妖精の尻尾の双竜   作:uru1629

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お久しぶりです。
こんな駄文を覚えている方はいらっしゃるでしょうか…(恐らく新章始まる度に言うかも)
いよいよ本編…って言っていいのでしょうか。とまあ、鉄の森編開幕です


鉄の森編
鎧の魔導士


 

「う〜〜ん…」

 

 

多くの人で賑わう妖精の尻尾(フェアリーテイル)の酒場。

そこに立っている依頼板(リクエストボード)を前にルーシィは唸っていた。

 

 

「へぇー……依頼っていろいろあるんですね」

 

 

シロツメの街から帰ってきた次の日、ルーシィはその仕事の多さに感嘆していた。

簡単なものは腕輪探しから難しいものでは火山の悪魔退治と、ホントに様々だ。

 

 

「気に入った仕事あったら私に言ってね。今は総長(マスター)いないから」

 

「あれ?本当だ」

 

 

ルーシィがいつものマスターの定位置に目をやると、確かにそこには誰も居らず、代わりにミラがその傍で立っていた。

 

 

「定例会があるからしばらくいないのよ」

 

 

とミラは説明したが、ルーシィは耳慣れない言葉に眉を顰めた。

 

 

「定例会?」

 

「地方のギルドマスターたちが集って定期報告をする会よ。評議会とは違うんだけど……。う〜ん……ちょっとわかりづらいかなぁ?」

 

 

と、ミラはジョッキを持ったまん丸い男、リーダスに光筆(ヒカリペン)を拝借し、空中に文字を書き出した。

 

 

「魔法界で一番偉いのは政府とのつながりもある評議員の10人。魔法界におけるすべての秩序を守る為に存在するの。犯罪を犯した魔導士をこの機関で裁く事もできるのよ。

その下にいるのがギルドマスター評議会での決定事項などを通達したり、各地方ギルド同士の意思伝達(コミュニケーション)を円滑にしたり、私たちをまとめたり……。まあ……大変な仕事よねぇ」

 

 

魔法界の構図を空中に書き記したミラは一通りの説明を終える。

初めて知ることにルーシィもほへぇとなった。

 

 

「ギルド同士の連携は大切なのよ。これをおそまつにしてると……ね」

 

 

そこで意味深に区切るミラ。

疑問に思ったルーシィはミラに顔を向けると……。

 

 

「黒い奴等が来るぞォォォ」

 

「ひいいいっ!!!」

 

 

後ろからナツがドスの効いた声で耳元で囁いた。

驚きの余りルーシィは全身の毛が逆立ち、冷や汗をかきながらその場を飛び跳ねた。

 

 

「うひゃひゃひゃっ!! 「ひいい」だってよ、なーにビビってんだよ」

 

「もォ!! おどかさないでよォ!!!」

 

 

本気でビビったルーシィは涙目になって若干過呼吸になっている。

そこへレアとフリーシャも合流した。

 

 

「あら、何この程度で過呼吸になってるのかしら?」

 

「ゼェゼェ言ってるルーシィ、略してゼルシィだね!」

 

「変な略称つけんなっ!!」

 

 

猫2匹とルーシィの漫才にミラはクスクスと笑う。

 

 

「ん。でも、黒い奴等は本当にいるの」

 

「え?」

 

 

しかしレアの言葉にルーシィは目を見開く。

 

 

「連盟に属さないギルドの事でね、闇ギルドって呼んでるの」

 

「あいつ等法律無視だからおっかねーんだ」

 

 

レアの説明にミラが補足し、ナツはケラケラ笑いながらそう言った。

そんなナツにルーシィはいつかスカウトが来そうと冗談交じりに言ったが、表情を見るにさっきビビらされた事を根に持ってそうようで、少しトゲトゲした感じで言ったようにも見える。

 

 

「つーか早く仕事選べよ」

 

「ん。前はレアたちが勝手に決めちゃったから、今度はルーシィの番なの」

 

 

ナツとレアはそう催促するが、ルーシィはぷいっとそっぽをむいた。

 

 

「冗談! チームなんて解消に決まってるでしょ」

 

「何で?」

 

「なの?」

 

 

明らかに怒っているルーシィだが、二人は心当たりが無くそう聞き返す。

しかしルーシィはキッと(主にナツを)睨んだ。

 

 

「だいたい金髪の女だったら誰でもよかったんでしょ!!」

 

 

