後輩は心の怪盗団   作:どうまん

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コミュではないけどコミュみたいなもの()
性別は決まってないため意地でも出さないスタイル。
本編は10月入ってからですかねぇ。


閑話・番外編
双子の看守


 ……今日は休み。

 都会の喧騒にも慣れてきたよ。

 

 初めこそ神経質になっていたけど慣れれば大したことない。

 

 よく家にやってくる蓮や祐介は大切な用事があるとかで来ない。ほかの来客予定もない。

 

 だから今日ぐらいはのんびり休日を過ごそう。……と思っていた…んだけど。

 

「お前が囚人の言ってた。ふんっ! 弱そうだな」

 

「カロリーヌやめなさい。大変失礼いたしました」

 

 ……なんか看守? のコスプレをした外国人? の少女たちが家にやってきた。

 

 金髪だけど染めてるようには見えない。都会は外国人が多いから珍しくはない……かな? 

 

「大丈夫だよ」

 

 ……刑務所に入ってる知り合いは居ないんだけどなぁ。知らぬ間に入ってたらそれまでなんだけどさ。

 

 しかし都会はこんな幼い子もコスプレをするんだね。……世界は広い。

 

 ……()()()()()()()()だ。

 

「お、中々良さそうな部屋ではないか」

 

 一人の少女が靴のまま部屋に。

 ……靴のまま? ちょっとちょっと! 

 

「待って!」

 

「なんだ?」

 

「靴を脱いでくれないかな」

 

 欧米じゃあるまいし流石に土足であがられるのは困る。

 

 ……見知らぬ少女たちをあげる方がもっと困るんだけどね。……新手のセールスとか、には見えない。

 

 宗教……も、ないよな。

 

「は? なんでだ?」

 

 ……外国人だったね。

 流暢に日本語を話すから忘れてた。

 

「日本では家に入る時は靴の脱ぐのが当たり前なんだよ」

 

「囚人の居城は土足だったぞ」

 

「……そっかぁ」

 

 えーと…牢屋のことだよね。

 日本じゃ土足厳禁だし畳部屋のはず。

 

 あーそういうプレイ…? 

 

 その類の専門店があるとは聞いてたけど……えぇ…見た目よりも…えぇ…。

 

「とりあえず靴は脱いでね」

 

「分かった。ジュスティーヌも靴を脱ぐんだぞ」

 

 気が強い子がカロリーヌ、大人しそうな子がジュスティーヌか。

 

 ん……名前的にフランス人かな。

 

「なにか言いましたか?」

 

 ……もうソファに腰を下ろしていた。

 ちゃんと靴を脱いでる。

 

 マイペースだなぁ。

 

「もう座ってたのか。んっしょ……これでいいのだろう?」

 

 綺麗に靴を並べソファに座った。

 意外と真面目なのかもしれない。

 

 なんで玄関開けちゃったかなぁ。

 ……ご飯作ろう。

 

 冷蔵庫を開けて中を確認する。

 材料的に……あ、これにしよう。

 

 

 コイツが囚人の言っていた男。

 天宮憂だったな。

 

 散々聞かされてきたが拍子抜けだ。

 

 誰も寄せつけない冷気を纏ったような囚人がこの男のことになると饒舌になる。

 

 囚人のことよりも詳しくなった。

 好きな食べ物、嫌いな食べ物、趣味嗜好、身長、体重、血液型、誕生日……上げたらキリがない。

 

 主は顔を引き攣らせドン引いていた。

 ジュスティーヌは真面目にメモしていたが……何に使うつもりなんだろうな。

 

 しかし囚人が妄信するレベルだ。

 いったいどんな奴が出てくるかと思ったらただの人間だぞ? 

 

 何処にでもいるような一般人。

 大衆に埋もれていてもおかしくない。

 

 ……ペルソナ使いではあるみたいだがな。

 面白い。

 

()()()()()()を持っている。

 が……()()()()()()を感じる。

 

 こう……落ち着く。

 油断すると気を抜いてしまいそうだ。

 

「カロリーヌ」

 

「……なんでもない」

 

 囚人は知っているのか? 

