俺、天野聖は比較的大きな保険代理会社の社長の息子として生まれた。
跡を継ぐのは兄さんだと決まっていたが、それでも社長家の息子だという自負はあったし、この会社が大好きだった。
祖父の代で経営が傾き、一時は倒産も目前だったこの会社を、たった五年で建て直した父さんの事は尊敬していた。父さん程会社に思い入れがある人間もいないだろう。そして、そんな父さんみたいな立派な人になりたかった。
だから幼少期から、様々な事を鍛えて来た。勉強やスポーツは勿論、芸術から処世術、コミュニケーション能力等、自ずから進んで英才教育と言う奴に自分を放り込んだ。
俺は父さんや兄さんみたいな天才じゃ無かったけど、それでもいつかは会社を引っ張っていく一員になれると思っていた。その為の努力は惜しまなかった。
そして、俺は中学生になった。兄さんは東京都高度育成高等学校という、外部と3年間連絡が取れない学校に行くらしい。父さんもそこの出らしく、二人で何やら楽しそうに談笑していた。
「兄さん、行っちゃうんだね。寂しくなるな。」
兄さんの行く高校は必要最低限のものしか持っていけないらしく、荷物は学校指定のバック一つだった。何だか急に兄さんが遙か遠くに行ってしまうような、そんな気がした。
「泣くなよ聖……父さんみたいになるんだろ?輝はグアムに今旅行に行ってるから居ないが、お前らが居るから安心して俺も行けるんだ。俺が留守の間、父さんの事頼んだぞ。と言ってもあんまり心配はいらないだろうけどな。」
どうやら俺は泣いていたらしい。何でかも分からないが、もう二度と会えなくなるんじゃないかって、そんな気がしたからかもしれない。こんな大事な時に、グアムで遊び呆けてても愛情を注いでもらえる輝にちょっとだけ嫉妬してしまう。
いつも何でもそつなく一人でこなしてきた兄さん。そんな兄さんから頼られたのは思えばこれが初めてだ。俺は心の底からそれが嬉しかった。
「うん!俺も父さんや兄さんみたいな会社を背負える人間になる為に、いっぱい勉強して、体とか鍛えたりして、父さんや兄さんみたいに東京都高度育成高等学校に行って、沢山友達作って、むっちゃ可愛い子と結婚して、ゆくゆくは兄さんに勝ってこの会社の社長になるんだ!」
兄さんに勝つのは少し言い過ぎかも知れないが、それぐらいの心意気が無きゃ人の上に立つ人間にはなれないだろう。リーダーには野心が必要だ。
「お?言ったな?それじゃあ兄ちゃんは三年後に聖が東京都高度育成高等学校に来た時に聖がビックリするような偉業を残してくからな。」
「じゃあ俺はそれを超えるような偉業を立てるし!」
何時までも兄さんに子供扱いされてる気がして、ちょっと維持を張った。そういう所が子供っぽいんだろうな。
「分かった……漢と漢の約束だぞ!」
「うん!」
兄さんとの大事な約束をした事も嬉しかったが、それ以上に兄さんが俺を対等に扱ってくれた事が嬉しかった。まるでヒーローだ。
「それじゃあ父さん、聖と輝の事は頼んだよ。」
「あぁ、頑張っておいで、照。」
そうして兄さんは行ってしまった。ギーと鈍い重金属音を鳴らす扉が、何故か少し怖かった。
「父さん父さん!!さらに英才教育だ!輝にも兄さんにも負けない最強の社長になってやる!」
そんな何処か現実味の無い怖さを吹っ切るように父さんに頼む。きっと気の所為だろう。
「やる気だな!父さんも負けないぞ……!!それにしても輝もやる気を出してくれるといいんだが、輝は綾恵さんの連れ子だからか何処か俺らとの間に距離を感じているのかもしれないな。どうにかしてやれたらいいんだがな……。」
綾恵さん、父さんの二人目の妻は結婚する時に前の夫との子供である輝を連れて結婚した。俺はその時まだ4歳だったから前の父親の事はなんも知らない。兄さんも朧気にしか覚えてないらしい。
そして綾恵さんは俺が8歳の時にエンジントラブルでの飛行機の墜落事故に巻き込まれて無くなってしまった。そのせいなのか、輝は俺らに疎外感を感じているのかもしれないな。
ちなみに俺と兄さんは一人目の妻、春乃母さんの息子だ。母親が二人だとお母さんだけじゃ分からなくなるからな。
そしてそのまま俺は父さんに連れられて、その日は経営の勉強をした。兄さんとの約束が何処か宝物の様に感じた。
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「聖、お前もそろそろ縁談とかどうだ?」
「へ?今なんて?」
兄さんが東京都高度育成高等学校に旅立ってから半年、父さんが突然そんな事を言い出した。まだ中学生な筈なのだが、聞き間違いだろうか?
