妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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インフルで伸びてました(´・ω・`)
いつもなら予防接種無しでもインフルなんてかからんのに…免疫落ちてるなぁ…(´つω;`)グスン

前回と今回、何がしんどいって結局ルビ振りの多さですよ…コイツがアイツでアイツはソイツでって頭こんがらがるわい(‘ᾥ’)クワッ!!!


輪転の結末 幸か不幸か

 

チーム『シャドウ・ギア』はレビィを中心に構成された中堅幼なじみチームである。

どうでもいい話であるが、帽子を被った男ジェットはレビィに告白して2秒で玉砕、両肩から連なる容器を下げた男ドロイは同じくレビィに告白して1秒で玉砕した過去を持つ。

それでもレビィへの片思いは今でも続いているのだとか。

 

 

「オレたちチーム『シャドウ・ギア』が戻ってきたからには、必ず元に戻してやるぜ!」

 

「あぁ、安心しな! というわけで…」

 

「「頼んだぜレビィ!!!」」

 

「結局、レビィ一人がなんとかするのね」

 

 

ジェットとドロイが安心させるような言葉を掛けてきたかと思えば、2人揃ってレビィを前へと促す。

意気揚々と胸を張ったかと思えば片想い相手に結局全部丸投げというダサさ。

ミラのド直球正論に2人も揃って「アハハ…」と微妙な笑みを浮かべた。

 

 

「ありがとう、レビィちゃん!」

 

「ルーちゃんの為だもん、頑張る! それに、ルーちゃんの書いた小説…絶対読者第一号になりたいから……!」

 

 

最後の言葉をボソッと耳打ちされたグレイ(ルーシィ)は嬉しそうにコクンと頷いた。

そこへジョッキ一杯の水を両手に持ったレア(ナツ)が割り込んできた。

 

 

「んで、どーすんだ?」

 

「おい危機感持てよナツてめェ…!」

 

 

美味しそうに水を流し込むレア(ナツ)を憎し憎しといった具合に見るルーシィ(グレイ)を背景にレビィは今回の騒動の原因である依頼書を手に取った。

 

 

「私、古代文字ちょっと詳しいんだ。だからまずはその依頼書の文字を調べてみる」

 

 

レビィは傍らに古代文字ウンペラー語の解読書を置き、以前ルーシィがエバルーの屋敷で日の出(デイ・ブレイク)の解析にも一役買った本を何倍もの速度で読むことが出来る魔道具、風詠みの眼鏡をかけると、変わらず火の玉を宙に漂わせたナツ(レア)が近づいた。

 

 

「時間は多くないの。あむ…間に合うの?」

 

「だからレア……危機感……!!」

 

「とにかく! ここはレビィに任せよう!!」

 

 

レア(ナツ)に続いてのほほんとした様子のナツ(レア)ルーシィ(グレイ)が釘を刺すと、キリッとした様子のフリーシャ(エルザ)がそう締めて、レビィを集中させようと一旦全員静かになる。

 

 

〜〜〜

 

 

レビィが解読を始めてから約5分が経過した。

 

 

「レビィはその文字読んでも平気なのか?」

 

 

ルーシィ(グレイ)はふと気になってそう聞いてみた。

実際レビィは時折ウンペラー語と思われる言葉をブツブツと発していたが、レビィ自身にも依頼書にも何か起こるような様子は無かった。

 

 

「こーゆー古代の呪文はそのまま読み上げなければ大丈夫なの」

 

 

視線を依頼書と書物を交互に落としながらそう答えた。

そんな中、ロキ(ハッピー)がうがァと唸った。

 

 

「時間がないよォ〜!目の前暗いし、モヤモヤするし、ずっとこのままだったらどうしよう〜…!」

 

「確かにあの猫型体型に戻れないのは困るかしら。でも換装が成功してないのも不服なのよ……。リベンジ! 換s「止めんか!!!」…。」

 

 

未だにそのサングラスを取ればというアドバイスはロキ(ハッピー)には無かった。

その傍らでエルザ(フリーシャ)フリーシャ(エルザ)がそんなコントを繰り広げていた。

エルザ本人からすれば自分の意思とは関係なしに辱めを受けるのだから決して笑い事では無いのだが。

その時、レビィがパタンと持っていた書物を閉じた。

 

 

「どう? レビィちゃん!」

 

「何かわかったか!?」

 

 