ルーシィは鋭くそう言い放つ。

ナツとレアはポカーンとした表情で数刻黙り……。

 

 

「何言ってんだ…その通りだ」

 

「ホラー!!」

 

 

当たり前だろと言わんばかりにそう返す。

だが直後にナツはニカッと笑い、レアは微かな笑みを浮かべる。

 

 

「でもルーシィを選んだんだ」

 

「いい人だからなの」

 

 

こんな事を言われたルーシィは何とも言えない表情になる。

いい人と言われて悪い気はしていないようだった。

 

 

「なーに、無理にチームなんか決める事ァねえ」

 

 

そんな声が耳に入った。ルーシィは声の方向に顔を向ける。

 

 

「聞いたぜ、大活躍だってな。きっとイヤってほど誘いがくる」

 

「ルーシィ……僕と愛のチームを結成しないかい? 今夜二人で」

 

「イヤ…」

 

「な?」

 

 

パンツ一丁でタバコを吹かすグレイとだんだんルーシィに近づいてくるロキがいた。

 

 

「傭兵ギルド南の狼の二人とゴリラみてーな女やっつけたんだろ? すげーや実際」

 

「そ…それ全部ナツとレア」

 

 

どうやら何か間違った情報がギルドに流れているらしく、ルーシィがそれを修正すれば……。

 

 

「てめェかこのヤロォ!」

 

「文句あっかおぉ!?」

 

 

グレイがナツの胸ぐらを掴みかかっていた。

 

 

「グレイ……服」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛っまた忘れたぁっ!」

 

「うぜェ」

 

 

グレイのお約束にミラがツッコミを入れればナツがそう反応する。

こうなれば後は火を見るよりも明らかだ。

 

 

「今うぜェつったか!? クソ炎!!!」

 

「超うぜェよ変態野郎!!!」

 

 

ナツとグレイはゴロゴロと転がりながら殴り合いの喧嘩になる。

そんな茶番をやっている間に、ロキはルーシィの肩をガシッと掴んで真っ直ぐルーシィの目を見つめる。

 

 

「君って本当キレイだよね。サングラスを通してもその美しさだ……肉眼で見ればきっと眼が潰れちゃうな……ははっ」

 

「潰せば」

 

 

ロキの女子への殺し文句をルーシィはかなりストレートな言葉ではらう。

と、さらにそこへレアが加わった。

 

 

「ロキ、それ似たような言葉で別の女の子に言ってなかったの? 確か、君のその美しさを直視したら最後、僕は石になってしまうよ、だったの」

 

 

猛烈にきまづい。

ロキは自身のキラキラを抑えることなくいまだにルーシィの肩を掴んで離さない。

しかしレアの悪気のない天然発言が炸裂して猛烈に微妙な空気が3人の間に流れる。

と、ロキはルーシィのベルトについている鍵の束が目に入った。

 

 

「うおおっ!! き…君!!星霊魔導士!?」

 

 

ロキは星霊の鍵が目に入ると、直ぐに手を離した。

 

 

「ウシとかカニとかいるよ」

 

「な…なんたる運命のいたずらだ……!! ゴメン! 僕たちはここまでにしよう!!!」

 

「何か始まってたのかしら……」

 

 

答えないルーシィに代わってハッピーが答えれば、ロキはスタコラサッサとルーシィから離れてギルドを出ていった。

 

 

「何あれぇ」

 

「ロキは星霊魔導士が苦手なの」

 

「はァ?」

 

「どうせ昔女の子がらみで何かあったのよ」

 

 

ルーシィの内心は穏やかでは無かった。

星霊魔導士というだけで距離を取られることが理解出来なかった。

しかし。

 

 

「なんか戻ってきた」

 

 

ロキはたったったっと再びギルドに戻ってきた。

しかしその表情はかなり険しいものだった。

 

 

「ナツ!グレイ!マズイぞっ!!」

 

「「あ?」」

 

 

と、ロキが開口一番にナツとグレイを呼んだ。

喧嘩を中断させられて不機嫌そうにロキに当たる。

だが、次の言葉で二人は滝のような汗を流すことになる。

 

 

「エルザが帰ってきた!!!」

 

「「あ゛!!!?」」

 

 