「だから縁談……お見合いだよ。兄さんと可愛い女の子と結婚するって約束してただろ?」
「いやまぁ約束したけどさ……早くない?」
まだ12歳、結婚出来るまで後5年以上もかかる。些か性急すぎないか?
「ここだけの話なんだけどさ、この前あのNewton工房の綿白神社長と仲良くなっちゃってさ、酒の席でお互いに子供の自慢をしてたら盛り上がっちゃって、ノリで縁談組んじゃったんだよね……ここは俺の顔を立てると思って、な?」
「……はぁ、わかったよ。相手はどんな子だ?」
父さんの数少ない弱点の一つは会社と子供に愛情を持ち過ぎてる所だ。その性で時々こんな感じで面倒事になる事もある。俺としても慣れたものだ。会社の顔を潰さないように、でも結婚しないように気を付けて縁談して終わりだ。
「相手は綿白神姫華さんと言って、社長の娘さんらしいんだが……これが写真だな。」
そう言って俺は父さんに写真を見せられたが、美人ではあるがタイプじゃない、と言うのが正直な所だ。なんというか、目がキリッとしてて、気が強そうなタイプである。気が強い女はあんまり好きになれない。やっぱり上手い事お断りの線が良いな。
「うーん……所で縁談は何時なんだ?」
「ん?今日だぞ?今から準備して行くんだ。」
「は?」
「だから今日だっての。」
この父親はたまにバカ何じゃないかと思ってしまう。普通そういう事は何日か前に言っておくべき事だろ……いや、逃げ道を塞ぐためにワザと今日伝えたのか。相変わらずの策士である。
俺は慌てて着物に着替えて、縁談の場所まで父さんと、運転手の狛村さんに送って貰った。
「……なぁ聖、怒ってるか?」
「いや、呆れてるね。」
行かせるだけなら有用な手なだけに怒る気にも慣れなかった。とはいえ普通やるか?とは思ったが。
「……縁談は、頼むぞ?」
「分かってるよ。会社の為だからな。」
多分父さんは会社の為なら何でもするとか思ってんだろうなぁ……実際そうだけど。
俺達が指定位置に座って5分程たったぐらいで、お相手さんもやって来たらしい。
「失礼します。」
「失礼します。」
綿白神社長の方はテレビなんかで見た通りの人だ。そっちは問題無い。問題はその娘の姫華さんの方だ。写真では気が強そうな印象を受けたが実際会ってみると優しそうな目だし、美人といってもだいぶうける印象が違う。正直タイプだ。
それにしても写真写りだけでこんなに顔が変わるものだろうか……?化粧の力なのか?女の子の事は良くわからん……。
「この度はお見合いのお誘いを頂き有難う御座います。」
「いえいえこちらこそ……つきましては我社の……」
父親と綿白神社長は何やら話し込んで居るようだが、そんな事はどうでも良……くは無いが、俺の頭の念頭からは消え去っていた。
「はじめまして、綿白神 麗華と言います。どうぞお見知り置きを……。」
綺麗な一礼だ。恐らく令嬢家の様な躾を施されているのだろう。
「はじめまして、天野 聖です。いえいえこちらこそ。」
いつになく緊張して返答が下手になってしまったが……それにしても本当に綺麗だ、さっきから綺麗以外の言動が吹き飛んでいるが、綺麗以外の俺の頭の言語は既に吹き飛んでいる。
「聖、姫華さんをエスコートして庭園でも歩いて来なさい。」
「……分かりました、お父様。」
あまりの美しさにちょっと意識が飛んでしまっていた。危ない危ない、俺の失態で滅多にない会社を大きく出来る機会を潰す訳には行かない。
「よろしくお願いします。聖さん。」
「あぁ、こちらこそよろしく頼む。」
そのまま俺達は玄関先から庭園を見回る事にした。綿白神社長が場所を取り決めたらしいが、この屋敷も私物の一つなのだろうか……軽く億は行きそうだな。