グレイ(ルーシィ)ルーシィ(グレイ)が代表してひと作業終えたのであろうレビィにそう聞いてみた。

 

 

「わかんない…」

 

 

しかしレビィの返答は皆さんの期待に応えられるものでは無かった。

沈黙の後に絞り出された声に人格が変わった一同(無論食事に夢中な双竜以外)は一斉に落胆の声をあげた。

 

 

「そうか……私はこれから先、妙な羽の生えた猫として生きていくのか…」

 

「ちょ! リーシャの何処が妙だと言うのかしら!?」

 

「……うぐぐぐぐ…だァーッ!!!」

 

「だからそれ止めてよォォ!!!」

 

「うわぁああん、モヤモヤするよォ!!」

 

「僕はもう一生デート出来ず、墜落し続けるのか…」

 

 

状況は混沌としていた。

フラフラ〜っと普段のフリーシャと遜色ない飛びっぷりを披露するフリーシャ(エルザ)とその言葉の棘に噛み付いていくエルザ(フリーシャ)

特性脱ぎ癖を発動しようとさせて男共の視線を集めたうえでまたもやグレイ(ルーシィ)に止められるルーシィ(グレイ)。男なんz(ry…

そして本人にしか分からない嘆きでトホホと泣くロキ(ハッピー)ハッピー(ロキ)

 

 

「み、みんな落ち着いて! もっともっと考えるから!!」

 

「マカオ、時間は?」

 

「後8分。そろそろ腹括った方がいいかもって思ったがお前らなんでそんな落ち着いてんだ…」

 

「レアたちは入れ替わっても支障は無さそうなの」

 

 

慌ててレビィが宥める中レア(ナツ)がそう聞く。

マカオの言うように、時間は既に10分を切っており後が無いのは確かなのだが、双竜に関しては時間が迫っていようとそれほど慌てた様子は無かった。

 

 

「「フレー!フレー! レ・ビ・ィ!!!」」

 

 

そして何もすることが無かったハズのジェットとドロイはレビィの後ろで応援していた。

ドロイが胸に抱えた大太鼓を叩き、ジェットがその大太鼓の叩くリズムに合わせて扇子を振った。

結局騒いでもどうすることも出来ず、大人しくレビィの解析結果を待つ事となった。

 

 

〜〜〜

 

 

「もしずっとこのままだったらどーするよ…」

 

 

再び沈黙を破ったのは顰めっ面で頬杖をついていたルーシィ(グレイ)だった。

 

 

「あ? どうってなんだよ」

 

「この先この状態のまま仕事に行くつもりかよ」

 

「そりゃあ、元に戻んなかったらそうするしかねえだろ。ミラー!おかわり!!」

 

 

未だに水をガブガブ食べていたレア(ナツ)が何処か楽観的な様子で聞くと、ムスッとした表情のままのルーシィ(グレイ)がそう言う。

彼女()の言葉に、レア(ナツ)は持っていたジョッキを掲げながら答えた。

そんな彼女()に指先に炎を灯してこねくり回していたナツ(レア)も便乗した。

 

 

「レアはこのままでも大丈夫なの。慣れさえすれば全然問題ないの」

 

「あのねぇ…! アンタとレア……じゃなくてナツはもう適応出来てるから何ともないでしょうけど、こんな中途半端な状態じゃあ一体何年かか…」

 

 

相も変わらずのほほんとした様子のナツ(レア)グレイ(ルーシィ)が噛み付いた。

しかし自分の言葉を自分の中で反芻しているとハッとなって席からガタッと立ち上がった。

 

 

「どうした? グレイ……では無くルーシィ」

 

「大変よ…今の私たち、ナツとレアを除いてみんな技が中途半端じゃない? そんな状態で仕事に行ったって、上手くいきっこないもん!!!」

 

 

フリーシャ(エルザ)が不思議になり(彼女)に聞いてみる。

そうして返ってきたのは切羽詰まった声から発せられた当たり前すぎる事実。

だがナツ(レア)以外の全員はその言葉にハッとなり、今気づいたというような反応を見せた。

 

 

「ヤバい!!! 確かにそう言われればかなりヤバい!!!」

 

「ん? 気づいて無かったの?」

 

「何故そんな単純な事に今の今まで気が付かなかったのだ!!?」

 

 

