(本物が欲しい)
先輩のその言葉を聞いて、私も本物が欲しくなってしまった。
先輩には、まだ責任を取ってもらってない…だから、私が行動しなきゃ、何も手に入らない。

そして、私の本物の恋の物語が始まろうとした。

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縦型小説アプリで執筆したのを引っ張ってきたので、いつもと書き方が違いますけど、その辺はご了承ください。

どんな感じになるのか見てみたかったので試しに投稿しました。
あと最近寝不足気味なので誤字脱字等ありましたらご連絡宜しくお願い致します。(言い訳)

あと設定が不安です。問題がありましたら御指導頼んます


私の本物

少し肌寒くなってきた今日。ベッドから出たくないけど、先輩に会いたいから出る。

 

「んー!」

 

 今日も先輩に会えると思うと、自然と元気が出る。生徒会室で二人っきりになれる時間。今の私はそれだけが楽しみだった。

 髪型や香水、先生にバレない程度に口紅も塗り、制服も先輩に意識してもらうために少し緩めに、先輩に可愛いって思われたい。周りの男子や葉山先輩に可愛いって思われるより、鈍感で捻くれていて、いつもぼっち…でも誰よりも人の事を考えてくれる。そして、誰よりも心優しい先輩。私の大好きな先輩に言われたい。

 

「よし!」

 

 先輩に会う準備はできた、私は今日もあざとい自分を先輩に見せる。でも、それだと先輩は気づいてくれないだろう、先輩は鈍感だから。

 

「あまい…」

 

 だから、私は私を出す。それはあざとい私じゃない。本物の私を、私はMAXコーヒーのような甘い恋をしたい。

 

「あっ先輩の自転車だ」

 

 今日は珍しく朝早くに来ているようだ。私は会えるかとドキドキさせながら学校に入る。先輩に会えたらまず何を言おうか迷っていると、目の前に先輩が歩いていた。その後ろ姿を忍び足で近づく。

 

「せぇ〜んぱい!」

 

 先輩の肩を優しく叩く。本当は抱きつきたい。そして手を繋いで、お喋りする。私はそれだけでも幸せな気持ちになる。

 

「うお!…って一色かよ…びっくりしたわ」

 

 先輩は少し驚いた表情をしていたが、私だと分かってから安堵していた。

 

「なんか用か?」

 

 今日も生徒会室に呼び込んで二人っきりになりたい。先輩に意識して欲しい。私を見てほしい。

 

「今日も仕事が溜まってるのでぇ〜、手伝って欲しいなぁって!」

「はぁ?まだあんのか」

 

 先輩は相変わらず面倒くさそうにしているけど、なんだかんだ文句を言いながら生徒会室に来てくれる。優しい先輩。

 

「はいはい、まぁ元はと言えば俺のせいだしな、行くわ」

「ありがとうございますぅ!」

 

 私が顔を赤くしてるのがバレてないといいんだけど、先輩は私に背を向けて教室に向かう。その背中はとても大きかった。

 

 

 授業中、先輩の事しか考えられなかった。

先輩とどんな会話をするか、どんなアピールしようか、ずっと考えていた。お昼休みの時は男子の目線や女子の噂話が気持ちが悪かったから、先輩がいつもいる所に向かった。

 案の定先輩は座っていた。その後ろ姿はとても隙だらけだった。

 

「奇遇ですねぇ〜」

 

 先輩の横に座る。先輩は微笑んだ。あの先輩が微笑むのを初めて見た。

 それでも先輩はいつも通り面倒くさそうな態度を取る。相変わらず素直じゃない。

 

「ちゃんと行くから」

「当然ですよぉ?可愛い後輩の為に頑張ってくださいね!」

「お前も頑張るんだからな?俺は手伝うだけだからな?」

 

 先輩はMAXコーヒーを口にしながら言う。でも、先輩の顔は優しい目をしていた。腐ってるけど、それでも、優しかった。

 

「当然ですよ!」

 

