「……迷った」
流石は渋谷。
何処にいるのかすら分からない。
人の大波。広大な海だと思わせる。
……誰か連れてこれば良かったね。
蓮なら無条件で来てくれるし……。
後悔先に立たずだよ。
…あれ?逆に言えば蓮以外とは親密さに欠けている?
杏ちゃんと竜司くんは蓮に気を使ってかあんまり関わらないしモルガナは猫ちゃんだしなぁ。
同級生とは会話こそするも外だと、ね。
蓮と違いトラブルを起こしている。
受験前だし問題児と関わろうとする物好きはいないだろう。
紛れもない事実。
理由はどうあれ弁解の余地はない。
ま、まあ…適当に歩くのも悪くないか。
……迷子になったら蓮を呼ぼう。
気ままに歩き続ける。
歩き続けて……歩き…続け…て……。
うん……。
「……どこ?」
迷った。
人気のない住宅街。
目の前に古めかしい一軒家。
表札を見る。
……斑目?
斑目…斑目……。
「
世界に名を轟かせる日本画家。
沢山の弟子を持つ巨匠。
芸術に疎い俺でも代表作であるサユリは知っている。
怖い…と思った。
怒りを感じるというか……。
素人の感想に過ぎない。
ここは自宅…かアトリエ?
……流石にないか。
沢山の弟子がいるのにこんな場所では、ね。
築何年かも分からない。
ずっと住んでるにしてもリフォームぐらいはするはず。
夏場は暑そうだし冬場は寒そうだ。
住み込みの子がいたら体調を崩してしまう。
……環境が悪過ぎる。
「しかも
『━━ヒットしました。ナビゲーションを開始します』
「る……?」
……空気が変わった。
なにより……。
これは……。
「美術館…?」
斑目…美術館、ね。
豪華というか…目に悪い。
落ち着いて……ふぅ。
さっきまで……。
考えても仕方ない。
現状何も把握出来ていない。
情報収集もそうだけど。
…確かめよう。
嫌な予感がする。
過去に似たような体験してるせいか。
思った以上に落ち着いている。
何もないといいな。
んー……。
大名行列を思わせる人集り。
悪いけど無理やり通らせて貰うかな。
はぁ…人酔いしそうだ。
△
▽
……繋がらない。
圏外…電源を落としている?
出ないならまだ分かる。
寝てるかもしれない。
だけど繋がらない。
分からない。
先輩のスマホに繋がらない。
怖い…怖い…。
何かあったのかもしれない。
事故、事件……嫌なことばかりが頭を過る。
「どうしたんだ?」
「……なんでもない」
鞄に潜むモルガナの頭を撫でる。
「そうか。今回も予告状を出した後で決行だ」
「……うん」
……先輩。
「だから2つ戻って、6月2日には、潜入ルートを確定しないとな」
「いい?絶っっっっ対に、失敗できないんだからね?」
杏が力強く叫ぶ。
……竜司がげんなりした顔で見ていた。
「作戦開始だ!」
先輩…大丈夫かな。
また、あとで電話しよう。
△
▽
「……つ、疲れたぁ」
なんとか美術館内部に入れた。
並んでる人達は微動だにせず。
割り込んでも無反応。
まるで無機物。
マネキン…みたいで。
気味が悪かった。
それは置いといて。
……入ったのはいいんだけど。
「誰も…いない…」
あれだけの行列。
なのに誰一人いない。
異常だ。
薄々気づいていた。
まさか……。
「キサマ!どこから入った!?」
訂正する。
警備員たちは居たみたい。
人ではない。
……やっぱり。
「入口からだよ」
「侵入者は排除スル!!」
人の話は最後まで聞こうよ。
警備員たちは姿を変える。
超常的な姿。
……はは…もう関わることはないと思っていたのにね。
相変わらず運が悪い。
なんで迷い込んだのか。
運命だったのかもね。
「はぁ…」
息を吐く。
目を閉じ腕を前へ。
「コロセ!」
想いを解き放つ。
ひとこと━━
「……
そう、呟いて。
フライングパレス。
蓮達が潜入する前に迷い込んだ先輩。
イセカイナビは蓮と接触した時に生えてたことにして。
ブツブツひとりごといってたら勝手に巻き込まれた(自分から凸った)
先輩は本来のペルソナ使い仕様なので怪盗服みたいなオシャレ機能ありません。
因みにペルソナ召喚は
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発動
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不発