妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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三代目JSBのランニングマンが10年以上前ってマ?


流星

 

「うおおおお!!!!」

 

 

先に仕掛けたのはナツだった。

燃える拳を振りかぶりながらナツはジェラールに突っ込む。

炎を纏った拳が炸裂し、轟音と共に衝撃が走る。

ジェラールは冷静にそれをいなし——

 

しかし次の瞬間、拳から迸る逆噴射の炎が爆ぜた。

爆発的な推進力を背に、ナツの蹴りがジェラールの顔面を強かに打ち抜いた。

炎を纏ったそれは命中とともに爆発を起こし、ジェラールの身体が後退する。

 

 

「っ!」

 

 

わずかに体勢を崩した懐に、すかさずレアが滑り込んだ。

ジェラールの腹部めがけてレアの蹴りが突き刺さる。

それにとどまらず、ナツとレアの息つかぬ攻撃の連打がジェラールの全身に叩き込まれる。

 

 

「火竜の翼撃!!!」

 

 

ナツの両手に纏われた炎が燃料を投下されたように一段と燃え上がり、ジェラールの体を打ち上げるように打撃を叩き込む。

 

 

「……と、鍵爪!!!」

 

 

さらに足に炎を纏ったナツはジェラールの後頭部に蹴りを叩き込んで浮き上がったジェラールの体を地面に叩き落とした。

地面で跳ねるジェラールの懐に、レアがより深く潜り込む。

 

 

「水竜の砕拳!!!」

 

 

水流を纏ったレアの拳がジェラールの鳩尾に叩き込まれた。

鈍い音を立てながら、彼の体は何度もバウンドを繰り返しながら吹き飛ばされる。

そしてナツとレアは揃って大気を吸い込み、頬を膨らませた。

 

 

「火竜の咆哮!!!」

「水竜の咆哮!!!」

 

 

轟音とともに放たれた炎と水の奔流が、周囲の魔水晶(ラクリマ)を巻き込み破壊しながら敵を呑み込んだ。

 

視界を覆う煙を、ナツとレアは体勢を整えながらジェラールがいるだろう場所を睨み据える。

やがて煙が風に流されていくと、人影が現れる。

瞬間、煙がかき分けられ、影の主がその姿を現した。

 

 

「それが本気か?」

 

 

悠々とその場に立っているジェラールに、ナツの額に血管が浮き上がる。

あれだけ攻撃を叩き込んだにも関わらず、ジェラールの着ていたローブが使い物にならなくなった程度で、本人には大したダメージが入っていないように見える。

 

 

「この手で消滅させちまう前に一度、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の破壊力を味わってみたかったんだがな……。この程度なら、怖れるに足らんな」

 

 

肩をパンパンとはたきながらそう言うジェラールに、ナツは「なんだとー!?」とさらに怒りをあらわにする。

レアが思うところがあるようで、ムスッとした表情でジェラールを観察する。

 

 

「よくも儀式の邪魔をしてくれたな。オレの天体魔法のチリにしてやるぞ」

 

 

そう言うや否や、彼の全身に魔力が纏われ始めたのを、レアは感じ取った。

 

 

流星(ミーティア)!!!」

 

 

一閃。

光が走ったかと思えば、彼の姿は掻き消えていた。

 

 

「何!!? うがっ!!!」

 

「ナツ!!? んぐっ……!」

 

 

気づけば背中に衝撃。

吹き飛ぶナツを見た瞬間、今度はレアが背後から打ち据えられる。

振り返れば残像。

追いつこうとした瞬間には、もう別の一撃が叩き込まれていた。

拳も脚も空を切り、次の衝撃が必ず襲う——無限の輪廻。

 

 

「くそ、速すぎる!!!」

 

「こういうとき、目で追っちゃダメなの…!」

 

 

二人の上空を空を切る音を奏でながら飛び回るジェラール相手に、ナツとレアは互いに背中を預けて目を閉じる。

暗闇の中嗅覚、触覚、聴覚が研ぎ澄まされるのを感じながら、第六感で動きを予測する。

 

集中——

 

瞬間、捉えた。

 

 

「そこだ!!!」

「そこなの!!!」

 

 

同時に振るわれた炎の拳と水流の蹴り。

確かに捉えたはずの一撃。

 

しかし、またしても二人の攻撃は空を裂くだけ。

 