途端にレア以外の入れ替わり組は焦りを覚える。

一見なんの問題もない双竜でも、連携という面ではかなりマズイ状況である。

ナツとレア間での連携は問題ない。

しかしハッピーとフリーシャとは確実に失敗するだろう。

ナツ(レア)もそれは分かっていたが、結局本人たちの問題で自らが干渉できる事では無かった。

故にナツ(レア)自身は特に何も言わなかった。

 

 

「やはり……やはり猫になってしまったせいか…」

 

「聞き捨てならないかしら!! それはリーシャの思考能力がハッピーと同程度と言いたいのかしら!? 冗談じゃないのよ、間違いなくあのバカ兄貴より考えられる頭はあるかしら!!!」

 

「ヒドイよォ! エルザもフリーシャも言葉の節々にトゲに加えて毒もあるよォ!」

 

 

ガクッと膝と手をついて項垂れたフリーシャ(エルザ)

そうしながら放った言葉に再びエルザ(フリーシャ)が噛み付いた。

そして何故か引き合いに出されたロキ(ハッピー)は涙目になりながら訴えたが、二人揃って聞く耳を持たない。

すると彼は「うわぁあん!」と声を上げて飛び上がり、エルザ(フリーシャ)を巻き込んでフリーシャ(エルザ)の上にのしかかった。

一連の流れを見ていた一同を代表してマカオが「何しようとしたんだ?」と疑問を零す。

 

 

「酷いこと言われたから、オイラこんな所出て行ってやるって飛んでいこうとしたんだ……。そしたら羽が無くて……羽が無くて転んじゃったんだ…!」

 

「な…泣いてないでさっさと退くかしら……エルザが押しつぶされてるのよ…!」

 

「わ…た……私が悪か…ッタ……た、頼むからどいてくレ……」

 

 

わんわんと泣きだすロキ(ハッピー)

そして幻聴かな、エルザのその言葉を最後にチーンという音が響くと共にフリーシャ(エルザ)から白い魂のようなものが幽体離脱していた。

その時だった。

 

 

「わかった!!!」

 

 

文字の解析を行っていたレビィが声をあげた。

そこへ戯れていた三人を除いた入れ替わり組が「おぉ!」と声をあげながら周りを囲った。

 

 

「これで魔法が解けるんだね!」

 

「急げレビィ、時間がねえ!!」

 

ハッピー(ロキ)が嬉しそうにそう言い、ルーシィ(グレイ)は切羽詰まった様子で言う。

 

 

 

「この古代文字はね、『ここに永遠の入れ替わりをもって幸せを齎す』って意味なの」

 

「やった! レビィちゃんスゴッ!」

 

「ん? それって…」

 

「そんで…!?」

 

 

レビィは解析した結果を得意げに解説し、グレイ(ルーシィ)が感嘆の声で彼女を賞賛した。

たがそこへ違和感を覚えたナツ(レア)がはて?といった風に零したが、それはレア(ナツ)の大声で掻き消えて続きを促す。

 

 

「つまり! この魔法で入れ替わった人達が永遠に幸せに暮らせますって意味なの!! はぁ〜解けて良かった〜」

 

「ちょっと待て!!! それじゃあこのままでいろって意味じゃねーか!!!」

 

「ん、やっぱ依頼書の文字の意味がわかっただけで、これだとレビィの手元に50万Jが渡るだけなの」

 

 

ビシッと指さしながら答えたレビィは晴れやかな笑みを浮かべ、これでぐっすり眠れると言わんばかりに伸びをした。

だが彼女の言葉を聞いた面々は『永遠に』という重すぎる言葉がのしかかってきたような感覚を覚え、真っ先にレア(ナツ)が吠えた。

それにナツ(レア)がプラスアルファして苦言を呈した。

ようやくレビィも気づいたようで「どうしよう…」と頭を抱えると、隣に真剣な表情のグレイ(ルーシィ)が並び立つ。

 

 

「レビィちゃん、魔法が解けなきゃとダメなのよ。きっと何か方法があるハズよ! 裏の意味とか…そういうやつ! そういうのを重点的に調べてみて!!」

 

「! うん、頑張る!」

 

 

(彼女)の言葉にもう一度火が灯ったのを感じたレビィはもう一度机に向かった。

そして彼女の復活は、彼らの復活をも意味した。

 

 

「「フレー! フレー! レ・ビ・ィ!!!」」

 

「あの応援チーム……却ってウザくねェか…?」

 

 

