メゾン・ド・チャンイチの裏事情   作:浅打

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たいせつなもの

「アンタは、一体誰なんだ」

「私は黒崎真咲……と言っても信じられないみたい」

「悪いが、そうもいかねぇんだ」

ロングの茶色い髪が、僅かな動きにつられて揺れる。

悪戯気に、ふわりと、太陽のような、風のような、夏の様な気配。

「仕方ないわ、だって今の一護には疑問しかないでしょうし。それに―――私が母じゃないって気付いていたでしょう?」

「……気付いていたわけじゃない、それでも母さんは俺を庇って死んだんだ。生きていたから許されるわけでもなんでもないから、気まずいだけだ」

「許すと思うけどね、真咲なら」

「だったら聞かせてくれ、お前が誰なのか、俺の母がそういうであろう根拠をな」

「……いいわ、教えてあげる」

 

 

「私の名前は、ホワイト」

 

 

「……は?」

「訳が分からないかしら?真咲には色々関わっているものね、虚のホワイト、真咲のホワイト、そして―――」

『俺だ!オレ!オレ!オレ!オレ!!』

ハク様がホワイトと並ぶ、二人は顔立ちがそっくりで、違いと言えば見た目の年齢くらいだろうか。

「アナタの母、真咲は特殊だった。そして、幾つもの要素が交わり私が産まれた」

「元(・)々(・)の私、死神の私、虚の私。そしてソレらとアナタの生まれもった性質を引き継いだ貴方が産まれた」

「私はその内の一人、虚のホワイト*1なの」

そう言ってフードを脱ぐと二つの内の片方が折れたかのような、一本だけ残った異形の角。

「だったら、ハク様は一体なんなんだ!」

『俺は、真咲をベースに生まれた崩玉のホワイトだ』

「アンタは、母さんの斬魄刀だって言っていたよな?」

『そうだ、俺は真咲の虚と死神の力の一部を吸収した崩玉のホワイト。嘘ではないんだよ』

「虚のホワイトは、そこにいるじゃねぇか」

『全部は吸収してないんだよ、必要ないものでも失えばバランスは崩れる』

『茜雫だってそうだっただろ?あの時は記憶と欠魂の一部だけなんとか取り出したんだ。全部を奪うと尸魂界から目を付けられっぱなしになるしな』

「それで?ホワイトがいっぱい居て嬉しいってか?今までの説明は何だったんだ?」

『デデン!ここからが問題です!真咲の虚のホワイト(真)が言う元々の私は、一体どこにいるでしょう!!』

 

 

 

「…何処に居るんだ?」

『ちょっとは考えてよぉ!!!?』

 

 

 

 

 

 

「藍染様、井上織姫を連れて参りました」

 

所変わって虚圏の虚夜宮にて、しれっと井上織姫が誘拐されていた。

元々の原作は自分から現世を去るという裏切り者ムーヴを強制されていた訳だが、普通に連れ去られた。

何故なら織姫奪還の為に虚圏に乗り込まれても困らないうえ、むしろ来てくれるならラッキーだとも思っていた。

それはそれとして事件は起こっていた、ウルキオラによって連れ去られて来た井上を見て破面達が騒いでいたからだ。

 

「また悪巧みですか藍染様!しかも女の子を誘拐!?」

「そうですよ藍染様!私達、藍染親衛隊では満足されないという事ですか!!?」

 

藍染が偉そうに頬杖をついて椅子に腰かける中、二体の破面がギャンギャン騒いでいる。

 

「ツマンネェことしやがって、おいウルキオラ!ソイツ黒崎のツガイだろ?さっさと返してこい!」

「分かった」

「分からないでくれウルキオラ、彼女にはお願いしたい事があるんだ」

「分かりました」

「コイツ……何考えて生きてるんだ?」

 

黒崎一護によってズタボロにされたまま放置されていたグリムジョーがウルキオラに突っかかる。

 

「ええと……なんだか楽しそうですね?」

「あぁ!?これの何処が楽しそうに見えるってんだ!?」

「ひぃ!ゴメンナサイ!」

 

井上が声をかけたノイトラがキレる、しかしノイトラから手が出る事はなかった。

 

「井上織姫、君にはお願いしたい事があるんだ」

「は、はぁ……。そうは言っても私に出来る事なんてたかが知れていて……」

「その通り、神の御業を振るえる君にとっては些細な事だろう」

 

床の一部がせり上がり、台座に収められていたのは黒い崩玉。

 

「これは崩玉と言ってね、簡単に言えば多くの魂魄を基に作られた物質だ」

「はぇー」

「それに崩玉はもう一つあってね、それは黒崎一護に埋め込まれている」

「……え?」

 

黒崎一護、井上織姫にとって軽くない名前だ。

 

「崩玉は融合すれば切り離す事は不可能に近い、たった一つの例外を除いてね」

「……崩玉って、何なんですか?」

「人の思い込みによる不可能を、人智を超えて可能にする為の物質だ」

「無論それは危険な物質だよ。現に私は尸魂界の死神達を排し、世界を変えようとしている」

「そして私が前例となった今、黒崎一護という存在は第二の藍染として見なされる」

随分と自分勝手な言葉だ。自分のせいなのに、まるでそれを誇らしく思っているかのような。

「私が崩玉を拒絶するとは考えないんですか?」

「そうすれば黒崎一護は今後、一生命を狙われるだろう」

「アナタなら、防げるんですか?」

「僕が白い崩玉を手に入れればね、朽木ルキアから取り出した時の様に安全に摘出してみせよう」

「……分かりました」

 

 

 

「アナタに協力します、白い崩玉を黒崎くんから取り出してください」

 

 

 

 

 

 

『はーい、答え合わせでーす。白い崩玉の能力は?』

「吸収と放出……っておい、まさか」

『ザッツラーイ!そうなんです、黒崎一護に埋め込まれた白い崩玉にはなんと!!』

 

 

 

『黒崎真咲の本体が隠されているのでしたー!!』

 

 

*1:
4話までのホワイト




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