後輩は心の怪盗団   作:どうまん

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久々に書いたなぁ
いつの話だろうもう。


スタート(NEW)

 ……眠い。

 反動が思った以上に響いたみたいだ。

 

 帰宅するのも億劫に感じてしまう。

 お昼ご飯の時も蓮の話をうんうんと聞き流すぐらいには疲れていた。

 

 蓮たちは直ぐに帰った。

 モルガナに聞いたんだけど潜入ルートを確保しなきゃいけないんだって。

 

 そのために杏ちゃんが一肌脱ぐとか脱がないとか言っていたんだけど……なにをするつもりなんだろう。

 

 無事を祈りつつ立ち入り禁止の屋上。

 適当に横になって寝よう。

 

 そう思いドアを開けた。

 

「あっ」

 

 ……先客がいたみたい。

 赤いジャージの少女。

 両手にはジョウロを持っている。

 

 ふわっとした髪型と整った顔立ち。

 よく見る顔だった。

 

 ……クラスメイトだね。

 名前は━━

 

「奥村さん」

 

 奥村春、だったかな。

 

「あ…転校生の天宮くん、だよね?」

 

「うん、ここでなにを……」

 

 覗き込む。

 ……プランターと…苗?

 

「この子たちを育ててるの。最近は不良が居座ってるから行かないようって先生から言われてたんだけど……気になっちゃって」

 

 あー……蓮たちのことだね。

 ……俺もかな?

 

 …この子達、か。

 

「そうなんだ。……邪魔しちゃったね」

 

「え?だ、大丈夫だよ。私以外いないし気にしないで」

 

 っ…笑顔だけど…違和感を感じる。

 

 達観してる?……いや様子見かな。

 ……一歩引いてる、みたいだ。

 

 人付き合いが苦手では無さそう。

 寧ろ社交的で時々見せる上品な仕草。

 

 お嬢様と言われれば納得できる。お嬢様なのかもしれないな。似た様な子を知ってるし。

 

「なら良かった」

 

「ふふっ。……やっぱり噂は噂みたい」

 

「噂?」

 

「うん。犯罪を犯して退学。保護観察処分だから近寄らないようにってクラスメイトや先生が言ってたから……」

 

 ん、んんん?

 犯罪は……先生を殴ったことだよね。

 退学も間違っちゃいないけど……保護観察処分は受けてない。

 

 ……これ蓮と混ざってるね。

 訂正…するのもなんだろう。

 

 少しでも蓮が楽しく過ごせる様に……。

 気休め程度にはなると思う。

 

 ……甘い、かな。

 

「全然違うわ。……全然ね」

 

「……想像に任せるよ。少しスペースを借りていいかな?」

 

「うん」

 

「ありがとう 」

 

 使用許可を貰い隅っこで横になる。

 

 程よく温められたアスファルト。

 

 プランターから溢れた土で汚れるのも気にならないくらいに心地いい。

 

 カバンを枕代わりにして……寝よう。

 

 △

 ▽

 

「……んふふっ」

 

「蓮がずっと笑顔なんだけど……」

 

「分かる。すっげぇ分かる。……学校の時も笑顔絶やさずだった。誰だよ冷気を纏った麗女なんて二つ名付けた奴。笑ってる方が遥かに怖ぇよ」

 

 蓮の笑顔に恐怖するリュージとアン殿。

 

 まだマシだと思う。

 ワガハイなんて笑顔のレンに寿司を口に突っ込まれたんだ。

 

 藻掻くワガハイを満面な笑みで覗き込み手には寿司を構えて。

 

 無慈悲にもワガハイの口の中に寿司を捩じ込んでいく。泣いても足掻いても無駄。されるがままに…うぷっ……。

 

 なんとか食べ終えたらまたわんこ蕎麦みたいに寿司が口に這い寄っていく……ぶるっ。

 

 これも全てウイが悪い…わけじゃないか。

 

 むしろ良い方向に傾いてくれた。

 

 今後のルート確保がスムーズになってくれるだろう。

 

 今日はレンとリュージを先に行かせてワガハイとアン殿はあのあばら家にーー

 

 ……うん、結果だけ言うぞ。

 開いたことには開いたんだ。

 

 アン殿の演技力?によりマダラメの弟子というユウスケを味方に抱え込むこともできた。

 

 ただ開かずの間を開けたことで警備員を呼ばれちまった。

 

 無事にマダラメから逃げることにも成功した。初めはユウスケも戸惑いを隠せてなかったが、パレスを、マダラメを見て……なんかペルソナ使いに覚醒した。

 

 …………世話になった親代わりが変わってしまった真実に打ちひしがれていたが…とにかくパレスから脱出して──

 

 ともあれだ!仲間が増えた。

 それは喜ばしいことだし戦力が増えたことには変わりない。

 

 ちょっと……かなり変わったヤツだが良い奴だし大丈夫だろう。

 

 ワガハイはみんなと別れてからウイの所へ向かった。レンからの無言の圧力があったが逃げる様に後にした。

 

 今度ユウスケを紹介しよう。

 

 控訴される前にパパっとオタカラを盗まないとな……。

 

 確か屋上だったか?