二人の攻撃が空ぶったのは単純なこと、ジェラールの動きがさらに加速したのだ。

 

 

「おまえらの攻撃など、二度と当たらんよ」

 

 

さらに加速したジェラールは攻撃も加速していく。

速さは重さ。

音すらも置いて行くようなスピードを出しているジェラールの攻撃は、もはや小型の爆弾と遜色がない威力を誇っている。

それを一秒に数回も叩き込まれ、ナツとレアの身体は揃って悲鳴をあげていた。

 

 

「とどめだ。おまえらに本当の破壊魔法を見せてやろう」

 

 

地面に叩きつけたジェラールが宙へ舞い上がり、北斗を描くように魔力を組み上げる。

七つの光球が星座を結ぶと同時に、大気そのものが震えた。

 

 

「七つの星に裁かれよ。七星剣(グランシャリオ)!!!!」

 

 

七方向から奔る衝撃波。逃げる間もなく、二人は破壊の奔流に呑み込まれた。

 

轟音と爆光が収まり、やがてジェラールが再び塔最上階に降り立つ。

魔法の余波による煙が立ち込める中、倒れるナツとレアの姿が目に入った。

 

 

「隕石にも相当する破壊力を持つ魔法なんだがな……。よく体が残ったもんだ」

 

 

その言葉に果たして敬意はあったのか。

最初のころとは似ても似つかないボロボロの姿の二人にジェラールはほくそ笑んでいた。

だがそんな笑顔も周りの惨状に目を移せば少し曇った。

 

 

「それにしても、少しハデにやりすぎたか。これ以上Rシステムにダメージを与えるのはマズイな……。魔力が漏洩し始めている。急がねば…」

 

 

だが、それも近くで気を失っているエルザを見てすぐに戻った。

 

 

「なあ、エルザ……」

 

 

笑みを浮かべながら彼女に歩を進めたときだった。

コツンと、軽快な音が自分の足元に響いた。

音の正体に目を向けると、どこからか転がってきた魔水晶(ラクリマ)の欠片だった。

 

かと思えば、また一つ魔水晶(ラクリマ)の欠片が転がってくる。

転がってくる元を辿れば、うつ伏せに転がっていたナツが、息を切らしながら周囲の欠片を拾い、ジェラールに向かって投げていた。

だが力がまともに入っておらず、一個、また一個と、投げられた欠片はジェラールの足元を転がるばかり。

そんな中、ジェラールの胸にナツが投げた欠片が当たった。

 

 

「へへ…当たったぞ。攻撃……」

 

 

してやったりと言ったように笑うナツに、ジェラールはわずかに眉をひそめた。

すると、今度は後頭部に硬い衝撃。

振り返ると、そこにはボロボロながらも二つの脚で立ち上がったレアの姿がそこにあった。

 

 

「レアたちの攻撃……二度と当たらないんじゃ、なかったの?」

 

 

その言葉に、ジェラールはピキリと額に血管が浮き上がる。

 

 

「この塔…つーか魔水晶(ラクリマ)? 壊されちゃマズイって訳か」

 

 

はたや反対側でナツは片膝をつきながら上体を起こしつつそんなことを言った。

瞬間、ジェラールの脳裏に嫌な予感がよぎった。

 

 

「ん……言ってたの。それ、とっても運が無いの…!」

 

「よせ!!!」

 

 

そして、それは当たっていた。

レアは脚に水流を纏って地面を踏み鳴らした。

すると足場である魔水晶(ラクリマ)に亀裂が走り出し、ジェラールの懸念していた魔力の漏洩が微々たるものであるものの加速した。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士は…壊すのは大得意なの」

 

「燃えてきたぞ…。今までで最高にな!!!」

 

「このガキどもがぁ……!!!」

 

 

復活を遂げた二人は笑みを浮かべ、怒りを滲ませたジェラールと対峙する。

彼は初めて本気を滲ませ、圧倒的な魔力を練り上げていた。

 

 

「一瞬で終わらせてやる。立ち上がった事を後悔しながら地獄へ行け」

 

「しぶとさには自信があるんだ」

 

「やれるもんなら、やってみろなの」

 

 

先に仕掛けたのはジェラールだ。

小さな魔力弾が星屑のように無数に展開され、二人を襲う。

ナツとレアは紙一重で避けたが、弾丸は塔の魔水晶(ラクリマ)を容赦なく破壊する。

 

