お久しぶりでございます。
有限不実行申し訳ないです"(-""-)"
次回予告とか慣れないことはやるもんじゃあないですね…
最大の脅威であったジュピターの破壊に成功し、さらにファントムの実力者であるエレメント
幸先のいいスタートに4人は喜色の表情を浮かべていた。
「おぉー! 派手にぶっ飛んだなぁー!」
「あい! 2人ともカッコよかったです!!」
「けどレアが吊るされた時はヒヤヒヤしたかしら……」
「……流石にあの激臭炎は予想出来ないの」
「やめろ、思い出させるな…まだ鼻の奥がムズムズする…」
レアの言葉にナツは鳥肌が立ったのかブルリと体を震わせて、そんな様子を猫たちが可笑しそうに笑う。
敵の本拠地のど真ん中であったが、ジュピター破壊直後なうえに幹部位置と言えるエレメント
増援を送るにしてもまだだろうと考え、4人は談笑という名の休息をとっていた。
そんな事を考えていた時期が彼らにもあった…。
突如動力室全体が傾きだした。
またもや予想もしていなかった事態に各種各様の動揺の仕方をみせる。
「何だ!?」
「部屋が横に!?」
「レア、嫌な予感がするの…!」
「ファントムのギルド本部はびっくり箱か何かかしら!?」
どうなったかは外から見れば一目瞭然であった。
文字通り重い腰を持ち上げて再び立ち上がった六足歩行ギルドが背面から倒れ込む。
しかし、建物部分が水面に触れることは無かった。
なぜなら、建物部分はいくつもの機械的な音を立てながらその形を変えていたからだ。
垂直になった建物の側面から新たに展開された巨大な足が代わりに水面に着き、不要となった6本足は建物から切り離される。
側面から足が生えるという不格好な姿はさらに変形を重ねて人らしい股の形を為し、内部からまた別の鉄製のパーツが姿を現す。
また側面に穴が開き、今度は腕が生えた。
そして、てっぺんの頭部らしきパーツの眼の部分が怪しく光りだした。
変形を終えたファントムのギルド本部に、それまでの城の姿の面影はどこにも無かった。
巨人の姿となったギルド本部、目覚めた最終兵器『超魔導巨人ファントムMkⅡ』は一歩、また一歩と
〜〜〜
床が壁となり、壁が床と天井になったジュピターの動力室。
ナツとレアは力なく項垂れていた。
「お…おぉ……おぷ…」
「う…うぇ……コレ……なんか動いてる…の…?」
理由はいつもの乗り物酔いである。
人の形を為してもそのカテゴリーは乗り物であり、2人がこうなるのは至極当然なのであった。
「しっかりしてよナツ…」
「おえ……ちょっと無理…」
「だらしないかしら…ハッピー、リーシャと一緒にどうなったか外へ確認しに行くのよ」
「うぅ……面目ない…の……うぷ…」
吐き捨てるようにそう言ったフリーシャにレアがシュンとする。
ある種のイジりの末にハッピーとフリーシャが風穴から外へ出ると、別の2人の人物が入れ違いで部屋に入ってきた。
「これは…ジュピターの残骸か? グッジョブじゃねーかアイツら」
「しかし何でこの部屋横向きになってんだ?」
ナツ達とは別口で乗り込んできたグレイとエルフマンであった。
荒れた惨状を見た2人はそれぞれそう零すと、すぐにダウンしているナツとレアを見つけた。
状況を察してグレイがあからさまに呆れ顔を浮かべながら近づいてきた。
「ったく情けねえなァ、双竜のお2人はよォ」
「漢なら乗り物なんぞ逆に酔わせてやれい」
「お前ら来てたのか…! うぷ…」
「レアは女なの…おえ…」
そう言われても体質上の弱点故に2人にはどうすることも出来ない。
こればかりは慣れるしかないのだろう。
そうやって2人してうんうんと唸っていると、建物の動きが急に止まった。
それと同時に2人の酔いもピタリと治まった。
「大変だーーー!!!」
「このままじゃマグノリアが半分消し飛ぶのよーーー!!!」
「ウソつけーーー!!!」
「こんな時にウソなんかつくかッ!!!」
「ハッピー、フリーシャ、もう少し落ち着いてなの」
