後輩は心の怪盗団   作:どうまん

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勘違いというかなんというか。
初日から結構やらかしている先輩です。



ルブランにて

「お待ちどうさん」

 

「ありがとうございます」

 

 レトロな内装。

 芳醇な香り。

 

 渋くダンディなマスターに━━

 

「にゃー」

 

 可愛いにゃんこ。

 

 最高。

 そのひとことにつきる。

 

「いいってことよ」

 

 興味深そうな顔。

 ……蓮がなにかいったんだね。

 

 竜司くんと杏ちゃんにも言ってたみたいだし。

 

 何をいってたんだろうね。

 聞こうにも当の本人は2階?の自室で眠っている。

 

 ……下校前から目を細めうとうとしていた。蓮の滞在先に行こうと思っていたから最悪おんぶをしていけばいいと考えていたんだ。

 

 下校時にはフラフラと危なっかしく遂には倒れた。

 

 慌てて受け止めたら━━

 ……寝た。

 

 あはは……だっこするしかなかったんだ。

 

 眼鏡は落ちそうだったから取って。…やっぱり眼鏡はない方が、いいかな。

 

 おんぶをするにも1人じゃ無理。

 誰かの手を借りようにも問題児2人。

 

 竜司くんか杏ちゃんが……1度引き剥がそうとしたら鯖折り一歩手前まで逝った。

 

 声をかけてもモルガナが鳴いても起きない。

 

 ……選択肢はなかった。

 視線には堪えたね。

 

 電車を乗る時とか。

 切符をどう買おうか考えたり。

 

 モルガナがいて助かったよ。

 普通の猫より頭がいいのか切符を買えたんだ。

 

 ダメ元でいって良かった。

 モルガナは蓮の飼い猫……らしい。

 いつ飼ったんだろう。

 

 地元にはいなかったはず……。

 

 猫好きなのも知らなかったなぁ。

 学校まで連れていくくらいだ。

 

 ……バレなきゃいいけど。

 

 あとは駅員さんに説明して改札窓口から通して貰ったり……電車の中は地獄そのものだったよ。

 

 狭い空間にこれでもかと人が敷き詰められる。なんとか蓮を壁側に寄せて事なきは得た。

 

 ……都会は怖い。

 

「いいってことよ。しかしあの蓮が男に抱えられながら帰ってくるとはねぇ」

 

 喫茶店のマスター。

 佐倉惣治郎さんは目を細めながら蓮の部屋へと続く階段を見つめる。

 

 蓮はこっちだと寡黙でクールな印象が強いらしい。

 

 口数は少なく眉一つ動かさない冷気を纏った少女…なんだって。

 

 誰それ?

 ……ほんとに誰?

 

 確かにね。

 竜司くんや杏ちゃんの前だとクール……。

 

 人前で堂々と飛びついて来る時点でクールもなにもないよ。

 

 ま、まぁ……蓮がそれでいいなら。

 うん、気にしてもね。

 

「……コーヒーいただきます」

 

「おう」

 

 心の中にしまい込み逃げる形でコーヒーを飲む。……っ!?

 

「美味しい…」

 

「そりゃあ俺がいれてるからな」

 

 したり顔の惣治郎さん。

 

 マイルドな飲み口。しっかりとしコクがあって風味豊かで甘味を強く感じ……これって……。

 

「ブルボン…ですよね」

 

 説明し……なにを説明するんだか。

 コーヒー豆の3大原種であるアラビカ種に属する品種でブルボン島で誕生したのが名前の由来と言われている。

 

「!……わかるのか」

 

「しかもアマレロ……」

 

 ブルボンの中でも希少なコーヒー豆。一般的な喫茶店やカフェでは出回るものじゃない。

 

 ……惣治郎さん。

 何者なんだろう。

 

 ただの喫茶店のマスターにしては……。

 

「あー…なるほど。だから…か」

 

「…ん?」

 

 暖かいなにかを感じる。

 

「……恋する乙女はなんとやらってねぇ」

 

「にゃー」

 

「は、はぁ…?」

 

 なんもわからない。

 惣治郎さん…?

 

 穏やかな空気がふっと消える。

 

「話を変えて悪いが……蓮の担任と校長を殴ったんだってな」

 

 ……そこまで知ってるんだ。

 

「はい」

 

「それで退学になったら世話ないだろ」

 

「言えてますね」

 

 今となったら笑い話。

 

「もしも…だが、どんなことがあってもお前さんは蓮を選ぶのか?」

 

 ???????

 え?……それはどういう…。

 

 …二兎を追う者は一兎をも得ず?

 みたいなもの、かな。

 

 それならなんで一択を蓮にして……。

 ……わからない。

 

「はい」

 

「好きな人ができてもか?……全てを捨てることになってもか?」

 

 険しい顔が迫る。

 

 好きな人。

 うーん……初恋がない。

 

 全てを捨てることになっても、ねぇ。

 大袈裟だなぁ…思いつつも口には出さなかった。

 

 なんでこんな質問をしたのか気になるけど……。

 踏み越えちゃいけないライン。

 

 大人しく答える他ない。

 でも━━

 

「もちろん」

 

 なんだかんだで蓮を選ぶと思う。

 理由はない、けど。

 

「……そう、かい」

 

「…ご馳走様です。帰る前に蓮を見てきてもいいですか?」

 

「…いってきな」

 

「ありがとうございます」

 

 モルガナも一緒に……あれ?

