Relief song of midnight/宵と明星   作:野良ノルス

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どうも、野良ノルスです。
定期更新にしてないと本当に亀更新ですねコイツ(他人事)。
大変申し訳ございません。お待たせしました。
悩みに悩んで書いた日常回です。

更新を待つファンの方が確かにいる!その事実だけで俺は戦える、この小説に魂を、込める価値がある!!



2時、束の間の"当たり前"

準備を済ませて、俺は奏と共に家を出た。

 

「行ってきます!」

 

「行ってきます。」

 

起こされた時に奏が元気だった所から推測した通り、奏の父親はまだ倒れていない。しかも奏に聞けば今は中学3年生。スマホを見れば今日は10月2日。

 

つまり、奏の父親が倒れた時期と思われる二月九日までまだ結構日がある。

 

それまでの期間は、嬉しい事に元気な奏と平和な学園生活を送れる訳だ。

 

勿論、奏を救うと言う目的は忘れていない。

 

だが、せっかくの機会を楽しむ権利も、幾許かはあるだろう。

 

どうやらこの世界でも、俺は奏の家に住まわせて貰っているみたいだし。

 

「奏真、早くしないと遅刻しちゃうよ?」

 

「え?あぁ、ごめん。」

 

いつの間にか立ち止まっていたらしい。不覚・・・・・・。

 

その後、若干駆け足気味で学校に着いた俺と奏は、ギリギリ間に合っていた様で先生に軽く注意される程度で済んだ。

 

間に合いこそすれ、遅刻しかけた原因は俺なので、ホームルームの後で席が隣な奏に怒られてしまった。

 

「奏真、もうちょっと早くに起きてよね。起こすわたしも遅刻しちゃうんだから。」

 

「そう言われても・・・・・・俺が寝付き悪いの、奏も知ってるだろ?」

 

「それでも、わたしに任せっきりじゃダメだよ。」

 

「わかったよ・・・・・・。」

 

そう言いつつも、プロセカのストーリー内で他のメンバーに「ちゃんと寝て?」とまで言われていた奏に睡眠のことで注意されて、不満を隠せない俺なのであった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

授業等は特に何も無く終わり、下校となった。

 

今日は部活も無く、剣道部所属であるらしい俺は帰宅部所属な奏と帰路に着いていた。

 

「奏真、晩御飯のお買い物したいんだけど良い?」

 

「あぁ、別に良いけど。」

 

記憶によれば、宵崎家のキッチンは俺と奏の交代交代で回してるらしい。

 

あの奏がキッチンでちゃんと料理してるって考えるとちょっと感動なんだけど。

 

いや、ストーリーでも中学生の頃の奏は自分のお父さんに晩ご飯作ってたし、珍しい事では無いのか?

 

買い物は特に会話も無く終わり、家に帰ってきた。

 

「ただいま〜。」

 

返事が来ない所を見ると、奏の父親は部屋で作業しているのだろう。

 

最近忙しそうにしている。と奏が心配していた。

 

取り敢えず荷物を部屋に置きに行って、着替える。

 

10月の初めなのでそれなりに寒いが、それでも長袖一枚で事足りる位だ。

 

白い長袖の柄シャツに黒い長ズボンと言う格好でリビングに行くと、ソファに腰掛けた奏が本を読んでいた。

 

読んでるのは俺が貸してる漫画だ。先週貸した(らしい)のに、もう5巻まで読み進めている。

 

「奏、読むの早いな。俺そこまで読むのにもうちょっとかかったぞ?」

 

「そう?夢中で読んでるからあんまり気にして無いんだけど・・・・・・。」

 

奏は顔を上げて俺の言葉にそう答えると、時計を一瞥して再び本を読み始めた。

 

俺も時計を見ると、時刻は6時を回っていた。そろそろ夕食の準備をしなければならない。

 

「そろそろ晩飯の時間か。・・・・・・奏、今日はどっちが作る?」

 

「わたしが・・・・・・って言いたいけど、奏真お願い・・・・・・。」

 

はっきり言うと、奏は料理が下手だ。苦手では無いようだが、何故か作った物は悉く世界の真理を感じる(全てを悟る)味になるのである。

 

「はいはい、任せな。じゃあ、奏は洗濯物入れといてくれ。・・・・・・本読むのはその後な。」

 

「うぅ・・・・・・、わかった。」

 

そう言って本に栞を挟んで机に置くと、庭に出てせかせかと洗濯物を入れ始める。

 

それを見届けて、俺もキッチンへ向かい、晩飯の支度を開始した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「奏〜、晩飯出来たぞ〜。」

 