ジェットとドロイである。

しかしワカバの言う通り、文字の解析に大太鼓を抱えての応援とはハッキリ言って邪魔でしかないだろう。

寧ろよくレビィはこんな環境で集中できるものだ。

 

 

「いや、気合いが入っていいと思うぜ! オレも参加してェくれえだ…!!」

 

 

だがそんな応援チームを肯定したのは漢気大好きエルフマンだった。

確かに自ら学ランを着るような彼だ。

拳を握りしめてうずうずする彼に、ワカバは思わず「はァ?」と零したのは無理ない事だろう。

 

 

「違う…これじゃあ余計意味が分からない。ていうか言葉にすらなってない……んぐぐぐ…!」

 

 

今も尚応援の声がギルド内に響く中、レビィは悶々と唸っていた。

そして時間も待ってはくれない。

 

 

「あと3分!」

 

「イヤアアァァァアアア!!!」

 

 

マカオが何処からかフリップを持ち出して自身のセリフ全く同じ文字を書いて提示していた。

それを一番近くで聞いたグレイ(ルーシィ)が氷をポロポロと吐き出しながら悲鳴をあげた。

そんな中悟りを開く者が一人。

 

 

「魚なのか……。これから毎日…朝も、昼も、夜も……さ…魚なのか…!」

 

 

フリーシャ(エルザ)である。

だがすぐに膝をついてしまったあたり、平静では無かった。

悟りの境地まではまだまだなようだった。

 

 

「猫じゃらしを見ると嬉しくなってしまったりするのかァ!!?」

 

「お、落ち着けよフリーシャ……じゃなくてエルザァ!!」

 

 

終いには泣き出してしまった。

僧侶への道は遠い…(目指してない)

羽を出して涙を流しながら飛び立ったフリーシャ(エルザ)ハッピー(ロキ)が同様に羽を出して追いかけようとした。

だが忘れてはいけないのが、フリーシャ(エルザ)は既に(エーラ)を使いこなせているが、ハッピー(ロキ)はそうでは無いという事。

残念ながら彼自身は忘れていたらしく、飛び上がった直後に体は急転換して顔から地面へと垂直落下、「グペェ!?」と声をあげて墜落した。

一方フリーシャ(エルザ)は隅の方で丸くなっていた。

普段のエルザであらばこんな光景は絶対にありえないだろう。

誰も声を掛けられない中、彼女に近づく影が一つ。

 

 

「エルザ…さっきはごめんね、オイラが悪かったよ」

 

 

ロキ(ハッピー)である。

思わぬ謝罪の言葉にフリーシャ(エルザ)は涙を滲ませながらも笑顔を浮かべて彼の方へ向き直った。

 

 

「ハッピー……お前…!」

 

「喧嘩なんかしてる場合じゃないもんね。仲直りしよ」

 

「…!! そうだな、私も悪かった」

 

 

お互いに謝罪しあって、このまま平和的に解決。

…と、そうはならなかった。

 

 

「あい! これ、仲直りの印だよ」

 

 

そう言ってロキ(ハッピー)が渡したのは一匹の魚だった。

そう、魚である。

 

 

「……魚…! って、ウワアアァァァアアアァァアン!!!」

 

「空気を読みなさいよ!!!」

 

 

また泣き出してしまったフリーシャ(エルザ)

人格が入れ替わってからメンタルがクソザコナメクジになっていないだろうか…。

しかし魚の事で悩んでいたにも関わらず目の前に魚を出されては仕方ないのかもしれない。

ポカンとしたロキ(ハッピー)の隣でグレイ(ルーシィ)が大口開けていると、その隣にいたエルザ(フリーシャ)が呟いた。

 

 

「なるほど……エルザはリーシャの姿であるにも関わらず、猫のイメージはハッピーだというのかしら…」

 

「!? …えっと……エルザ、じゃなくてフリーシャ、さん……なんか…怒ってらっしゃいます…?」

 

 

ビクッと肩を跳ね上がらせたグレイ(ルーシィ)だったが、その反応は正常である事を記しておく。

なぜなら今のエルザ(フリーシャ)は普段のエルザが怒った時の雰囲気と同じだったのだ。

それに加え、彼女は見えてはいけない黒いモヤのようなものを纏っていた。

 

 

「怒る? 何言ってるのかしら。リーシャはちょーっとお腹の中でグツグツと何か煮えてるような感覚に落ちてるだけなのよ」

 

「「「(めちゃくちゃ怒ってらっしゃる!!!)」」」

 