「それにしても随分と大きな屋敷だな、綿白神さんの別荘なのか?」
「はい、……と言っても私も詳しくは知らないのですが。」
まぁこう言ってはなんだが綿白神さんは女だし、その手の事については詳しくは分からないのかもしれない。昨近では未だに男女差別が根付いている家もあるだろうしな。
一先ず避けられてる、と言った事は無いだろう。これならある程度体裁を保ててるか。と言っても話題を思い付けないな……いつもならスラスラと話せる所なのに、美人相手で緊張しているのかもしれないな。
「にゃあ!にゃあ!」
「お?猫も居るのか?」
野良猫なのか飼い猫なのか分からないが、茶色の毛並みの小柄な猫だ。恐らく万人ウケするタイプの猫だろう。万人ウケしない猫が何かと聞かれるとそれはそれで困るのだが。
「野良猫様……でしょうか?」
「野良猫……様?うん、野良猫様じゃないかな?」
野良猫に様付けするヤツとは初めて会った、なんだか令嬢なのに随分と目下の対応を取っているような気がする。令嬢ってこんなものなのか?うちは男ばっかりでよく分からない。
「うふふふ、面白い人ですね。聖さんって。」
「そうか?」
令嬢の笑いのツボなど分からないし分かりたくも無い。とはいえ猫に目をキラキラと輝かせているあたり猫好きなのは間違えないだろう。
「猫、好きなのか?」
「はい、……聖さん、あの猫様を追い掛けてみませんか?」
「いいけど……俺ら着物だぜ?」
そう、俺らは着物。しかも下に履いているのは靴ではなく、足袋に草履である。こんな格好で走ろうものなら間違えなくずっこけるだろう。そんな会話をしているさなかに、猫様は茂みの奥へと向かって言った。
「猫様、お待ちください!!」
仮にも縁談なのに縁談相手を放置して猫に向かって行くのは、俺以外だとちょっとマズいんじゃ無かろうか。俺は何となく彼女がお見合いに来た理由を察した。
「いや綿白神さんこそ待ってくれよ……。」
俺は仕方無いので綿白神さんを追いかける事にした。縁談相手を放置するのはマナーとしては最悪な事だろう。目の前の少女は平気で最悪のマナーをした訳だが、まぁともかくである。今大事なのは猫を追いかける綿白神さんを追いかける事だ。
猫と綿白神さんはそのまま森の奥へと走って行く。猫の速度は綿白神さんが追い掛ける速度とほぼ同じな上、それを追いかける俺もまた同じぐらいの速度である。つまりはいたちごっこだ。
「はぁ……はぁ……やっと追いつい……たぞ。」
数分後、俺はようやく綿白神さんに追い付いた。縁談相手より猫を優先するのは縁談として前代未聞た気がする。少なくとも俺はそんな縁談相手には会ったことが無い。
「やっと……追い詰め……まし……たよ。」
一方綿白神さんも猫を追い詰めたらしい。猫の背後には小川がある。深さは膝までの程度なので仰向けにでもならない限り溺れることは無いだろうが、猫からしてみれば溺れる可能性もある。それに俺達も着物で行けるような位置ではないだろう。飛び飛びの岩を使えば渡れなくもないだろうが着物では到底危険だろう。
「にゃあ、にゃにゃぁ!」
猫は綿白神さんを一瞥するとそのまま飛び飛びの岩を使って器用に渡って行った。普通の格好ならまだしも、着物姿なので俺達には危険だ。普通に考えて渡れるとは思えない。
「待ってください!猫様!」
「ちょ、危ないから危険だっ!!」
綿白神さんは追いかける選択を取ったらしい。だがこれ以上はどう見ても危険だ。対岸に向かうために綿白神さんは一歩目を踏み出して、そして足を滑らせた。
「きゃっ……。」