「え?あ、わかった。じゃあ、お父さん呼んでくるね。」

 

洗濯物を入れ終わり、本の世界に入っている奏の肩を軽く叩くと、集中状態が解除された奏が彼女の父親の部屋へと向かった。

 

少しして、奏の父親がリビングに来たので、3人での夕食が始まった。

 

奏の父親はやはり忙しい様で、さっさと食べて部屋に戻ってしまったが、俺と奏はゆっくりと談笑しながら箸をすすめた。

 

食事が終わり、片付けも済ませてリビングでココアを飲む俺に、同じくリビングで録画したアニメを観ていた奏が聞いてきた。

 

「そういえば奏真、作った曲ってどうしてるの?」

 

「んえ?・・・・・・どうって、そりゃまぁ・・・・・・」

 

目を彼方に向け、口籠る。

 

言える筈もないのだ。奏の誕生日に向けて作曲してるけど、どんなの贈ろうか迷って色々作っては違うってファイルの海にポイしてる(らしい)なんて。

 

「・・・・・・ファイルの海にポイ捨てしてますハイ。」

 

「もったいないよ、折角作ってるのに。・・・・・・寝ずに作曲の勉強してたの、知ってるんだから。」

 

俺の言葉に、振り向いてそう言った奏は、俯いてまた何かを言い、見ていたアニメを止めてテレビの電源を切ると、立ち上がった。

 

「どんなの作ってるのか、聴かせて?」

 

「えぇ?いや、でも・・・・・・まだ全然出来てねぇし・・・・・・。」

 

予想外の提案に驚きながら返していると、いつの間にか目の前に来ていた奏が顔を近づけて、

 

「ならちょっとで良いから。ね?」

 

微笑んでそう言った。この時の俺、絶対顔赤くなってた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

俺の部屋は、散らかってる訳でもなく、かと言って物凄く整頓された部屋という訳ではない至って普通の部屋だ。

 

しかし、そんな部屋で異彩を放つのは、机に置かれたシンセサイザーにコンデンサーマイク、そしてpcとヘッドホンだろう。

 

奏に聞けばこれらの物は自分で買ったものらしいので、当時の俺の経済力にはただただ驚くばかりだ。

 

ヘッドホンを取ると、奏に渡す。

 

「本当にちょっとだけだからな。・・・・・・一応、聴いたら感想聞かせてくれ。」

 

「うん。」

 

布団に腰掛けている奏がヘッドホンをつけたのを確認し、ファイルアプリを開く。

 

練習用にいくつも作り、題無しのまま放置された曲達の中に、一つだけ名前のある物があった。

 

それは、あの日初めて作った曲を改めて作り、歌詞をつけてブラッシュアップした曲。

 

マウスカーソルを合わせ、タブルクリックをする。

 

プレイヤーが立ち上がり、出てきた再生ボタンにカーソルを合わせる。

 

「・・・・・・流すぞ。」

 

奏にそう言うと、俺は再生ボタンをクリックした。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

side奏

 

「・・・・・・流すぞ。」

 

奏真の言葉と共に、わたしの付けたヘッドホンに音が流れる。

 

 

──────人の努力を笑った事 自分は努力しなかった事

 

 

ピアノの温かな音色に乗せて紡がれる、後悔と悲しみに溢れた歌詞。

 

奏真の優しい低音と相まって、どうしようもない儚さを抱えた歌になっている。

 

一音一音が心に沁みていき、4分程度の曲があっという間に感じられた。

 

曲が終わり、ヘッドホンを外したわたしは、未だ消えぬ曲の余韻に浸りながら奏真に聞いた。

 

「この曲の名前って、何?」

 

「名前?え〜っと・・・・・・『贖罪』、かな。」

 

不思議と、その曲名はすんなりと胸に落ちた。

 

しばらくの沈黙が流れ、奏真が口を開いた。

 

「どうだった?」

 

そう言えば聴く前に感想を聞かせてくれと頼まれていた。

 

奏真の群青色の目を見つめながら、ゆっくりと口を開く。

 

「凄く、良い曲だったよ。」

 

具体的なものでは無かったが、奏真は微笑むと

 

「そっか。」

 

とだけ言った。

 




一ヶ月以上も更新が空いてしまいまして、本当に申し訳ないです。

今作は前作よりも奏真くんがシリアスしてます。なので日常回と言っても前作ほどほのぼのしてる気がしませんが悪しからず。

奏パパが倒れた日付ですが、完全に主の推測です。すいません。
次回はもう少し早く出せる・・・・・・と思います。というか意地でも出します。

次回「3時、崩れ始める日常。」
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