ジェラールが苦々しく顔を歪めた瞬間、ナツが獰猛に笑った。

 

 

「来いやぁ!!!」

 

 

突進するナツへ、大きな魔力弾が撃ち出される。

だが、その横にレアが降り立ち、水流の障壁を展開。

 

 

「うぎぎぎぎぎ……!!!」

 

「ん……んん…っ!!」

 

 

しかしそれでも魔力弾の威力はすさまじく、障壁ごしにナツとレアのダメージをかさませる。

バキバキと床を削りながら押し込むジェラールの魔力弾。

その余波が、エルザの意識を覚醒に導いた。

 

そんな彼女が目にしたのは…。

 

 

「だぁ!!! どうした?塔が壊れんのビビって本気が出せねえのか?」

 

「こんなのじゃ、レアたちを倒すなんてできないの…!」

 

 

ジェラールの魔力弾を受け切って相殺したナツとレアの姿だった。

二人して息を切らしながら、煽るナツと事実として言葉を紡ぐレア。

そんな二人にジェラールの表情にますます余裕がなくなっていくのがナツとレアには見て取れた。

 

 

「いつまでも調子に乗ってんじゃねえぞ、ガキ共がっ!!!」

 

 

雑な魔力弾だが、速さと威力は確かなそれ。

ナツとレアはまともに食らって後方に吹き飛ばされるも、体勢を立て直してそれぞれの両手に炎と水を宿した。

 

 

「火竜の…」

「水竜の…」

 

「煌炎!!!」

「豪海!!!」

 

 

両手を組み合わせることで増された炎の破壊力と水の圧力を地面に叩きつけ、魔水晶(ラクリマ)の破片が辺りに飛び散った。

あからさまに行われる破壊活動に、ジェラールはますます怒りをあらわにする。

 

 

「オレが8年もかけて築き上げたものを……。貴様らァ…!!!」

 

 

対するナツとレアは息を切らしながら立っている。

だが、本当に立っているだけの状態。

 

言い換えれば、立っているだけで限界の状態であった。

幾度となく浴びせられた攻撃の数々に、ナツとレアは限界を迎えようとしていたのだ。

 

 

「許さんぞォ!!!」

 

 

そう叫んだジェラールは腕を上げながら交差させる。

すると、ジェラールを中心に光が発せられ、おぞましい魔力が周囲に帯びる。

 

 

「な…何だ、この魔力は…!?」

 

「……気持ち悪いの…!」

 

 

そんな中、倒れ伏していたエルザがあることに気が付いた。

 

 

「影が光源と逆に伸びている!!?」

 

 

そう、本来光源であるジェラールとは反対側に発生するはずの影が、エルザの目の前に発生している。

物理学上起こりうるはずのない逆転の現象。

それはつまり、この魔法の本質が「光」では無い事を意味していた。

 

 

「無限の闇に落ちろォォォ!!! ドラゴンの魔導士ィィ!!!」

 

 

もはや是が非でも目の前の敵を倒さんとするジェラール。

ナツとレアにそれをかわす体力は無かった。

そのとき、二人とジェラールの間に割って入った影が一つ。

 

 

「貴様に私が殺せるか!!!?」

 

 

エルザだ。

まさか意識を取り戻していると考えていなかったナツ、レア、ジェラールは揃って目を見開いた。

ナツとレアの前で腕を広げて庇う体勢をとる彼女に、ジェラールは発動させていた魔法を中断させた。

 

 

「ゼレフ復活に必要な肉体なのだろう!!?」

 

「……ああ。……おおよその条件は聖十大魔道にも匹敵する魔導士の身体が必要だ」

 

 

その言葉に安堵を浮かべかけたエルザだった。

しかしジェラールは目を細めて言った。

 

 

「しかし、今となっては別におまえでなくてもよい」

 

「!!」

 

 

一度止めた魔法を再び発動させ、ジェラールの頭上に星と宇宙空間を凝縮させたような、巨大な黒い球体を生み出した。

その魔法の発現が、彼の言葉が脅しではないことが見て取れた。

 

 

「三人揃って砕け散れ!!!」

 

「エルザ!!!どけ!!!」

 

「それ、ダメなの!! ホントに死んじゃうの!!」

 

 

