【The back rooms】   作:T@ma

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【レベル55 η:帰りたい】

Rは誰かのお墓の前にしゃがみながら、向き合っていた。

暗い森に全方位囲まれているRは、どことなく不安を感じていた。空には暗い雲がかかっており、月の光は感じられなかった。こんなにも暗い場所に長くいるのは得策ではない。早めにこの場所から抜け出さなければ...。

 

目の前のお墓には少しひびが入っており、苔らしきものがこびりついている。時間が長く経ってもずっとその場にあるのだろうか。供え物や花は見当たらなく、誰からも忘れ去られているのを暗示するように。お墓をよく見ると、誰かの名前が英語で刻まれているのが分かる。

 

~Mary~

 

これは実在する方の名前なのだろうか。名前以外は何も刻まれていない。亡くなった年代さえもない。勝手ながら少しだけどこか同情していた。Maryのお墓に手を合わせ、天国でも幸せに過ごせていますように...心の中で祈りを捧げる。

 

その場で立ち、後ろを振り返る。少し遠くに家屋がぽつんと建っている。かなり年季が入っているようで、ボロボロになっている箇所がある。見るだけでも不気味ではあるが、ずっと外にいるよりかはマシだ。その家屋を目指して歩く。足元は変わりなく、特に歩きにくいわけではない。

地球に帰る事を諦めているRに少しだけ、地球に帰りたい…と願う事が多くなっていた。ただ単に此処にいるからだろうか?それとも暗い所にずっといるから?…どうしてかは分からないが、そんな悩みを持っていた。

 

家屋の少し離れた場所に、水路と井戸みたいな物もあった。水路の向こう側には複数のお墓が建てられている。どのお墓にも寂しさを感じたのは気のせいだろうか。

 

Rが家屋の前に着く。扉も窓もボロボロで、お化け屋敷にこんなスペースがあったら怖すぎて堪らない。怖い物は苦手なのだが、こんな世界にいるから慣れてしまっている。それにさえも怖さを感じていた。一先ず中に入る。

 

中も外見と同じぐらいにボロボロだ。机と椅子がポツンと置かれている。その空間だけ、時が止まっているかのような...。あれ、こんな感じ、どこかであったっけ。記憶の中から必死に呼び出すが、どれにも当てはまらない。もしくは、忘れていて単に思い出したくないのか。この際どっちでも良い。今はそれは重要な事ではない。

 

机の上には本らしき物が一冊置かれている。それに手を伸ばして中を確認する。誰かの手記でこの世界の事が書かれている。Rの目を惹かせる文章が飛び込んできた。

 

【The back roomsに落ちた時、地球に帰るのを諦めた方が良い。此処に住んだ方が良い。だが僕も強制するわけではない。数少ない脱出レベルはある。レベル3999に向かうのだ。このレベルは、とても派手なゲームセンターのような場所だ。脱出方法までは...分からないのだ。だが、ここに書いたレベル以外にも地球に帰れるレベルは存在するらしい。もし見つけた時には...後の探索者の為にも書き残してくれると嬉しい。】

 

Rはこの文章を何度も読み返す。帰れる可能性は0%ではなかった。1%でも希望はある。まずは地球に帰る為にも、此処を出ないとなあ...。希望を少し持った分、地球に帰りたいという気持ちが強まった。涙が出そうになったが、グッと堪えて手記を机の上に置き、その場を後にした。

 

 

 

 


 

古い家屋を背に、変わった箇所がないか確認する。水路にお墓は変わらない。だが、行く時には気づかなかった蓋が錆びてるマンホールが、井戸の近くにあるのだ。井戸の近くまで見てみる。

 

井戸の底は暗く、懐中電灯で照らしてみるが何も見えなかった。マンホールの蓋を持って上げてみようとする。まあまあ重いが、動かす事は出来るだろう。この2つが移動手段かもしれない…さて、どちらを選ぶべきなのだろうか?Rは…

 

井戸の中に飛び込んだ

 

 

マンホールの蓋を開けて入ってみる

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