 私はドヤ顔をしながら胸を張った。でも本当はとてもドキドキしていた。だってお昼休みに二人でいる時間が増えたのだから、私はとても嬉しかった。

 

 お昼休みが過ぎ、放課後になる。私はこの時間を待っていた。だって生徒会室で先輩と二人っきりになれるから… 少し経つと、コンコンとドアを叩く音が聞こえる。

 

「どうぞ〜」

 

先輩が来たんだ。私の大好きな先輩が…

 

「来たぞ」

 

 先輩はやはり面倒くさそうだった。でもやっぱり優しい目をしてた。私には分かる。

 

「あっ、ちゃんと来てくれたんですね!ありがとうございますぅ!」

「早く帰りたいから早く仕事終わらせようぜ」

 

 やっぱり素直じゃない。素直になれない先輩。でも私も、結衣先輩も雪乃先輩も、素直になれない。きっと同じ気持ちなんだろうなぁ。

 

「先輩」

「ん?」

 

 仕事中、私は気になっていた事を本人に聞く。

 

「好きな人っていますか?」

「今のところはいないな」

 

 やっぱりお米ちゃんと戸塚先輩なんだろうなぁって思ってたけど、予想外の回答だった。

 

「…」

 

 仕事してる先輩が格好良い。見とれてしまう。

 

「一色、仕事してくれって、俺帰れない」

 

 本当は帰したくない、心の中ではその事しか考えられなかった。また一人になると考えると、凄く寂しい。私がこうなったのは先輩のせいですからね。先輩が優しいから…

 

(本物が欲しい)

 

 私だって、本物が欲しいです。いつもあざとい私を演じて、男子達にちやほやされて、女子に妬まれ続けた。でも、先輩にだけは素の自分を見せたいと思ってしまった。それは先輩だから、嘘つきな私をいつも傍で見てくれる。そんな先輩に惚れてしまったから。クリスマスイベントやデートの時だって、ちゃんと私を見てくれた。お店のチョイスとかはマイナスポイントだけど、優しさでポイントMAXになってる。責任取って欲しいのです。我儘な私でも、結衣先輩や雪乃先輩よりも劣ってるかもだけど、もう一度、いや、人生で初めて、ちゃんとした恋をさせてください。私の本物はすぐ隣にいるんですから…

 

「先輩」

 

 椅子から立ち上がり、先輩の椅子を動かして、前に立つ。先輩は驚きを隠せないでいた。でも、私は勇気を出す。

 

「私、先輩の事が大好きなんです」

 

 そして私は続ける。

 

「優しい先輩が好きです、我儘で嘘つきな私を見ていてくれる、そして…そして…」

 

 言いたい事は山ほどあったけど、いつの間にか涙が出ていた。今まで言えなかった事を言ったからか、正直私にも分からない。でも先輩は優しかった。優しい目をしながら私を撫でてくれた。その手はとても大きく、とても安心できる。

 

「お前の言いたい事は分かった、取り敢えず落ち着くまで撫でてやるから…ゆっくりな?」

 

 先輩の手は止まらなかった。いつの間にか先輩に抱き着いていた私は、その優しさに包まれながら、落ち着きをとりもどす。

 

「しぇんぱい…」

 

 それでも、なにか喋ろうとすると上手く喋れない。先輩は少し顔を赤くしながら笑う。先輩が笑うところはあまり見ない。なんだか特別な感じに浸ることが出来た。

 

「落ち着いたか?」

 

 私は頷いた。先輩からどんな返事がくるのか、息苦しくなってしまう。でも、逃げては駄目。先輩の返事を聞かなきゃ…聞かなきゃいけない。

 

「俺も、お前の事が好きだ」

 

 先輩は続けて…

 

「お前の仕事を手伝ったり、強制的にデートに付き合わせられたり、正直面倒くさがった」

 

 二人っきりになりたいからって、ちょっと強引すぎちゃったかな…

 