 

笑顔を浮かべながらそう言うエルザ(フリーシャ)だったが、その笑顔は端的に言えば怖いの一言に尽きた。

目元に影が落ちて三日月のようなつり上がった口は彼らの恐怖心をこれでもかというくらい煽った。

 

 

「レ、レビィ!! まだか!!?」

 

 

恐怖から逃れようとルーシィ(グレイ)が今も尚机に向かっているレビィにそう聞いた。

自分が戻りたいのは間違いないが、何よりも今誕生したアレを放置するのはマズイと直感したのだ。

しかし彼女()の問いに答えたのはフリップを持ったマカオだった。

 

 

「これはマジでヤベェ…1分切った!!」

 

「てめェ、さっきからなんか楽しんでねぇか!? おぉ!!?」

 

 

意気揚々とフリップに書かれた「あと1分」の文字を見せながら声を張るマカオ。

だがそんな彼を見たルーシィ(グレイ)が胸ぐらに掴みかかり、憤慨に満ちた声色で聞いた。

詰められたマカオは怒りよりも何処か焦りを彼女()から感じ、「そ、そんな事ないって…」と戸惑いながら返した。

 

 

「もうちょっと……何となく分かりそうな気がしてきてるんだけど…」

 

「頑張れ頑張れレ・ビ・ィ!! クゥ〜!燃える!!!」

 

 

ふと解析をしていたレビィの口からそんな言葉がこぼれ落ちた。

ホントかと目をそっちへ向けると、いつの間にかエルフマンがジェットとドロイと一緒に混ざって応援していた。

そして自分の応援姿に興奮していた。

二人よりも一回り体が大きいエルフマンの応援姿はさながら応援団長、ワカバからも「似合いすぎだろ」とお墨付きを貰えるほどしょうに合っている。

 

 

「なんじゃ、ま〜だやっとるんか」

 

「じーさん! なんか覚えてねェのか!? このままじゃオレたち…」

 

 

そうこうしているとマカロフがその場へと戻ってきた。

やはり焦っているのであろうルーシィ(グレイ)がそう聞くと、マカロフもう〜むと悩む素振りを見せる。

すると「ハッ!」と大きな声をあげて注目を集め、泣いていたハズのフリーシャ(エルザ)も近くへ寄ってきた。

 

 

「そぉんな事言われてものォ?」

 

 

しかし返答は意味深な反応をしながらも得られたものは無し。

耳を傾けて入れ替わり組は揃ってずっこけた。

だがすぐさま立ち上がったルーシィ(グレイ)は再び服の裾に手をかけた。

 

 

「だァー!!!もう間に合わねえ!!!」

 

「だからそれだけは止めてって言ってるでしょ!!!」

 

 

捲りあげようとした矢先にグレイ(ルーシィ)が野太い声をあげながら彼女()の体に腕を回して締めあげた。

掠れた声でルーシィ(グレイ)が「ギブギブ…」と降参を訴え、その後ろでマカロフが鼻の下を伸ばしていた。おとk(

 

 

「どれだけ正確かわからねえが、多分……あと40秒!!!」

 

「多分ってなんだ多分って!!!」

 

 

 

今度は「あと40秒」のフリップを掲げたマカオ。

だが発言は曖昧そのものでレア(ナツ)からのお叱りがとぶ。

するとマカロフが「アーッ!」と声をあげてもう一度注目を集めた。

 

 

「一つ思い出したぞ!!」

 

「なんですか!?」

 

 

ここに来てのどんでん返しか、朗報か悲報か分からないが、入れ替わり組は揃ってマカロフの前に集まり、フリーシャ(エルザ)が代表して中身を聞いた。

 

 

「この魔法を解くときは1組ずつしか解けないんじゃ。いっぺんに全員を戻すのは無理だったハズじゃ」

 

 

悲報であった。

そんな事を話している間にも残り時間は(相も変わらずマカオがフリップを掲げる中)30秒くらいとなっており、一度に全員の解呪が不可能とあればもしかしたら元に戻れないペアが発生する可能性がある。

それがわかった瞬間始まったのは誰が最初に戻るかの会議だった。

 

 

「誰が最初だ!?」

 

「当然オレとレアだ!! なぁ!?」

 

「レアはどっちでもいいの」

 

「ってぅおい!!?」

 

「なら、最初はアタシたちからね♪」

 

「いーや! まずは僕たちからだ。そうだろう?ハッピー」

 

