復活させてリベンジマッチ。仲間たちはそれが達成させられれば家族の仇をとれる。みんなそうなの。でもお前、デリオラが目の前で復活したのに、憎しみよりも嬉しさの方が大きいみたいなの……。目的は何なの?」

 

 

そう語り、レアの鋭い視線がザルティを射抜く。

暫しの間を置き、ザルティは笑みを更に深めた。

 

 

「いやはや……敵いませんなぁ。ほっほっほっ」

 

 

不気味に笑いながら、ザルティは手元に戻した水晶玉を懐にしまい語り始めた。

 

 

「零帝様……いいえ…あんな小僧ごときにはデリオラはまず倒せませぬ。コユリ殿が助太刀して可能性が僅かに生まれる程度でしょうか」

 

「それじゃー大変じゃねーか!! お前が倒すのか!?」

 

 

ザルティの告げる事実にナツが慌てふためく。

そしてナツの質問に対してザルティは「とんでもございません」と否定の言葉を返した。

 

 

「ただ我がものにしたい」

 

「「!!!」」

 

「たとえ不死身の怪物であろうと操る術は存在するのです。あれほどの力、我がものきできたらさぞ楽しそうではございませぬか」

 

 

ニヤニヤと笑いながら自分の計画を語るザルティ。

本当にその計画が成功した時のことを想像しているのか、喋るごとに語尾が上がっていく。

しかしそれを聞いた双竜はというと、ツーンとそっぽを向いた。

 

 

「なーんだくだらねえな」

 

「ん、聞いて損したの」

 

 

その素っ気ない反応を見て、ザルティの高揚した気持ちも急激に冷めた。

初めて見せる笑み以外の不満そうな表情。

それを知ってか知らずか、ナツは再び口を開く。

 

 

「オレ達はてっきり…こう燃えるような目的があってよう……そんでこんな…」

 

「ほっほっほっ」

 

 

上手く言葉に纏められないのか、身振り手振り説明しようとするナツだったが、それを他でもないザルティが打ち切らせる。

 

 

「あなた方にはまだわかりますまい。 "力" が必要な時は必ず来るという事が……」

 

 

そう語ったザルティの背中は何処か哀愁が漂う。

だが今現在において、そんなものは双竜にとっては関係無い。

拳に炎、足に水流を纏うは今一度ザルティに対して構えた。

 

 

「そん時は自分と仲間の力を信じる」

 

「何よりも信頼できる、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士の力なの」

 

「自惚れは身を滅ぼしますぞ。天井よ、時を加速し朽ちよ!」

 

 

ザルティも手を上に翳しそう告げると、天井がボロボロと崩れ、紫の光と共に瓦礫がガラガラとなだれ込んでくる。

対してナツとレアはザルティへ一直線に跳ぶ。

ザルティは向かってくる双竜に崩れて細かくなった石礫を加速させて飛ばした。

 

 

「その荒ぶる炎と凍てつく水は我が "時のアーク" を捉えられますかな!?」

 

「アークだかポークだか知らねえが…」

「アークもワークも関係無いの…」

 

 

体をも貫いてきそうな石礫の群れにナツは拳を、レアは足を構え…。

 

 

「この島から出ていけ!!!」

「この島から出てくの!!!」

 

 

一気に振るった。

その瞬間、二人の炎と水は混ざり合い、ゴバァン!!と大爆発を引き起こし、目の前の石礫を消滅させた。

モクモクと煙が立ち込め、ザルティは唸り声を上げながらそれを払うが、目の前には二人の姿は無かった。

 

 

「いない!!?」

 

「そういや、オレたちにも時が操れるんだ!」

 

「は!?」

 

 

目を疑ったザルティだったが、声が聞こえその方向へ目を向けると、上を取ったナツがニカッと笑いながら迫ってきていた。

訳の分からない戯言にザルティは素っ頓狂の声を上げるが、再び聞こえる声に意味を半ば理解した。

 

 

「といっても、一秒先の未来限定なの」

 

「ッ!!?」

 

 

今度は払った煙の中からレアが飛び出してきた。

意図せず上と下を取られ、ザルティは逃げ場を失った。

 

 

「一秒後にお前をぶっ飛ばす!!! 火竜の…」

「一秒後にお前をぶっ飛ばすの!!! 水竜の…」

 

 

そして渾身の一撃が今……。

 

 

「鉄拳!!!」

「鉤爪!!!」

 

「きゃあぁあわあぁぁっ!!!?」

 

 

ザルティの顔面に決まった。

両サイドから叩き込まれた殴打と蹴りによってザルティはグルングルンと回転しながら吹き飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられた。

 

 

〜〜〜

 

 

それと同時刻のこと。

 

 

「おぉーん……」

 

「やった!! 月の雫(ムーンドリップ)が止まった!!」

 

 

エルザが一人月の雫(ムーンドリップ)の儀式を行っていたトビーを吹き飛ばした。

一人で儀式を行っていたシュールな様子にハッピーが「コイツ一人でやってたんだ…」と困惑の混じった小言を零した。

全て片付き一件落着……と、そうは問屋が卸さないようだ。

 

 

「もう遅ェんだよ!!わかれよっ!!!」

 

 

吹き飛ばされ倒れたトビーがくわっ!といつもの様に脈略もなくキレる。

だが次の一言に、一同は固まってしまう。

 

 

「儀式は終わったんだよ!!!」

 

「……え?」

 

 

トビーが何を言ったのか一瞬理解が出来なかった。

だが次の瞬間、遺跡の真ん中の魔法陣から紫の光の柱がカッ!と立った。

そして……。

 

 

オオオオオオオオオオオオ!!!!!!

 

 

今までの中で一番大きな咆哮が島に響いた。

 

 

「そ……そんな…」

 

「どういう事……遺跡は傾いてたのよ!!」

 

 

理解ができずフリーシャが叫んだ。

しかし、遺跡の傾きはこの際ほぼ関係なかったのだ。

確かに遺跡が再び傾きデリオラの封印の解除に遅れは生じたが、既にキッカケは与えられていた。

遺跡が傾いた時点で凍らされた部分は下半身のみであり、後は時間の問題だった。

そしてデリオラ完全復活最後のトリガーはザルティが最後に行った地下の天井崩落である。

あれにより上部でせき止められていた月の光が一気に注がれ、デリオラの復活に繋がってしまったのだ。

 

 

〜〜〜

 

 

オオオオオオ!!!!

 

 

ボロボロと崩落が重なる中、厄災が復活し、絶望が降臨する。





最後の無理やり感すごいッスね…(^_^;)
あ、今更ですがUA2万件突破、お気に入り登録100件突破ありがとうございます(*´ω`人)
本当に今更ですね…( ;´꒳`;)
返信は気づくのが遅くてまともに出来ていないですがちゃんと読ませて活力にさせて頂いております。
これからも駄文ですがよろしくお願いしますm(*_ _)m
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