どうもみなさんおはこんばんちは、ポケモンSV碧の仮面でオーガポンの可愛さに脳を焼かれたuru1629です。
転スラかヒロアカでオーガポンを元にしたオリ主小説が読みてェ!って悶えてました。
誰か書いてくれませんか…? 別作品でも良いので…。
相変わらずの駄文ですがよろしくお願いしますm(_ _)m
ガラガラと天井が崩落する洞窟の中、封印から完全に復活したデリオラが歩を一歩進めた。
足を下ろすだけで遺跡全体が揺れ、足元に溜まった水が飛沫を上げる。
その水しぶきを見たグレイは悲痛な表情を見せ、片手で足元に溜まっているその水を掬ってみる。
「(ウル……)」
グレイがそうなるのも無理は無い。
手からこぼれ落ちるその水は、溶けてしまったウルそのものなのだから。
「グレーイ!!」
感傷に浸っていると、自分を呼びかける声に気が付きそちらを向いた。
視線の先にはザルティを追いかけたナツといつの間にか消えていたレアがそこにいた。
「ナツ、レア…!」
「こうなったらやるしかねえ! アイツぶっ倒すぞ!!」
「手は二人よりも三人。手伝ってなの、グレイ」
ナツはデリオラを指さして慌てた様子で訴え、レアは逆に落ち着いた様子で淡々とそう言う。
だがそんな中「ククク…」と笑いが零れ、ズリッと何かが引きずられる音が聞こえる。
三人がその方向に目を向けると、ボロボロになっているリオンがその体を無理やり動かしていた。
「お前ら…には……無理だ…! アレは…オレが…ウルを超える為に……オレが…!! ハハハ…」
「オメーの方が無理だ! 引っ込んでろ!!」
見開かれた目はデリオラのみを映しており、今のリオンにはナツの声も全く聞こえていなかった。
そんなリオンの脳裏に過ぎるのは、北の大陸で最強の魔導士は誰か尋ねた時のことだ。
その際皆の口から揃って飛び出した名前が『ウル』だった。
リオンがウルに弟子入りする何年も前、娘を失ったショックで山に引きこもったというが、終ぞウルに適う魔導士は現れなかったというのだった。
「あの…ウルが……唯一…勝てなかった怪物……今オレが…この手で…倒す……!!」
「まだそんな事言ってるの……リオン」
また新しい声が飛び込んでき、一同はそちらに目を向ける。
そこにいたのは、左脇腹を右手で抑えながらも確かな足取りでやってきたコユリだった。
コユリはそのままリオンの側までよってしゃがみながら左手を翳した。
「パープルフレアメイク "
瞬間、リオンの体を覆うように紫の炎の網が現れた。
結果リオンの身体は身動きが取れなくなり、酷い形相でコユリを睨みつけた。
「!? コユリ…! 何をッ!!」
「アンタこそ何言ってんの。グレイに負けた時点でデリオラに勝つなんて不可能よ……」
しかし最もな正論を並べたコユリはふらつきながらも立ち上がり、目の前の怪物を見据えた。
その諦めの目には、いつか見た弱くも確かに燃えようとしている意志の炎が宿っていた。
「あぁ……ねぇ、ウル…見てるかな…? 10年かかった。こんなやり方、貴女は認めてくれないでしょうけど、ここが私の到達点」
足元の水……氷だったウルをすくい上げながらそう零したコユリも、ふと過去に思いを馳せた
脳裏に浮かぶのは、グレイを弟子として迎え入れた日の夜だった。
『あんな男を弟子にするって、どういう事!?』
『魔法を覚えたいっていうんだ。構わないだろ』
当時既に弟子だったリオンとコユリはグレイの弟子入りに対してはそこまで肯定的では無かった。
特にコユリはその拒絶反応が顕著に出ており、その日の夜にこうして訳を聞きに行ったものだ。
だがコユリの想いが先走り、絶対に言ってはいけない禁句を口走ってしまった。
『ウルの子供の代わりなら、私とリオンで十分でしょ!!?』
瞬間、パァン!!と乾いた音が部屋の中に響いた。
コユリは一瞬何をされたのか理解が出来なかったが、ヒリヒリと痛む頬に触れ、自分が平手打ちを食らったことは徐々に理解する。
しかし、結局何故そこで叩かれたのかが分からずコユリは「え?」と呆けた声がこぼれ落とした。
『コユリ……私はリオンもお前も、娘の代わりだなどと思った事は一度もないよ』
そう言いながらウルはコユリと同じ目線にまで腰を落とし、両手をコユリの肩に置いた。
そして、慈愛の女神を目に宿してコユリの両頬を自身の手で覆い、額を軽く合わせる。
『リオンはリオン、お前はお前なんだ。お前たち二人揃って、私の愛する弟子たちだ』
その言葉はコユリの心に深く刺さり、以後の心の支えにもなってきていた。
そして現代においてもそれは変わらず、今日という日まで生きてきたのだ。
「こんな事しても、貴女は私を弟子として認めてくれるのかな…。認めてくれるなら、見てて……貴女の仇は……私が…!」
そうしてコユリが弓矢を持つ構えを取り、デリオラを睨みつける。
だがしかし…。
ビシッ…!