 流石に帰っていると思うんだが……門閉まってるし。

 

 一応行くか。

 

 △

 ▽

 

 ……良く寝た。

 

 起き上がる。…暗いね。

 ん?これもしかして門限過ぎてる?

 

 夜に染まりつつある夕暮れ。

 俺以外は誰一人いない。奥村さんも帰ったみた……。

 

「あ…起きた。おはよう」

 

 ……いたー。

 ジャージ姿から制服に変わっていて鞄を持っている。

 

「もうすぐ門が閉まるから急いだ方がいいかも」

 

 ギリセーフって所なんだ。

 にしてももしかして…。

 

「待っててくれたの?」

 

「え?…あ、うん。初めは起こそうかなって思ったんだけど気持ちよさそうに寝てたから」

 

 上品に笑みを零した。

 

「……ありがとう」

 

 彼女は世間に流されず己で見たものだけで判断する。それはとても凄いことだ。…ただ何か…後ろ暗い何かを抱えているんだと思う。

 

 …勘に過ぎないけど…杞憂であることを願いたいな。

 

「どういたしまして。あ……」

 

 最後のチャイムが鳴る。

 

「良ければ途中まで一緒に帰らない?」

 

 自分のせいで待たせてしまった。女性一人で帰らせるのは躊躇われる。

 

 治安がいいのか分からないが男一人いるだけで人避けにはなるだろう。

 

「!……お願いします」

 

 一瞬躊躇った…?

 気のせい…かな?

 

 ……ううん、隠すのが上手だ。

 弱みに付け込まれないようにしている。弱み以外にも含めてかな。

 

 気にしても仕方ない。

 奥村さんとの関係はただのクラスメイト。それ以上でもそれ以下でもないのだから。

 

「それじゃ行こう」

 

「…う、うん」

 

 一緒に屋上から正門へ。

 隣を歩く奥村さんは無言。

 

 俺も喋ることはなかった。

 門から出たところで黒猫が飛び出してくる。

 

「ウイやっぱり学園に……」

 

 モルガナだった。

 どうした?急に固まったけど…。

 

「…あ、可愛い」

 

「…バレなきゃ大丈夫だな、うん。話は後だ、鞄を開けてくれないか?」

 

 鞄?ああ…分かっ……モルガナ?

 鞄を開けるとひょっと中に入り込むモルガナ。

 

「天宮くんの猫なの?」

 

「いいや後輩の猫なんだ。帰りにでも届けようかと思って」

 

「ならここまでで大丈夫だよ」

 

 ……それは申し訳な……?

 隅っこに車が止まっている。それも高級車。

 

 奥村さんが気まずそうに車を見ていた。……本物のお嬢様だったのか。

 

 元からお役目はなかったんだね。

 

「うん、わかった。…今日はありがとう」

 

「こちらこそ。ありがとう。…また明日ね」

 

 車のことを聞くのも野暮な話。

 別れの挨拶を交わして四軒茶屋に向かう。

 

 それで──

 

「モルガナはどうしてここに?」

 

「今日の報告をするためだ。それに仲間も増えたんだ今度紹介するぜ!」

 

仲間…へぇ。ペルソナ使いがってことだよね。

それは喜ばしいこと…なのかもしれないね。

 

常に危険と隣り合わせになることを除けば。

別にペルソナ使いになったからといって戦う必要はないからね。

 

…意外とペルソナ使いって居たりするのかな?

少なくとも俺も周りでペルソナ使いはいなかった。

 

敵には…居たけど、さ。

あー…うん、思い出しただけで背筋がゾクリと震える。

 

怪獣退治は懲り懲りだよ。

 

「…どうした?」

 

「少し思い出を振り返ってただけだよ」

 

「思い出…そういえばウイはどうやってペルソナ使いになったんだ?」

 

鞄から頭だけを出して見上げるモルガナ。

 

「…ペルソナ使いに襲われた時にね」

 

色々と省略するがペルソナ使いを知ったのはその時だし後日イゴールさんと彼女て出会った。そして…あの事件に巻き込まれたか。

 

「ペルソナ使いに襲われた!?…ウイの他にペルソナ使いがいるのか!?」

 

「そうだね。…その話はゆっくり聞かせてあげるよ」

 

「あ、ああ……大変だったんだな」

 

そうだね。…3年も音沙汰が無いだけ幸せだったんだろうけど。

それとも知らずに暮らしていたのか…前者だと願うばかりだよ。

 

モルガナを連れて喫茶店ルブランへ。

惣次郎さんは帰っており蓮だけがいた。笑顔で駆け出したかと思えば鞄の中に入っているモルガナを見て一瞬…気のせいだろう。お礼として珈琲をご馳走してくれた。

 

ここに来てから惣次郎さんのお手伝いをしているらしい。

蓮のいれてくれた珈琲を飲んで帰った。

 

終始にこにこしていたけど何か良いことでもあったのかな?

そっか仲間ができたといっていたし…その事だろうね。

 

……俺は俺で少しでもクラスに馴染めるように努力しないと。

あとはバイトも探さないとね。何かと入用になるだろう。

 

やることがいっぱいだなぁ。

 

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