そしてその言葉に反応したのはナツとグレイだけでは無かった。

ギルド内が騒然とする中、ズシィンと大きな足音がギルドの中まで響いてきた。

その足音はなる度に大きくなっていく。

そうしてギルドの扉が開き中に入ってきたのは、

鎧を身にまとい、キリッとした切れ目、真っ赤な髪が印象的な第一印象はカッコイイと言える美しい女性だった。

だが彼女が肩に担いでいたのは彼女の2倍ほどの角のようなものだった。

 

 

「今戻った。総長(マスター)はおられるか?」

 

「お帰り! 総長(マスター)は定例会よ」

 

「そうか……」

 

 

肩に担いでいた角を下ろせば彼女はミラと普通に会話しだす。

気になったギルドメンバーの1人が恐る恐る口を開いた。

 

 

「エ……エルザさん…。そ…その……バカでかいの何ですかい?」

 

「ん?これか。討伐した魔物の角に地元の者が飾りをほどこしてくれてな……綺麗だったのでここへの土産にしようと思ってな……。迷惑か?」

 

「い…いえ、滅相もない!!」

 

 

落ち着いた雰囲気で話すエルザだが、周りは絶句していた。

あんなバカでかい角を持つ魔物と戦って、あまつさえ角を取ってそれを飾り付けして持って帰ってくるという偉業のような事を平然と行う。

これだけでもエルザの規格外さが滲み出ている。

 

 

「それよりおまえたち」

 

 

エルザはその鋭い目をさらに鋭くさせると、ギルド内の空気が変わる。

 

 

「また問題ばかり起こしているようだな。総長(マスター)が許しても、私は許さんぞ」

 

「な…なに、この人…」

 

「エルザ! とっても強いんだ」

 

 

突然そんな事を言ったエルザにルーシィは顔を顰めた。

ハッピーが説明とは言えない説明をすれば、エルザが再び口を開いた。

 

 

「カナ……なんという格好で飲んでいる。ビジター、踊りなら外でやれ。ワカバ、吸いがらが落ちているぞ。ナブ……相変わらず依頼板(リクエストボード)の前をウロウロしているのか?仕事をしろ。

まったく……世話がやけるな。今日のところは何も言わずにおいてやろう」

 

「(ずいぶんいろいろ言ってたような……)」

 

 

エルザの風紀委員たるその姿勢に、ルーシィは目をまん丸くさせる。

彼女にとってお小言を一つ二つ言う程度では注意したうちには入らないらしい。

しかしギルド内はズゥーンと暗くなっていた。

 

 

「ところで、ナツとグレイ、レアはいるか?」

 

「あい」

 

「ここにかしら」

 

 

エルザがそう尋ねると、ハッピーが視線を誘導させ、フリーシャも声をあげた。

そこには……。

 

 

「や…やあ、エルザ…。オ…オレたち、今日も仲よし…よく…や……やってるぜぃ」

 

「あ゛い」

 

「こ…ここ……なの」ガタガタ

 

「ナツがハッピーみたいになってレアが見たことないくらい震えてる!!!」

 

 

汗をダラダラかきながらお互いの肩に腕を組み、互いに手を固く握りしめているナツとグレイ。

フリーシャに首根っこを掴まれて、表情こそ変わらないがガタガタと震えてナツの横に並ばされているレアがいた。

ルーシィは普段の様子から絶対見ることが無かったであろう二人の姿に信じられないと目を見開いていた。

 

 

「そうか…。ナツ、グレイ。親友なら時にはケンカもするだろう……。しかし私は二人がそうやって仲良くしてるところを見るのが好きだぞ」

 

「あ…いや…いつも言ってるけど……親友って訳じゃ……」

 

「あい」

 

「レア、いつも言ってることだが、もう少し感情を表情に出したほうがいいぞ? 私やナツは兎も角、他の人からすればどう思われているか不審がられるからな」

 

「なの……」

 

「こんなナツとレア見た事ないわっ!!!」

 

 

思いがけないところで垣間見えることになったナツとレアの別の一面。

ミラはそんな4人の関係図をリーダスから拝借しっぱなしの光筆(ヒカリペン)で表した。

絵はとてつもなくヘタクソだが……。

 

 

「ナツもレアもグレイもエルザが怖いのよ。

ナツは昔、ケンカを挑んでボコボコにされちゃったの」

 

「まさかぁ!!あのナツが!!?」

 

「レアはエルザの荷物と妖精の尻尾(フェアリーテイル)へのお土産を使い物にならないくらい水浸しにしてボコボコに…」

 

「レアまで!!!?」

 

 