いつの間にかコユリの背後に回ったグレイが、彼女の首元に手刀を叩き込んだ。
グラッと意識が揺らぎ、コユリはそのまま地面に倒れ伏した。
それと同時にリオンを覆っていた紫の炎の網もフッと消え去った。
「もういいよ、コユリ。後はオレに任せろ」
グレイはそう言いながら再び前に出る。
一応、コユリの意識は不安定とはいえ繋ぎ止められている。
霞む目でグレイを見るコユリは「何をする気?」と聞こうとするも、次にグレイの取った構えを見て、否が応にも理解させられる。
「デリオラはオレが封じる…!
そう、グレイは再び両腕を交差させて自身を中心に魔力の渦を巻く。
上で心の中で呟いた通り、氷の魔法の禁術を使って再び目の前の厄災を封じようとしているのだ。
それを見てリオンとコユリは、思いは違えど揃って顔を歪ませた。
「よせグレイ!! あの氷を溶かすのに、どれだけの時間がかかったと思っているんだ!!! 同じ事の繰り返しだぞ!! いずれ氷は溶け…再びこのオレが挑む!!!」
「バカなことは止めて、グレイ!!! 貴方までデリオラに縛り付けられるつもり!!? それを発動したら最期、貴方まで永遠にデリオラと共に生きるという、最大の苦しみを味わい続けることになるのよ!!!」
「これしかねえんだ…! 今…奴を止められるのは、これしかねえ!!」
なんとか説得しようと言葉を連ねるも、グレイは聞く耳を持たない。
収束されていく魔力が今か今かと解放の時を待つ。
その時、ザンッとグレイの前に二つの影がデリオラとの間を遮る。
「ナツ! レア!」
思いがけない乱入者に、グレイだけでなく、リオンとコユリもが目を見開かせた。
対して割り込んだ二人はただただ目の前の悪魔を油断なく見上げる。
「オレたちはアイツと戦う」
「封じるなんかより、よっぽど確実なの」
「どけっ!! 邪魔だよ!!!」
今グレイがその魔力を解放すれば確実に巻き込まれる位置に立つ二人に、彼は罵声を浴びせて退かせようとするが、二人は動かない。
少しの間を置き、ナツが口を開く。
「死んでほしくねえからあの時止めたのに…。オレたちの声は届かなかったのか」
そう言われ、グレイはハッと衝撃を受けたような表情を見せた。
それと同時に彼を中心に渦巻いていた魔力はフッと霧散していった。
「やりたかったらやるの……その魔法。レアたちはこれから忙しくなるから止める暇も無いの」
「ナツ…レア……」
レアから許しの言葉を貰ったが、グレイは再び魔力を練る気にはならなかった。
なれなかった。
仲間たちは自分の死を望んでいない。
だというのに命を投げ捨てるような真似がどうして出来ようか。
その時、咆哮しているだけだったデリオラが大きく動き出す。
目の前に佇む二つの小さな影を見据え、その大樹のような腕を振り上げた。
「避けろォオォー!!!」
「オレたちは最後まで諦めねェぞ!!!」
「レアたちは最後まで諦めないの!!!」
絶叫が入り乱れる中、ナツとレアは拳にそれぞれの属性を纏わせてデリオラの拳を迎え撃つ。
そしてドゴォオォン!!!と拳の衝突とは思えない轟音が響き渡る。
ギリギリとせめぎ合い、余波が洞窟にさらにダメージを与える。
だが、それは長く続かなかった。
十秒もしないうちに、両者の拳が弾かれた。
その直後、
ゴボッ!!