暫くして顔面蒼白させたハッピーとフリーシャが偵察から戻ってきた。
だが突然ぶっ込まれた悲報にナツが口をあんぐりさせながら叫んだ。
それをグレイが横からゲンコツを叩き込みながらツッコミを入れ、レアが改めてそう促した。
「えっと、まずギルドが巨人になってたんだ! この巨人自体が魔導士で、指で空に魔法陣を描いてたんだ!!!」
「肝心の魔法陣の中身……撃とうとしている魔法が禁忌魔法の一つ、
整理された内容を聞かされ、4人は揃って目を丸くさせた。
ギルドが巨人になっている事にも驚きだが、まさかそれが魔導士であり禁忌魔法を唱えようとしているなど誰が予想出来ようか。
しかもカルディア大聖堂はマグノリアの街の中心部に位置する建物である。
その辺りまで暗黒の波動が届くとなれば街半分が消し飛ぶという表現も決して大袈裟なんかでは無い。
あまりに現実離れした話に4人は大なり小なり動揺を見せるも、やることは決まった。
「休憩終了なの!」
「止めるぞーーー!!!」
「手分けしてこのギルドの動力源を探すんだ!!!」
「次から次へととんでもねえ事してからにィ!!!」
一瞬視線を交わしあった4人はすぐさま綺麗に4方向へと解散して走り出したのだった。
〜〜〜
禁忌魔法『
その強大さ故に生身の体で撃つこと自体が自殺行為に等しく、魔法陣を描くか使い捨ての物を事前に用意して放つことが普通だ。
それはこの魔導巨人とて例外では無い。
「……ん。疑ってたわけじゃないけど、こうして見ると街の半分が魔法の効果範囲っていうのも納得なの」
巨人の肩部分から顔を覗かせたレアがそう呟く。
その大きさが大きければ大きいほど範囲は広がり、魔法陣に魔力を伝わらせる時間もかかる。
ただし、魔法陣とは魔法を放つ上での一つの結論である。
特定の魔法を最短で放つにおいて最も効率化された手段であり、最も強力な撃ち方なのだ。
ただ魔力を収束させるだけの
「レア、急ぐかしら!」
「ん、わかってるの」
既に走り回って3分ほど経過しているにも関わらず、動力室らしき部屋は見つからない。
刻一刻と時間だけが過ぎていき、胸中に積もるのは焦りだけ。
そんな思いを胸に抱える中、レアとフリーシャはとある部屋に入った。
「……ん?」
「何かしらここ……異様に湿度が重いのよ」
部屋の名前は第三魔力駆動室。
どうやらこの魔力巨人を動かす動力をメインコントロールルームが機能しなくなった際に代わりとして使われる部屋のようだ。
「第三」と名がつく辺り、この巨人を生み出したマスター・ジョゼはよっぽどの手の込み方をしたらしい。
その奥、蒸気を吹く機械の影から、一人の女が現れた。
「しんしんと…。ジュビアはエレメント
「エレメント
自ら名乗り出した彼女に、レアは警戒のレベルを上げて体勢を整える。
「まさかジュピターの発射を阻止された上に火のエレメントが倒されるとは思わなかったわ。けど、残りの私たちを兎兎丸と同じとは考えないことね」
「レア! 構ってる余裕は無いかしら! 優先すべきはこの巨人を止める事なのよ!!」
淡々と言葉を紡ぐジュビアにフリーシャの声が割って入った。
しかし、レアは目の前の敵から目を背ける事無く、構えを崩そうとしない。
やがて、彼女は静かに口を開いた。
「フリーシャ。レアをここに置いて巨人の動力源を探し続けて欲しいの。レアは一つ可能性を確かめたいの」
「可能性……かしら?」
心中穏やかでは無いフリーシャであったが、レアの言葉を聞いて幾分か冷静さを取り戻した。
その様子を見たレアはジュビアに聞こえない音量で囁く。
「
「!? まさか…!」
「ん……。もしかしたら、幹部一人一人が巨人の動力源になってる可能性があるの。でも確証なんて無いの。もしこの可能性が違ったら、レアのやることが無駄骨になるの。だから、レアがコイツをここに縫いつけている間に引き続き動力源を探して欲しいの。フリーシャなら、そこらの雑魚に負けるとは思わないから頼むの」
サムズアップして言葉を締めくくったレアに、フリーシャは呆気にとられた。