「危ない!」
何故だか急に周りの動きがスローモーションに見えた俺は、そのまま足を滑らせた綿白神さんを後ろから抱えて、こっちに力の限りで引き寄せた。
そしてそのまま綿白神さんの体重と、引っ張った力に押された俺はその力に押されて……
「ぐほっ……。」
なんか……目の前……が……真っ……暗に……な……。
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「目が覚めたか。聖。」
「親父……?……痛っ!」
目が覚めたら真っ白な部屋に居た。異世界転生でもしたかと一瞬思ったが、親父がいるって事はそうでは無いんだろう。
「あんま動くな、頭と左足を怪我して全治1ヶ月らしいぞ。詳しい事は後で医者に伝えられるだろうけどな。」
「俺は……」
そうだ、確か猫を追い掛ける綿白神さんを止めようとして……情けない限りである。
「あの後、綿白神さんに呼ばれてお前を病院に運んで、縁談はお開きになった。なんでもお前綿白神さんを庇って怪我したそうじゃないか?男らしいことこの上ないな?ん?」
「別にそんなんじゃ……」
ニヤつき顔で行ってくるのが何ともまたウザったらしい。
「それで縁談なんだがおじゃんになった……まぁ当然だよな。つっても仕事の方は俺が何とかしといたから問題無い。後、綿白神さんから連絡先預かってるぜ?『またお話したい。』らしいぞ?」
「そうか……。これが綿白神さんの連絡先か?名前YUIってなってるけど……。まぁいっか。」
その後、俺は綿白神さんの連絡先を追加して、また二人で遊ぶ約束を取り付けた。それにしても不思議な人だ。なんと言うかこう……顔はタイプだったけど性格は見た事ないタイプだったな。
その後、俺は彼女とかなり仲良くなるのだが、それはまた別の話だった。
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あの縁談から1年弱の日々が過ぎた。綿白神さんとは頻繁にとても仲良く遊んでいる。あっちがどう思ってるかは知らないが、俺は淡い恋心を抱くようになっていた。だからこそ、送られてきた文面に違和感を感じたし、少し怖かった。
『明日綿白神家が所有する桜の小道のある別荘へ来てくれませんか?大事なお話をしたいです。』
いつもと違う文面、そう感じた。なんでかは分からないが永遠の別れなんじゃないかって感触が頭を過った。なんだがその日、行くのが怖かった。なんでかはこの時の俺には、わかるよしも無いし、きっと分かってても行っただろう。
わかっていたら……大切なものを失わずに済んだだろうか。
その日、俺はそのまま集合場所の別荘の桜の小道に着いた。集合時刻の30分も前だったが、既に綿白神さんはベンチに座っていた。いつもならギリギリの時刻に来るだろう。珍しい事もあるものだ。それにしてもなんか表情が俯いて見えるような……角度の問題か?
「綿白神さん、どうしたの?」
「実は……話さなきゃ行けない事があって……」
話さなきゃ行けない事?一体なんの事だろうか。
「実は私……」
「やっと見つけた。探しましたわよ。唯。所でその横にいる殿方は誰ですの?」
綿白神さんの話は隣から来た女の声によって遮られた。顔はお見合いの時に見た綿白神さんの顔写真にそっくりだった。それにしても唯?目の前に二人綿白神さんがいるのも訳が分からない。俺の頭はショートしかけていた。
「違うの、聖君。姫華様……私は……。」
「聖?もしかしてだいたい一年前に唯に縁談の肩代わりをさせたあの男ですの?」
「は?肩代わり?」
何を言ってるんだこいつは?