「でも、楽しかった、あざとい時も素の時も可愛かったんだ、それに、俺が言うのもなんだが頼ってくれて嬉しかった」

 

 先輩はいつも、一人で解決しようとするくせに、私だって頼られたかった。でも、私も正直になれなかった。人の事言える立場じゃないのは知ってる。それでも、先輩はいつも一人を選んでしまう。いつかいなくなっちゃうと考えれば考えるほど、苦しくなる。

 先輩は自分の幸せを犠牲に私達を助けてくれる。そんなのは嫌だ。

 

「こんな俺で良かったら、付き合ってくれないか?」

 

 勿論です。私が求めていた本物、言葉では伝わらないくらい、先輩の事が好き。私は再び号泣する。

 

「ぐすっ、勿論です…私も、先輩の事が大好きです」

 

 いつの間にか、先輩と手を繋いでいた。普通の繋ぎ方ではなく、[恋人繋ぎ]。

 私と先輩はお互いの目を合わせると、顔を赤くしながら微笑む。そして、お互いに手を離そうとは思っていなかった。それがとても嬉しかった。出来ればこのままずっと一緒にいたい。そんな気持ちでいっぱいだった。

 先輩は優しく私の頭を撫でながらギューッと抱きしめてくれた。先輩の顔が涙で上手く見えないけど、分かることがある。

 

 先輩は面倒くさそうにしていなかった。いつもならキョドりながら私と接するけど、今は違った。先輩が私を見てくれている。私が落ち着くまでずっと傍で見てくれる。

 

 「ごめんなさい…」

 

 私は仕事を放棄し、先輩に告白をして、仕事が増えちゃったし、また我儘な私を見せてしまった。

 

「気にすんな、仕事が増えたら俺が手伝うし、告白も正直、なんだ?上手く言えねぇけど、嬉しかったからな」

 

 あの先輩が素直になっている。少しぎこちないけど、そこが凄く可愛かった。先輩だってあざといんです。

 

「ふふ、先輩にしては素直ですね♡」

「俺はいつも素直な人間だ、自分に嘘はつかない人でな」

 

 今、手を繋いでるのも、優しく抱き締めてるのも嘘じゃない。私は分かっていたんだ。先輩は自分より相手を優先する。だから少し心配。文化祭の時や修学旅行の時、結衣先輩から聞いている。いつもいつも自分自身を犠牲にしてしまう。それが先輩の選択。私はお説教する立場じゃないし、それを止めることもできない。そんな力がないから、でも先輩の味方でいたい、傍で一緒にいたいし、先輩が辛くなったら私が慰めてあげたい。きっと、奉仕部の二人も同じ事を考えているはず。

 

「この後デートしません?」

「しょうがないな、溜まった仕事は合間を縫ってやるからな?」

「は〜い!」

 

 私達は椅子から立ち上がる。そして、先輩の前に立つ。言いそびれたことがあるから…

 

「愛してますよ」

 

 先輩はやはり顔を赤くする、それがとても可愛い。ずっと眺めていたかった。

 

「ありがとよ、俺もだよ」

 

 私は微笑む。それはあざとい私じゃない。素の私。いつも見せる顔じゃない。こんな顔を見せれるのは先輩にだけ…

 

「では!行きましょう!」

「はいよ」

 

 荷物を纏め、生徒会室を後にした。

 

「なりたけに行きましょうよ!」

「珍しいな」

 

 私は、初めてデートに行った時、初めて先輩と食べた。今の私にとっての思い出の場所。

 

「初めての場所ですから」

「行くか」

 

 手は握ったまま、先輩は優しく握ってくれている。その手はとても温かい。私の感じたことのなかった感触。

 

「はい!」

 

 元気よく返事をすると、先輩は微笑んでくれた。そして頭をポンと優しく叩いた。

 

 初めて、私の本物の物語が始まる。そして、私だけのモノローグは幕を閉じる。

 

 次は私と先輩の物語。

 

             (完)

 

 

 

 

 

 

 

 


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