神様転生したけど、冷静に考えたら幽霊とかお化けが怖いので超絶除霊チート能力をもらった。 作:尋常時代
「なーんで、こんなことになってしまったのかのう……」
と嘆くように言った。
「むむむ……妖怪め! こうしてくれる!」
「痛いですわ~!!!! 何をなさいますの?!」
目の前の光景に思わず頭を押さえる。黒髪ロングを靡かせて刀を振り回す巫女服を着たちんまいのと、金髪ツインテールのゴスロリドレスを着たちんまいのがチャンバラごっこをしているのだ。世も末じゃな。
いやはや、この世界はどうなっておるんじゃ?
あの核弾頭みたいなガキが生まれてからどうにも生きづらい世の中になってしまったものじゃ。
あの子が生まれるまでは、まだマシだった。わしもまだ元気に生きていたからのう。嘘じゃ。わしはずっと妖怪じゃ。
だが、わしはあの小僧の故郷の者どもを思い返して笑う。
力とは怖いものよの。身の丈というものがあるということを知らん。
身のほどを知らぬ神は消え去り、身の丈を知らぬ妖怪はすべて滅びた。
それにしても、こやつら、いつまでチャンバラしとるんじゃ? 巫女服のほうはまだ分かる。あやつは神の子孫であろう。だが、力は受け継いでおらぬ。おそらくは、
まあ、ようやく
対して、あの金髪のちんちくりんのバカはただの木っ端妖怪。吹けば飛ぶようなヤツじゃ。つまりは雑魚じゃ。録に抵抗できとらん。
「これこれ、そこらへんにしときなさい」
「お婆様!? 止めるのが遅くありませんこと!? しこたま殴られましたわ!」
そんなん知りゃあせん。お前が弱いだけじゃ。
まぁ、これで大人しくしてくれれば良いが……。
しかし……面倒臭いのう……この子らは。わしらがここに来てからずっとこんな調子じゃ。
あの小僧の関係者じゃと思ったから、この無能力の巫女をあの場からかっさらってきたのじゃ。まさか、ここまでポンコツだとは思わんかったわい。
「おい爺さんや、アンタもなにかいいなはれ」
「うう……もうだめじゃ……わしはここで死ぬんじゃ……」
と、老人は泣き崩れた。なんじゃこいつは。全く、使えぬジジイめ。使えぬジジイは若者に嫌われるのじゃ。Twitterで書いてあったのじゃ。
「いい加減にせんと、その目と耳のを引っこ抜くぞ?」
「そ、それはやめてほしいです……」
そう、コヤツがわしら妖怪を見れているのは、とある道具のお陰なのである。
そう! 今やコヤツはただの
帯刀巫女服霊感少女Withメガネ、猫耳、ネコさんマスクなのじゃ!
動物憑きの妖怪をいい感じに道具に憑依させて作成したこの世に一つしかない逸品。
この道具の名は……
名付けて、妖怪ウォッ◯じゃ!! さて、冗談はこれくらいにして、話を戻すとするかのう。
まずは、この娘っ子に説明せねばなるまいて。この小娘のことだ。何も言わずにここに連れてきたのじゃろう。まったく、困ったもんよ。
わしは、ため息をつきながら話し始めた。
「わしらあんな場所にいたお主を助けにいったのじゃ。そんなに暴れられると困ってしまうわい」
すると、巫女服の子は俯いて言った。
「誰も助けてなんて言ってません……私は、父様の代わりに妖怪を倒さなければならないんですから」
……やはり、なにもわかっとらんようじゃのう……
これは、あれじゃ、アレ。いわゆるアレよ。
目の前には、金髪ツインテールのゴスロリ美少女が正座をしている。なぜお主が正座しとるンじゃ。
「誰に、どう聞いてきたのかは知らん」わしはそう前置きして話し始める。何を聞いて来たのかは知らないが、どうにも勘違いしているようだ。
「
そういうと、巫女服の少女は顔をしかめる。
それを見て、わしは言葉を続ける。
どうやら、自分の無力さに腹を立てているらしいが、
だが、口には出さず、言葉を続ける。
「お主がしたのは、考えなしに危険な世界に首を突っ込み、ただ命を危険にさらしただけじゃ」
おそらく、この者の家族もこの娘が裏世界へ首を突っ込むことなぞ望んではおらんじゃろう。それは我が子を想う親心というものじゃ。
だが、その想いはこの娘には届かぬ。何故なら、その者にとっての世界は
ここは、表と裏を隔てる境界線。決して交わることのない平行線。民草を守るべき巫女として、そして守られるべき力なき人として生まれてきたのじゃ。
「もし、あそこにいたのがあの変態どもだけでなく、もっと危険な妖怪じゃったら、お主、死んでたかもしれんぞ」
もちろん、そんなことは起こらぬ。あの少年が近くにいる限りは、起こるはずがないのじゃ。
じゃが、そのことを教えても、この娘は理解できまい。
「そもそも、
巫女服の子は、ハッとした表情を浮かべた。
「なぜ……それを……?」
そもそも、あの神社は忙しくはあっても人手不足ではない。間違ってもなんの力を持たぬ小娘を駆り出すことはない。神として、それは恥じゃ。
つまり、誰かが無理矢理やらせたということじゃろう。
まぁ、この娘が動いたのは仕方がない。なにしろ、この娘は普通の人間じゃからな。自分が持たぬ力を、他人が当たり前のように持っておるのが許せないのであろう。
「父様には……ただ有事の際の連絡を……それだけを……頼まれました」
つまりは、力あるものに害されぬように、より大きな力の元へと向かわせた。要らぬ騒動に巻き込まれようと、どうか、命だけは助かるようにと。