「あらあら、説明すらされてなかったですの?アンタみたいなゴミスペック男は私の部下に縁談を肩代わりさせてるんですの。貴方もこの二宮唯に肩代わりさせてただけですのよ。貴方のような低級民族と縁談するだけの時間の無駄ですものね。分かったらさっさと行きますわよ。唯。」
「違うの……私……!!」
「巫山戯んのも大概にしろよ。お前は何様なんだよ!」
縁談を肩代わりさせるなど人を舐め腐っている。人の心はコイツには無いのだろうか。それよりも、俺が信じて歩んできた一年間は全部嘘だったのだろうか。ダメだ、思考が纏まりそうにない。
「生意気ですわね……生まれながらにして強者が勝ち組、弱者は負け組ですのよ?貴方の会社なんでその気になれば何時でも潰せますの。行きますわよ。唯。」
「クソ……。」
俺はその場にいるのが辛かったから、その場から走り去った。泣いている所を見られたく無かった。そして、綿白神がやった事を許せなかったし許したくも無かった。裏切られた辛さや、綿白神への怒りや、色んな感情が心と頭に渦巻いて、もう訳が分からなかった。その場から逃げたのはせめてもの防衛本能だったのだろう。
だけど、綿白神の部下だというあの子が言い出そうとした『何か』から俺は逃げてしまった。これ以上拒絶の言葉を聞きたくなかった、裏切られたく無かったから。今更後悔しても遅いのだが。
あれからあの子と会う事も、話す事も無くなった。当然だろう。そう思っていた。中学二年生に上がろうと言うある日に、メッセージが来るまで、俺もきっともう会う事は無いだろうと、そう思っていた。
『お話がしたいです。』
彼女から送られてきた文面は、俺を傷付けるものなのか、それとも慰めるものなのか。分からなかったけど、俺はさらに追い打ちをかけるものだと思って疑わなかった。そこから思考を外せなかった。
あの子の事を信じたい気持ちはあったけど、今あの子に話を聞きに行く度胸なんて俺には到底持てそうも無い。自分でもなんでそんな事を打ったのか正直よく分からない、未来の自分へ逃げたのか、何かを期待してたのか、或いは、綿白神の手が伸びない所を求めていたのか……。
『今聞く度胸は持てません。ごめんなさい。3年後、東京都高度育成高等学校の桜道で待ってます。』
俺は、未来の自分に賭ける事にした。
あれから一年後、俺は内紛罪の容疑を掛けられたが、国の宇宙衛星をハッキングして、地球に落とすなんて到底俺には無理だし、そんな事が出来るのはコンピュータ、綿白神家のコンピュータだけだろう。加えてウチと取引していた会社が次々と綿白神の会社に取引を取られ、圧力を掛けられて言った。
これも綿白神の言っていた会社潰しの一貫なのだろうか。それから俺は、綿白神への復讐を決意した。
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「懐かしい夢を見たな……」
どうやら夢だったらしい。昔はそんな事もあったな……なんて柄にもなく思ってしまった。約束の日まで後一ヶ月弱だが、一切の返信は帰ってきて居なかったし、会えない可能性も大いに有ると考えていい。それに今考えるべきはそれじゃあ無いしな。
「綿白神を……あと少しで潰せる。」
なぜかは知らないが、このタイミングで学校内外から綿白神達は一斉に攻撃を受けている。ハイエナのような姿勢かもしれないが、綿白神を消すには絶好のチャンスだろう。
「行くか。」
俺は着替えて飯を食い、そのまま学校へと向かった。今日は綿白神の裁判の日だ。ここを決め、次の試験でアイツを倒せばついに綿白神を消す事が出来る。もちろん退学=復讐だけでは無い。だがこの学校から追い出せば、学校外には兄さんがいる。兄さんならきっと……。
さぁ……復讐の時間だ。
冤罪が無かった世界線がifルートとして
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みたい
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みたくない