ルーシィにとって衝撃的すぎるカミングアウトに、ルーシィの中での世界観が天変地異を起こした。

衝撃の余り声が裏返っていた。

 

 

「グレイは裸で歩いてるところを見つかってボコボコ……」

 

「あらら…」

 

「ロキはエルザを口説こうとして半殺し」

 

「……」

 

 

もはや何も言えなかった。

 

 

「実は、三人に頼みたい事がある」

 

 

エルザそう切り出すと、場は緊迫に包まれる。

空気が重い。

 

 

「仕事先で、少々やっかいな話を耳にしてしまった。本来は総長(マスター)の判断をあおぐトコなんだが、早期解決がのぞましいと私は判断した。

三人の力を貸してほしい。ついてきてくれるな」

 

「え!?」

 

「はい!?」

 

「なの!?」

 

 

エルザが他人をチームに誘った。

たったそれだけだが、エルザの強さを知っているギルドはざわさわと騒ぎ出した。

いや、その内面を知らないルーシィでさえ、その異常さに心臓が跳ねた。

ナツやレアをボコれるほどの実力者が力を借りたいほどの仕事とは…と。

 

 

「出発は明日(みょうにち)だ。準備しておけ」

 

「あ……いや……ちょっ…」

 

「詳しくは移動中に話す」

 

「行くなんて言ったかよ!!」

 

「ん、ちょっと待ってなの…」

 

 

エルザは三人の有無を聞かないままさっさとその場を離れていった。

ざわつくギルド内。

その中で、ミラはポツポツと呟いて戦慄した。

 

 

「エルザ…ナツに…レアと……グレイ……。

今まで想像した事もなかったけど……これって、妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強チームかも……」

 

「!!」

 

 

彼女は今……なんと言った?

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チーム?

このギルドのトップ4が組むほどの仕事だというのか!?とルーシィはミラ以上に戦慄した。

エルザが居なくなって数刻、未だにギルド内はざわざわとさっきの話で持ち切りだ。

 

 

「む…無理だ………」

 

 

と、グレイがポツリと零した。

 

 

「レアは兎も角、こいつと一緒ってだけでうぜェのにエルザが一緒だなんてーー!!!」

 

「こんなチームありえねえっ!! つーか行きたくねえーーっ!!!」

 

 

どうやらグレイの無理とはナツとエルザとチームを組むことに対してだった。

ナツもそれに関しては同意見のようで、お互いに指を指しながらぐもおっと唸っていた。

ナツはくわっと傍にいたルーシィに必死な表情で向けば……。

 

 

「おおおお!!!」

 

「きゃあっ! な…なにすんのよオォオ!!」

 

「おまえ、今からナツだ」

 

「無理だって」

 

「あい」

 

 

自分の衣服をルーシィに着せ、前髪も上げてセットを整え、ふぅと一息吐いた。

それを見たレアはというと。

 

 

「ならレアも…」

 

「きゃああ!! レア、アンタ何人前で平然と脱ぎ出してるの、止めなさい!!!」

 

「レア、天然なうえに羞恥心も欠けてるかしら」

 

 

ナツと同じことをしようとして全力でルーシィに止められるのだった。

 

 

〜〜〜

 

 

一方その頃……

夏季だというのに葉っぱはすっかりと枯れ落ちた森。

その奥に佇む城のような場所。

魔導士ギルド『鉄の森(アイゼンヴァルト)』である。

 

 

「あの鎧女、どこのギルドの者モンよ」

 

「知らね」

 

「いい女だったなァ……。クソッ! 声かけときゃよかったぜ」

 

「オメーじゃ無理だ」

 

「何だとっ」

 

 

ひと仕事終えたギルドメンバーは長い廊下を渡りながらそうだべっている。

すると、彼らの進行方向にいる男が声をかけた。

 

 

「カゲヤマはまだ戻らねえのか?」

 

 

それにメンバーの一人が答えた。

 

 

()()の封印を解くのはそう簡単じゃねえハズだ。仕方ねェよ」

 

「モタモタしてんじゃねェよ……。今が好機なんだぜぇ。ジジィどもが定例会をしてる今がな」

 

 

帰ってきた返答に、大鎌を持った死神、エリゴールは……不敵に笑ったのだった。




FAIRY TAILの色んな二次小説読んでいると、オリ主は基本エルザに対しての恐怖心ってかなり低いように感じたので、今作ではエルザさんに対してはバリバリビビってもらいます。
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