悲鳴が木霊すも、エルザの意思は揺らがなかった。

彼女は決意したような微笑を浮かべ、ただ前を向いた。

 

 

「おまえたちは何も心配するな。私が守ってやる」

 

「天体魔法!!! 暗黒の楽園(アルテアリス)!!!」

 

 

そして、呑み込んだものを破壊しつくさんとする力の結晶が、放たれた。

激しい重力の奔流と暴力的なまでの魔力が衝突した。

何が起こっているかなど見えない。

感じ取れたのは数度によって起きた爆発音と光の発散。

やがてそれらが収まり、ナツとレアが目にしたのは、自分たちを庇うエルザ。

その前でさらに彼女を庇ったシモンの背中だった。

 

 

「シモン…」

 

 

エルザの短い言葉が零れ落ちる。

その大きな背中に、彼女はかつて自分を庇ってくれたロブ爺の姿が重なった。

すると、大の字に体を張っていたシモンはやがてその巨体を崩し、背中から倒れていった。

 

 

「エル…ザ…」

 

「!! シモーーーン!!!」

 

「まだうろうろしてやがったのか。虫ケラが…」

 

 

倒れたシモンに向けて、ジェラールはため息をつきながら嘲るように言った。

そんな言葉は幸い届いていないのか、エルザはシモンの側に駆け寄って彼の頭を抱き上げる。

 

 

「何でお前が!! 逃げなかったのか…シモン!!」

 

「……よ……よかっ…た…」

 

 

叫ぶエルザに、シモンは息を切らしながらも笑ってみせた。

だがその声はか細く、無事とは到底言えない。

 

 

「いつか……お…おまえの…役に…ゲホッ! ……立ち…たか…ガファ!!」

 

「わかった!!! いいからもうしゃべるな!!!」

 

 

左の瞳をじわりと滲ませながらエルザは叫ぶ。

だが、シモンは口を止めない。

伝えたいことを伝えようとするために。

 

 

「おまえは……いつも……やさしくて…やさ、しくて…」

 

「……シモン…」

 

 

優しく抱かれた彼は、その手の主を見た。

今の彼女は涙を流して、辛そうな顔をしているだろう。

もう、目も見えなくなってきた彼が最後に幻視したのは、幼い頃、自分に笑いかけてくれた彼女の姿だった。

 

彼は、そんな……誰に対しても優しい彼女のことが——

 

 

大好き……だった…

 

 

その言葉を口に出すことは無く、彼の息は、こと切れた。

 

 

「イヤァアアァァアアァアア!!!!!」

 

 

エルザの悲痛な絶叫が、静かな空間に響いた。

彼女の左目から溢れ出んばかりの涙は止まらない。

 

そんな様子を、ナツとレアは黙って見ていた。

何もできなかった。

何もしてあげられなかった。

そんな後悔が彼らの胸を渦巻く。

 

 

「……くくく…。あははははは!!!! くだらん!!!実にくだらんよ!!! そういうのを無駄死にって言うんだぜ!!! シィーモォーン!!!」

 

 

悲痛な静寂を、ジェラールの嘲笑が打ち破った。

命をかけた者に、繋いだ者に対する冒涜。

それを聞いた瞬間、二人の中で何かが切れた。

 

 

「大局は変わらん!!! どの道、誰も生きてこの塔は出られんのだからなァ!!!」

 

「黙れぇえ!!!!」

 

 

瞬間、ナツの拳がジェラールの顔面を捉えた。

その怒声と共に放たれた攻撃は、今までのそれでは無かった。

明確なダメージをくらいながら、ジェラールは魔水晶(ラクリマ)に叩きつけられた。

 

彼の明確な変化。

それは、彼が何をしているのかを見れば、一目瞭然だった。

 

バキバキと音を立てながら()()するナツ。

そして、それは彼だけでは無かった。

ナツの元へ歩を進めていたレアも、慣れない様子で手元の魔水晶(ラクリマ)を口に運んでいた。

 

その姿に、ジェラールは信じられないと言わんばかりに目を見開いた。

 

 

「コイツら…! エーテリオンを食ってやがる!!!」

 

 

瞬間、二人の体からあふれ出す魔力の奔流。

バキバキと体が軋む音を立てながら、二人の竜の咆哮が轟いた。





ワシはもう腰と肩がバキバキ音立てとォわ…。(泣)
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