「あい! オイラこんなモヤモヤしたのとはおさらばするんだ!」

 

「待て!! 私がこのままだと妖精の尻尾(フェアリーテイル)はどうなる!? 最初は私とフリーシャだ!!!」

 

「リーシャはどっちでも…というよりもう少しこのままがいいかしら。畏怖の目で見られるのは中々気分が良かったのよ」

 

「フリーシャが目覚めてはいけない方向に目覚めかけてるの!! 最初はエルザ達に一票なの!!!」

 

 

会議というには、それはもはや口論に近かった。

会議として発言したのはレアのみであり、今の体を気に入りかけているフリーシャを除いた全員がオレが私がと罵りあっている。

ハッキリ言ってしまえば、非常に醜い。

大抵の事は「あらあら」で済ますミラでさえ「人間追い詰められると怖いわね」と遠い目をしていた。

 

 

「15秒きったよ〜!」

 

「ハッ!わかった!!!」

 

 

マカオの余命宣告に近いその言葉とレビィが声を張り上げたのはほぼ同時だった。

待ち望んでいたその声に入れ替わり組は揃ってレビィの前へ集合した。

 

 

「12! 11!」

 

「レビィちゃん!!」

 

「こういう事だったの! つまり説明するとね…」

 

「きゅう〜! はァ〜ち!!グボア!!?」

 

 

始まったマカオのカウントダウンを背景にレビィは時間が無いにも関わらず説明を始めようとした。

それを止めたのは明らかに楽しんでいた心が浮いて出てきていたマカオを殴り飛ばしたレア(ナツ)だった。

 

 

「レビィ!! 時間がねえ!早く!!!」

 

「わかった! いくわよ……アルボロヤ テツラ ルビコウ!!!」

 

 

急かされたレビィは目を閉じ呪文を唱え、依頼書から金色の輝きが溢れ出す。

一度唱えただけでは終わりでは無い。

この魔法はマカロフの言った通り1組ずつしか解けない。

故にレビィはその後も二度三度と繰り返し、計5回呪文を唱えた。

光の文字の柱が立ち上がり、誰もがその光景に目を奪われた。

やがて光が収まると、場を静寂が支配する。

 

 

「……あっ! 元に戻ってる!!!」

 

「オレもだ!!」

 

 

最初に吉報をもたらしたのはルーシィとグレイのペアだった。

戻った事を確認出来た2人は嬉しそうに顔を見合わせた。

それに続くペアがもう一つ。

 

 

「うおーっ! オレも戻ったァーッ!!」

 

「ん、レアも戻ったの」

 

 

ナツとレアのペアであった。

そのままナツは口から火を吹きながらはしゃぎ回り、レアはナツが途中で残した水の入ったジョッキに手を伸ばした。

そして慣れた様子で無数の水の玉を自身の周りに浮かせてパクパクと食べ始めた。

 

 

「レビィちゃん!!ありがとう!!!」

 

「やったー!!」

 

 

喜びのあまりルーシィはレビィに飛びつき手を握った。

ルーシィのそんな嬉しそうな様子にレビィもガッツポーズで答えた。

 

 

「どうやってやったの? 教えて!」

 

「言葉そのものに意味は無かったの。逆さ読みをやってみたんだ」

 

 

ルーシィはさっきは切羽詰まって聞けなかった説明をレビィに促すと、彼女も視線を依頼書に落としてそう紡いだ。

 

 

「古代は文字が少なかったから、色んな意味を伝えたいときに反対から読むと別の効力を発揮するようにしていたの。だから呪文を逆さから読んでみたら魔法が解けたの」

 

 

理にかなった説明にルーシィは大きく頷き、グレイと合わせて再度礼を告げた。

レビィは「ルーちゃんのためだもん!」と礼を受け取り一件落着。

ところが、ハッピーエンドで終わるには他2組の入れ替わり組の反応が無かった。

 

 

「「と……解けてなァーい!!!」」

 

「「エエェェ!!!?」」

 

 

その時、ロキとハッピーのペアが揃って声をあげた。

しかもそのまさかの内容にレビィとルーシィが絶叫した。

それで終わりでは無い。

 

 

「私もだ!! 猫のままだぞ!!!」

 

「リーシャはもうどっちでもいいのよ。恐れおののくがいいかしら!!」

 

「おいフリーシャ!私の体で何をするつもりだ!!」

 