 いない。…どこにいったんだろう。

 

 △

 ▽

 

 あの言葉……。

 あの言葉を聞いてから心臓が鳴り止まない。

 

 呼吸が荒くなる。

 頭がクラクラして……体が熱い…。

 

 耳が溶けてしまいそう……。

 

「好きな人ができてもか?……全てを捨てることになってもか?」

 

「もちろん」

 

 好きな人ができても…私を選んでくれる。

 

 て、ことは……先輩は私のことがす、すすすすすすすすすす…す……す!

 

 不安定な足場。

 階段に座り込む。

 

 ……腰、抜けた。

 

 はぁ…はぁ…は、はぁ……。

 思った様に息ができない。

 

 し、しし…深呼吸し、てて…。

 

 ひっひっ…ふー。…ひ…ひ……ひっふー。

 

 だ、だめ…ど、どうにか…!

 

 お、お…おちおちちおちつおちおおちおちちおちおつちおち…。

 

「……だ、大丈夫か?」

 

「モ、モルガニャ…」

 

「こりゃダメだな」

 

 う、うるさい……!

 仕方ないでしょ!

 

 気がついたらベッドで寝ていた。

 先輩の匂いに包まれた制服を抱きしめて余韻に浸っていた。

 

 喉が渇いてきたから飲み物を取りに階段を降りたところで先輩と惣治郎さんの会話が聞こえてきた。

 

 男性同士の会話。

 なにより先輩の━━

 

 気になって盗み見たら……。

 

「そんなつもりでいったんじゃないと思」

 

「…ご馳走様です。帰る前に蓮を見てきてもいいですか?」

 

 ンンンっ!

 せ、先輩がくる…!?

 

「おい!はやく戻らないとヤバいぞ!」

 

 わ、わかってる…!

 んっ…しょ……。

 

 なんとか這って部屋まで……!

 

「……蓮…?」

 

 ダメだった。

 お、恐る恐る…先輩の顔を見ぴゃ!?

 

「大丈夫か!?」

 

「ひぇ…へ、へんぱ」

 

 ち、ちちちちちかちかかちかちち…!

 ぴぇ!?

 

 お、おおおでここ…へんぱいのて、てて。

 

「熱……ちょっと高い」

 

 心臓の鼓動が加速する。

 バクバクとブレーキの壊れたように…。

 

 だ、だめ…!

 熱い…死ぬ、死んじゃう……!

 

 …殺されちゃう。

 先輩に尊死させられちゃう。

 

 モルガナ…た、助け……。

 

「さすがのワガハイも無理だ」

 

 首を横に振る。

 モルガナー!!

 

「ここにいたんだ。もしかして蓮の異変に気づいてたのかな」

 

「ああ!ウイが来てからレンは異常だからな!」

 

 ぐぅ…先輩のいる前で……。

 ……覚えといてひゅ!?

 

 お、お姫様抱っこ……!

 は、はは…はじめ、て……あわわわ。

 

「先ずは身体を温めないとね」

 

 身体……温める……?

 ……………ひゅいぇ!?!?

 

 あ、あたたたたあたあたため…。

 ……先輩とあたためあ……あっあっ…あ。

 

「れ、蓮?……蓮!」

 

「……この先大丈夫なのかこれ」

 

 モルガナ…うるさ…い……。

 

 △

 ▽

 

 蓮が倒れた。

 

 ……引っ越してから一度も連絡がなかった。

 

 気を使わせてたみたいだ。

 俺から連絡すれば良かった。

 

 いきなり都会に1人放り込まれたんだ。

 心細かっただろう。……ごめん蓮。

 

 ……できる限り傍にいよう。

 友達もできて素敵な大人もいるからお節介かもしれないけど。

 

 惣治郎さんに許可を頂いたし蓮の看病だね。

 

 熱さまシートとおかゆの材料。リンゴ……あ、モルガナのおやつも買ってきた。…晩御飯……。

 

「…おかゆでいっか」

 

 着替えは諦めるとしてお風呂は近くに銭湯があるからそこで。

 

 寝場所は……ソファを借りて。

 

 蓮もお腹を空かせてるだろう。

 モルガナもご飯を食べてるかわからない。

 

 先に━━

 おかゆ作りますか。

 




時系列はペルソナ使いの後。

先輩に会えなかった反動+確信(勘違い)でオーバーフローした蓮と純粋に蓮が好きな先輩。

深く考えず言葉に出す精神()

蓮が必死にコーヒーを学ぶ理由を察する惣治郎。
惣治郎の第一印象は……え?付き合ってんの?

これも多分愛だと思います()
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