【The back rooms】   作:T@ma

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【レベル5:ホテル】

心身の状態は一休みでは全てを無くす事が出来ていなかったRは、長い時間エレベーターの中で過ごしている内に眠っていた。

ガコン!と揺れた衝撃で目覚めたRは、驚きながらも手すりに掴まりゆっくり立ち上がる。立ち上がったと同時にエレベーターの扉が開かれる。

 

どうやら高級ホテルに迷い込んだようだ。とても豪華で泊まるなら何十万はくだらなさそうな…そんな雰囲気のホテルだ。

ホールはとても広く、どこを見ても金や銀で作られた物がある。絵画なども飾ってあり、人物画が多い。

装飾も拘っているのが目に見えて分かるほどだ。こんなに凄い場所があるなら、もっと早く来たかった…。

今訪れた(恐らくエントランスなのだろう)場所は、受付やレストランらしき入口、トイレや階段、宿泊部屋があるのが見える。どこを見ても人らしき者は見えないが。

 

Rはこのホールを見て疑問を思った。

確かにここはホールみたいな場所だが、正確に言えばホールではない。

1つの部屋の中にポツポツと部屋らしき空間が存在している。

ホールとはまた別の空間がそこにあるのだ。これまでに色んな部屋を目の当たりにしたRは、これくらいではもう驚かなかった。

 

「何してるの…?こんな所にいないでロビーに戻りなよ…」

 

背後から囁かれたRは振り向くが。誰もいない。気のせいか…気を取り直して探索しようとすると

 

「ねぇ?聞こえてるの?ロビーに…ロビーに戻りなよぉ…」

 

なんだよ!?誰かいるのか!?しかし周りを見ても誰もいない。溜息をつきながら、その場を離れようと後にした。

 

違和感を感じる部屋を見ると、その部屋の大きさはパッと見て100m程だろうか。見て驚いた事を述べるなら、側面に約100枚ほどのドアがびっしり貼り付けられている事。若干ドン引きつつも、もう少し部屋の中を確認する。部屋の中央には大きなシャンデリアが置いてある。どっしり構えており、そのもとで淡く照らされている麻雀卓が置いてある。しかし、中断したところなのか、中途半端に麻雀牌が置かれていた。

しかし近づくのは何となく億劫だった為、それ以上は何もしなかった。

2箇所、布で作られた袋がぶら下がっている。1つは近くにあった為何となく触ってみる。感触は普通の布と変わりなく、中からコイン同士がぶつかり擦る音が反射する。どうやらこの中にはコインが入っているようだ。

 

特に必要とも思わなかったRはその場を去った。

 

Rはそういえばと、ホールに戻っていった。あの時変な奴に囁かれて逃げ出したが、エレベーターを出てから細かい場所を調査していなかった。Rはこの世界に慣れてはいないが、恐怖より好奇心が勝ってしまうのだ。早速調べ始める。

 

壁はよくある木材で出来ているタイプのようだ。これといった変化もなさそうだ。床はカーペットにほとんど覆い尽くされているが、その場で少し地団駄を踏むと、コンコンと音がする。音からして大理石で出来ているようだ。

 

(あのカーペットがすごく気になるなあ)

 

 

ホール内は本棚、絵画、キャビネット、アンティークのソファーなどが置いてある。本当に豪華すぎる。

エレベーターも少し遠くにだが、そのまま存在している。あれで恐らく移動は大丈夫なのかもしれないが、今のところは乗らないだろう。

 

調査中に、Rは麻雀卓があった部屋とは別の部屋を見つけた。が、それは同時にRに嫌な記憶を脳内にねじ込ませる行為でもあった。無理もない、無邪気な無機質がRを覆いつくそうとしてきた…パイプが部屋の中…壁や天井に…それも移動も快適に出来ない程に、びっちりと敷き詰められている。パイプの中から何かが流れる音がするのは分かった。これ以上精神を傷つけないためにも、急いでその場を去り、調査していた付近まで戻っていった。

落ち着く為に、アーモンドウォーターに口をつける。今は食べられる物だけが唯一の癒しだ。それさえも失いたくないのだ。

 

階段が気になるな…階段に行くか…と思い行こうとした時に、ある物が気になった。なんだか人物画の絵画が、さっきからこちらをじっと見てきているような気がする。まるで目だけが生を受けているかのよう。Rはパイプの影響も重なって、少し心が痛み始めた。それに追い打ちをかけるかのように壁からも顔があちこち浮かび上がり、全員Rを見つめる。何も語らずに、ただじっと見ているだけ。

 

       

 

Rは発狂しながら走り出す。

遠くから何かを話す声。

絵画の人物画と壁の顔は相変わらず何も語らないまま、ただ目で追いかけ見ている。

囁きの声が少し声を大きくして言ってくる。

 

「苦しいでしょ?ロビーに戻って楽にしたら?」

 

うるさい!黙れ!

 

そんな言葉には耳を傾けまいとRは階段の方向に走り出す。

前言撤回!この世界はろくな事がない!はやく帰らせろ!

 

「ロビーに戻ったら…楽に帰られるのになぁ…」

 

つきまとうな!

 

Rは下り階段になっている場所まで全速力で駆け抜け、素早く階段を降りていく。明るさとかこの際どうでも良い。

1秒でも早くこの場から立ち去るのみ!

Rはただひたすらに階段を下って行く。

 

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