 この男がペルソナ使いだということを━━

 

 囚人のことだ。絶対に知っている。

 知っていた上で私達に隠していた。 

 

 ………………。

 

「なにをなさってるのですか?」

 

「朝ご飯を作ってくるんだ。一緒に食べる?」

 

 隣に座るジュスティーヌと台所に立つ天宮憂が会話をしている。

 

 いい匂いがすると思ったら料理を作っていたのか。……食べなくても問題はない、が。

 

 あのかれーなる食べ物は格別だった。

 少し甘くしても良かったがな。

 

「アポイメント無しの来訪です。気を遣わなくても大丈夫ですよ」

 

 おいジュスティーヌ! 余計なことを言うな! 

 

「予期せぬ突撃は慣れてるからね。……1人分作るのも3人分作るのも対して変わらない。朝早くだし何も食べてないだろう?」

 

「……はい」

 

「それに1人で食べるよりみんなで食べた方が美味しいんだ。勝手なお願いだけど一緒に食べてくれないかな?」

 

「そ、そう…ですね。そこまで言うのでしたらお言葉に甘えさせていただきます」

 

「ありがとう」

 

「……いえ」

 

 ほう……あのジュスティーヌが大人しく引き下がった。

 

「もう少しでできるから待っててね」

 

 ニコニコと微笑み背中を晒す。

 無防備な背中に何故か安心感を覚えた。

 

「……なるほど」

 

 呟くジュスティーヌ。

 

「どうしたんだ?」

 

「囚人があれだけ称賛していた理由が分かりました。彼がいるなら……」

 

 ぶつぶつと何か言っている。

 だが同時に鼻腔を刺激する匂いに遮断され最後まで聞き取ることはできなかった。

 

 

 

「お待ちどうさま」

 

 2人の前に皿を置く。

 中には多種の野菜が入った赤い煮込み。

 

 ラタトゥイユ。

 フランスの郷土料理。

 トマトベースの味の中で野菜たちの甘みやコクが強調され旨みが口の中に広がる。

 

 単品で食べても美味しいしパスタのソースにしても美味しい。美味しいづくしの料理。

 

「この赤いのはなんだ? ……まさか血か!?」

 

「貴方も神殺しでしたか」

 

「囚人の主も神殺しだったがお前も神殺しだとはな」

 

 ん??? 

 血? 神殺し? 

 

 なんか勘違いされてるけど……触れない方がいいんだろうなぁ。

 

 2人はラタトゥイユを知らない。

 ……フランスじゃないのか。

 

 日本で生まれて日本で育ったのかな。

 それとも根本的に間違えていた? 

 

 ……にしても2人の言う囚人が誰か分からない。

 しかも囚人の主って……。

 

 ああ、秀尽の可能性もあるのか。

 秀尽の主……言葉通りに捉えるなら校長…。

 

 うん、それはないか。

 亡くなってるし。

 

 ……俺も食べよかな。

 

「……ふぅ…美味しいですね。刺激は……んくっ……イマイチ足りませんが…はふっ……野菜が食べやすく噛むと口の中に広がる甘み……はむっ…」

 

「かれーよりも……むぐっ…食べやすいし…もぐっ……美味いな」

 

 お気に召したようでパクパクと皿を空にしていく。

 

 は、早くない…? 

 

 満足そうで何よりだけどさ。

 

 ……まだ食べたりないのか皿の底を見ている。

 あーまだまだ育ち盛りだもんね。

 

「おかわりあるよ」

 

「お願いします」

 

「私も頼む」

 

 ……後で食べよう。

 差し出された皿を受け取りラタトゥイユを注ぎにいった。

 

 結局おかわりを繰り返していく少女達にラタトゥイユは食べ尽くされたのは言うまでもない。

 

 し、仕方ないよね。

 ……食べ盛りだし、ね。

 

 満腹になった少女たちは各々礼をいうと足早に去っていった。

 

 これ……料理をご馳走しただけなのでは? 

 ま、まぁ……いいか。

 

 休日は始まったばかり。

 さてと━━

 

「……コンビニ行ってこよ」

 

 

「ジュスティーヌ」

 

「主にはお伝えしません」

 

「そうか。その方がいいな」

 

「彼は囚人の更生に貢献しています。寧ろ感謝しなければなりません」

 

「……帰るか」

 

「帰りましょう」




大いなるネタバレ()
時系列的には特別刑務(ルブラン後)

感覚的には双子の看守に違和感を抱いている。

囚人のことは本当に分からない。
蓮が憂に知られたくないため隠している。
(+本来のベルベットルームを知ってるから尚更)
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