 

なんとエルザとフリーシャのペアも元に戻っておらず、変わったままだったのだ。

カウントダウンを行っていたマカオによると、どうやら僅かな差で残り2組は間に合わなかったのだとか。

 

 

「そんな! じゃあオイラたち、ずっとこのままだって事!?」

 

「嘘だ!! ずっとこの体で墜落し続けるなんて嫌だ!!!」

 

「悪夢だ!悪夢以外の何物でもない!!!」

 

「まぁまぁ、他にも方法があるじゃろ」

 

 

ハッピー、ロキ、エルザが各々絶望していると、ミラがそんな事を言った。

しかし口調がいつものミラとは違ってジジくさい。不思議に思った全員が声の方向に目を向けると、なんとミラはカウンターテーブルの上であぐらをかいていた。

左手にはマカロフがいつも持っている杖を持って肩に担いでおり、顔は何処かしかめっ面だ。

しかし自身の発言に違和感を覚えたのか、ミラは「ん?」と目を丸くさせた。

一方杖を取られたマカロフはというと…。

 

 

「なんだか…私背が縮んでない!? ……あ」

 

 

顔に手を添えてキョロキョロと何処か乙女っぽい反応だった。

ここまでくれば猿でも状況は理解できる。

 

 

「まさかミラさん!!?」

 

「じ…じーさんとミラが入れ替わってんぞ!!?」

 

「なんというこのナイスバディ!!!ウッハッハッハッハ!!!」

 

「い…イヤァ!それだけはイヤアァア!!」

 

 

喜色の声をあげて自身の胸を張るミラ(マカロフ)とそれを見て嗄れた声で悲鳴をあげるマカロフ(ミラ)

どうやらレビィの唱えた不発の呪文が誤作動を起こして周りを巻き込んでしまったようだ。

ここで思い出すべき事は、レビィが唱えた呪文の数は5回。

そのうち成功が2発、暴発が1発という現状況。

さて残り2発はどうなってしまったのか。

フリーシャ(エルザ)が顔を青くさせながら「もしや…」と周りに目を向けてみた。

 

 

「漢は諦めが肝心だぞロキ!!! あ?なんだこの酒くせぇ体は…」

 

「!?ちょっと!!何よこれ!?なんで私がエルフマン!!? アーッ…なんか急激に酔いが覚めてきた……」

 

「おいドロイ…あ!?」

 

「なんだよジェット…ウェッ!?」

 

「「オレたち入れ替わってんぞ!!?」」

 

「お前たちは入れ替わってもさして問題ないじゃろ」

 

 

予想通り残りの2発もしっかり暴発しており、カナとエルフマン、ジェットとドロイが巻き込まれていた。

ジェットとドロイに関してはミラ(マカロフ)からそう言われる始末であったが…。

するとミラ(マカロフ)が「それにしても…」と再び目を輝かせだした。

 

 

「これはまた夢のようなナイスバディ…」

 

「イヤァ!!!レビィなんとかしてえ!!!」

 

 

場は完全にカオスと化していた。

悲鳴をあげる者、呆然とする者、ぎゃいのぎゃいのと喚く者。

冷静な者などほとんどおらず、混沌はどんどんと極まっていく。

 

 

「もう……私の手には負えない…です」

 

 

あまりのカオスっぷりにレビィも匙を投げてしまった。

場の収拾がつかず、結局制限時間の半分を過ぎるまで荒れに荒れたのだった。





ハッピー先生の妖精の尻尾(フェアリーテイル)講座!

今日はオイラの妹、フリーシャの秘密を教えちゃうよ!
フリーシャはオイラと同じ(エーラ)の魔法を使って空を飛ぶことが出来るんだ。それだけじゃなくって、(ソウ)っていう魔法で攻撃も出来ちゃうんだ。
好きなものはお寿司で、フリーシャの前にお寿司を出したらすっごく可愛くなるんだよ。でもフリーシャのお寿司を勝手に食べたらエルザよりも怖くなるんだ、ウパー!

では、今日はここまで!
起立、礼、あい!


―――


めちゃくちゃ区切り悪い終わり方だな!って思う方いらっしゃるかもしれませんがご勘弁くださいm(_ _)m
次回の頭に最終的な結末は持ってくるので、なーなーで終わらせないので…。
そもアニメもこれ本筋のくせに打ち切りみたいな終わり方してるから締め方大いに迷ったんです…。
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