実際、今まであの小僧の近くには力の大きな妖怪は寄ってこんかった。それは今回裏で動いたヤツらが干渉せぬ限りずっと続いたじゃろう。
「だけど……」
おそらく、この娘も薄々気づいているじゃろう。この娘の父親がどういう思惑で送り出したのかを。
それでも、この娘はそれを認められなかったのじゃ。そうしなければ、この少女は自分の存在意義を見失う。自分は、父のためにここにいるんだと思わなければ生きていけないから。それが、父の役に立つことが自分の生きる意味なのだと信じているから。それを否定することは、自分の存在そのものを否定してしまうことになるから。
この娘は、今までの人生において、常に周りと自分を比較してきたに違いあるまい。
自分よりも遥かに優れた家族に。そして、父が自分を褒めるたびに克服できない劣等感に苛まれたじゃろう。
……なーんでわし、こんな娘を説教しているのじゃろう。説教する婆は嫌われるってテレビでやってたぞ。
いかん、話が脱線した。
とにかく、この娘がやろうとしたことはただの自殺行為じゃ。それを止められなかったのであれば、わしが代わりに止めるのじゃ。
「お主が行おうとしていることはわかっとる。妖怪退治じゃろ」
「……」
「黙っていてはわからん」
「……」
「どうしたらいいと思うのじゃ」
「……わたしが……妖怪を倒せば……みんなが、父様が喜んでくれると思ったんです」
そうか、やっぱりそういうことなのか。この娘は、自分を父親に認めてもらいたいのじゃ。
だがな、そんなものは所詮、
「残念ながら、それは間違いじゃな。たとえお主が誰もかなわぬ力を持ったとしても、父親は喜ばぬであろう」
「えっ?」
巫女服の少女は驚いた顔を浮かべる。
そんな顔をしても無駄じゃ。わしは嘘などつかぬ。つく必要がないからのう。
それにな、お主の父親だって、お主に幸せになって欲しいと思っておる。だが、それはお主が力を手に入れることではなかろう。
「妖怪退治や幽霊退治は、本来、人間がやるべきことじゃない。お主のような一般人が行ってよいものではない」
「でも! 私は父様の、娘です! 姉さまも、兄様も妖怪を祓っています」
確かにそうじゃ。だが、それはあくまで裏世界の住人としての役目じゃ。巫女としての力を持たぬ、、力なき民草の役目ではない。
だからこそ、わしはあえて言うことにした。
「違うぞ。人間にできる力など、たかが知れておる。あれは神の力じゃ。神の力なしに、人は怪異にはかなわぬ」
「そんな!」
当然の反応じゃな。
「事実じゃ」
「だったら、だったら私だって!!」
巫女服の少女は声を荒げるが、すぐに我に返った。その目からは涙が溢れている。
そうか、この娘は、自分が役立たずだと言われたと思っているんじゃろう。父親にとって、自分は必要ないのだと。だから、自分の価値を示そうと……。
まったく、困ったものじゃな。これではまるで、昔の自分ではないか。まあ嘘じゃが。
「無理じゃ。お主には力がない。それに、その力がどんなものかも知らぬじゃろう。己が無知なまま、力を振るうのは愚か者のすることじゃ」
「…………じゃあ、どうすればいいのですか!?」
少女は泣き叫ぶように言った。
ふむ、ここまで言ってもまだわからないのか。仕方がない。感情の起伏の激しい奴じゃ。
じゃが、その問いに対する答えなら用意してある。
そして、これはこの娘にとっても必要なことだからのう。
「何も出来ぬものは、何もせん事じゃ」
少女の目が大きく見開かれる。何か言いたげだったが、そのまま口をつぐんだ。
そう、それがこの娘の為になる。おそらく、この娘をあの場所へ送り込んだものの願いでもあるじゃろう。
この娘は、今までずっと劣等感と戦い続けてきたのだろう。そして、傷つきながらも前に進んできたのじゃろう。
だが、それはもう終わりにするべきじゃ。このままでは幸せになることはできぬ。
じゃからわしは……この娘に、一つの提案をする。
「じゃがな、そんな人生つまらんじゃろう? わしの話に乗らんか?」
笑いながらそう言ったわしの言葉に、巫女服の少女は首を傾げた。この娘には理解できんかもしれんが、わしにとっては大事なことじゃからのう。
わしは、この娘に問いかける。この娘が本当に望むものを、見つけるために。わしの目的のために。
「あの……そろそろ足がきつくなってきましたわ……」
いつまで正座しとるんじゃお前は。
これで大体の登場人物が出てきたことになります。
知らないキャラばっかり出てきて読みづらい部分もあったと思います。
本当にありがとうございました。
注釈ありとなしを書いてみましたが、改めてどちらがいいか聞いてみたいです。
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注釈いる
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あってもいい
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なくてもいい
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完全に要らない