そんな音を立てて、デリオラの腕が崩れたのだ。
予想しなかった事態に、リオンが「え?」と零す。
しかし、異変はまだ終わっていない。
腕が崩れたことがキッカケか、デリオラの身体にピキピキとヒビが入り始めた。
それは全身に走っていき、足、肩、顔と止まることを知らない。
「な、なんだ!? オレらのじゃねえぞ?」
「というより、手応えがスカスカなの」
デリオラの異変を一番疑問に感じたのは、一瞬とはいえデリオラと拳を交わした二人だった。
全力を出してデリオラの攻撃を受け止めたことは間違いないが、デリオラの身体を崩すほどのダメージが溜まっているとは到底思えない。
「バ…バカな…!」
「コレ……まさか…!!」
足首が折れ、肩が崩れ落ち、顔が真っ二つに割れる様を見ながら、リオンとコユリは一つの結論にたどり着いた。
それは、実にシンプルな答えだった。
「デリオラは……すでに死んで…」
力が抜けた声でコユリが呟いた。
そう答え合わせした時には、さっきまで圧倒的な存在感を放っていたデリオラはバラバラに崩れ落ち、溜まっていた水溜まりの中へと姿を消した。
「10年間……ウルの氷の中で命を徐々に奪われ……オレたちは……その最後の瞬間。見ているというのか……」
既に周りの岩と同化して見分けがつかなくなったデリオラの残骸を見つめながらリオンが自身の考察を零し、ガンと地面に拳を叩きつけた。
そしてその瞳には……涙が浮かび上がっていた。
「敵わん…! オレには…ウルを越えられない…」
長く見続けてきた夢。
それはもう既に叶わないものであるという現実がリオンに襲いかかる。
そして一方で、
「そんな……ウル……貴女はずっと…戦い続けていたというの?」
口元に手を持ち上げ嗚咽を抑える体を起こしたコユリの姿がそこにあった。
「ごめんなさい…!! 私……私…!!」
ヘタっと膝から崩れ落ちたコユリは顔を両手で覆ってただひたすらに謝り続けた。
不甲斐なくてごめんなさい……諦めが早くてごめんなさい……貴女を信じきれなくてごめんなさい……そんな思いが籠った謝罪の言葉を、遺跡から海へと流れ落ちる水へひたすら吐露し続けた。
「す…すげーな! お前の師匠!!」
「ん、尊敬するの!」
さらに一方では、ナツとレアが目を丸くさせながらそんな賛辞の言葉を弟子であるグレイに送っていた。
その言葉は、ほとんど彼には届いていなかった。
なぜなら彼は、そんな師匠があの時と同じ言葉をグレイに掛けながら微笑む姿を幻視していた。
―――お前の闇は 私が封じよう
「ありがとうございます…師匠……!!」
そうして彼は初めて彼女に向かって『師匠』と呼び、礼を告げた。
肩を震わせながら歯を噛み締めるも溢れ出る涙を抑えきれず目元を手で覆うグレイ。
そんな彼にナツはニカッと笑いかけ、レアはフッと微笑を浮かべて見守っていた。
〜〜〜
落石も収まり、溶けてしまった
いつも一緒にいたハズの滅竜魔導士と猫のコンビはなんだかんだ一日ぶりの再開となり、ハッピーとフリーシャはそれぞれの相棒であるナツとレアの胸へと真っ直ぐに飛んだ。
ナツとレアはそれを笑顔で抱きとめ、デリオラの暴走が止まった喜びを分かち合う。
だがそれはすぐき中断されることとなる。
理由は単純明快、ナツとレアが振り向いた所でエルザが二人を睨んでいたからだ。
思いもよらない人物の登場に、双竜揃って「ビエエェエエ!!」と悲鳴をあげてその場から逃げ出そうとした。
当然エルザが二人を逃がすハズも無く、ナツのマフラーとレアのセーラー服の襟元を掴みかかった。
なんとか逃げ出そうと手足をじたばたさせる二人だが、エルザの力の前では萎縮した双竜など赤子同然だった。
ちなみにハッピーとフリーシャはというと、エルザの姿が見えて早々双竜をスっと献上していた。
信頼があるのか無いのかどっちなのやら……。
そんな茶番を背景に、ルーシィはふとグレイの方へと視線を向けた。
流石に時間が経った事もあって既に泣き止んでおり、リオンに肩を貸していた。
それは何もグレイだけでは無かった。
リオンの左肩をグレイ、そしてその反対をコユリが肩を貸し、互いにバツの悪そうな笑みを浮かべていた。
そんな様子が目に入ったルーシィは何処か嬉しそうに眺めていた。
後からグレイが言っていた事だが、ウルの氷は溶けて水になり、そして海へと流れていったが、それでもウルは生きているのだと。
それを聞いた誰もがそれを心の中で肯定した。
海となったウルは、三人の弟子をこれからずっと見守るのだ。
『もうケンカしないでね』と……。
やっと…やっとこさ一区切りつきそう…。
まだもう少しあるとはいえ本当にあと少し…。
あと少しで幽鬼編だ…。