だが彼女はポカーンとあいた口をキュッと締め直し、そのまま不敵な笑みを浮かべた。
「珍しく饒舌になったからビックリしたけど、レアがここまでリーシャを頼ってくれるなら、応えないわけにはいかないかしら!」
言うが早いか、彼女は翼を出して部屋の外へと出て行ったのだった。
「無駄よ。どう足掻いたところで、超魔導巨人ファントムMkⅡは止まらない」
「それをお前が決めるななの」
互いに抑揚のない言葉を投げあい、戦いの火蓋が切って落とされた。
先に仕掛けたのはレアだ。
湿気を掻き分けるように駆け出し、足元の水溜まりから水柱が立つ。
距離はすぐに縮まり、ものの一瞬でレアの攻撃の射程距離圏内に入った。
水流を纏った右脚を大きく振りかぶって、ジュビアの脳天を狙った。
が、その鉤爪が振り抜かれることは無かった。
「
空間が波を打った。
レアの体は一瞬にして水流の塊に捕らわれていたのだ。
もちろんレアが出したものでは無い。
ジュビアがルーシィ捕獲の際に使用した、相手を溺れさせるためのバリアだ。
「まさかここまで近づかれるとは予想外だったわ。でも、目で追えないスピードじゃない。そしてジュビアの
蹴りの勢いを完璧に殺され、レアはジュビアの生み出した水塊の中で逆さに浮かんでいた。
だが、彼女の前で水の魔法は障害になり得ない。
驚いたように目を丸くさせていたレアであったが、すぐに表情を戻して口を大きく開けた。
水の中で生命線である空気を自分から逃す行為にジュビアは懐疑を示すと共に警戒を強めた。
レアから距離をとるために跳んだと同時に、なだらかな流れを持つだけのはずの水塊に渦が生じた。
レアの口元に生じた渦はどんどんと荒々しさを増していく。
それに比例するかのように、水塊の大きさも小さくなっていった。
やがてレアを捕らえていたはずの水塊は影も形も無くなったのだった。
「んくっ…ぷはぁ……ん、ごちそうさまなの。今まで食べたどの水と比べても、一番美味しかったの」
満足そうな笑みを浮かべるレア。
何処か色気を伴うそれを見たジュビアは、軽く戦慄していた。
「(食べ……た…? ジュビアの
それは自慢の魔法が真正面から打ち破られた事によるショックであった。
彼女は自身を『雨女』と自虐するほどに雨と共に生きてきた。
そしてその中で培ってきた己の水の魔法は、大陸最高峰の魔導士に認められるほどに強力なもの。
その精神の支柱ともいえるものに揺らぎが生じたのだ。
「…どうやら、あなたが
だが彼女はそれを見せることなく、あくまでも普段通りな姿を見せつけた。
一方突然の降参を思わせるような発言に、レアは訝しんだ。
「……だったら何…この巨人の止め方でも教えてくれるの?」
「いいえ、そんな必要はないわ。なぜなら、時間はジュビアたちの味方だもの……しんしんと…」
その言葉に、レアは小さく歯噛みする。
現在巨人が描ききった魔法陣は、目算で3分の2が既に出来上がっており、
「ん……その通りなの。だから、すぐにでも終わらせるの」
小さく宣言したレアが再び飛びかかる。
もう一度足に水流を纏って振りかぶるが、先程と違ってジュビアは構える様子も無かった。
そして…。
「水竜の鉤爪!!」
なんの抵抗も無く、その爪が振るわれた。
しかし、レアに手応えは全く無かった。
彼女の攻撃が目の前の敵に触れた瞬間、すり抜けるような感覚がしたのだ。
事実、攻撃を受けたはずのジュビアはその場に立ち続け、仕掛けたはずのレアはバランスを崩して地に伏せた。
疑問符を浮かべながらジュビアの方を見ると、彼女の目と眉が意図せず大きく見開かれた。
「ジュビアの体は水でできているの。しんしんと…」
「水……なの……!?」
驚きで言葉を詰まらせる。
やがて彼女の口から発せられたのは……小さな絶望だった。
「最悪なの……この戦い、どこまでも平行線なの……」
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