日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
中央暦1639年/西暦1963年10月6日午前9時
ムー国 アイナンク空軍基地
技術士官であるマイラスにとって、日本帝国という存在は奇妙なものであった。
事の発端は一週間前に遡る……。
アルタラス王国が全世界に向けて放送した「パーパルディア皇国による王都襲撃事件の首謀者たちの公開裁判と公開処刑」であった。
こうしたニュースが流れるのは珍しいことではない。
それぞれの文明圏では魔力技術や科学技術の水準は比較的高く、どの国家でも列強国に分類される国家では映像通信技術が確立されているのだ。
故に、自前の放送機器を通じてモニタリングすることが出来るため、情報伝達を把握することが出来るのである。
ただ、事情が違ったのはこれらの放送がムー国などを含めて全世界に向けて高出力魔力通信と科学技術の基礎となる
ムー国の情報局や軍部は高出力で放送する電波通信を同時にキャッチし、魔力通信と自分達で開発した白黒のテレビジョンでも確認できたのだ。
これだけでも相手の科学力を図る指標にもなるが、同時に移ったのはアルタラス王国を保護国と位置付けて傘下に置いた日本帝国の存在である。
アルタラス王国は処刑の際に【大日本帝国の協力を経て、今回の裁判を執り行う事が出来た】と述べており、同時に国家元首を含めて多くの王族が襲撃事件に巻き込まれて戦死したアルタラス王国にとって代わり、日本から派遣されていた治安警察隊がその存在感を見せつけていた。
公開処刑の前に鎮座しているのは、陸軍では旧式となっていた五式戦車が映像に写り込んでおり、これを見たムー国の軍人たちは大騒ぎとなっていたのだ。
「なんだあの戦車は……!」
「我が国の105mmイレール砲のような巨大な砲塔を持っているじゃないか!」
「どういう事だ?!あのような巨大な戦車を運用しているなんて……」
「しかも、一輌や二輌だけじゃないぞ……!」
あくまでも、日本軍ではお古であった兵器を写しただけの映像だったが、これだけでもごく一部の陸上戦力を派遣していたと紹介されていたため、日本本国にはさらに複数の戦車があるのは確実である。
そして、最も脅威であると感じたのはアルタラス王国の王都を追悼飛行している戦闘機の存在であった。
まだ、ムー国では複葉型のプロペラ機を最新鋭機として採用・配備しているが、治安警察隊の保有していたのは中島飛行機のジェット戦闘機である。
プロペラもなく、轟音と共に上空に雲を引かせながら飛び去っていくのだ。
公開裁判や公開処刑の一件に関しては、市民の間で議論の的となっていたが、軍や政府上層部にとって日本は『軍事的にムー国よりも飛躍した技術を保有している国家』として認知されるのだ。
技術士官のマイラスにとっても、それは例外ではなかった。
空軍基地の技師たちと話合いをしたが、プロペラ機よりも早く飛べる技術を有しているのか見当も付かずにお手上げ状態であったからだ。
「あのようなレシプロを使わずに、雲を引くほどの速さの航空機を有している国家なんて……聞いた事がない!」
「では、神聖ミリシアル帝国からの技術供与でも受けているのか?」
「いや、それは無いでしょう……日本帝国はあのパーパルディア皇国の事件以前には聞いた事が無い国家です。神聖ミリシアル帝国が日本に技術供与をしたとは考えてにくいです。第一、供与したのであればあの国のことですから熱心に報道するでしょう」
「では……やはり……」
「独自の進化を遂げた国家……もしくは転移国家ではないかと……」
マイラスは他の技師に対して、そう答える他なかった。
レシプロ機を超える飛行能力を有する国家が突然発生することは考えにくい。
であれば、ムー国のように何らかの形で転移をした国家であると考えなければならない。
もし、そのような国家と対峙したとしてムー国は無事では済まされないはずだ。
マイラスにとって、日本帝国が謎に包まれた国家であるが故に、頭を悩ませていた。
そんなマイラスに願ってもない僥倖が舞い降りる。
パーパルディア皇国に駐在しているムーゲ大使より、日本帝国からムー国に軍人が派遣されるという情報が飛び込んできたのである。
巡る陰謀、そして大国の影がムー国に浸透していく